特許拒絶査定不服審判
2023-008880
鼻用装置
- 審判番号
- 2023-008880
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-513398
- 請求日
- 2023年05月31日
- 審決日
- 2024年05月28日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ノーズオプション アー・ベー
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】森田 拓
- 【請求人代理人】前川 純一
- 【請求人代理人】永島 秀郎
- 【請求人代理人】上島 類
- 審判長/審判官
- 審判長 山本 信平
- 審判官 青木 良憲
- 審判官 北村 亮
- 分類
- P18 .121-WZ (A62B) / P18 .537-WZ (A62B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2020-513398「鼻用装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日国際公開、WO2018/206388、令和2年7月2日国内公表、特表2020-519421〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)5月3日(パリ優先権主張外国庁受理 2017年5月12日 スウェーデン国)を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 4年 4月28日:拒絶理由通知
令和 4年10月 7日:意見書
令和 4年10月 7日:手続補正書
令和 5年 1月24日:拒絶査定
令和 5年 5月31日:審判請求
令和 5年12月28日:拒絶理由通知
令和 6年 4月 3日:意見書
令和 6年 4月 3日:手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
鼻用装置(1,31,41,51,61,71,81)であって、
細長い支持部材(2,32,42,52,62,72,82)と、
2つの丸みのあるホルダ部材(3,33,43,53,63,73,83)であって、各ホルダ部材は、前記細長い支持部材(2,32,42,52,62,72,82)のそれぞれの端部に配置されており、前記ホルダ部材(3,33,43,53,63,73,83)は、遠位端部が鼻孔に向けられ、近位端部が鼻孔開口に隣接する状態で前記鼻孔内へ挿入されるように適応されている、ホルダ部材と、
を備える鼻用装置において、
前記ホルダ部材(3,33,43,53,63,73,83)は、ワンピースで形成されておりかつ可撓性材料から形成されており、
前記ホルダ部材(3,33,43,53,63,73,83)は、それぞれ、
丸みのある遠位部分(5)と、
開放した近位部分(7)であって、該近位部分(7)の外周に沿って周方向に配置されかつ前記ホルダ部材(3,33,43,53,63,73,83)から半径方向外方へ延びる外側リム(8,38,48,58,68,78,88)を有する、開放した近位部分(7)と、
前記遠位部分(5)と前記近位部分(7)との間に配置された中間ウェスト部分(9)であって、該中間ウェスト部分(9)は、遠位-近位方向に対して本質的に横方向の平面内に少なくとも1つの外周を有しており、該外周は、少なくとも前記遠位部分(5)のそれぞれの最大外周よりも小さい、中間ウェスト部分(9)と、を有し、
前記近位部分(7)の前記外周の周囲に周方向に配置された前記外側リム(8,38,48,58,68,78,88)は、前記鼻用装置が鼻孔内に配置されたときに前記鼻孔開口と該鼻孔開口の全周にわたって本質的に気密形式で係合しかつ前記鼻孔から外方へ突出するように適応されており、
前記外側リム(8,38,48,58,68,78,88)、前記近位部分(7)、前記中間ウェスト部分(9)および前記遠位部分(5)は、前記鼻用装置を前記鼻孔開口内に固定するために前記鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成し、これにより、前記鼻用装置は前記鼻孔の内面と最小限の接触を有し、
前記鼻用装置は、フィルタ部材(20,21,26)をさらに備えており、該フィルタ部材(20,21,26)は、少なくとも空気が遠位方向に流れるとき、前記鼻用装置を通過する本質的に全ての空気が前記フィルタ部材(20,21,26)を通るように方向付けられるように、前記遠位部分(5)または前記中間ウェスト部分(9)の内側に配置されており、
前記フィルタ部材(20,21,26)は、前記ホルダ部材に一体に取り付けられている、
ことを特徴とする、鼻用装置(1,31,41,51,61,71,81)。」
第3 拒絶の理由
令和5年12月28日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、次のとおりのものである。
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに周知技術1及び2に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:米国特許出願公開第2003/0209145号明細書
引用文献2:実願昭58-80238号(実開昭59-184841号)のマイクロフィ
ルム
引用文献3:米国特許第4327719号公報
引用文献4:特開2014-158968号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
ア「[0031] A filtration device according to a first embodiment of the present invention is shown in FIGS. 1 and 2. The device, generally indicated by the reference numeral 2, comprises a nasal insert, generally indicated as 4. The insert 4 comprises a housing 6 having an outer surface 8. The housing 8 has an opening at each end. The inner surface 7 of the housing 6 defines a passageway 10 through the housing, along which air or other gases may be caused to pass.
