特許拒絶査定不服審判
2023-007587
ヒューマンコンピュータインタラクション方法およびその装置
- 審判番号
- 2023-007587
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-109580
- 請求日
- 2023年05月10日
- 審決日
- 2024年02月13日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】オナー デバイス カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】赤澤 克豪
- 【請求人代理人】窪田 郁大
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 山内 裕史
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P18 .65 -WY (G06F) / P18 .562-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第37条、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-109580「ヒューマンコンピュータインタラクション方法およびその装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020-166897、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)4月28日を国際出願日とする特願2018-556828号の一部を令和2年6月25日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 7月 1日: 手続補正書の提出
令和3年 9月28日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月 7日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年 7月15日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和4年10月20日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年12月15日付け:令和4年10月20日の手続補正についての
補正の却下の決定、拒絶査定
令和5年 5月10日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 9月28日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和6年 1月 4日: 意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年12月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 理由1(発明の単一性)この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。
請求項1に係る発明に、「ユーザ装置上の電子地図アプリケーション内で、前記電子地図アプリケーションとは別個の区別可能なアプリケーションからのテキスト文字列を表示する方法であって、前記電子地図アプリケーションは、ユーザが前記電子地図アプリケーションと対話できるようにする複数のユーザインタフェースページを備え、前記方法は、機械可読命令を実行するように構成されたプロセッサにより実施され、その結果、前記機械可読命令が実行されると、前記プロセッサが、
前記電子地図アプリケーションの前記複数のユーザインタフェースページの第1のユーザインタフェースページが開かれるとき、ユーザがテキストの貼り付け操作を開始することなく、ユーザがコピーした複数のテキストを一時的に格納するリポジトリから、アプリケーションからコピーされたテキスト文字列を見つけ出すステップであって、前記アプリケーションは前記電子地図アプリケーションとは別個で区別可能であり、前記テキスト文字列は前記ユーザにより前記電子地図アプリケーション内に入力されておらず、前記テキスト文字列は位置を示す、ステップと、
前記第1のユーザインタフェースページ内に、見つけられた前記テキスト文字列を表示し、前記ユーザが見つけられた前記テキスト文字列により示される前記位置を使用して前記電子地図アプリケーションと対話できるようにするステップと
を実行することがもたらされる、方法。」という特別な技術的特徴が発見された。
したがって、請求項1に係る発明と、当該特別な技術的特徴と同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する、請求項2-6、及び、請求項1-6を引用する請求項38,40に係る発明とを、審査対象とする。
請求項7-12、39、41に係る発明は、特別な技術的特徴に基づいて審査対象となった発明と、まとめて審査を行うことが効率的である発明であり、審査対象に加える。
補正によって新たに追加された独立項である請求項13、その従属項である請求項14-37、及び、これらの請求項13-37を引用する請求項38,40に係る発明は、請求項1に係る発明の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの発明ではない。そして、請求項13-37及び請求項13-37を引用する請求項38,40に係る発明は、審査対象とされた発明を審査した結果、実質的に追加的な先行技術調査や判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明ではなく、当該発明とまとめて審査を行うことが効率的であるといえる他の事情も無い。
2 理由2(新規事項)令和4年3月7日付け手続補正書でした補正は、下記の点で外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
補正によって、請求項1の「ユーザがコピーしたテキストを一時的に格納するリポジトリ内で」との記載が、「ユーザがコピーした複数のテキストを一時的に格納するリポジトリから」に変更された。
これらの記載において「リポジトリ」という用語は本願の明細書では用いられていないが、発明の詳細な説明の記載からみて、「クリップボード」が対応すると解される。
そして、補正によって「ユーザがコピーしたテキスト」が「ユーザがコピーした複数のテキスト」に変更されたが「複数のテキスト」という表現及び類似の表現は、本願の翻訳文の出願人が補正の根拠として挙げた箇所及び翻訳文全体を精査しても記載されていない。
