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商標拒絶査定不服審判

2023-010591

ベンゴシドットコム、ベンゴシ

審判番号
2023-010591
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-002698
請求日
2023年06月27日
審決日
2024年03月26日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】田上 嘉一
  • 【請求人代理人】IPTech弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 冨澤 武志
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 中島 光
分類
T18 .16 -Z (W09353638414245)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項6号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2022-2698拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年1月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年9月27日付け:拒絶理由通知書 令和4年11月11日:意見書の提出 令和5年3月23日付け:拒絶査定 令和5年6月27日:審判請求書、手続補正書の提出 令和5年12月15日付け:審尋 令和6年1月29日:意見書の提出 2 本願商標 本願商標は、「弁護士ドットコム」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第36類、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する、願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、前記1の手続補正書により、第9類、第35類、第36類、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する別掲1に記載のとおりの商品及び役務に補正されたものである(以下、補正後の本願指定商品及び指定役務を「当審補正商品及び役務」という。)。 3 原査定の拒絶の理由の要点 本願商標は、「弁護士ドットコム」の文字を標準文字で表してなるところ、「○○ドットコム」や「○○.com」の文字は、「○○」の部分に入る語に関する商品や役務の情報を提供するウェブサイトなどを表す語として広く用いられているから、本願商標は、構成文字全体として「弁護士に関する情報を提供するウェブサイト」ほどの意味合いを認識させるものである。そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者によって、「弁護士に関する情報を提供するウェブサイト」であることを表したものと認識されるにとどまるから、これをその指定役務中、弁護士によって提供される役務である法律や訴訟に関する役務に使用するときは、本願商標は、その役務の提供に係る者である弁護士に関する情報を提供するウェブサイトであることを表すための記述的な表示として認識されるというのが相当である。したがって、本願商標は、自他役務識別力を有するとはいえず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標といえるから、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。また、本願商標を、前記役務中、「弁護士に関する情報を提供するウェブサイト」に係る役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同第4条第1項第16号に該当する。 4 当審における審尋 当審において、令和5年12月15日付け審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示すとともに、請求人が、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものである旨を主張する場合は、例えば、需要者の間における本願商標の認知度や知名度を示す客観的な証拠(商標の使用態様、商品の販売数、役務の提供の回数、使用期間及び使用地域、広告宣伝の方法、期間、地域及び規模、アンケート調査結果など。)の提出を求め、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の意見(要旨) (1)仮に、合議体の暫定的見解のとおり、職業等と「ドットコム」が結合されることが一般的に行われているのであれば、「会計士や司法書士といった職業」と「ドットコム」を結び付けたサイトがかなりの数発見されるところ、審尋に記載されている資料は、行政書士に関するものを除き、職業や仕事につき一種類ずつしか挙げられていない。これは、「司法書士ドットコム」や「会計士ドットコム」というサービスサイトが既に存在していた場合、別の者はその名称をあえて使用していないことの証明となる。言い換えると、「司法書士ドットコム」や「会計士ドットコム」はブランド名称としての機能を果たしているものである。この点について、「公認会計士ナビ」や「司法書士なび」といった「○○ドットコム」とは別の名称を使用して同じようなサービスを提供しているウェブサイトが存在する。加えて、審尋において、他社が「弁護士ドットコム」という名称を使用している例は挙げられておらず、弁護士に関するウェブサイトとして、「あなたの弁護士」、「ココナラ法律相談」、「ベンナビシリーズ」、「相続弁護士相談Cafe」(合議体注:「e」にはアクセント記号が付されている。)なる名称のウェブサイトが存在することからも、「○○ドットコム」は一種のブランドとして世間において機能されているものである。 (2)特許庁において、「内装建築.com」や「レンタル撮影スタジオドットコム」等の、「仕事やサービスの内容がわかる名称等」と「ドットコム」が結合された商標が9例登録されている。これらの登録例は、過誤登録というには数が多すぎる。このような特許庁における直近の審査傾向からも、「○○ドットコム」という名称がブランドとして機能していることがわかる。このような審査傾向がある中で、「弁護士ドットコム」のみが登録を認められないことは不公平である。 なお、審尋において提出を求めた、需要者の間における本願商標の認知度や知名度を示す客観的な証拠について、請求人は何ら意見を述べず、証拠も提出していない。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について 商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成24年(行ケ)第10323号参照)。 (2)商標法第3条第1項第6号該当性について 本願商標は、「弁護士ドットコム」の文字を標準文字で表してなるところ、「弁護士」の文字部分と「ドットコム」の文字部分は、それぞれ漢字と片仮名文字から構成されるものであるから、視覚的に分離して看取されるといえる。 そして、その構成中前半の「弁護士」の文字部分は、弁護士法に定める国家資格であり、「当事者その他の関係人の依頼または官公署の委嘱によって、訴訟に関する行為、その他一般の法律事務を行う者」を、また、同後半の「ドットコム」の文字部分は、「インターネットのドメイン名で、企業を表す「.com」。インターネット関連の企業名にも用いる」(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)を意味する語として一般に広く知られているものである。 そして、インターネットを通じて、商品を販売し、広告を行ったり、各種の情報を提供することは、商取引上、一般に広く行われているところ、さらに、別掲2に示すとおり、資格又は職業の名称と、「.com」又はこれの読み仮名である「ドットコム」若しくは「どっとこむ」の文字を結合してなる「○○.com」、「○○ドットコム」及び「○○どっとこむ」の文字(合議体注:「○○」には資格又は職業の名称が入る。)が、その資格又は職業に関する、各種情報の提供を行うウェブサイトについて、広く用いられている実情があり、これらのウェブサイトで提供される情報には、例えば、転職に関する情報や、有資格者を対象とした研修会に関する情報等の、その資格を有する者又は職業の者を対象とする情報に加え、その資格又は職業に関する情報を、これらの資格を有する者又は職業の者に業務を依頼したい者や、その資格の取得を希望する者向けに提供するものも含まれるといえる。 そうすると、本願商標の各構成文字の意味及び前記の実情に照らせば、本願商標は、これを当審補正商品及び役務に使用しても、これに接する需要者に、「弁護士が運営するウェブサイト」あるいは「弁護士に関するウェブサイト」ほどの意味合いを認識させるにとどまるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力を欠くために商標としての機能を果たし得ないものというべきである。 してみれば、本願商標を、当審補正商品及び役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものといわざるを得ない。 したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、前記5(1)のとおり、別掲2に記載されている「○○ドットコム」等の文字の使用例は、行政書士に関するものを除き、職業や仕事につき一種類ずつしか挙げられておらず、これは、「○○ドットコム」というウェブサイトが既に存在していた場合、別の者はその名称をあえて使用していないことの証明となる旨を述べるとともに、審尋において、他社が「弁護士ドットコム」という名称を使用している例を挙げておらず、「弁護士」の文字を含む他の名称のウェブサイトが複数存在することからも、「○○ドットコム」は一種のブランドとして世間において機能されているものである旨主張する。 しかしながら、前記(1)のとおり、商標法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。そして、一般に、ウェブサイトの名称を採択するにあたっては、集客力や独自性の発揮といった観点や、同様のサービスを提供する他者(社)の使用に係る標章との抵触を避けるといった観点から、採択する名称を選定するものといえる。そうすると、一つの職業又は資格につき、それらの名称と、「.com」又はこれの読み仮名である「ドットコム」若しくは「どっとこむ」の文字を結合してなる文字の使用例が1件又は少数であることをもって、本願商標が自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たすものということはできない。 イ 請求人は、「仕事やサービスの内容がわかる名称等」と「ドットコム」等の文字が結合された商標についての過去の登録例を挙げ、本願もこれらと同様に判断されるべきである旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が、自他商品及び自他役務の識別標識として機能し得るか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(2)のとおり判断するものである。加えて、請求人が挙げた過去の登録例は、本願商標とは構成態様を異にするものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。 ウ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。 7 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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