[0032] The housing 6 is shaped for insertion into a nostril of the user and is preferably shaped to allow it to seat comfortably within the nostril. Once the insert 4 is installed in this manner, the outer surface 8 of the housing 6 contacts the lining of the nasal cavity of the user and forms a seal between the outer surface and the lining. In this way, substantially all of the air being inhaled by the user through the nose is caused to pass through the passageway 10 within the housing 6. Preferably, the housing 6 is constructed with a wall thickness and of a material such that it is sufficiently soft and compliant to allow it to adapt to the shape of the nasal cavity of the user. In this way, the housing 6 is better able to form a seal between its outer surface 8 and the lining of the nasal cavity of the user and prevent air or other gases from passing through the nasal cavity and around the insert 4.
[0033] The housing 6 may be any suitable shape that is comfortable for the user to retain within the nose for an extended period of time and forms the required seal between the outer surface 10 of the housing 6 and the nasal lining. ・・・The housing 6 may alternatively be of a more complex shape to more completely match the nasal cavity ensuring greater comfort and may be made of a material which conforms to the inner surface of the nasal cavity once inserted therein.」
(当審訳:[0031] 本発明の第1の実施の形態に係る濾過装置が図1及び2で示される。一般に参照番号2により示される濾過装置は、一般に参照番号4により示される経鼻的なインサートを備える。インサート4は、外面8を有するハウジング6を含む。ハウジング8(当審注:「6」の誤記)は、各端部に開口部を有している。ハウジング6の内面7は、ハウジングを貫通する通路10を定義し、それに沿って空気又は他のガスが通過することができる。
[0032] ハウジング6は、使用者の鼻孔に挿入するよう成形され、鼻孔内に快適に着座するのを許容する形状であることが好ましい。インサート4がこのように取り付けられると、ハウジング6の外面8は、使用者の鼻腔の内壁に接触し、かつ外面と内壁との間のシールを形成する。このようにして、鼻を介して使用者によって吸入される空気の実質的に全てが、ハウジング6内の通路10を通過するようにしている。好ましくは、ハウジング6は、それが使用者の鼻腔の形状に適合するように、十分に軟質かつ柔軟な材料且つ壁厚さで構成されている。このようにして、ハウジング6は、その外面8と使用者の鼻腔の内壁との間のシールを形成し、空気または他のガスが鼻腔且つインサート4の周囲を通過するのを防止することができる。
[0033] ハウジング6は、使用者が、長い期間にわたって鼻内で保持するのに快適であり、且つハウジング6の外面10(当審注:「8」の誤記)と鼻内壁の間に必要なシールを形成する任意の適切な形状であってもよい。・・・ハウジング6は、代替的に、より大きな快適さを確保し鼻腔により完全に合うように、より複雑な形状であってもよく、一度挿入されたら鼻腔の内面に適合する材料で作られてもよい。)
イ「[0034] The housing 6 is preferably formed with a rounded shoulder 11 at its end intended to be inserted into the nasal cavity of the user. This has been found to provide increased comfort for the user.」
