商標拒絶査定不服審判
2023-004992
シイオオツーシイオオツー、シイオオニシイオオニ、コツーコツー、コニコニ、コツコツ
- 審判番号
- 2023-004992
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-089874
- 請求日
- 2023年03月27日
- 審決日
- 2023年08月28日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社Linkhola
- 【請求人代理人】吉浦 洋一
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .21 -WZ (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第6号、商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 89874拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年8月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和5年1月11日 :意見書の提出
令和5年2月17日付け :拒絶査定
令和5年3月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和5年4月28日付け :拒絶理由通知
令和5年6月8日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、前記第1の手続補正書により、最終的に、第9類「電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」とされたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、青みがかった緑色の文字で「CO2 CO2」及び「こつこつ」と上下2段に横書きしてなるところ、二酸化炭素(CO2)を減らすことを表す際、「CO2CO2(コツコツ)」の表記が使用されており、「CO2 CO2」及び「こつこつ」の文字よりなる本願商標は、「二酸化炭素を減らすこと」程度を表したものと需要者に認識させるものであるというのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、需要者は二酸化炭素を減らすことに関する商品・役務であると認識するにとどまり、当該認識を超えて自他商品・役務の識別標識としては機能しないものというのが相当であり、需要者が何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができない商標であるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
第4 当審における拒絶理由通知
当審において、請求人に対し、令和5年4月28日付けで、別掲2のとおりの事実を示した上で、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当する旨の拒絶理由を通知し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 当審における拒絶理由通知に対する請求人の意見
請求人は、前記第4の拒絶理由通知に対し、令和5年6月8日に意見書を提出し、要旨以下(1)及び(2)のとおりの意見を述べた。
(1)引用標章は、全国の地方公共団体による公益に関する事業であって営利を目的としないものとして広く認識されているものではなく、著名な標章とはいえない。
(2)本願商標と引用標章は非類似である。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「CO2 CO2」(審決注:「2」の数字は小さく下付文字位置に記載されている。)の欧文字及び数字と「こつこつ」の平仮名を二段に書してなるものである。
(2)引用標章が「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名」であることについて
例えば、別掲2の事実からすると、「CO2CO2(こつこつ)」の文字(以下「引用標章1」という。)、「CO2CO2(コツコツ)」の文字(以下「引用標章2」という。)、「コツコツ」の文字が「CO2CO2」の文字の上段に配されているもの(以下「引用標章3」という。)及び「こつこつ」の文字が「CO2CO2」の文字の上段に配されているもの(以下「引用標章4」という。)(以下、これらをまとめて「引用標章」ということがある。)は、全国の地方公共団体によって行われている「二酸化炭素削減のための事業やキャンペーン」の名称として広く一般に使用されているものであり、その使用は遅くとも1998年から現在に至るまでの長期間にわたるものである。また、当該「二酸化炭素削減のための事業やキャンペーン」は、引用標章と共に、全国紙を含む複数の新聞記事情報及びウェブサイト情報において、報道又は紹介されている。
してみれば、引用標章は、全国の地方公共団体による公益に関する事業であって営利を目的としないものとして、一般の者に広く認識されていると認められる。
そうすると、引用標章は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であり、かつ、著名な標章と判断するのが相当である。
(3)本願商標と引用標章の類否について
ア 本願商標について
