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商標拒絶査定不服審判

2023-008683

スシジュー、スシシゲ

審判番号
2023-008683
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-086304
請求日
2023年05月29日
審決日
2024年04月25日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社StyLe
  • 【請求人代理人】井垣 弘
審判長/審判官
  • 審判長 冨澤 武志
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 中島 光
分類
T18 .13 -Z (W43)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

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商願2022-86304拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年7月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年11月2日付け:拒絶理由通知書 令和4年12月15日:意見書、手続補正書の提出 令和5年2月28日付け:拒絶査定 令和5年5月29日:審判請求書の提出 令和6年1月26日付け:審尋 令和6年3月5日:意見書の提出 2 本願商標 本願商標は、「鮨重」の文字を標準文字で表してなり、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正書により、第43類「飲食物の提供」と補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 本願商標は、「鮨重」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「重」の文字部分は、「「重箱」の略。」を意味する語であり、食品業界において、「うな重」、「天重」、「カツ重」等として広く使用されていることから、本願商標全体よりは「重箱入りの鮨」程の意味合いを理解させるものといえる。そうとすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その役務の提供の用に供するものが、「重箱入りの鮨弁当」であると容易に理解、認識させるにとどまり、単に役務の提供の用に供するものを表してなるにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 4 当審における審尋 当審において、令和6年1月26日付け審尋(以下「審尋」という。)により、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の意見(要旨) (1)本願指定役務において本願商標の文字が使用された場合に、需要者が重箱入りの鮨を認識するまでには、鮨重の文字は一般需要者に浸透してはおらず、むしろ、「重」の文字は、オーナーシェフである親方の名前等を認識するものである。審尋には、鮨が重箱ないし重箱様の容器に収められた商品が掲げられているが、これらは専ら商品名を示す機能を果たすものであり、飲食物の提供という役務において、識別力を発揮させようとする使用はなされておらず、本願商標に接する需要者は、これを鮨屋の付け台に載せられる商品名としてではなく、自他識別機能を発揮する商標と受け取ることは明らかである。 (2)商標法第3条第1項第3号には、質の文言はあっても「内容」という文言はない。そして、質と内容という異質の概念を、同義であると解釈したり、質の概念の一部に内容が含まれるかのような解釈をすることはできない。 (3)拒絶理由通知に記載された、「役務の提供の用に供する」とは、役務の提供のために用いるという意味であり、提供されるという意味ではない。そして、「重箱入りの鮨弁当」は、当該役務において提供される目的物ないし対象物そのものであり、提供の用に供するものではない。にもかかわらず、「役務の提供の用に供するもの」に提供される目的物ないし対象物を含めることは、文言の本来の意義から大きく乖離する解釈であり、文言解釈として成立し得ない。また、拒絶理由通知における、「その指定役務に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その役務の提供の用に供するものが、「重箱入り鮨弁当」であると容易に理解、認識させるにとどまり、単に役務の質を表してなるに過ぎないものと認めます」の記載は、記述的とされる2つの要素を取り上げ、1つの要素に該当するから、もう一つの要素に該当するという論理であるが、2つの要素は並列的に列記されているものであるから、このような文言解釈ないし条文操作は採り得ないものである。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号について ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。 また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品の品質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。 イ 本願商標は、「鮨重」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1によれば、その構成中、「鮨」の文字は、「酢と調味料とを適宜にまぜ合わせた飯に、魚介類・野菜などを取り合わせたもの」を意味する語として、構成中「重」の文字は、「重箱」の略称として、いずれも広く一般に親しまれているものである。 また、別掲2によれば、飲食物及び飲食物の提供の分野において、様々な食品を重箱又は重箱風の入れものに詰めた料理が販売又は提供されており、その料理を表す語として、「○○重」(合議体注:「○○」には、食材の名称やその略称が入る)の文字が使用されている実情がある。 加えて、別掲3によれば、すしを重箱又は重箱風の入れものに詰めた料理が販売又は提供されており、この料理に「鮨重」、「すし重」及び「寿司重」の文字が使用されている実情がある。 そうすると、「鮨重」の文字からなる本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する需要者に、当該役務において提供される飲食物が、すしを重箱又は重箱風の入れものに詰めた料理であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識させるにすぎないものというのが相当である。 加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。 したがって、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「本願指定役務において本願商標の文字が使用された場合に、需要者が重箱入りの鮨を認識するまでには、鮨重の文字は一般需要者に浸透してはおらず、むしろ、「重」の文字は、オーナーシェフである親方の名前等を認識するものである。審尋には、鮨が重箱ないし重箱様の容器に収められた商品が掲げられているが、これらは専ら商品名を示す機能を果たすものであり、飲食物の提供という役務において、識別力を発揮させようとする使用はなされておらず、本願商標に接する需要者は、これを鮨屋の付け台に載せられる商品名としてではなく、自他識別機能を発揮する商標と受け取ることは明らかである」旨主張する。 しかしながら、上記(1)イのとおり、本願商標の各構成文字の意味と、「鮨重」、「すし重」及び「寿司重」を含めた「○○重」の文字が、食品を重箱又は重箱風の入れものに詰めた料理として販売又は提供されている事実があることに照らせば、本願商標に接する需要者は、これを、すしを重箱又は重箱風の入れものに詰めた料理であると容易に認識するものであるというのが相当である。 イ 請求人は、「商標法第3条第1項第3号には、質の文言はあっても「内容」という文言はない。そして、質と内容という異質の概念を、同義であると解釈したり、質の概念の一部に内容が含まれるかのような解釈をすることはできない」旨主張する。 しかしながら、広辞苑第七版(株式会社岩波書店)の「質」の項には、「内容。中味。価値。」との記載があり、「質」は「内容」の意味を有すると認められるから、商標法第3条第1項第3号の「役務の質」を「役務の内容」と解することが相当性を欠くとはいえないというのが相当である(令和5年(行ケ)第10051号、知財高令和5年10月25日判決参照)。 ウ 請求人は、「拒絶理由通知に記載された、「役務の提供の用に供する」とは、役務の提供のために用いるという意味であり、提供されるという意味ではない。そして、「重箱入りの鮨弁当」は、当該役務において提供される目的物ないし対象物そのものであり、提供の用に供するものではない。にもかかわらず、「役務の提供の用に供するもの」に提供される目的物ないし対象物を含めることは、文言の本来の意義から大きく乖離する解釈であり、文言解釈として成立し得ない」旨主張する。また、請求人は、「拒絶理由通知における、「その指定役務に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その役務の提供の用に供するものが、「重箱入り鮨弁当」であると容易に理解、認識させるにとどまり、単に役務の質を表してなるに過ぎないものと認めます」の記載は、記述的とされる2つの要素を取り上げ、1つの要素に該当するから、もう一つの要素に該当するという論理であるが、2つの要素は並列的に列記されているものであるから、このような文言解釈ないし条文操作は採り得ないものである」旨主張する。 しかしながら、合議体が、審尋において暫定的見解として示した、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する理由は、上記(1)イのとおり、「「鮨重」の文字からなる本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する需要者に、当該役務において提供される飲食物が、すしを重箱又は重箱風の入れものに詰めた料理であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識させるにすぎないものというのが相当である。加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。したがって、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」とするものであるところ、請求人の主張は、いずれも前記の当審の暫定的見解に対するものとは認められないから、その前提において、失当といわざるを得ない。また、請求人の主張のとおりに解釈するべき確たる証拠も見いだせない。 エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。 7 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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