([0034] ハウジング6は、使用者の鼻腔内に挿入することを意図して、その端部に丸みのつけられたショルダ11を備えるように形成されることが好ましい。これは、使用者にとっての快適性の増大をもたらすことが見出された。)
ウ「[0036] The insert 4 further comprises a filter element 12 extending across the passageway 10 within the housing 6 . The filter element 12 is arranged within the housing 6 , such that all the air or other gas being inhaled by the user is caused to pass through the filter element 12 .・・・Further, it allows the filter element to be secured at its periphery to the housing 6. In this respect, the filter element is secured within the housing by a form of mechanical or chemical bond, or a combination of the two, in order to create the requisite seal.」
([0036] インサート4は、さらに、ハウジング6内の通路10を横切って延在するフィルタエレメント12を備えている。フィルタエレメント12は、ハウジング6内に配置され、使用者によって吸入される全ての空気または他のガスが、フィルタエレメント12を通過するようになる。・・・さらに、フィルタエレメントはその周囲でハウジング6に固定されている。この点に関して、フィルタエレメントは、必要なシールを形成するために、ハウジング内に機械的または化学的結合、あるいはこれら2の組合せによって固定されている。)
エ「[0043] The filter element 12 is firmly secured at its periphery to the interior surface 7 of the housing 6 of the insert 4. This may be achieved by welding, glueing, encapsulation, mechanical fitting or any other suitable means.・・・」
([0043] フィルタエレメント12は、その周囲でインサート4のハウジング6の内面7に固定される。これは、溶接、接着、封止、機械的な嵌合または任意の他の適切な手段によって達成することができる。・・・)
オ「[0044] In the embodiment shown in FIGS. 1 and 2, the filtration device 2 comprises a flange 18 extending around the exterior of the housing 6 at the opposite end of the housing 6 to the filter element 12. The flange 18 serves to enlarge the overall diameter of the insert 4. In use, the insert 4 is placed within the nasal cavity of a user so that the flange 18 abuts the nostril and septum of the nose. In this way, the flange 18 acts as an obstacle preventing the filtration device 2 from completely entering the nasal cavity and becoming stuck or trapped.・・・」
([0044] 図1及び2に示す実施形態において、濾過装置2は、ハウジング6のフィルタエレメント12と反対側の端部でハウジング6の外部の周りに延びたフランジ18を有する。フランジ18は、インサート4の外径を広げるように作用する。使用において、インサート4は、フランジ18が鼻の孔および中隔に当接するように使用者の鼻腔内に配置される。このようにして、フランジ18は、濾過装置2が完全に鼻腔に侵入して付着もしくは捕集されることを防止する障害物として作用する。)
