商標拒絶査定不服審判
2023-007311
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- 審判番号
- 2023-007311
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-008265
- 請求日
- 2023年05月08日
- 審決日
- 2024年05月31日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ヨウジヤマモト
- 【請求人代理人】中村 知公
- 【請求人代理人】小西 富雅
- 【請求人代理人】前田 大輔
- 【請求人代理人】伊藤 孝太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .23 -Z (W141825)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項8号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第8号
- データ出所
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事件の表示
商願2022-8265拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第14類、第18類及び第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、令和4年1月26日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年7月28日付けで拒絶理由の通知がされ、同年9月12日付けで意見書が提出され、本願の指定商品は、同日付けの手続補正書により、第14類「宝飾品,貴金属,キーホルダー,身飾品,宝玉及びその模造品,貴金属製靴飾り,時計」、第18類「かばん類,袋物,がま口口金,皮革製包装用容器,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,革ひも」及び第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に補正されたが、同5年1月30日付けで拒絶査定されたものである。
これに対して、令和5年5月8日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標はその構成中に「Yohji Yamamoto」の文字を含んでなるものであるところ、当該文字は、その構成文字から「ヨウジヤマモト」の読みを有する氏名として認識されるものであること、氏名をローマ字で表記するときは、氏名の順を入れ替えることは普通に行われていること、「ヤマモトヨウジ」と読まれる氏名の者が存在しており、それらの者の承諾を得たものとは認められないことから、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号の趣旨について
ア 商標法第4条第1項第8号の趣旨は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがないという人格的利益を保護することにあると解される。したがって、同号本文に該当する商標につき商標登録を受けようとする者は、他人の人格的利益を害することがないよう、自らの責任において当該他人の承諾を確保しておくべきものである(最高裁平成15(行ヒ)第265号同16年6月8日第三小法廷判決、最高裁平成16年(行ヒ)第343号同17年7月22日第二小法廷判決)。
イ 商標法第4条第1項第8号は、その規定上、雅号、芸名、筆名、略称については、「著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」として、著名なものを含む商標のみを不登録とする一方で、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称」については、著名又は周知なものであることを要するとはしていない。また、同号は、人格的利益の侵害のおそれがあることそれ自体を要件として規定するものでもない。したがって、同号の趣旨やその規定ぶりからすると、同号の「他人の氏名」が、著名性・希少性を有するものに限られるとは解し難く、また、「他人の氏名」を含む商標である以上、当該商標がブランドとして一定の周知性を有するといったことは、考慮する必要がないというべきである(知財高裁平成31年(行ケ)第10037号令和元年8月7日判決)。
(2)本願商標の商標法第4条第1項第8号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「S’YTE」及び「Yohji Yamamoto planning Dept.」の欧文字を上下2段に表してなるところ、その構成中、下段に含まれる「Yohji」の欧文字のうち、「oh」の部分は人名の「オー」又は「オウ」の音をローマ字表記する際にしばしば使用されるものである(別掲2)から、当該欧文字は「ヨウジ」と読めるものであり、また、当該「Yohoji」の欧文字に1文字分の空白を介した「Yamamoto」の欧文字は、ありふれた氏である「山本」をローマ字で表記したものと容易に理解させるものである。
そして、我が国では、名刺やパスポート、クレジットカード、ウェブサイト等での氏名のローマ字表記において、氏名を「名」、「氏(姓)」の順で表記すること、「Yohji」の「oh」が人名の「オー」又は「オウ」の音を表す際にしばしば使用されるものであること、「Yamamoto(山本)」の欧文字と組み合わせた際に「Yohji(ヨウジ)」が名を表すものとして自然に看取し得るものであることから、本願商標に含まれる「Yohji Yamamoto」の欧文字は、「ヨウジヤマモト」を読みとする人の氏名として客観的に理解されるものであり、本願商標は「人の氏名」を含む商標であると認められる。
また、原審における説示のとおり、実際に「ヤマモトヨウジ」と読まれる「山本洋二」や「山本洋司」といった者が存在し、その存在は、本件審決の時点でも、少なくとも別掲3のとおり確認することができる。
加えて、原審における別掲3に掲げる人名は、いずれも、令和4年9月12日付け手続補足書で提出された承諾書を提出した者とは別人であると認められ、かつ、請求人は、それら他人の承諾を得ているとは認められない。
そうすると、本願商標は、商標法第4条第1項第8号所定の、他人の氏名を含む商標であって、かつ、その他人の承諾を得ていないものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「Yohji Yamamoto」が、長年にわたる使用により一定の著名性を有し、ファッションデザイナーの氏名のブランドであると一般に認識されていることなどから、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない旨主張する。
しかしながら、上記(1)イのとおり、同号に規定する「他人の氏名」については、著名又は周知なものであることを要するものではなく、「他人の氏名」を含む商標である以上、本願商標がブランドとして一定の周知性を有することは、同号の判断をするに当たって考慮する必要はないというべきである。そして、本願商標が同号に該当する商標であることは上記(2)のとおりである。
イ 請求人は、「Yohji Yamamoto」等の文字を含む多数の商標が登録され、長年にわたる使用がされていても他人から人格権侵害を主張されたことがないことを考慮すれば、本願商標は、商標法第4条第1項第8号を適用することは妥当ではない旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第8号の条文に照らせば、上記(1)アのとおり、同号本文に該当する商標について、同号の適用を免れるためには他人の承諾を得ることが要件とされており、かつ、上記(1)イのとおり、同号は、人格的利益の侵害のおそれがあることそれ自体を要件として規定するものではないことからすれば、過去の商標登録について、人格権の侵害の主張がなされていないことによって、上記(2)の判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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