本願商標は、前記(1)のとおりの構成からなるところ、下段の「こつこつ」の文字は上段の「CO2 CO2」の文字の読みを特定したものと無理なく認識できるから、「コツコツ」の称呼を生じるものである。
また、前記(2)のとおり、引用標章が全国の地方公共団体によって行われている二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンの名称として著名なものであることからすれば、同様の文字構成からなる本願商標からは、「全国の地方公共団体によって行われている二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンの名称」程の観念が生じるものといえる。
イ 引用標章について
引用標章1及び引用標章2は、それぞれ「CO2CO2(こつこつ)」及び「CO2CO2(コツコツ)」の文字を一連に書したものであるところ、括弧内の「こつこつ」又は「コツコツ」の文字は直前の「CO2CO2」の文字の読みを特定したものと無理なく認識できるから、それぞれ「コツコツ」の称呼を生じるものである。そして、引用標章3及び引用標章4は、それぞれ「コツコツ」又は「こつこつ」が「CO2CO2」の上段に配されている構成からなるものであるところ、上段の「コツコツ」又は「こつこつ」の文字は下段の「CO2CO2」の文字の読みを特定したものと無理なく認識できるから、それぞれ「コツコツ」の称呼を生じるものである。
また、前記(2)の使用事実からすれば、引用標章からは、「全国の地方公共団体によって行われている二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンの名称」程の観念が生じるものといえる。
ウ 本願商標と引用標章の類否判断について
(ア)外観
本願商標と引用標章1及び引用標章2を比較すると、本願商標が「CO2 CO2」の文字と「こつこつ」の文字を二段に書してなるのに対し、引用標章1及び引用標章2が横一連に書しているという差異、並びに、その構成中の「こつこつ」及び「コツコツ」の仮名文字が括弧でくくられているという差異がある。
また、本願商標と引用標章3を比較すると、仮名文字部分が上段に配されているか下段に配されているかの差異、並びに、それぞれの構成中の仮名文字部分は、平仮名と片仮名という文字種の差異がある。
そして、本願商標と引用標章4を比較すると、仮名文字部分が上段に配されているか下段に配されているかという差異がある。
しかしながら、括弧は、「数式や文章の中で、ある部分をかこって、他との区別を明らかにするための記号。」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)であって、それ以上に何らかの意味合いを認識させるものではないこと、また、商標の使用においては、構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で漢字、片仮名及び平仮名等の文字の種類を相互に変換して表記することや、欧文字等の読みを特定する振り仮名として平仮名又は片仮名を、当該欧文字等の上又は下に表示することは、我が国において一般的に行われている実情があること等からすれば、本願商標と引用標章とは、いずれも外観においては差異を有するものの、その差異はわずかなものに過ぎず、むしろこれらに接する者は、その構成文字は実質的に同一のものと理解すると判断するのが相当であるから、両者は外観において似通った印象を与えるものといえる。
(イ)称呼及び観念
本願商標と引用標章からは、共に「コツコツ」の称呼を生じ、「全国の地方公共団体によって行われている二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンの名称」程の観念を生じるものといえる。
(ウ)そうすると、本願商標と引用標章は、外観において似通った印象を与えるものであって、「コツコツ」の称呼及び「全国の地方公共団体によって行われている二酸化炭素削減のための事業やキャンペーン」程の観念を共通にするものである。
したがって、本願商標は、引用標章と類似の商標というべきである。
(4)小括
以上によれば、本願商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名な引用標章と類似の商標である。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、過去における判決例を挙げつつ、「新聞記事について7紙は、地方新聞、全国紙の特定の地域でしか配布されない地方面、発行部数が地方紙程度の経済専門紙での記載であって、ごく限られた範囲での使用にとどまるものである。また新聞記事における使用およびインターネット情報の双方を考慮したとしても、ごく一部の地方公共団体で「CO2CO2(コツコツ)」が「二酸化炭素削減のための事業やキャンペーン」の名称として使用された事実があるとしても、「マイナンバー」のように全国民を対象として全国で行われている事業ではなく、また、関東地方や関西地方などの一定の地方において行われた事業でもない。日本における地方公共団体のうち、わずか1%にも満たない地方公共団体においてそれぞれが独立して行った事業に過ぎない。これらの事情をふまえると、わずか1%の地方公共団体が個別にそのイベントで使用したに過ぎない引用標章2または引用標章1ないし引用標章5の使用があるとしても、とても「全国の地方公共団体による公益に関する事業であって営利を目的としないものとして、一般の者に広く認識されている」とは認められない。」