カ「[0045] A most convenient and preferred embodiment of the present invention is shown in FIG. 4. In the embodiment of FIG. 4, two inserts 4 are joined by a narrow securing strip 22. The securing strip 22 both prevents the complete inhalation of the inserts 4 and aids extraction. The securing strip 22 can be made extendable or adjustable to allow for different spacings between nostrils, allowing the device to be fitted to a variety of users.
[0046] Both inserts 4 of the device of FIG. 4 can be formed in one piece, together with the securing strip and supporting members if present, preferably by injection moulding techniques. They may however be manufactured separately by injection moulding or by extrusion depending on the particular desired shape of the final product.」
([0045] 本発明の最も簡便で好ましい実施形態が図4で示される。図4の実施形態では、2つのインサート4が細い固定ストリップ22により結合されている。固定ストリップ22は、インサート4の完全な入り込みを防止するとともに取り外しを助ける。固定ストリップ22は、鼻孔の間の異なる間隔を許容するために伸長可能又は調整可能に作られ、装置が多様な使用者に適合されることを許容する。
[0046] 図4の前記装置の両インサート4は、固定ストリップやもしあれば支持部材と一緒に、好ましくは射出成形法を用いてワンピースで形成される。しかしながら、それらは、最終製品の特定の所望の形状に応じて、射出成形又は押出し加工により別々に製造されてもよい。)
キ「
[図:0001415966000001.jpg]
」
ク「
[図:0001415966000002.jpg]
」
ケ「
[図:0001415966000003.jpg]
」
(2)引用文献1の認定事項
ア 上記(1)イの記載事項及び上記(1)クの図示内容から、「インサート4(ハウジング6)」は、その上端(遠位部分)で丸みを有していると認められる。
イ 上記(1)アの記載事項から、「インサート4(ハウジング6)」は、その上端である遠位端部が鼻孔に向けられ、その下端である近位端部が鼻孔開口に隣接する状態で前記鼻孔内へ挿入されるように適応されていると認められる。
ウ 上記(1)オの記載事項から、「フランジ18」は、「ハウジング6」の下部である近位部分の外周の周囲に周方向に配置され、「濾過装置2」が鼻孔内に配置されたときに鼻孔開口と該鼻孔開口の全周にわたって本質的に気密形式で係合しかつ前記鼻孔から外方へ突出するように適応されているといえる。
エ 上記(1)ウの記載事項及び上記(1)クの図示内容から、「フィルタエレメント12」は、少なくとも空気が遠位方向に流れるとき、「濾過装置2」を通過する本質的に全ての空気が前記「フィルタエレメント12」を通るように方向付けられるように、上部である遠位部分の内側に配置されていると認められる。
オ 上記(1)ウ及びエの記載事項から、「フィルタエレメント12」は、「インサート4(ハウジング6)」に一体に取り付けられていると認められる。
(3)引用発明
上記(1)の記載事項及び(2)の認定事項より、引用文献1([0031]-[0046]、図1、2、4)には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「濾過装置2であって、
細長い固定ストリップ22と、
2つの丸みのあるインサート4(またはハウジング6)であって、各インサート4は、前記細長い固定ストリップ22のそれぞれの端部に配置されており、前記インサート4は、遠位端部が鼻孔に向けられ、近位端部が鼻孔開口に隣接する状態で前記鼻孔内へ挿入されるように適応されている、インサート4と、
を備える濾過装置2において、
前記インサート4は、ワンピースで形成されておりかつ十分に軟質かつ柔軟な材料から形成されており、
前記インサート4(またはハウジング6)は、それぞれ、
丸みのある遠位部分と、
開放した近位部分であって、該近位部分の外周に沿って周方向に配置されかつ前記インサート4(またはハウジング6)から半径方向外方へ延びるフランジ18を有する、開放した近位部分と、を有し、
前記近位部分の前記外周の周囲に周方向に配置された前記フランジ18は、前記濾過装置2が鼻孔内に配置されたときに前記鼻孔開口と該鼻孔開口の全周にわたって本質的に気密形式で係合しかつ前記鼻孔から外方へ突出するように適応されており、
