商標拒絶査定不服審判
2023-008165
ウスヤキイワシ、ウスヤキ、ウス
- 審判番号
- 2023-008165
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-133958
- 請求日
- 2023年05月18日
- 審決日
- 2024年01月24日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社カタログハウス
- 【請求人代理人】林 栄二
- 【請求人代理人】鈴木 昇
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .13 -Z (W2930) / T18 .272-Z (W2930) / T18 .17 -Z (W2930)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-133958拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年10月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 7月14日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月28日 :意見書の提出
令和5年 2月14日付け:拒絶査定
令和5年 5月18日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「薄焼いわし」の文字を標準文字で表してなり、第29類「いわしを使用してなる加工水産物,いわしを加味した菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。),いわし(生きているものを除く。)」及び第30類「いわしを加味した菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「薄焼いわし」の文字を標準文字で表してなるものであるが、その構成中「薄焼」の文字は、「薄くして焼きあげた食品。」の意味を有する語である。
また、食品を取り扱う業界において、薄くして焼きあげた商品が一般に製造又は販売されており、そのような商品を、「薄焼○○」「うすやき○○」(○○には、商品の名称が入る。)と称している実情があり、それらの中には魚介類を薄く焼き上げたものも見受けられる。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「薄くして焼き上げたいわし」又は「薄くして焼き上げたいわしを使用した商品」であること、すなわち、商品の品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「薄焼いわし」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「薄焼」の文字は、「材料を薄くのばして焼き上げた食品。」(出典:「大辞林 第四版」株式会社三省堂)を意味する語であり、また、同「いわし」の文字は、本願の指定商品の原材料又は普通名称を表したといえるものであるから、本願商標全体としては「薄くのばして焼き上げたいわし」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものというのが相当である。
そして、原審提示の情報や、別掲の情報にあるように、菓子や加工水産物を取り扱う分野においては、その商品が「薄くのばして焼き上げた商品」又は「薄くのばして焼き上げた原材料を使用した商品」であることを表現するために、「薄焼」の文字や、これに通じる「薄焼き」「うす焼(き)」「うすやき」の文字が使用されている実情が認められ、その中には「薄焼き○○」「○○うす焼」(「○○」は商品や原材料の名称)などと称する商品や、「いわし」を原材料とする商品も見受けられるところである。
そうすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、それが「薄くのばして焼き上げたいわし」又は「薄くのばして焼き上げたいわしを原材料に使用した商品」であるという、商品の品質又は原材料を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標を、その指定商品中、「いわし(生きているものを除く。)」に使用するときは、それがあたかも「薄くのばして焼き上げた(加工済みの)いわし」であるかのごとく、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は、本願商標は、その指定商品の分野において、請求人の商品を表示するものとして著名なものとなっている旨主張し、証拠方法として、資料1ないし13(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出しているところ、上記証拠及び請求人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 請求人は、遅くとも2018年(平成30年)から、「薄焼いわし」の文字からなる商標を使用した、「いわしを使用してなる加工水産物」又は「いわしを加味した菓子」と考えられる商品(以下「本件商品」という。)を継続的に販売しており(資料1ないし4、資料8、資料9)、また、開催時期は不明であるが、本件商品の頒布会も行っている(資料5)。
イ 請求人は、2018年(平成30年)から2023年(令和5年)4月までの期間で、本件商品を約95億円、約8百万袋販売した旨を主張しているが、そのことを示す客観的な証拠の提出はない。
ウ 請求人は、本件商品について、2021年(令和3年)3月から2022年(令和4年)6月までの期間において、全国紙を中心に13回の新聞広告及び折り込み広告を行った旨を主張し、その証拠として各広告の例を提出している(資料6の1ないし資料6の7)。
