特許拒絶査定不服審判
2023-004055
フローアイス製造装置及びフローアイス製造システム
- 審判番号
- 2023-004055
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-103077
- 請求日
- 2023年03月09日
- 審決日
- 2024年01月05日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ニチモウ株式会社
- 【請求人代理人】後藤 隆英
- 【請求人】冷凍工業株式会社
- 【請求人代理人】後藤 隆英
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 竹下 和志
- 審判官 間中 耕治
- 分類
- P18 .121-WYF(F25C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-103077「フローアイス製造装置及びフローアイス製造システム」拒絶査定不服審判事件〔請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、令和4年6月27日の出願であって、同年10月5日付けで拒絶理由が通知され、同年11月8日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月8日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和5年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
●理由2.(進歩性)本願の請求項1-7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された次の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2006-266639号公報(以下、「引用文献1」という。)
引用文献2.特許第6294403号公報(以下、「引用文献2」という。)
引用文献3.特開2013-234785号公報
第3 本願発明
令和5年3月9日の手続補正は、適法なものである。
よって、本願の請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和5年3月9日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
原料処理液を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクから循環的に供給される原料処理液を、冷凍機から循環的に供給される冷媒により冷却して氷粒子を生成する製氷機と、を備えたものであって、
前記製氷機が、
前記冷凍機からの冷媒により冷却される内周面を有するドラム状部材と、
前記ドラム状部材の中心軸に沿って配置された回転軸と、
前記回転軸から半径方向の外方に向かって延出して前記ドラム状部材の内周面に摺接した状態に配置され、前記回転軸とともに回転されるスクレーパー状部材と、
を有するフローアイス製造装置において、
前記原料処理液は、塩分濃度が1%から3.5%の海水からなり、
前記ドラム状部材の内周面が-10℃の温度に維持され、かつ、前記スクレーパー状部材の回転軸が190rpmで回転されることにより、前記ドラム状部材の内周面に氷粒子の膜が形成される前における0.05mmの粒径の氷粒子の掻き取りを行うことを特徴とするフローアイス製造装置。
【請求項2】
前記貯留タンクから前記製氷機のドラム状部材へ供給される原料処理液が、前記ドラム状部材の単位体積当たり毎分100リットル~150リットルの循環量とされていることを特徴とする請求項1記載のフローアイス製造装置。
【請求項3】
前記スクレーパー状部材は、当該スクレーパー状部材を前記ドラム状部材の内周面に押圧する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項1記載のフローアイス製造装置。
【請求項4】
前記スクレーパー状部材が、前記回転軸に対して着脱される管状部材に取り付けられ、
前記管状部材が、前記回転軸に対して着脱されることによって前記スクレーパー状部材が交換可能な構成になされていることを特徴とする請求項1記載のフローアイス製造装置。
