商標拒絶査定不服審判
2023-005218
ザグロス、グロス
- 審判番号
- 2023-005218
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-121346
- 請求日
- 2023年03月31日
- 審決日
- 2023年12月20日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社リップス
- 【請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .13 -Z (W03) / T18 .272-Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-121346拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年9月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 4月 5日付け:拒絶理由通知書
令和4年 5月19日 :意見書の提出
令和4年 7月21日付け:手続補正指示書
令和4年12月21日付け:拒絶査定
令和5年 3月31日 :審判請求書の提出
令和5年 9月19日付け:審尋
令和5年11月 6日 :意見書の提出
2 本願商標
本願商標は、「the gloss」の文字を標準文字で表してなり、第3類「化粧品,ヘアワックス,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ヘアトリートメント,香水,香料,薫料,ネイルエナメル,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,化粧用綿棒,せっけん類,歯磨き,口臭用消臭剤,つや出し剤」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「the gloss」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「the」の文字は、「名詞に付けて、その語のもつ性質・機能などを強調したり、普通名詞をその典型を表す固有名詞のように扱ったりする」等の意味を有する語であるから、後に続く語を単に誇称するにすぎないものと認められる。
そして、本願商標の構成中、「gloss」の文字は、「光沢、つや」等の意味を有する語であり、また、本願の指定商品に係る分野においては、「リップグロス・フェースグロスなど、唇や頬などに光沢をもたせることで華やかで生き生きとした表情を作り出す化粧品」等の意味を有する語とされているものであるから、本願商標は、その構成全体から、「光沢をもたせるため(の商品)」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品中、第3類「化粧品,ヘアワックス,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ヘアトリートメント,香水,ネイルエナメル,せっけん類,つや出し剤」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が、「光沢をもたせるための商品」であること、すなわち、単に商品の品質等を理解、認識するにすぎないというべきであるから、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、令和5年9月19日付け審尋により、別掲1及び別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品中「化粧品,ヘアワックス,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ヘアトリートメント,香水,ネイルエナメル,せっけん類,つや出し剤」との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和5年11月6日に意見書を提出し、要旨以下(1)及び(2)のとおりの意見を述べた。
(1)本願商標構成中の「the」の文字が、「普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」である英語の定冠詞であるとしても、本願の指定商品に係る分野においては、そのような記述的な表現が行われておらず、上記4の審尋においても「the gloss」の文字を使用している事例は1件も挙げられていない。
(2)平易な英単語に「the」の文字を結合して商標化する手法は、過去の商標登録例からも明らかなように、一般的に採られているものであって、本願商標も、それらの登録例と同様に、自他商品の識別標識として機能し得るというべきである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「the gloss」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の「the」の文字は、「普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)である英語の定冠詞であって、我が国においても広く理解されているものである。
また、本願商標の構成中の「gloss」の文字は、「光沢、つや」(出典:「プログレッシブ英和中辞典 第5版」株式会社小学館)などを意味する語であり、また、化粧品との関係においては「つや出し用の化粧品」(出典:「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」(三省堂株式会社)を意味する語でもある。
そして、別掲1の情報にあるように、化粧品を取り扱う分野においては、「肌等に光沢・つやをもたせるための商品」が製造、販売されており、そのような商品であることを表現するために「グロス(GLOSS)」の語が用いられているほか、例えば「リップグロス」「ヘアグロス」「グロスワックス」のように、光沢・つやをもたせる効果を有する商品の名称に「グロス」の文字が用いられている事実が認められる。
また、本願の指定商品中「つや出し剤」は、「(床や自動車などに)つやをもたせること」を目的とする商品である上、別掲2の情報にあるように、つや出し剤や、床や自動車などに用いるつや出し効果を有する商品を取り扱う分野においては、その商品が「光沢・つやをもたせるための商品」であることを表現するために、商品説明や商品名に「グロス(GLOSS)」の語が用いられている事実が認められる。
以上のことを総合的に勘案すれば、本願商標をその指定商品中、化粧品及びつや出し剤の分野における商品、すなわち、「化粧品,ヘアワックス,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ヘアトリートメント,香水,ネイルエナメル,せっけん類,つや出し剤」に使用したときは、それに接する取引者、需要者は、それが「光沢・つやをもたせるための商品」であるという、商品の品質を強調して表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきである。
してみれば、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標を、その指定商品中、「化粧品,ヘアワックス,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ヘアトリートメント,香水,ネイルエナメル,せっけん類,つや出し剤」のうち、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標構成中の「the」の文字が、「普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」である英語の定冠詞であるとしても、本願の指定商品に係る分野においては、そのような記述的な表現が行われておらず、上記4の審尋においても「the gloss」の文字を使用している事例は1件も挙げられていない旨主張する。
しかしながら、本願商標それ自体や、「the」の文字と商品の品質等を表す文字を結合してなる標章について、商品の品質等の表示としての使用例が見受けられないとしても、上記(1)のとおり、本願商標を構成する「the」の文字と「gloss」の文字の意味及び使用の実情に照らせば、本願商標をその指定商品中、「化粧品,ヘアワックス,ヘアシャンプー,ヘアコンディショナー,ヘアトリートメント,香水,ネイルエナメル,せっけん類,つや出し剤」に使用するときには、これに接する取引者、需要者において、それが「光沢・つやをもたせるための商品」であるという、商品の品質を強調して表示したものと認識され得るものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品の識別力を欠くものというのが相当である。
イ 請求人は、「the」の文字と商品の普通名称等を表す文字を結合してなる商標に係る過去登録例や審決例を挙げ、平易な英単語に「the」の文字を結合して商標化する手法は一般的に採択されているものであって、本願商標もそれらの事例と同様に登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-005218