ところで「複数のテキスト」に関連すると考えられる記載として、段落0073に『ユーザは、1つのテキスト情報「シャオミンの電話番号は12312345678です」をアプリケーションソフトウェアのページ上にコピーする。』との記載がある。当該記載及び発明の詳細な説明の他の箇所の記載からみて、本願において「テキスト」は、1回のコピーで取得される文字列(この例では「シャオミンの電話番号は12312345678です」)を意味している(これは一般的な技術常識の範囲内の事項である)と解される。
してみると、「複数のテキスト」とは、そのような「テキスト」(1つのテキスト)が複数あるという意味と考えられるから、補正後の「ユーザがコピーした複数のテキストを一時的に格納するリポジトリ」との記載は、「リポジトリ」(クリップボード)が、ユーザがコピーした複数のテキスト、すなわち、複数回のコピー操作のテキストをそれぞれ格納していることになるが、そのような記載は、本願の翻訳文には記載されておらず、また、翻訳文の記載から自明であるともいえない。
してみると、この補正は、外国語書面の翻訳文の範囲内においてしたものではなく、新規事項を追加するものである。
同様の補正がなされた請求項7、及び、これらの請求項1,7を引用する請求項2-6,8-12,38-41についても同様。
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和5年9月28日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1 理由1(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項6の「前記ユーザがコピーしたテキストを一時的に格納する前記リポジトリから前記テキスト文字列を見つけるステップは、前記リポジトリに格納されている前記ユーザがコピーしたテキストを取得するステップと、テキスト文字列を示す位置について前記ユーザがコピーしたテキストを解析するステップと、テキスト文字列を示す前記位置を前記テキスト文字列として見つけるステップとを含む」の記載及び請求項6が引用する請求項1の「前記電子地図アプリケーションの前記複数のユーザインタフェースページの第1のユーザインタフェースページが開かれるとき、ユーザがテキストの貼り付け操作を開始することなく、ユーザがコピーしたテキストを一時的に格納するリポジトリから、アプリケーションからコピーされたテキスト文字列を見つけ出すステップであって」の記載から、請求項6に係る発明は、「前記リポジトリに格納されている前記ユーザがコピーしたテキストを取得するステップと、テキスト文字列を示す位置について前記ユーザがコピーしたテキストを解析するステップと、テキスト文字列を示す前記位置を前記テキスト文字列として見つけるステップ」を、「前記電子地図アプリケーションの前記複数のユーザインタフェースページの第1のユーザインタフェースページが開かれるとき」に実行するものであるが、そのような構成を含む発明は、発明の詳細な説明に記載されていない。
すなわち、発明の詳細な説明において、「クリップボードに格納されているユーザがコピーしたコピーテキストコンテンツに対して意味解析を行ってキーワードを抽出し、キーワードを解析して位置を示すキーワードを判定する」処理(【0029】-【0043】及び【図2】、特にステップS602及びステップS603を参照)を、「アプリケーションソフトウェアページを開く前」(ステップ604の前)に実行することは記載されているが、当該処理を「アプリケーションソフトウェアページを開くとき」に実行する構成については記載されているとは認められない。
請求項6を引用する請求項13、15についても同様の理由が該当する。
よって、請求項6、13、15に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものでない。
第4 本願発明
本願請求項1-15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明15」という。)は、令和6年1月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-15は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
ユーザ装置上の電子地図アプリケーション内で、前記電子地図アプリケーションとは別個の区別可能なアプリケーションからのテキスト文字列を表示する方法であって、前記電子地図アプリケーションは、ユーザが前記電子地図アプリケーションと対話できるようにする複数のユーザインタフェースページを備え、前記方法は、機械可読命令を実行するように構成されたプロセッサにより実施され、その結果、前記機械可読命令が実行されると、前記プロセッサが、
前記電子地図アプリケーションの前記複数のユーザインタフェースページの第1のユーザインタフェースページが開かれるとき、ユーザがテキストの貼り付け操作を開始することなく、ユーザがコピーしたテキストを一時的に格納するリポジトリから、アプリケーションからコピーされたテキスト文字列を見つけ出すステップであって、前記アプリケーションは前記電子地図アプリケーションとは別個で区別可能であり、前記テキスト文字列は前記ユーザにより前記電子地図アプリケーション内に入力されておらず、前記テキスト文字列は位置を示す、ステップと、
前記第1のユーザインタフェースページ内に、見つけられた前記テキスト文字列を、前記ユーザが1つまたは複数の実行可能な操作オプションを実行できるようにする前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションと共にダイアログボックスの形式で表示し、前記ユーザが見つけられた前記テキスト文字列により示される前記位置を使用して前記電子地図アプリケーションと対話できるようにするステップと
を実行することがもたらされる、方法。
【請求項2】
前記テキスト文字列が前記アプリケーションからコピーされることと、前記第1のユーザインタフェースページが開かれることとの間の間隔を判断するステップと、
前記間隔を事前設定されたしきい値と比較するステップと、
間隔が前記事前設定されたしきい値を超えないことに基づいて、前記間隔が有効であると判断するステップと
