商標拒絶査定不服審判
2023-008149
ユルファス
- 審判番号
- 2023-008149
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-065947
- 請求日
- 2023年05月18日
- 審決日
- 2024年09月04日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ファスティングライフ株式会社
- 【請求人代理人】久門 享
- 【請求人代理人】久門 保子
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 渡邉 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W44)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 65947拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年6月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年10月20日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月28日 :意見書の提出
令和5年 2月22日付け:拒絶査定
令和5年 5月18日 :審判請求書の提出
令和6年 5月17日付け:審尋
第2 本願商標
本願商標は、「ゆるファス」の文字を標準文字で表してなり、第44類「美容,入浴施設の提供,サウナの提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,整体,はり治療,アロマテラピーの提供,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,栄養に関する助言,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,健康管理に関する指導及び助言」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「ゆるファス」の文字を標準文字で表してなり、平仮名表記の「ゆる」の文字と片仮名表記の「ファス」の文字よりなるものであるところ、「ファス」の語は、「fasting」(断食のこと。)に通じるものといえる。そして、「ゆるファス」の語は、美容等の分野においては、「緩いファスティング(断食)」、「ゆる~くファスティング(断食)」、「ゆるっとファステイング(断食)」ほどの意味合いを以て、実際に使用されている実情があるから、本願商標をその指定役務中、例えば「断食を取り入れた美容,断食を取り入れた栄養の指導,断食を取り入れた栄養に関する助言」に使用した場合、これに接する需要者は、当該役務が「ゆるい(緩い)断食を取り入れた役務」であること、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、別掲1ないし別掲5のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めたが、請求人は、応答期間において、当該審尋に対する意見を提出していない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「ゆるファス」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同書、同大、等間隔で表されているとしても、「ゆる」の平仮名及び「ファス」の片仮名を組み合わせてなるものであると容易に理解できるものである。
そして、本願商標の構成中の「ゆる」の文字は、「ゆるやかなさま。ゆったりしているさま。」を意味する「緩」のほか、「許される。」等を意味する「許る」、「震い動く」等を意味する「揺る」等の語があるところ(いずれも「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)、別掲1のとおり、本願の指定役務中の美容に関連する分野においては、「ゆる断食」、「ゆる食事制限」等の語がダイエット法を表す語として使用されており、これらの語において、「ゆる」の文字は、「緩」を意味する語として使用されていることが確認できる。
また、「ファス」の文字は、辞書等に載録されていない語であるものの、別掲2のとおり、本願の指定役務中の美容に関連する分野においては、「間ファスダイエット」、「食べファス」等の語が、ダイエット法の一つとしてのファスティングを表す語として使用されており、これらの語において、「ファス」の文字は、「断食。絶食。」を意味する「ファスティング」の語(「デジタル大辞泉」(別掲3))の略であることを認識させる語として使用されていることが確認できる。
さらに、別掲4のとおり、本願の指定役務中の美容に関連する分野においては、「ゆるファスティング」の語だけでなく、「ゆるファス」の語が、「ゆるやかに行うファスティング」ほどの意味合いを認識させる語として使用されており、栄養指導や、健康指導に関する記載がされていることも確認できる。
加えて、別掲5のとおり、エステサロン、サウナ施設やスパの利用が可能なエステサロン、宿泊施設、鍼灸院、アロマテラピーの提供者、医療機関が、ファスティングに関する役務を提供していることが確認できる。
そうすると、本願商標「ゆるファス」は、その構成文字全体から、「ゆるやかに行うファスティング」ほどの意味合いを認識させるものであり、これを、その指定役務中の「美容,入浴施設の提供,サウナの提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,整体,はり治療,アロマテラピーの提供,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,栄養に関する助言,健康管理に関する指導及び助言」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該役務が、「ゆるやかに行うファスティングを提供する役務」、「ゆるやかに行うファスティングに関する役務」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標は、ひらがなの「ゆる」と片仮名の「ファス」が同じ大きさ、同じ字体、同じ間隔で一体として書されているから、全体で一体の造語商標と考えられる。また、「ファス」は「ファスナー」の略語とも、「ファースト」(速い、一番目の)と通ずる「ファスト」の略語とも把握できる場合があり、「ゆる」は、「緩い」(ゆるやかな、(きついの対極としての)ゆるい)、「許す」(申し出を受け入れる)、「赦す」(罪・過失を咎めない)等の意味合いも考えられるから、一義的な意味合いが生じるとはいい難い。」旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標は、「ゆるファス」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同書、同大、等間隔で表されているとしても、「ゆる」の平仮名及び「ファス」の片仮名を組み合わせてなるものであると容易に理解できるものである。
そして、本願の指定役務中の美容に関連する分野においては、別掲1のとおり、「ゆる」の文字は、「緩」を意味する語として使用されていることが確認でき、また、別掲2のとおり、「ファス」の文字は、「断食。絶食。」を意味する「ファスティング」の語の略であることを認識させる語として使用されていることが確認でき、さらに、別掲4のとおり、「ゆるファス」の語が、「ゆるやかに行うファスティング」ほどの意味合いを認識させる語として使用されていることも確認できることから、本願商標「ゆるファス」は、その構成文字全体から、「ゆるやかに行うファスティング」ほどの意味合いを認識させるものであるというのが相当である。
(2)請求人は、「本願の指定役務の業界において、軽めのファスティングについては、色々な表現方法があり得るのであって、「ゆるファス」が商標登録されたとしても、あまり問題はない。」旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で,その商品の品質、その役務の質等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で、商品の品質、役務の質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成26年(行ケ)第10056号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決、平成27年(行ケ)第10232号判決参照)。
そして、上記1のとおり、本願商標は、その構成文字全体から、「ゆるやかに行うファスティング」ほどの意味合いを認識させるものであり、これを、その指定役務中の「美容,入浴施設の提供,サウナの提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,整体,はり治療,アロマテラピーの提供,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,栄養に関する助言,健康管理に関する指導及び助言」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該役務が、「ゆるやかに行うファスティングを提供する役務」、「ゆるやかに行うファスティングに関する役務」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして、一般に認識されるものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他役務の識別力を欠くというべきであり、仮に軽めのファスティングについて色々な表現方法があるとしても、上記判断に影響を及ぼすものではない。
(3)請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。
しかしながら、請求人の挙げる登録例及び審決例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記1の認定、判断が左右されるものではない。
(4)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張は、採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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