商標拒絶査定不服審判
2023-010504
カンゼン
- 審判番号
- 2023-010504
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-163130
- 請求日
- 2023年06月23日
- 審決日
- 2024年09月03日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日清食品ホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】林 栄二
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .16 -Z (W0509101629303235394041424344)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-163130拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年12月28日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和5年1月27日:意見書の提出
令和5年3月20日付け:拒絶査定
令和5年6月23日:審判請求書の提出
令和6年5月7日付け:証拠調べ通知書
令和6年6月24日:意見書の提出
2 本願商標
本願商標は、「完全」の文字を標準文字で表してなり、第5類、第9類、第10類、第16類、第29類、第30類、第32類、第35類及び第39類ないし第44類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「完全」の文字を標準文字で表してなるところ、「完全」の文字は、「すべてそなわっていて、足りないところのないこと。欠点のないこと。すべてに及ぶこと。」の意味を表す語であって、一般的に商品や役務の誇称表示として用いられる語であるということができる。そして、様々な商品や役務を提供する業界において、「完全○○」(○○には任意の文字が入る。)のように、「○○」に入る対象について「すべてそなわっていること」や、「足りないことのないこと」を表す文字として、使用されている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に対象となる商品や役務について「すべてそなわっていること」や「足りないことのないこと」であると認識、理解するにとどまり、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標は、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲3に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
5 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)証拠調べ通知書において提示している4件の新聞記事情報は、いずれも商品又は役務の特性や、特徴を「直接的かつ具体的に」表すものではなく、願書に記載された「完全」の文字のみで商品や役務の誇称表示として用いられている実情を示すものということはできない。
(2)証拠調べ通知書において提示している11件のウェブサイトの記事情報は、「完全」の後に、個々の言葉が表す達成度や状況の度合いのレベルの差異があり得る意味合いの言葉「●●」が伴い、さらに、その後ろに商品名や役務名を表す言葉「〇〇」を伴い、全体としては、証拠調べ通知書に記載された「完全〇〇」というより、「完全●●〇〇」という文字構成となっているのであって、「完全●●」の状態をもって初めて特定の意味合いを表している(「●●」の言葉が表す達成度や状況の度合いを「完全●●」の文字で表している)ものであるから、「完全」の文字のみに接した需要者が理解し得る意味合いを示すものとはいえず、「完全」の文字だけで商品や役務の誇称表示として用いられている実情を示すものということもできない。
(3)そうとすると、証拠調べ通知書において提示された新聞記事情報及びウェブサイトの記事情報は、いずれも、商品又は役務の特性や、特徴を「直接的かつ具体的に」表すものではなく、願書に記載された「完全」の文字のみで商品や役務の誇称表示として用いられている実情を示すものということはできない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項1号ないし5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品・役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(平成21年(行ケ)第10270号、平成22年1月27日知財高裁判決)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「完全」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「すべてそなわっていて、足りないところのないこと。欠点のないこと。すべてに及ぶこと。」(出典:「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)を意味し、一般に親しまれた語である。
そして、原審において示された事実(別掲2)及び当審における職権による調査(別掲3)によれば、様々な商品や役務を提供する業界において、「完全」の文字が商品及び役務の特徴を表す語として使用されていることに加え、商品や役務の特徴を表すために「完全○○」のような態様にて「完全」の語が使用されている事実が見受けられる。
そうとすると、「完全」の文字からなる本願商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品や役務について「すべてそなわっていること」や「足りないことのないこと」を理解させ、その指定商品又は指定役務の特性、優位性、特徴を端的に表した宣伝文句として認識するにとどまり、商品若しくは役務の出所を表示する標識又は自他商品若しくは自他役務の識別標識として認識することはないというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、証拠調べ通知書において提示された新聞記事情報及びウェブサイトの記事情報は、いずれも、商品又は役務の特性や、特徴を「直接的かつ具体的に」表すものではなく、願書に記載された「完全」の文字のみで商品や役務の誇称表示として用いられている実情を示すものということはできない旨主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、様々な商品や役務を提供する業界において、「完全」の文字が「すべてそなわっていること」や、「足りないことのないこと」を表す文字として、使用されている実情を考慮すれば、本願商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その指定商品又は指定役務の特性、優位性、特徴を端的に表した宣伝文句として認識、理解するにすぎないものであるから、本願商標は、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
また、商標法第3条第1項第6号に該当する商標であるか否かは、本件審決時において、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、その需要者が、商品及び役務の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識するものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであるから、本願商標が請求人を除く他の事業者によって、現在使用されていないとしても、そのことのみをもって本願商標の同項同号該当性の判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、本願商標の登録適格性を主張するために、他の登録例を挙げているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、その指定役務との関係において、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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