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商標拒絶査定不服審判

2023-004993

オトナノカレースパイス、オトナノカレー、オトナノ、オトナ

審判番号
2023-004993
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-039302
請求日
2023年03月27日
審決日
2024年03月11日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】幸田 八州雄
  • 【請求人代理人】鶴若 俊雄
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T18 .13 -Z (W2930)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2022-39302拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年4月5日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 8月 3日付け:拒絶理由通知書 令和4年12月20日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年 1月20日付け:拒絶査定 令和5年 3月27日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「大人のカレースパイス」の文字を標準文字で表してなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、第29類「カレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「カレーの香辛料,カレーの調味料」に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要点) 本願商標は、「大人のカレースパイス」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「カレースパイス」の文字は、「カレーに用いる香辛料」ほどの意味合いを理解させる。 そして、本願の指定商品を含む飲食料品を取り扱う業界においては、「大人向けの商品」であることをうたった商品が各種取引されている実情があり、そのような商品を「大人の○○」(○○には、商品名が入る。)と称している事実も見受けられる。 また、本願の指定商品を取り扱う業界において、多種類のスパイスを使用し、スパイスに特長を有する商品が大人向けのカレーとして広く一般に使用されている実情があるほか、本願商標の補正後の指定商品に関して、大人向けのカレーにするための香辛料が知られていたり、大人好みのスパイスカレーに変化させるための香辛料が販売されている事実が見受けられる。 そうすると、本願商標を、補正後の指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に「大人向けのカレーに用いる香辛料」又は「大人向けのカレーに用いる香辛料を使用した商品」であること、すなわち、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまるというべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について ア 本願商標は、前記2のとおり、「大人のカレースパイス」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「大人」の文字は「十分に成長した人」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」岩波書店)であり、「カレースパイス」の文字は、本願の指定商品との関係から「カレー用香辛料」を認識、理解させる語であることから、両語を格助詞「の」で連結した本願商標は、全体として「大人のためのカレースパイス(カレー用香辛料)」程度の意味合いを容易に理解させるものである。 イ ところで、我が国では、カレーは国民食と呼ばれるほど食生活に定着した料理であるところ、カレーを取り扱う業界においては、辛さなどに特長を有する大人向けのカレーと、辛さを抑えた子供向けのカレーが一般に製造、販売されており(別掲1参照)、大人向けの商品としては、大人向けのカレールウ、レトルトカレー、カレー粉や、子供向けのカレーに加えることで大人向けのカレーにするスパイスなどが流通しており、それら商品を表す際に「大人の欧風カレー」、「大人のカレーセット」、「おとなのカレー粉」などのように、「大人の(おとなの)○○」の文字を用いる例もある実情が認められる(別掲2、別掲3参照)。 そうすると、カレーを取り扱う業界において、「大人の」の文字を、例えば、カレールウ、レトルトカレー、カレー粉、カレーソース(調味料)等のカレーに係る商品(以下「カレーに係る商品」という。)を形容する語として用いた場合には、「大人の」の文字は、カレーに係る商品の辛さやスパイスの配合等が大人向けであることを表す語として、一般に認識、理解されているといえる。 ウ 以上からすると、本願商標を構成する「大人」及び「カレースパイス」の各語の語義(上記ア)に加え、「大人の」の文字がカレーに係る商品を形容する語として用いられた場合の、一般的な理解の内容(上記イ)に照らすと、本願商標は、これに接する取引者、需要者によって、「大人向けのカレースパイス(カレー用香辛料)」を意味するものとして、一般に理解、認識されるものであるといえる。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「大人向けのカレースパイス(カレー用香辛料)」又は「大人向けのカレースパイス(カレー用香辛料)を用いた商品」であること、すなわち、商品の品質を表したものとして理解、認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。 そして、本願商標は「大人のカレースパイス」の文字を、何ら文字に特徴のない標準文字で表してなるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。 したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標は、その構成全体から「大人のカレーに用いる香辛料」程の意味合いを認識させるものであり、直ちに、かつ具体的に商品の品質又は原材料を表示したものであると理解、認識させることはなく、識別力を有する旨主張し、その根拠として、品質とは「品物の性質」を意味し、「カレースパイス」の品質は「カレースパイス」の性質、例えば「香り」「色」「硬さ」「味」等であるから、「大人のカレースパイス」は「カレースパイスがもっている特色」を表示するものではなく、「品質等」に該当しない旨主張する。 しかしながら、「「品質」とは、良・不良と結び付けて用いられることが多いものの、本来、「品物の性質」というより広い意味で用いられる語であり、商標法第3条第1項第3号にいう「品質」もこの意味で用いられていることは、同号の設けられた目的に照らして明らかというべきである」(東京高裁平成11年(行ケ)第442号、同12年8月29日判決参照)と判示されているように、商標法第3条第1項第3号に規定する「商品の品質」を、請求人が主張するような意味(「香り」「色」「硬さ」「味」等)に限定して解釈する必要はないものである。 そして、「本願商標が、本願指定商品について商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、本願商標が本願指定商品との関係で商品の品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標が本願指定商品に使用された場合に、将来を含め、取引者、需要者によって商品の品質を表示したものと一般に認識されるものである必要がある」(知財高裁平成27年(行ケ)第10232号、同28年4月14日判決参照)ことから、「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する」ものか否かは、取引者、需要者の一般的な認識を基準として判断されるべきところ、本願商標が「大人向けのカレースパイス(カレー用香辛料)」を意味するものとして、一般に認識されるものであることは、上記(1)のとおりであり、本願商標に接する取引者、需要者にとっては、本願商標がそのような商品を表すことを極めて容易に想定することができるというべきである。 また、「大人の」の文字が、カレーに係る商品を形容する語として用いられた場合の取引の実情を考慮すれば、本願商標がその指定商品に用いられることによって、当該商品が、辛さやスパイスの配合等が大人向けである「カレー・シチュー又はスープのもと」及び「カレーの香辛料,カレーの調味料」であることを表し、ひいては当該商品の取引者、需要者が一般に認識する商品の性質、特色に合致するものともいえるから、仮に「商品の品質」の解釈に関する請求人の主張を前提としても、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章に当たるというべきである。 イ 請求人は、原審において示された用例について、「大人の○○」と称している事実は存在するが、「大人のカレースパイス」が「大人向けの商品」であることをうたった商品であることを示す記載はない旨述べるとともに、「大人の」の表示は、単に漠然とした「大人向け」「大人好み」程度の意味合いであり、この意味程度のことが、直ちに、かつ具体的に商品の品質又は原材料を表示するものと一般に認識するものではないことは明白である旨主張する。 しかしながら、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」(東京高裁平成12年(行ケ)第76号、同年9月4日判決参照)であるから、同号の適用に当たっては、必ずしも「大人のカレースパイス」の文字が「大人向けの商品」であることをうたった実際の使用例が要求されるわけではないと解される。そして、カレーを取り扱う業界においては、辛さなどに特長を有する大人向けのカレーと、辛さを抑えた子供向けのカレーが存在し、「大人の」の文字を、カレーに係る商品を形容する語として用いた場合には、「大人の」の文字は、カレーに係る商品の辛さやスパイスの配合等が大人向けであることを表す語として、一般に認識、理解されているといえることは、上記(1)のとおりである。 ウ 請求人は、「大人の」の文字からなる又は構成中に「大人の」を含む過去の商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。 エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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