商標拒絶査定不服審判
2023-006217
ウエルビーイングフード、ウエルビーイング、フード
- 審判番号
- 2023-006217
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-084256
- 請求日
- 2023年04月14日
- 審決日
- 2024年11月22日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日清食品株式会社
- 【請求人代理人】林 栄二
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .16 -Z (W052930323539424344)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-84256拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年7月6日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年3月17日付け:拒絶理由通知書
令和4年6月14日付け:拒絶理由通知書
令和4年9月30日:意見書の提出
令和5年1月11日付け:拒絶査定
令和5年4月14日:審判請求書、手続補正書の提出
令和6年8月13日付け:審尋
令和6年9月26日:回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「well-being food」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、第5類、第9類、第29類、第30類、第32類、第35類、第39類、第42類、第43類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務については、前記1の手続補正書により、第5類、第29類、第30類、第32類、第35類、第39類、第42類、第43類及び第44類に属する別掲1のとおりの指定商品及び指定役務に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「well-being food」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「well-being」の文字は「幸福、安寧、繁栄、福利、健康」を意味する語であり、「food」の文字は、「食品。食物。」を意味し、本願商標に係る指定商品の用途又は指定役務の提供の用に供する物を表す語である。そして、「well-being food」の文字及び「well-being」の文字と、その表音である「ウェルビーイング」の文字は、飲食料品の分野において、健康や幸福を実現することを提唱する企業理念や経営方針等を表す語として広く用いられている実情が認められる。そうとすると、本願商標をその指定商品及び指定役務中、飲食物に関連する商品・役務に使用しても、これに接する需要者は、健康や幸福を実現することを提唱する企業理念や経営方針等を表す意味合いの一つとして捉え、これを超えて、何人かの業務に係る商品・役務であることを認識できないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記意味合いの商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品又は役務の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について、請求人に対し、審尋で、別掲2(1)ないし(6)、別掲3(1)及び(2)オないしシの事実を示すとともに、当審における合議体の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答の要点
(1)本願商標は、「食に関する「well-being」の概念を表す」ものと理解されるのではなく、「well-being」の文字の意味合いの多様性もあって、全体の意味合いが「「well-being」な食品。」であるとか、「「well-being」の食物。」といった曖昧なものとならざるを得ず、むしろ、一種の造語として認識されるとみるのが自然である。
(2)本願商標は、「well-being food」の文字を同じ書体でまとまりよく一行に横書きしてなるものであり、各文字の意味合いに関連性が見出せない「well-being」の文字と「food」の文字の順番による組み合わせに特徴があるといえるのであって、本願商標の構成中の一部分の文字だけや、別の文字と結合させたり、別の順番で記載したウェブサイトの記事や新聞記事を根拠として、本願商標の全体に関する認定を行うことは失当である。
(3)「well-being」及び「ウェルビーイング」の文字に、商品又は役務の一般名称の文字を結合させた商標が多数登録されており、本願商標の査定時と数年しか違わないから、判断の基準時の相違によって判断が全く異なるのは妥当でない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項1号ないし5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品・役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(平成21年(行ケ)第10270号、平成22年1月27日知財高裁判決)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「well-being food」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中の「well-being」の文字は、「幸福。安寧。身体的・精神的・社会的に良好な状態。」(出典:株式会社小学館「デジタル大辞泉」)等の意味を表す語であり、「food」の文字は、「食品。食物。」を意味し(出典:「広辞苑第7版」岩波書店)本願商標に係る指定商品の一般名称又は指定役務の提供の用に供する物等を表す語である。
そして、原審において示された事実及び当審における職権による調査によれば、「well-being(ウェルビーイング)」の語は、1948年発効の世界保健機関(WHO)憲章で「健康」を定義する際に用いられていたものであるが、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」における17の目標の3番目として「Good Health and well-being」が掲げられたことを契機に、世界的に注目されるようになった語であることがうかがえるものである(別掲2(1)ないし(3))。
これらの流れを受け、より多くの人がやりがいや幸福を感じながら働けるよう、各国の機関や官公庁、企業において、労働者の環境を整備することに強い関心が集まっている実情にあり、我が国においても、「well-beingに関する取組」の推進に向けた、関係省庁間での情報共有・連携強化・優良事例の横展開がはかられていることも確認できる(別掲2(4))。
また、本願の指定商品及び指定役務に関連する分野において、食に関して健康や幸福を実現することを提唱する企業の経営理念や経営方針のための取組み等を表す際に、「well-being Food(ウェルビーイングフード)」の文字が使用され、又は、「well-being(ウェルビーイング)」の文字と「Food(フード)」、「食品」あるいは「食」等の食に関する文字がともに使用されている事実が見受けられる(別掲3)。
そうとすると、本願商標は、食に関する「well-being」の概念を表すものとして、健康や幸福を実現することを提唱する企業の経営理念や経営方針のための取組み等を表す際に使用される語であって、これを普通に用いられる方法で表示するものであるから、自他商品役務の識別標識としての機能を有しないものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、これらの商品及び役務が、食に関する「well-being(ウェルビーイング)」の取組みに関する商品及び役務であることを認識、理解するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は「食に関する「well-being」の概念を表す」ものと理解されるのではなく、「well-being」の文字の意味合いの多様性もあって、全体の意味合いが「「well-being」な食品。」であるとか、「「well-being」の食物。」といった曖昧なものとならざるを得ず、むしろ、一種の造語として認識されるとみるのが自然である旨主張する。
しかしながら、前記(2)のとおり、各国及び我が国において「well-being」に関する取組みが行われている実情や、本願の指定商品及び指定役務に関連する分野における「well-being Food」等の文字の使用の実情を踏まえれば、本願商標は、食に関する「well-being」の概念を表すものとして、健康や幸福を実現することを提唱する企業の経営理念や経営方針のための取組み等を表す際に使用される語であって、これを普通に用いられる方法で表示するものであるから、自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
また、商標法第3条第1項第6号に該当する商標であるか否かは、本件審決時において、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、その需要者が、商品及び役務の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識するものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであるから、本願商標が請求人を除く他の事業者によって、現在使用されていないとしても、そのことのみをもって本願商標の同項同号該当性の判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、本願商標の登録適格性を主張するために、他の登録例を挙げているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、その指定役務との関係において、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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