商標拒絶査定不服審判
2023-006628
サステナブルフロアー、サステナブル
- 審判番号
- 2023-006628
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-057375
- 請求日
- 2023年04月21日
- 審決日
- 2024年09月06日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】山内 広之
- 【請求人代理人】酒井 壮士
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 渡邉 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W1920)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第6条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 57375拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年5月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 9月20日付け:拒絶理由通知書
令和5年 2月21日付け:拒絶査定
令和5年 4月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 5月17日付け:審尋
第2 本願商標
本願商標は、「サステナブルフロアー」の片仮名を標準文字で表してなり、第19類に属する願書記載のとおりの商品(以下「原審商品」という。)を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第19類「床材(金属製のものを除く。)」及び第20類「つり床,床下収納庫」(以下「当審補正商品」という。)と補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、以下の1及び2のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、「サステナブルフロアー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「サステナブル」の文字は「持続可能であるさま。特に、地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについていう。」の意味を、「フロアー」の文字は「床」の意味を有する語としてそれぞれ一般的に知られているものである。そして、近年、持続可能な社会の実現に向けて環境に配慮した各種商品の取引が行なわれており、本願の指定商品に関連する分野においても、「サスティナブルフロア」や「サステナブルなフローリング」の取引が行われ、その材料のことを「サステナブル材料」「サステナブル床材」「サスティナブルな素材の床材」と称している実情が認められる。そうすると、本願商標を原審商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者に、「サステナブルな床材(金属製のものを除く。)」や当該床材を使用した「つり床」等であることを認識させるにとどまるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第6条第1項及び同条第2項について
本願の指定商品には、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない商品が含まれている。そのため、この商標登録出願は、政令で定める商品及び役務の区分に従って商品を指定したものと認めることもできない。したがって、この商標登録出願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。
第4 当審における審尋
当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、別掲1ないし別掲4のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めたが、請求人は、応答期間において、当該審尋に対する意見を提出していない。
第5 当審の判断
1 商標法第6条第1項及び同条第2項について
本願の指定商品は、上記第2のとおり補正された結果、その内容及び範囲を明確に指定したものとなり、かつ、政令で定める商品及び役務の区分に従って商品を指定したものとなった。
したがって、本願商標は、商標法第6条第1項及び同条第2項の要件を具備するものとなった。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「サステナブルフロアー」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標は、同書、同大、等間隔で表されているとしても、その構成は、「サステナブル」の文字及び「フロアー」の文字を組み合わせてなるものであると容易に理解できるものである。
そして、本願商標の構成中の「サステナブル」の文字は、「持続可能であるさま。特に、地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについていう。」を意味し、「フロアー」の文字は、「床。」(いずれもデジタル大辞泉(別掲1))を意味する語であるところ、別掲2のとおり、「フロア(ー)」の文字は、「床材」を表す語としても使用されている。
また、別掲3のとおり、主に建材等を取り扱う業界において、環境に配慮した素材等を用いた商品が広く一般に流通しており、別掲4のとおり、当該環境に配慮された商品を表す際、「サステナブル」の語と関連付けて床材が販売されている実情にあることに加えて、そのような床材の中には、「サステナブルフロア」、「サステナブルフロアリング」、「サステナブルフローリング」と称している事例も確認できるから、本願商標は、構成全体として、「環境に配慮した床材」ほどの意味合いを容易に認識させるというべきである。
そうすると、本願商標を、当審補正商品に使用しても、これに接する需要者・取引者は、当該商品が、「環境に配慮した床材」、「環境に配慮した床材を使用した商品」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標は、その構成中の各文字が同書・同大・同間隔で表されているため、外観上もまとまりよく一体的にとらえられるから、「サステナブル」と「フロアー」に分離しなければならない特段の理由はない。また、「サステナブルフロアー」の語からは、どのように環境に配慮した床材であるのか、どのような環境に資する効果・効能を得ることができる床材なのか、具体的かつ一義的に理解できるものとは認められず、本願商標は、一種の造語と看取され、自他商品識別力を発揮する。」旨主張する。
しかしながら、上記2のとおり、本願商標は、同書、同大、等間隔で表されているとしても、「持続可能であるさま。特に、地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについていう。」を意味する「サステナブル」の文字と、「床」を意味する「フロアー」の文字を組み合わせてなるものであると容易に理解できるものである。
そして、別掲3のとおり、主に建材等を取り扱う業界において、環境に配慮した素材等を用いた商品が広く一般に流通しており、別掲4のとおり、当該環境に配慮された商品を表す際、「サステナブル」の語と関連付けて床材が販売されている実情にあることに加えて、そのような床材の中には、「サステナブルフロア」、「サステナブルフロアリング」、「サステナブルフローリング」と称している事例も確認できるからすると、本願商標は、一種の造語として認識されるとはいいがたく、構成全体として、「環境に配慮した床材」ほどの意味合いを容易に認識させるというべきである。
(2)請求人は、「本願商標を使用している者は出願人以外に見当たらず、このことは、本願商標が取引に際し必要適切な表示であって何人もが使用を欲する商標ではないことの証左であるといえるから、本願商標の登録を認めたとしても、第三者の商標選択の幅を過度に狭めるものではなく、本願商標は独占不適応の語でもないといえる。」旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号,同年9月4日判決参照)。
また、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で,その商品の品質、その役務の質等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で、商品の品質、役務の質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成26年(行ケ)第10056号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決、平成27年(行ケ)第10232号判決参照)。
仮に、請求人以外に「サステナブルフロアー」の文字を使用している事実がないとしても、上記2のとおり、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標から、「環境に配慮した床材」ほどの意味合いを容易に認識するにとどまるから、本願商標を、当審補正商品に使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとして、一般に認識されるものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他商品の識別力を欠くというべきである。
(3)請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。
しかしながら、請求人の挙げる登録例及び審決例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記2の認定、判断が左右されるものではない。
(4)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張は、採用するべき事情はない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、原査定の拒絶の理由のうち、商標法第6条第1項及び同条第2項の要件を具備しないとする理由は、上記1のとおり解消したが、同法第3条第1項第3号に該当するとの理由は、上記2のとおり解消していないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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