特許拒絶査定不服審判
2023-004640
密閉型圧縮機のシリンダキャップに冷媒流体排出管を結合するシステムに導入される改良およびそれを実施する対応する方法
- 審判番号
- 2023-004640
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-112300
- 請求日
- 2023年03月20日
- 審決日
- 2026年01月19日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ワールプール・エシ・ア
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 関口 哲生
- 審判官 長馬 望
- 分類
- P18 .121-WZ (F04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2017-112300「密閉型圧縮機のシリンダキャップに冷媒流体排出管を結合するシステムに導入される改良およびそれを実施する対応する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月18日出願公開、特開2018- 9566〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月7日(パリ条約による優先権主張2016年6月14日、(BR)ブラジル)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 5月28日付け :拒絶の理由の通知
同年12月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 4月 7日付け :拒絶の理由(最後)の通知
同年 7月26日 :意見書、手続補正書の提出
同年11月15日付け :補正却下の決定、拒絶査定
令和5年 3月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 4月26日付け :拒絶の理由の通知
同年 8月 7日 ;意見書、手続補正書の提出
令和7年 3月28日付け :拒絶の理由(最後)の通知
同年 9月30日 :意見書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和6年8月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認められる。
・本願発明1
「【請求項1】
少なくとも1つの冷媒流体排出管(1)と、シリンダキャップ(2)と、前記少なくとも1つの排出管(1)を前記シリンダキャップ(2)に結合するための連結システムとを備えた密閉型圧縮機であって、
前記連結システムは、
排出管(1)と協働する周辺フラップ(12)をその一端部に備える管状本体(11)を備える少なくとも1つの結合装置(10)と、
前記シリンダキャップ(2)において少なくとも1つの結合装置(10)と協働する少なくとも1つのチャネル(21)と、
シリンダキャップ(2)と協働する結合装置(10)、および排出管(1)と協働する結合装置(10)という、2つの境界面上に塗布される少なくとも1つの封止材料層と、
を備えている、当該密閉型圧縮機において、
結合装置(10)と協働する排出管(1)の全表面が圧延部であり、
排出管(1)と結合装置(10)との間の協働が、干渉によって生成され、
チャネル(21)が、円錐形の内面を有し、
結合装置(10)とシリンダキャップ(2)のチャネル(21)との間の協働が、干渉によって生成され、
結合装置(10)が、以下の材料、すなわち、鋼、アルミニウム合金、または、鋼もしくはアルミニウムを含む金属合金、の少なくとも1つ、を用いて製造されることを特徴とする、密閉型圧縮機。」
第3 当審で通知した拒絶の理由
当審が令和7年3月28日付けで通知した拒絶の理由1は、次のとおりである。
本願発明1は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願昭59-165065号(実開昭61-80383号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明(以下、「引用発明」という。)及び周知技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
ア 「2.実用新案登録請求の範囲
(1) 密閉ケース内の圧縮室に連通する吸入管取付孔を有し前記圧縮室の一側を形成するサイドプレートと、一端が前記吸入管取付孔内に圧入され他端が前記密閉ケース外に露呈する吸入管とを備え、この吸入管と前記吸入管取付孔間に吸入管およびサイドプレートの材料より高い延性を有する材料で形成された筒状のスペーサを介装したことを特徴とする回転式圧縮機の吸入管接続装置。
(2) スペーサが高分子材料からなる実用新案登録請求の範囲第1項記載の回転式圧縮機の吸入管接続装置。
(3) スペーサが非鉄系金属材料からなる実用新案登録請求の範囲第1項記載の回転式圧縮機の吸入管接続装置。」
イ 「ところが、従来の回転式圧縮機の吸入管接続装置においては、吸入管9を吸入管取付孔8a内に単に圧入する構造であるため、吸入管取付孔8aと圧入部9aとの気密保持が困難になるという欠点があった。