前記濾過装置2は、フィルタエレメント12をさらに備えており、該フィルタエレメント12は、少なくとも空気が遠位方向に流れるとき、前記濾過装置2を通過する本質的に全ての空気が前記フィルタエレメント12を通るように方向付けられるように、前記遠位部分の内側に配置されており、
前記フィルタエレメント12は、前記インサート4(またはハウジング6)に一体に取り付けられている、
濾過装置2。」
2 引用文献2
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(1)「第1図は本考案に係る酸素富化具の使用状態を示したものであるが、第2図および第3図において1は合成樹脂で中空体に形成した本体で、先端部材2と後部材3とからなり、先端部材2は鼻腔の入口(外鼻孔)近傍に緊密に装着できる直径の略球状体に形成し、当該部2は鼻腔の内部に対向する吸入口4を有している。後部材3は先端部材2と一連に形成して、上記吸入口4と反対の側には、外気に通ずる通気口5を設ける。」(第2ページ第13行-第3ページ第1行。)
(2)「たとえば血中酸素が低い患者の鼻腔内部に本体1の略球状の先端部材2を装着する。先端部材2は略球状であるため鼻腔の入口(外鼻孔)部分に収まり容易に外れない。」(第4ページ第1-4行。)
(3)「
[図:0001415966000004.jpg]
」
(4)「
[図:0001415966000005.jpg]
」
3 引用文献3
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
(1)「Referring now to the drawings a nose filter constructed in accordance with various features of the invention is illustrated generally at 10 in FIG. 1. The illustrated nose filter is constructed such that it can be inexpensively produced in plastic molds, or the like, and provides a substantially universal fit feature such that the filter can be received in noses of various sizes.」(第2欄第39-45行。)
(ここで図面を参照すると、本発明の種々の特徴に従って構成されたノーズフィルターは、図1に10で一般的に示される。図示のノーズフィルターは、プラスチック成型品などで安価に生成することができ、フィルターが種々のサイズの鼻に受け入れられるように、実質的にユニバーサルフィットの特徴を提供するように構成されている。)
(2)「Each of the nostril units includes a filter plug member 30 having a generally cylindrical outline. Each of the plug members defines a passageway 32 therethrough and a first end portion 34.」(第3欄第21-24行。)
(鼻孔部の各々は、略円筒状の輪郭を有するフィルタプラグ部材30を備えている。個々のプラグ部材は、貫通路32と第1の端部34を画定する。)
(3)「As illustrated in FIG. 7, the plug member 30 defines a body portion 36 having an external wall which is contoured for receiving a portion of the wearer's nose. This contoured body portion assists in forming a seal with the brim 32 of the nose and the septum 38 of the user. The body portion 36 terminates in an end portion 40 which is flared to assist in holding the plug member within the nostril passage 42 of the user and also assists in forming a seal between the internal wall of the nostril and the flared portion of the plug member.」(第3欄第45-54行。)
(図7に示すように、プラグ部材30は、着用者の鼻の部分を受け入れるような輪郭にされた外部壁を有する本体部分36を規定する。このような輪郭の本体部分は、使用者の鼻のへり32や鼻柱38とシールを形成するのに役立つ。本体部分36は、使用者の鼻孔通路42内にプラグ部材を保持するのを助けるために拡径された端部部分40で終わっており、鼻孔の内壁とプラグ部材のフレア状の部分との間にシールを形成するのを助ける。)
(4)「
[図:0001415966000006.jpg]