と主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第6号にいう「著名」とは、指定商品及び役務に係る一商圏以上の範囲の取引者、需要者に広く認識されていることを要すると解される(知財高裁平成24年(行ケ)第10125号参照)。そして、前記2(2)のとおり、例えば別掲2の事実のように、引用標章が、二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンの名称として、長期間にわたり、日本全国の複数の地方公共団体によって使用されており、そのことが複数の新聞記事やウェブサイトにおいて紹介されていることからすれば、引用標章は、全国の地方公共団体による公益に関する事業であって営利を目的としないものとして、少なくとも前記新聞記事の掲載された地方新聞や全国紙地方面が頒布された地域における一般の者に広く認識されていると認められるものと判断するのが相当である。
(2)請求人は、「商標法第4条第1項第6号の法の趣旨のように「同号に掲げる標章を一私人に独占させることは、同号所定の団体の信用や権威を損ない、国際信義に反する」とまでいえるものではない」と主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第6号の趣旨は、同号所定の公的機関、非営利公益団体及び非営利公益事業(以下「公的機関等」という。)を表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標が商標登録を受けると、当該商標の使用状況等によっては、公的機関等の権威や信用が損なわれたり、また、当該商標に関する業務が公的機関等に関わるものであるなどの誤解を招き、需要者・取引者に損害を与えるという弊害が生じ得ることから、そのような商標の登録を禁じることによって、前記弊害の発生を阻止し、公的機関等の権威及び信用を保持するとともに、出所混同の防止により需要者・取引者の利益を保護するものと解される(知財高裁平成26年(行ケ)第10090号参照)。
そして、本願商標を登録すると、請求人は、本願商標を、引用標章を使用した二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンを実施する地方公共団体とは無関係の商品及び役務についても使用することができるところ、本願商標は引用標章と類似するものであるから、その使用の仕方によっては、当該地方公共団体の権威や信用を損ねることとなるし、また、本願商標を使用した商品又は役務が当該地方公共団体に関わるものであるとの誤解を招くおそれがあると判断するのが相当である。さらに、全国の地方公共団体が、二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンについて引用標章を使用する際に、登録された本願商標に係る権利を侵害することとならないような注意を払う必要が生じることになることに加え、請求人以外の者が当該事業やキャンペーンに協力企業等として参画するときには、自由に引用標章を使用することができなくなるなど、全国の地方公共団体が、引用標章を使用して、二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンで実施できる内容や範囲に制限が生じることにもなる。
してみれば、本願商標の登録を認めることは、引用標章を使用した二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンを実施する地方公共団体の信用や権威を損なうおそれがあるし、当該商標に関する業務が公的機関等に関わるものであるなどの誤解を招きかねないことからすれば、需要者・取引者に損害を与えるという弊害が生じ得ると判断するのが相当である。
(3)請求人は、本願商標は、請求人が福岡県糸島市および九州大学と協力して実証実験を行ったアプリケーションソフトウェアに使用しているものであることから、取引実情に基づけば、「請求人のアプリケーションソフトウェア」の観念を生じる旨述べるとともに、引用標章は、ごく一部の地方公共団体のイベント等の名称として使用されていたに過ぎず、また引用標章は造語であるから、特段の観念は生じないか、仮に観念が生じたとしても、「イベント」の名称程度のものでしかない旨を述べ、本願商標の観念と引用標章の観念は相違する旨主張している。
しかしながら、請求人が本願商標を、福岡県糸島市および九州大学と協力して実証実験を行ったアプリケーションソフトウェアについて使用していることは、認め得るとしても、そのことだけで直ちに「請求人のアプリケーションソフトウェア」の観念を生じるとはいえないし、ほかに本願商標に接する需要者が「請求人のアプリケーションソフトウェア」程の意味合いを認識するというべき事情は見当たらない。
そして、引用標章が全国の地方公共団体によって行われている二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンの名称として著名なものであることからすれば、本願商標及び引用標章は、ともに「全国の地方公共団体によって行われている二酸化炭素削減のための事業やキャンペーンの名称」程の観念が生じるものといえ、本願商標と引用標章の観念を共通にするものであるのは前記1(3)のとおりである。
(4)したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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