そこで、この機密性を高めるために吸入管9の圧入部9aおよび吸入管取付孔8aの圧入代を大きくすることが考えられるが、吸入管9を吸入管取付孔8aに圧入する際にその圧入応力によりサイドプレート8に歪が生じるという不都合があった。
本考案はこのような事情に鑑みなされたもので、気密性を確実に保持できるだけでなく、その気密保持のためにサイドプレートおよび吸入管の圧入代を大きくしても圧入応力により生じる両部材の歪を抑制できる回転式圧縮機の吸入管接続装置を提供するものである。」(明細書3ページ8行から4ページ4行)
ウ 「[問題点を解決するための手段]
本考案に係る回転式圧縮機の吸入管接続装置は、吸入管と吸入管取付孔間に吸入管およびサイドプレートの材料より高い延性を有する材料で形成された筒状のスペーサを介装したものである。
[作用]
本考案においては、吸入管と吸入管取付孔間に吸入管およびサイドプレートの材料より高い延性を有する材料で形成された筒状のスペーサを介装するから、気密保持のために吸入管およびサイドプレートの圧入代を大きくしても、吸入管を吸入管取付孔内に圧入する際に生じる圧入応力がスペーサによって吸収される。」(明細書4ページ5行から同ページ17行)
エ 「[実施例]
以下、その構成等を図に示す実施例によって詳細に説明する。第1図は本考案に係る回転式圧縮機の吸入管接続装置の一実施例を示す断面図、第2図は同じく回転式圧縮機の吸入管接続装置の要部を拡大して示す断面図で、同図において第4図と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。同図において、符号11で示すものは筒状のスペーサで、前記吸入管取付孔8aの開口周縁に対接する鍔部11aおよび前記吸入管9と吸入管取付孔8a間に介装された圧入部11bからなり、前記サイドプレート8および吸入管9の材料より高い延性を有するテフロン(商標名)等の高分子材料で形成されている。また、このスペーサ11の鍔部11aには、前記吸入管9の圧入座9bが着座している。
このように構成された回転式圧縮機の吸入管接続装置においては、吸入管9と吸入管取付孔8a間に吸入管9およびサイドプレート8の材料より高い延性を有する材料で形成されたスペーサ11を介装するから、気密保持のために吸入管9およびサイドプレート8の圧入代を大きくしても、吸入管9を吸入管取付孔8aに圧入する際に生じる圧入応力がスペーサ11によって吸収される。
なお、本実施例においては、スペーサ11の材料としてテフロン(商標名)等の高分子材料を用いる例を示したが、本考案はこれに限定されるものではなく、サイドプレート8および吸入管9の材料より高い延性を有するアルミニウム、錫、鉛あるいはこれらの合金金属等の非鉄系金属を用いても実施例と同様の効果を奏する。」(明細書4ページ18行から6ページ8行)
オ 引用文献1には、第1図及び第2図として、次の図が記載されている。
[図:0001436424000001.jpg]
(2)引用発明
上記(1)より、次の事項がわかる。
ア 「回転式圧縮機の吸入管接続装置」は、「吸入管9と吸入管取付孔8a間に」「スペーサ11を介装する」ものであって(上記(1)エ)、この吸入管取付孔8aは、図1の記載より、サイドプレート8に設けられているから、引用文献1に記載された回転式圧縮機は、吸入管9と、サイドプレート8と、吸入管9をサイドプレート8に接続するための吸入管接続装置を備えたものである。
イ 引用文献1には、サイドプレート8の吸入管取付孔8aには、吸入管9を圧入することが記載(上記(1)エ)されており、このとき、「吸入管9と吸入管取付孔8a間に」「スペーサ11を介装する」ことから、スペーサ11も吸入管取付孔8aに圧入されており、第2図の記載も参酌すると、吸入管9とスペーサ11との間は、圧入により密着しており、また、スペーサ11とサイドプレート8の吸気管取付孔8aとの間も圧入により密着していると解される。
ウ このスペーサ11は、鍔部11aおよび吸入管9と吸入管取付孔8a間に介装された圧入部11bからなり、第2図の記載から圧入部11bの一端に鍔部11aを備えている。
これらの事項、及び上記(1)に示す事項を含む引用文献1の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
・引用発明
「吸入管9と、サイドプレート8と、吸入管9をサイドプレート8に接続するための吸入管接続装置とを備えた回転式圧縮機であって、
前記吸入管接続装置は、
吸入管9と共に吸入管取付孔8a内に圧入するスペーサ11であって、鍔部11aをその一端に備える圧入部11bを備えるスペーサ11と、
前記サイドプレート8においてスペーサ11が圧入される吸気管取付孔8aと、
を備えている、当該回転式圧縮機であって、
吸入管9とスペーサ11との間が圧入により密着し、
スペーサ11とサイドプレート8の吸気管取付孔8aとの間が、圧入により密着し、
スペーサ11が、テフロン等の高分子材料、アルミニウム、錫、鉛、あるいはこれらの合金金属等の非鉄軽金属を用いている回転式圧縮機。」
第5 対比、一致点及び相違点