」
(5)「
[図:0001415966000007.jpg]
」
4 引用文献4
引用文献4には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0040】
[0071]図4は、単体の支持構造52内に含まれる一対の楕円体のかつ波形のフィルタ48および50を含む代替的な濾過装置46を示す。支持構造は、基部54および56と、所望の間隔および角度関係を維持するように基部に結合された架橋部58とを有するという点で、枠体18に相当する。・・・」
(2)「【0042】
[0073]図7および図8から分かるように、フィルタ48は、フレーム部材64および66ならびに肩部54bが周囲の鼻壁と接触することにより、その関連する鼻腔内において摩擦によって保持される。図3に示す構成とは異なるこの構成では、周縁領域54aは、外鼻孔に接して配置され、したがって、鼻腔の外側に残る。フレーム部材は協働して、それらの関連するフィルタを周囲の鼻壁と間隔を空けて保持し、フレーム部材64および66によって形成された通路74によって示すように、フィルタと壁面の間に複数の空気流路を形成する。フィルタ50および基部56も、同様に支持される。通路により、吸い込まれた空気が、フィルタ48および50の各々を通り鼻壁に向かい、次いで鼻壁に沿って、最終的にフィルタを通過して流れるのが容易になる。」
(3)「
[図:0001415966000008.jpg]
」
(4)「
[図:0001415966000009.jpg]
」
(5)「
[図:0001415966000010.jpg]
」
(6)「
[図:0001415966000011.jpg]
」
(7)「
[図:0001415966000012.jpg]
」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「濾過装置2」は本願発明の「鼻用装置」に相当し、以下同様に、「固定ストリップ22」は「支持部材」に、「インサート4」または「ハウジング6」は「ホルダ部材」に、「十分に軟質かつ柔軟な材料」は「可撓性材料」に、「フランジ18」は「外側リム」に、「フィルタエレメント12」は「フィルタ部材」に、それぞれ相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点1、2で相違する。
(一致点)
「鼻用装置であって、
細長い支持部材と、
2つの丸みのあるホルダ部材であって、各ホルダ部材は、前記細長い支持部材のそれぞれの端部に配置されており、前記ホルダ部材は、遠位端部が鼻孔に向けられ、近位端部が鼻孔開口に隣接する状態で前記鼻孔内へ挿入されるように適応されている、ホルダ部材と、
を備える鼻用装置において、
前記ホルダ部材は、ワンピースで形成されておりかつ可撓性材料から形成されており、
前記ホルダ部材は、それぞれ、
丸みのある遠位部分と、
開放した近位部分であって、該近位部分の外周に沿って周方向に配置されかつ前記ホルダ部材から半径方向外方へ延びる外側リムを有する、開放した近位部分と、を有し、
前記近位部分の前記外周の周囲に周方向に配置された前記外側リムは、前記鼻用装置が鼻孔内に配置されたときに前記鼻孔開口と該鼻孔開口の全周にわたって本質的に気密形式で係合しかつ前記鼻孔から外方へ突出するように適応されており、
前記鼻用装置は、フィルタ部材をさらに備えており、該フィルタ部材は、少なくとも空気が遠位方向に流れるとき、前記鼻用装置を通過する本質的に全ての空気が前記フィルタ部材を通るように方向付けられるように、前記遠位部分の内側に配置されており、
前記フィルタ部材は、前記ホルダ部材に一体に取り付けられている、
鼻用装置。」
(相違点1)
「ホルダ部材」について、本願発明は、「前記遠位部分と前記近位部分との間に配置された中間ウェスト部分であって、該中間ウェスト部分は、遠位-近位方向に対して本質的に横方向の平面内に少なくとも1つの外周を有しており、該外周は、少なくとも前記遠位部分のそれぞれの最大外周よりも小さい、中間ウェスト部分と、を有し」ているのに対し、引用発明は、「ハウジング6」が「中間ウェスト部分」を有しているか不明な点。
(相違点2)
「ホルダ部材」の形状について、本願発明は、「前記外側リム、前記近位部分、前記中間ウェスト部分および前記遠位部分は、前記鼻用装置を前記鼻孔開口内に固定するために前記鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成し、これにより、前記鼻用装置は前記鼻孔の内面と最小限の接触を有し」ているのに対し、引用発明は、「ハウジング6」が当該構成を備えているか不明な点。
第6 判断
1 相違点1及び2について
上記相違点1及び2について、判断する。
上記第4 1(1)アで挙げたように、引用文献1の[0033]には「ハウジング6は、使用者が、長い期間にわたって鼻内で保持するのに快適であり、且つハウジング6の外面10(当審注:「8」の誤記)と鼻内壁の間に必要なシールを形成する任意の適切な形状であってもよい。・・・ハウジング6は、代替的に、より大きな快適さを確保し鼻腔により完全に合うように、より複雑な形状であってもよく・・・」と記載されており、使用者が長期間にわたって装着していても快適であるために、「ハウジング6」が如何なる複雑な形状も採り得ることが開示されている。