【請求項5】
前記スクレーパー状部材が、樹脂材からなることを特徴とする請求項1記載のフローアイス製造装置。
【請求項6】
前記貯留タンクには、当該貯留タンク内の原料処理液を予め冷却しておく予冷却手段が付設されていることを特徴とする請求項1記載のフローアイス製造装置。
【請求項7】
請求項1記載のフローアイス製造装置におけるプロセス状態量を操作・調整するプロセス制御手段を有するフローアイス製造システムであって、
前記プロセス制御手段が、
前記ドラム状部材の内周面を-10℃の温度に維持する温度調整手段と、
前記スクレーパー状部材の回転軸を190rpmで回転させる回転駆動調整手段と、
前記貯留タンクから前記製氷機のドラム状部材へ供給される原料処理液を、前記ドラム状部材の単位体積当たり毎分100リットル~150リットルの循環量に維持する液循環調整手段と、
を備えていることを特徴とするフローアイス製造システム。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、「塩水混合シャーベット状アイスの製造方法および塩水混合シャーベット状アイスの製造装置」に関して、次の記載事項及び図示事項がある(下線は、当審が付与した。以下同様。)。
ア「【0016】
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を図1により説明する。図1はこの発明の塩水混合シャーベット状アイスの製造方法を実施する塩水混合シャーベット状アイスの製造装置の全体のシステム構成の事例を示す図であり、塩水として海水を利用する場合を例示してある。
【0017】
図1において、塩水混合シャーベット状アイスの製造装置は、製氷装置(アイスジェネレータとも言われる)1と、前記製氷装置1の駆動源(この実施の形態1では後述の回転円筒1fを駆動するモータ)2と、インバータ2aと、前記製氷装置1の負荷状態を検出する製氷装置負荷検出センサー(電流センサー、電流計、等)3と、冷凍機4と、圧縮機5と、凝縮機6と、冷媒配管7と、膨張弁8と、圧力センサー9と、温度センサー10と、循環ポンプ11と、インバータ等のポンプ制御装置11aと、塩水用配管(この実施の形態1では海水用配管である)12と、シャーベット状アイスと塩水との混合水が流れるシャーベット配管13と、シャーベット状アイスと塩水との混合水、即ち塩水混合シャーベット状アイス、を貯える貯氷タンク14と、攪拌機(アジテータとも言う)16の駆動源(モータ等)15と、貯氷タンク14用の第1のバルブ19と、貯氷タンク14用の第2のバルブ21と、塩分濃度調整装置260aと、冷海水貯蔵タンク等の冷海水貯蔵手段27と、冷海水供給制御バルブ28、タンク還流ループ29、塩水還流装置36と、塩水還流ポンプ37とを備えている。
【0018】
前記製氷装置1は、蒸発器の機能を有する冷媒側通路1aと、塩水側通路1bと、スクレーパ(掻き取り機あるいは掻き取り羽根とも言う)1cと、外筒1dと、内筒1eと、回転円筒1fとを備えている。前記外筒1dと前記内筒1eとの間に前記冷媒側通路1aが形成され、該冷媒側通路1aの形状は円筒状を成している。前記回転円筒1fと前記内筒1eとの間に前記塩水側通路1bが形成され、該塩水側通路1bの形状は円筒状を成している。前記回転円筒1fの外周に複数個の前記スクレーパ1cが周方向および中心線の延在方向に夫々所定間隔に取り付けられており、当該複数個のスクレーパ1cは前記塩水側通路1b内に配設されている。
【0019】
前記インバータ2aは、前記塩水混合シャーベット状アイスの塩分濃度に対応した出力を出し当該出力で前記駆動源2を回転数制御し、前記スクレーパ1cの回転数を前記塩水混合シャーベット状アイスの塩分濃度に対応して変えるものである。具体的には、前記スクレーパの回転数を、前記塩水混合シャーベット状アイスの塩分濃度が高い場合より低い場合の方が高くなるように制御する。」
イ「【0023】