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「吸気管9」と本願発明1の「少なくとも1つの冷媒流体排出管(1)」及び「排出管(1)」とは、少なくとも1つの流体管である点で共通する。引用発明の「サイドプレート8」は、本願発明1の「シリンダキャップ(2)」に相当し、引用発明の「接続する」ことは、本願発明1の「結合する」ことに相当し、引用発明の「吸入管接続装置」、「回転式圧縮機」は、それぞれ、本願発明1の「連結システム」、「密閉型圧縮機」に相当する。そうすると、引用発明の「吸入管9と、サイドプレート8と、吸入管9をサイドプレート8に接続するための吸入管接続装置とを備えた回転式圧縮機」は、本願発明1の「少なくとも1つの冷媒流体排出管(1)と、シリンダキャップ(2)と、前記少なくとも1つの排出管(1)を前記シリンダキャップ(2)に結合するための連結システムとを備えた密閉型圧縮機」と、少なくとも1つの流体管と、シリンダキャップと、前記少なくとも1つの流体管を前記シリンダキャップに結合するための連結システムとを備えた密閉型圧縮機である点で共通する。
引用発明の「スペーサ11」は、本願発明1の「結合装置10」に相当する。引用発明の「鍔部11aをその一端に備える圧入部11b」は、本願発明1の「周辺フラップ(12)をその一端部に備える管状本体(11)」に相当し、引用発明の「吸入管9と共に吸入管取付孔8a内に圧入するスペーサ11」は、スペーサ11が吸入管9と共に吸入管取付孔8a内に圧入されて、吸入管9と共にスペーサ11が吸入管取付孔8aに固定される作用を有することとなるから、本願発明の「排出管(1)と協働する」「少なくとも1つの結合装置10」と流体管と協働する少なくとも1つの結合装置である点で共通する。そうすると、引用発明の「吸入管9と共に吸入管取付孔8a内に圧入するスペーサ11であって、鍔部11aをその一端に備える圧入部11bを備えるスペーサ11」と、本願発明1の「排出管(1)と協働する周辺フラップ(12)をその一端部に備える管状本体(11)を備える少なくとも1つの結合装置(10)」とは、流体管と協働する周辺フラップをその一端部に備える管状本体を備える少なくとも1つの結合装置である点で共通する。
引用発明の「吸気管取付孔8a」は、本願発明1の「少なくとも1つのチャネル(21)」に相当し、引用発明の「スペーサ11が圧入される吸気管取付孔8a」は、スペーサ11が吸入管9と共に圧入されることで、吸入管9と吸気管取付孔8aとにより吸入管9を接続することとなるから、本願発明1の「少なくとも1つの結合装置(10)と協働する少なくとも1つのチャネル(21)」に相当する。そうすると、引用発明の「前記サイドプレート8においてスペーサ11が圧入される吸気管取付孔8a」は、本願発明1の「前記シリンダキャップ(2)において少なくとも1つの結合装置(10)と協働する少なくとも1つのチャネル(21)」に相当する。
引用発明の「吸入管9とスペーサ11との間が圧入により密着」することは、吸入管9とスペーサ11とが互いに押圧して固定されることとなるから、本願発明1の「排出管(1)と結合装置(10)との間の協働が、干渉によって生成され」ることと、流体管と結合装置との間の協働が、干渉によって生成される点で共通する。
引用発明の「スペーサ11とサイドプレート8の吸気管取付孔8aとの間が、圧入により密着」することは、本願発明1の「結合装置(10)とシリンダキャップ(2)のチャネル(21)との間の協働が、干渉によって生成され」ることに相当する。
引用発明の「スペーサ11が、テフロン等の高分子材料、アルミニウム、錫、鉛、あるいはこれらの合金金属等の非鉄軽金属を用いている」ことは、スペーサ11が少なくともアルミニウム合金、あるいは、アルミニウムを含む金属合金を用いて製造されるものを含んでいるから、本願発明1の「結合装置(10)が、以下の材料、すなわち、鋼、アルミニウム合金、または、鋼もしくはアルミニウムを含む金属合金、の少なくとも1つ、を用いて製造される」ことに相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1から4の点で相違する。
・一致点
「少なくとも1つの流体管と、シリンダキャップと、前記少なくとも1つの流体管を前記シリンダキャップに結合するための連結システムとを備えた密閉型圧縮機であって、
前記連結システムは、
流体管と協働する周辺フラップをその一端部に備える管状本体を備える少なくとも1つの結合装置と、
前記シリンダキャップにおいて少なくとも1つの結合装置と協働する少なくとも1つのチャネルと、
を備えている、当該密閉型圧縮機において、
流体管と結合装置との間の協働が、干渉によって生成され、
結合装置とシリンダキャップのチャネルとの間の協働が、干渉によって生成され、
結合装置が、以下の材料、すなわち、鋼、アルミニウム合金、または、鋼もしくはアルミニウムを含む金属合金、の少なくとも1つ、を用いて製造される、密閉型圧縮機。」
・相違点1
流体管に関して、本願発明1は、「冷媒流体排出管(1)」であるのに対し、引用発明は、「吸入管9」である点。
・相違点2
本願発明1は、「シリンダキャップ(2)と協働する結合装置(10)、および排出管(1)と協働する結合装置(10)という、2つの境界面上に塗布される少なくとも1つの封止材料層」を備えているのに対し、引用発明は、そのような層を備えることが特定されていない点。
・相違点3
本願発明1は、「結合装置(10)と協働する排出管(1)の全表面が圧延部であ」るのに対し、引用発明は、吸入管9について、そのような事項が特定されていない点。