ここで、上記第4 2の記載より、引用文献2の「本体1」における「先端部材2」と「後部材3」の間であって、遠位の部分である「後部材3」の最大外周より小さい部分(第3図を参照。)は本願発明の「中間ウェスト部分」に相当し、上記第4 3の記載より、引用文献3の「プラグ部材30」における「第1の端部34」と「端部部分40」の間であって、遠位の部分である「端部部分40」の最大外周より小さい部分(図7を参照。)も本願発明の「中間ウェスト部分」に相当するといえることから、「鼻用装置」の「ホルダ部材」において、遠位部分と近位部分との間に、遠位部分の最大外周よりも小さい外周を有する中間ウェスト部分を有する構成は、本願出願前から周知(以下、「周知技術1」という。)であるといえる。
また、引用発明の「ハウジング6」は、少なくとも「外側リム」、「近位部分」、および「遠位部分」に相当する部分を有しており、上記第4 1(1)アの「ハウジング6は、使用者の鼻孔に挿入するよう成形され、鼻孔内に快適に着座するのを許容する形状であることが好ましい。」の記載より、それらは、鼻用装置を鼻孔開口内に固定するために前記鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成しているといえる。また、仮に、そうはいえないとしても、「鼻用装置」の「ホルダ部材」において、鼻用装置を鼻孔開口内に固定するために前記鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成することは、引用文献4(図4~8の「周縁領域54a」、「肩部54b」及び「フレーム部材64および66」を参照。)に開示されているように本願出願前から周知(以下、「周知技術2」という。)であるといえる。
そして、上記周知技術1及び2の構成により、鼻用装置は鼻孔の内面と最小限の接触を有するという構成も併せて備えることとなる。
そうすると、引用発明において、より快適な装着を実現するために、周知技術1及び2を採用して、相違点1及び2に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
よって、本願発明は、引用発明並びに上記周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 請求人の主張について
(1)請求人の主張
請求人は、令和6年4月3日付け意見書において以下のとおり主張する。
ア 「引用文献1-4には、本願発明1の「前記外側リム(8,38,48,58,68,78,88)、前記近位部分(7)、前記中間ウェスト部分(9)および前記遠位部分(5)は、前記鼻用装置を前記鼻孔開口内に固定するために前記鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成し、これにより、前記鼻用装置は前記鼻孔の内面と最小限の接触を有し、」という発明特定事項(以下「発明特定事項1」)について記載されておりません。このため引用発明1-4を組み合わせても、発明特定事項1を実現することはできません。」
イ 「拒絶理由では、「引用文献1の[0033]には「ハウジング6は、使用者が、長い期間にわたって鼻内で保持するのに快適であり、且つハウジング6の外面10と鼻内壁の間に必要なシールを形成する任意の適切な形状であってもよい。・・・ハウジング6は、代替的に、より大きな快適さを確保し鼻腔により完全に合うように、より複雑な形状であってもよく・・・」と記載され」ていると認定されています。しかしながら、発明特定事項1では、「鼻腔により完全に合う」とは規定されておらず、「鼻孔開口の形状に従うように」と記載されています。このため、引用文献1には発明特定事項1が記載されていません。他の引用文献にも、発明特定事項1は記載されていません。」
ウ 「本願発明1によれば、発明特定事項1により、段落[0015]に記載されるように、「鼻用装置は、小さく、便利であり、分離しているが、同時に、確実な取付けおよび鼻孔内の最小限の刺激と共に、鼻孔開口に対して有効なシーリングを提供する」という、引用発明1-4が奏することのできない格別な効果を得ることができます。この効果は、出願時の技術水準から当業者が予測することができたものではありません。」
(2)請求人が主張する「発明特定事項1」の構成について
ア 請求人が主張する「発明特定事項1」の具体的な構成に関し、本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【0028】
・・・中間部分9の狭まった輪郭の1つの利点は、図5に示したように、鼻孔開口内に配置されたとき、ホルダ部材3,33,43,53が、狭まった中間セクション9のために適所に有効に保持されるということである。なぜならば、より広い遠位部分5が鼻孔開口の内側に配置され、より広い近位部分7のリム8が鼻孔から突出するからである。・・・」
「【0029】