をさらに含み、前記テキスト文字列の表示は、有効であると判断された前記間隔に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記テキスト文字列は、前記ユーザ装置に関連付けられた記憶装置から取得され、前記記憶装置は、前記ユーザ装置に実装されたクリップボードの基礎となる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションは、前記ユーザが前記複数のユーザインタフェースページの第2のユーザインタフェースページを開くことができるようにする実行可能な操作オプションを含み、前記第2のユーザインタフェースページは、前記テキスト文字列により示される前記位置を地図上に表示する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションは、前記ユーザが前記複数のユーザインタフェースページの第2のユーザインタフェースページを開くことができるようにする実行可能な操作オプションを含み、前記第2のユーザインタフェースページは、前記ユーザが前記テキスト文字列により示される位置へナビゲートしまたはその位置を特定することができるようにする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ユーザが開始することなく、ユーザ装置上で実行されている電子地図アプリ内に実行可能な操作オプションを表示する方法であって、前記電子地図アプリは、ユーザが前記電子地図アプリと対話できるようにする複数のユーザインタフェースページを含み、前記方法は、機械可読命令を実行するように構成されたプロセッサにより実施され、その結果、前記機械可読命令が実行されると、前記プロセッサが、
前記電子地図アプリの前記ユーザインタフェースページの1つが開かれるとき、テキストが前記ユーザ装置内の記憶装置に格納されていることを検出するステップであって、前記テキストは、前記電子地図アプリとは別個の区別可能なアプリから前記ユーザによりコピーされ、前記ユーザが前記電子地図アプリに入力したものではなく、前記テキストは位置カテゴリに属するテキスト文字列を含む、ステップと、
前記ユーザインタフェースページ内に、前記ユーザが1つまたは複数の実行可能な操作オプションを実行できるようにする前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションをダイアログボックスの形式で表示するステップであって、前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションは位置カテゴリに属する前記テキスト文字列に関連付けられる、ステップと
を実行することがもたらされる、方法。
【請求項7】
前記テキストが前記アプリからコピーされることと、前記ユーザインタフェースページが開かれることとの間の間隔を判断するステップと、
前記間隔を事前設定されたしきい値と比較するステップと、
前記間隔が前記事前設定されたしきい値を超えないことに基づいて、前記間隔が有効であると判断するステップであって、前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションの表示は、有効であると判断された前記間隔に基づく、ステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記記憶装置は、ある期間にわたって前記ユーザ装置上でユーザにより入力されたテキストを記録する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションは、前記ユーザが前記電子地図アプリ内で地図上の前記テキスト文字列により示される位置を見ることができるようにする実行可能な操作オプションを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションは、前記ユーザが前記テキスト文字列により示される位置へナビゲートしまたはその位置を特定することができるようにする実行可能な操作オプションを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ユーザが開始することなく、前記ユーザインタフェースページ内で、前記1つまたは複数の実行可能な操作オプションの隣に前記テキスト文字列を表示するステップをさらに含む、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
機械可読命令を実行するように構成されたプロセッサを備え、その結果、前記機械可読命令が実行されると、前記プロセッサが請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を実行することがもたらされる、ユーザ装置。
【請求項13】
ユーザ装置上で実行されている電子地図アプリ内に実行可能な操作オプションを、ユーザが開始することなく表示するように構成されたユーザ装置であって、前記電子地図アプリは、ユーザが前記電子地図アプリと対話できるようにする複数のユーザインタフェースページを含み、前記ユーザ装置は、機械可読命令を実行するように構成されたプロセッサを備え、その結果、前記機械可読命令が実行されると、前記プロセッサが請求項6から11のいずれか一項に記載の方法を実行することがもたらされる、ユーザ装置。
【請求項14】
コンピュータ記憶媒体であって、実行されると、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を実施するプログラムを記憶する、コンピュータ記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータ記憶媒体であって、実行されると、請求項6から11のいずれか一項に記載の方法を実施するプログラムを記憶する、コンピュータ記憶媒体。」
第5 当審拒絶理由について
1 理由1(サポート要件)について
令和6年1月4日付けの補正により、補正前の請求項6が削除されたので、この拒絶の理由は解消した。
第6 原査定についての判断
1 理由1(発明の単一性)について
令和6年1月4日付けの補正により、原査定による拒絶の対象となった請求項13-37が削除された。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。
2 理由2(新規事項)について、
令和6年1月4日付けの補正により、原査定による拒絶の対象となった請求項1の「ユーザがコピーした複数のテキストを一時的に格納するリポジトリから」の記載は、「ユーザがコピーしたテキストを一時的に格納するリポジトリから」に補正され、また、請求項7についても同様の補正がされた。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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