前記塩分濃度調整装置260aは、塩分濃度調整タンク22と、この塩分濃度調整タンク22へ供給される海水23の流量を調整する海水量調整バルブ25bと、前記塩分濃度調整タンク22へ供給される真水24の流量を調整する真水量調整バルブ25aと、前記塩分濃度調整タンク22内の海水23と真水24との混合水の塩分濃度を検出する塩分濃度センサー26と、この塩分濃度センサー26の出力を入力し選択設定された一定の塩分濃度と塩分濃度センサー26が検出した塩分濃度との差に基づいて前記塩分濃度調整タンク22内の海水23と真水24との混合水の塩分濃度が前記選択設定された一定の塩分濃度になるように前記真水量調整バルブ25aおよび前記海水量調整バルブ25bの開度を制御する塩分濃度設定器261とを備えている。なお、塩分濃度設定器261には、例えば図示のように、塩分濃度が2(%),3(%),4(%),5(%),・・・n(%)が表示され、当該塩分濃度を任意に選択すれば選択した塩分濃度が設定され、以後、塩分濃度を他の塩分濃度を選択するまでは、当該選定による設定濃度に固定されるようにしてある。」
ウ「【0028】
貯氷タンク14に蓄えられた所定の一定塩分濃度且つ所定の一定温度の塩水は、循環ポンプ11により製氷装置(アイスジェネレータとも言う)1の塩水側通路1b内に投入される。製氷装置1の冷媒側通路(蒸発器)1aに、冷凍機4から供給される-12℃程度の冷媒液が流れる。
【0029】
製氷装置1の塩水側通路1bに前記所定塩分濃度且つ所定温度の塩水が流れ、該塩水は製氷装置1の内筒1eの内周面(伝熱面)に接触し、接触した当該塩水が冷媒側通路(蒸発器)1aの冷媒によって冷却され前記内筒1eの内周面に氷が生成される。
【0030】
前記内筒1eの内周面に生成された氷は、製氷装置の駆動源(回転円筒駆動モータ)2で回転駆動されている回転円筒1fの外周のスクレーパ(掻き取り羽根)1cによって掻き取られる。
【0031】
スクレーパ1cによって掻き取られた氷は、およそ0.1mmの大きさの粒子であり、製氷装置1の塩水側通路1b内で当該塩水側通路1b内の塩水と混合され、塩水中に略均質に散在したシャーベット状となる。つまり、塩水混合シャーベット状アイスとなる。」
エ「【0039】
また、塩水混合シャーベット状アイスの塩分濃度が2%と低い場合は、インバータ2aの出力によりスクレーパ1cの回転速度が塩分濃度が3%の場合より高く制御されているので、氷が硬く且つ成長しやすい塩分濃度(2%)であっても、ロック状態に陥る可能性は一層小さくなる。」
オ「【図1】
[図:0001406529000001.jpg]
」
(2)上記(1)から認められること
ア 記載事項ア及びウ並びに図1の図示事項から、製氷装置1には、塩水が貯氷タンク14から塩水用配管12を介して投入されて、製氷装置1で氷が生成されるとともに、スクレーパ1cで氷が掻き取られて塩水と混合してシャーベット状となり、塩水混合シャーベット状アイスが配管13を介して、貯水タンク14に貯えられるものといえる。そうすると、製氷装置1は、塩水が、循環的に供給されるものといえる。
また、記載事項ア、記載事項ウ及び図1の図示事項から、製氷装置1は、冷凍機4から冷媒配管7を介して循環的に供給される冷媒液により冷却されるものといえる。
そうすると、引用文献1には、貯氷タンク14から循環的に供給される塩水を、冷凍機4から循環的に供給される冷媒液により冷却して氷を生成する製氷装置1が記載されているものと認められる。
また、上述の事項から、引用文献1には、塩水を用いた氷の製造装置が記載されているものと認められる。
イ 記載事項ア及び図1の図示事項から、回転円筒1fは、内筒1eに対してスクレーパ1cの回転中心となるものと認められる。また、記載事項ウから、スクレーパ1cは、内筒1eの内周面に生成されたおよそ0.1mmの氷を掻き取ることから、回転円筒1fは、およそ0.1mmの粒径の氷を掻き取るために内筒1eの中心軸に沿って配置されたものであるといえる。
ウ 記載事項ア及び図1の図示事項から、スクレーパー1cは、回転円筒1fから半径方向の外方に向かって延出して、塩水側通路1b内に配設され、前記回転円筒1fとともに回転されるものと認められる。
エ 記載事項イから、塩分濃度調整装置261により塩分濃度が2%又は3%に設定することで、海水23と真水24との混合水を設定した塩分濃度で供給可能であるものと認められる。
オ 記載事項ウから、冷凍機4から-12℃程度の冷媒液を流すことで内筒1eの内周面の温度が調整されるものと認められる。
(3)引用発明
上記(1)-(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