・相違点4
本願発明1は、「チャネル(21)が、円錐形の内面を有し」ているのに対し、引用発明は、吸入管取付孔8aの内面形状が不明な点。
第6 判断
相違点について検討する。
1 相違点1及び相違点3について
引用発明は、回転式圧縮機の発明であり、このような圧縮機は吸入管と共に圧縮した吸入ガスを排出するから、吸入管9と共に排出管も備えており、排出管の接続装置においても、吸入管9と同様に気密保持が必要であること(圧縮機の排出管を気密保持する必要があることは、例えば、実願昭56-172586号(実開昭58-75985号)のマイクロフィルムの明細書1ページ下から2行から2ページ11行に記載されるように周知技術である。)は、引用文献1に接した当業者にとって自明な事項である。また、本願の優先日前において、圧縮機に接続される配管として、圧延管を用いることは、周知技術である。
そうすると、引用発明において、圧延管である排出管を備え、この排出管についても吸入管9と同様の事項により気密保持をはかるようにし、相違点1及び3に係る本願発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
2 相違点2について
本願の優先日前において、管を結合する部分に樹脂の層を設けることは周知技術(周知例として、実願昭51-99690号(実開昭53-18630号)のマイクロフィルム(特に、明細書2ページ6行から同ページ10行、3ページ8行から同ページ12行参照)、特開平5-340375号公報(特に【0013】、【0014】、図3の記載参照。)、特表2012-501423号公報(特に、【0020】、【0031】参照)がある。)であり、引用発明において、管の接合部分の気密性を高めるために、周知技術を適用し、樹脂の層を設け、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項である。
3 相違点4について
引用発明において、吸気管9は、吸気管取付孔8aに圧入されるものである。このような圧入が行われるためには、吸気管取付孔8aの開口部は吸気管9よりもわずかに大きくしておく必要があり(開口径が管外径と同一であると挿入できない)、圧入された後、気密保持が保たれるためには、吸気管取付孔8aの開口から奥の部分では、吸気管が密着するように吸気管の外径と同一であるかそれよりもわずかに小さい径となっている必要があり、このことは、引用文献1に接した当業者にとって自明な事項である。
そうすると、引用発明においても吸気管取付孔8aは、円錐形の内面を有しているといえ、相違点4は、実質的な相違点ではない。また、仮に、実質的な相違点であるとしても、吸気管取付孔8aの内面を円錐形とすることは、容易になし得た事項である。
4 効果について
相違点1から4に係る本件発明1の発明特定事項を一体にみても、本件発明1が奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであり、格別なものとはいえない。
5 審判請求人の主張について
審判請求人は、「引用文献1は、排出管を備えたシステム、円錐形のチャネルを備えたシステム、及び3つの異なる金属要素(管、コネクタ、及びヘッド)間の二重の独立した干渉を備えたシステムを開示してお」らず、「境界面への接着材の塗布やラミネートな管面についても言及もして」いないことから、「構造的な要求の低い吸入管に関する引用文献1の解決策を、本発明が想定するような、金属境界面間の接着剤によるアクティブなシール、センタリング特性および精密な形状コントロールを必要とする高圧排出システムに適用することは、当業者にとって自明ではない」と主張している(令和7年9月30日提出の意見書 「2. 理由1(進歩性)の拒絶理由について」)。
しかしながら、吸気管及び排出管のいずれであっても、そのシリンダキャップ等への結合にあたって、当該結合部から管路内を流れる流体が漏れることのないよう結合する必要があることは、当業者にとって自明な事項であり、引用発明においても、従来技術において、「気密保持が困難になるという欠点」を解決するためになされたものである(上記第4・1(1)イ)から、同様に、気密保持をすることが要される排出管に適用することは、当業者が容易に想到し得た事項である。また、一般に圧縮機の吐出管を流れる流体の圧力は、吸気管を流れる流体の圧力より高いことから、審判請求人は、「高圧排出システムに適用することは、当業者にとって自明ではない」と主張しているものと解されるが、引用発明において、吐出管を流れる流体の圧力が吸気管を流れる流体の圧力より高いことをもって、直ちに引用発明を排出管に適用することができないというものではなく、また、この際に、より確実な気密保持をはかるために、上記周知技術等を適用することは、当業者が容易に想到し得た事項である。
よって、審判請求人の主張は採用することができない。
6 小結
以上のことから、本願発明1は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
第7 結論
以上のとおり、本願発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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