前述のように、鼻用装置は、鼻孔開口内の配置のために適応されている。ホルダ部材の形状は、鼻用装置が鼻孔内へさらに入り込むことを防止する。したがって、鼻用装置は、鼻孔の内面との最小限の接触を有しており、よって、鼻通路を刺激したり不快感を生じたりするリスクを最小限に減らす。・・・したがって、ベル形輪郭と突出した外側リムとの組合せは、鼻孔内の刺激のリスクを最小限にして、鼻孔開口における快適かつ確実な密着性を提供する。」
「【0035】
鼻用装置、特にホルダ部材3,33,43,53の全体形状は、使用者の鼻孔内で使用および適用することが容易であり、かつ鼻孔開口に確実に固定される鼻用装置を提供する。・・・同時に、狭まったウェストセクションを備えるホルダ部材のベル形状により、鼻用装置は、使用中に鼻孔開口内で適所に有効にとどまる。」
イ 上記アの記載より、本願発明の「発明特定事項1」における「前記鼻用装置を前記鼻孔開口内に固定するために前記鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成し」の発明特定事項(以下「発明特定事項1A」)は、より広い遠位部分5が鼻孔開口の内側に配置され、より広い近位部分7のリム8が鼻孔から突出して、狭まった中間ウェスト部分9が鼻孔開口内に有効に保持されるように、それらが鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成する構成であると認められる。また、「発明特定事項1」における「これにより、前記鼻用装置は前記鼻孔の内面と最小限の接触を有し」の発明特定事項(以下「発明特定事項1B」)は、ベル形輪郭と突出した外側リムとの組合せにより、鼻孔の内面と最小限の接触を有するようにする構成であると認められる。
(3)請求人の主張「ア」について
上記第4 1(1)オの記載事項や上記第5の対比より、引用発明における「フランジ18」が本願発明の「外側リム」に構造上も機能上も相当することは明らかである。また、上記「1 相違点1及び2について」でも一部述べたように、引用文献2に記載された「本体1」における「後部材3」と「先端部材2」とその間の部分、及び、引用文献3に記載された「プラグ部材30」における「第1の端部34」と「端部部分40」とその間の部分は、本願発明の「近位部分」と「遠位部分」と「中間ウェスト部分」に相当し、それらはベル形輪郭を有するものである。さらに、引用文献4に記載された「濾過装置46」における「基部54および56」から「フレーム部材64および66」の部分は、本願発明の「外側リム」、「近位部分」、「遠位部分」及び「中間ウェスト部分」に相当し、それらはベル形輪郭を有しているといえる。
そして、引用発明に引用文献2-4に記載された周知技術1及び2のようなベル形輪郭の形状を適用したものは、鼻孔開口の形状に従うように適応された共通の連続した滑らかな表面を形成する構成であるといえる。つまり、引用発明に引用文献2-4に記載された周知技術1及び2のようなベル形輪郭の形状を適用したものは、発明特定事項1Aの構成を備えている。
また、引用発明に引用文献2-4に記載された周知技術1及び2のようなベル形輪郭の形状を適用したものは、ベル形輪郭と突出した外側リムとの組合せを成すものであるから、発明特定事項1Bの「これにより、前記鼻用装置は前記鼻孔の内面と最小限の接触を有し」の構成を具備するといえる。
そうすると、引用発明及び引用文献2-4に記載された周知技術1及び2を組み合わせると、発明特定事項1を実現することができるといえる。
よって、上記請求人の主張「ア」は失当である。
(4)請求人の主張「イ」について
上記第4 1(1)で記載したように、引用文献1の[0032]には「ハウジング6は、使用者の鼻孔に挿入するよう成形され、鼻孔内に快適に着座するのを許容する形状であることが好ましい。」と記載され、[0044]には「フランジ18は、インサート4の外径を広げるように作用する。使用において、インサート4は、フランジ18が鼻の孔および中隔に当接するように使用者の鼻腔内に配置される。」と記載されている。そして、引用文献1では「鼻孔」と「鼻腔」が使い分けられており、引用文献1の「鼻孔」は本願発明の「鼻孔開口」に相当すると認められる。よって、引用文献1には、「鼻孔開口の形状に従うように適応された」という発明特定事項1の一部が記載されているといえる。
そうすると、引用文献1には、「鼻孔開口の形状に従うように適応された」という発明特定事項1の一部が記載されているといえることから、上記請求人の主張「イ」は失当である。
(5)請求人の主張「ウ」について
上記(3)で述べたとおり、引用発明及び引用文献2-4に記載された周知技術1及び2を組み合わせると、発明特定事項1を実現することができるといえ、その際、当該鼻用装置は、小さく、便利であり、分離しているが、同時に、確実な取付けおよび鼻孔内の最小限の刺激と共に、鼻孔開口に対して有効なシーリングを提供するといった効果を奏することは、出願時の技術水準から当業者が予測し得たものと認められる。
よって、本願発明の効果に関する上記請求人の主張「ウ」は失当である。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-008880