エ 2020年(令和2年)3月5日の「日刊水産経済新聞」、2022年(令和4)6月30日の「日本流通産業新聞」及び同年8月4日の「通販新聞」に、それぞれ本件商品に係る取材記事が掲載された(資料6の8ないし資料6の10)。
オ 請求人は、本件商品について、2020年(令和2年)の夏から継続的にテレビ広告を行っている旨を主張し、その証拠としてテレビ広告の例(資料7の1)及び放映状況の一覧(資料7の2及び資料7の3)を提出している。
カ 請求人は、本件商品について、リスティング広告や、メールマガジンの送付、ダイレクトメールの送付及びパンフレットの配布を行っている(資料10ないし資料13)。
キ 上記アないしカによれば、請求人は、約5年間、本願商標又はそれと同一性を損なわない程度の「薄焼いわし」の文字からなる商標を用いて、「いわしを使用してなる加工水産物」又は「いわしを加味した菓子」と考えられる商品を販売しており、新聞広告やテレビ広告などの各種広告を行っていることや、本件商品についての取材記事が複数の専門誌に掲載されたことがある事実が認められる。
しかしながら、本件商品の販売期間は、約5年と相当程度短いものであり、また、提出された証拠からは、請求人の主張する本件商品の販売規模(販売額、販売数量等)が、他者の同種の商品の販売規模と比べて大きいものであると判断することもできない上、上記イのとおり、本件商品の販売規模を客観的に示す証拠も提出されていない。
また、新聞広告及び折り込み広告については、一部見本が提出されているだけであって、実際に請求人が述べるとおりの規模で広告宣伝が行われたことを客観的に示す証拠は見当たらず、また、テレビ広告については、放映状況の一覧(資料7の2及び資料7の3)において放送年の記載がない上、各番組の視聴率の記載もないことから、これが需要者においてどの程度視聴され、本件商標が認識されたかを推測することが困難であって、その他のリスティング広告や、メールマガジンの送付、ダイレクトメールの送付及びパンフレットの配布についても、これらと同様のことがいえる。
そして、需要者の認識度を客観的に示す証拠(アンケート結果など)は提出されておらず、そのほか、提出された証拠からは、本願商標が請求人の業務に係る商品を表すものとして需要者の間で広く知られているものであると判断することはできない。
加えて、本願の指定商品中には、本件商品とは別の分野の商品と考えられる商品「いわし(生きているものを除く。)」が含まれているものである。
以上のことからすると、本願商標が、その指定商品との関係において、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められないから、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備しない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「薄焼いわし」の文字からなる商標を請求人以外の者が使用していないことを踏まえて考えれば、「薄焼いわし」といえば請求人の事業に係る商品を表示するということになるのであって、請求人以外の商標の使用状況によって、本願商標が登録できないとすべき理由はない旨主張する。
しかしながら、本願商標は、それ自体としては他人の使用例が見受けられないとしても、上記(1)のとおり、菓子や加工水産物を取り扱う分野において、その商品が「薄くのばして焼き上げた商品」又は「薄くのばして焼き上げた原材料を使用した商品」であることを表現するために、「薄焼」の文字や、これに通じる「薄焼き」「うす焼(き)」「うすやき」の文字が使用されている実情が認められ、その中には「薄焼き○○」「○○うす焼」などと称する商品や、「いわし」を原材料とする商品も見受けられる上、「薄焼いわし」の文字に酷似する「薄焼きいわし」の文字の使用事例(別掲(3))もあることからすれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者において、それが「薄くのばして焼き上げたいわし」又は「薄くのばして焼き上げたいわしを原材料に使用した商品」であるという、商品の品質又は原材料を表示したものとして一般に認識されるといえ、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないというのが相当である。
イ 請求人は、商標構成中に「薄焼」「いわし」の文字を有し、かつ、本願の指定商品と同一の商品を含む商品を指定している過去の登録例を挙げ、本願商標もそれと同様に商標法第4条第1項第16号に該当するものではないと判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
なお、請求人は、本願商標に拒絶の理由が存在すると判断される場合は、指定商品の補正を行う用意がある旨主張するが、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、また、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものともいえないことは、上記(1)及び(2)のとおりであって、指定商品の補正によって、それらの拒絶の理由がすべて解消し得るものではないから、本件の審理において、改めて本願の指定商品の補正の機会を与える必要はないと合議体は判断した。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、また、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものともいえないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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