商標拒絶査定不服審判
2023-008181
センシューゴクセンドシラス、センシューキョクセンドシラス、センシューゴクセンド、センシューキョクセンド、ゴクセンドシラス、キョクセンドシラス、ゴクセンド、キョクセンド、センシューシラス
- 審判番号
- 2023-008181
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-064357
- 請求日
- 2023年05月18日
- 審決日
- 2024年07月30日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】軽部 央
- 【請求人代理人】弁理士法人IPRコンサルタント
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .13 -Z (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-64357拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年6月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 9月27日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月 7日 :意見書及び手続補正書の提出
令和5年 2月15日付け:拒絶査定
令和5年 5月18日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和6年 4月25日付け:審尋
令和6年 6月 3日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「泉州極鮮度しらす」の文字を標準文字で表してなり、第29類及び第31類に属する願書記載の商品を指定商品として登録出願されたものであり、指定商品については、前記1の当審における手続補正書により、最終的に、第29類「しらす(生きているものを除く。),しらすの加工水産物」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「泉州極鮮度しらす」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「泉州」の文字は、「大阪府南部の市」を表す語であり、大阪府の地区として紹介されている。また、「極鮮度」の文字は、「極」及び「鮮度」の語義から「最上の新鮮さ度合い」程の意味合いを認識させるものであり、本願商標の指定商品を取り扱う業界では、「極めて鮮度がよい」ほどの意味合いで使用されており、「しらす」の文字は、「シロウオの別称。」の意味を有するものとして慣れ親しまれている。そうすると、「泉州極鮮度しらす」の文字を標準文字で表したにすぎない本願商標に接する需要者は、その補正後の指定商品に使用した場合には、「大阪府南部地区で漁獲、生産又は販売された極めて鮮度の良い(最上の新鮮さ度合いの)しらす」程の意味合いを理解、認識するにとどまり、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、前記1の審尋により、別掲1及び別掲2に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)しらすは足の早い(すぐに傷む)魚であり、漁獲後すぐに釜茹でにされることが多いという実情は世間に広く知られており、釜茹でにされたしらすについて鮮度を考えることは通常なく、「鮮度」の語は通常、生の魚(刺身や切り身を含む。)の状態を表すために使用されるものである。
(2)また、釜茹でされていない(つまり漁獲時の鮮度を極力保った状態で食される)しらすは、「生しらす」として親しまれていることから(別掲1(1)及び(2))、この種のしらすを「極鮮度しらす」なる表現で呼び表す必然性も必要性も全く無いことは明らかである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が「その商品の産地、販売地、品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによると解され(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日第三小法廷判決)、本願商標が同号に該当するというためには、本件審決日当時において、本願商標がその指定商品との関係で商品の内容(品質)を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の内容(品質)を表示したものと一般に認識されるものであれば足り、それが一般に用いられていた実情があったことまでを必要とするものではないというべきである(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年9月28日判決言渡)。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「泉州極鮮度しらす」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「泉州」の文字は「1 和泉(いずみ)(旧国名の一。五畿に属し、現在の大阪府南部にあたる。)の異称、2 中国福建省南部の港湾都市」を、「極」の文字は「1 いちばん上等であること。また、そのものやそのさま。最良。極上。等、2 [副]普通の程度をはるかに越えているさま。きわめて。非常に。」等を、「鮮度」の文字は「魚・肉・野菜などの新鮮さの度合い」を、「しらす」の文字は「カタクチイワシ・マイワシ・イカナゴ・ウナギ・アユなどの稚魚。体は透明。」等を意味(いずれも「デジタル大辞泉」株式会社小学館)する語としてそれぞれ知られているものであるから、本願商標は、「泉州」、「極」、「鮮度」及び「しらす」の語を結合させたものであると容易に看取し得るものである。
そして、本願の指定商品を含む食品を取り扱う業界では、大阪府の泉州地域で漁獲、生産された商品が「泉州○○」(○○は、しらす、地魚、なす、たまねぎ等の商品の名称を表す文字。)のように指称されているとおり(別掲1)、「泉州」は、旧国名であるとはいえ、現在においても大阪府の地域名を表す語として広く一般に使用されているものであり、このことから、当該語からは、「大阪府の泉州地域」を表すものとして認識、把握されているといい得るものである。
また、上記業界及び食品を提供する業界では、商品の鮮度がきわめて良いものであることを指称する語として「極鮮度」の文字が使用されている事実が認められ(原審における用例及び別掲2)、さらに、「しらす」の文字は、本願商標の指定商品でもあるように、カタクチイワシ等の稚魚である商品の一般名称として広く認識されている。
そうすると、本願商標は、その構成全体からは「大阪府の泉州地域のきわめて鮮度の良いしらす」ほどの意味合いを容易に看取し得るものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「大阪府の泉州地域で漁獲されたきわめて鮮度の良いしらす」「大阪府の泉州地域で漁獲されたきわめて鮮度の良いしらすで製造されたしらすの加工物」という商品の品質を表示したものと理解、認識するにとどまり、本願商標は自他商品を識別する標識としては機能し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、しらすは足の早い(すぐに傷む)魚であり、漁獲後すぐに釜茹でにされることが多いという実情は世間に広く知られており、釜茹でにされたしらすについて鮮度を考えることは通常なく、「鮮度」の語は通常、生の魚(刺身や切り身を含む。)の状態を表すために使用されるものであって、また、釜茹でされていない(つまり漁獲時の鮮度を極力保った状態で食される)しらすは、「生しらす」として親しまれていることから(別掲1(1)及び(2))、この種のしらすを「極鮮度しらす」なる表現で呼び表す必然性も必要性も全く無いことは明らかである旨主張する。
しかしながら、上記(1)で説示したとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品との関係で商品の品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、その指定商品に使用された場合に、将来を含め、取引者、需要者によって商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであれば足り、それが取引上現実に使用されている事実があったことまで必要とするものではないというべきであるところ、本願の指定商品の需要者である一般消費者と需要者を同じくする食品を取り扱う業界や食品を提供する業界において、本願商標を構成する「極鮮度」の文字が、商品の鮮度がきわめて良いものであることを指称する語として使用されていることは別掲2のとおりであり、「極」及び「鮮度」の各文字の有する意味合い及び当該取引の実情を考慮した場合には、本願の指定商品に使用される「極鮮度」の文字からは「きわめて鮮度が良い」以外の意味合いを想起し得るものとはいい難いし、また、「生しらす」の文字について、通常「生○○」の文字は、「生魚」「生貝」「生肉」「生卵」等のように、「○○が生の(煮たり焼いたり乾かしたりしていない)状態である」という単に商品の状態を表しているにすぎないものであり、「鮮度」のよしあしを表示しているものとはいえない。
してみれば、「極鮮度」の語は、商品の鮮度がきわめて良いものであることを表す語として、取引に際し必要適切な表示であり、また、取引者、需要者に対し、商品の品質を表示したものと認識させる表示といい得るものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「大阪府の泉州地域で漁獲されたきわめて鮮度の良いしらす」「大阪府の泉州地域で漁獲されたきわめて鮮度の良いしらすで製造されたしらすの加工物」という商品の品質を表示したものと理解、認識するにとどまり、本願商標は自他商品を識別する標識としては機能し得ないものといわざるを得ない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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