〔引用発明〕
「 塩水を貯える貯氷タンク14と、
前記貯氷タンク14から循環的に供給される塩水を、冷凍機4から循環的に供給される冷媒液により冷却して氷を生成する製氷装置1と、を備えたものであって、
前記製氷装置1が、
前記冷凍機4からの冷媒液により冷却される内周面を有する内筒1eと、
前記内筒1eの中心軸に沿って配置された回転円筒1fと、
前記回転円筒1fから半径方向の外方に向かって延出して、塩水側通路1b内に配設され、前記回転円筒1fとともに回転されるスクレーパー1cと、
を有し、
前記塩水は、塩分濃度調整装置261により設定された塩分濃度が2%又は3%の海水23と真水24との混合水からなり、
前記冷凍機4から-12℃程度の冷媒液を流すことで内筒1eの内周面の温度が調整され、かつ、前記スクレーパー1cを回転することにより、前記内筒1eの内周面に生成されたおよそ0.1mmの粒径の氷の掻き取りを行う塩水を用いた氷の製造装置。」
2 引用文献2
(1)引用文献2の記載事項
引用文献2には、「製氷機」に関して、次の記載事項及び図示事項がある。
ア「【0026】
次に、上記構成を有する製氷機10の動作について説明する。
海産物の鮮度保持に使用されるシャーベット状の氷の温度は、概ね-3℃~-1℃である。他方、塩水の塩分濃度が上昇すると、塩水の凍結温度は低下する。従って、シャーベット状の氷の温度が概ね-3℃~-1℃となるように、塩水の塩分濃度を設定する。因みに、NaCl水溶液の場合、塩分濃度は4.5質量%~1.5質量%となる。塩水の温度は低いほうが良いが、5℃~25℃とする。
【0027】
冷凍機を作動させることで竪型ドラム11に冷媒を供給し、竪型ドラム11の内周面の温度を-20℃~-25℃にする。
次いで、ギヤードモータ20を作動させて、回転軸12を材軸周りに回転させると共に、ロータリージョイント21を介して回転軸12内に塩水を供給する。回転軸12の回転速度は2rpm~4rpmとする。なお、パイプ13ではなくスプレーノズルを使用した場合は、回転軸12の回転速度は10rpm~15rpmとする。
噴射孔13aから噴射される塩水量は、噴射された塩水が竪型ドラム11の内周面上で全量凍結する程度の量とする。具体的には、排出口16から排出される塩水の量を観察し、排出口16から排出される塩水がほぼゼロとなるように、噴射孔13aから噴射される塩水量を調節する。
【0028】
アーム14と共に回転するパイプ13から竪型ドラム11の内周面に向けて噴射された塩水は、竪型ドラム11の内周面に接触すると瞬時に凍結する。竪型ドラム11の内周面に生成したシャーベット状の氷は、アーム14と共に回転するブレード15によって掻き取られる。掻き取られたシャーベット状の氷は排出口16から落下する。
【0029】
[第2の実施の形態]
竪型ドラムの直径が1mを超えるレベルになると、製造過程をいくら精密にしたところで竪型ドラムの内周面の真円度を確保することは難しい。また、製氷機完成後も、製氷運転による製氷機と外気温との温度差が繰り返されることにより、竪型ドラム等の金属材料に僅かな不均一収縮が発生し竪型ドラムが変形する。そのため、ブレードの刃先と竪型ドラムの内周面との間隙を一定に維持することができない。
【0030】
そこで、本発明の第2の実施の形態に係る製氷機では、竪型ドラムの内周面にブレードの刃先を常時、押し付ける機構としている。本発明の第2の実施の形態に係る製氷機30の部分断面斜視図を図4に、ブレード押圧機構を説明するための図を図5及び図6にそれぞれ示す。なお、本発明の第1の実施の形態に係る製氷機10と同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0031】
本実施の形態に係る製氷機30では、帯板材からなるブレード35がブレード保持部材36に保持され、ブレード連結部材37を介してアーム34の先端部34aに接合されている(図7参照)。ブレード35、ブレード保持部材36、及びブレード連結部材37は、帯板材からなる一対のブレード挟持部材38によって挟持されている。
【0032】
ブレード35は、一方の長辺方向端面が傾斜面とされ、シャーベット状の氷を掻き取る刃先とされている。ブレード35の材質としてはステンレスでもよいが、ステンレスより柔らかく塩水に対して耐性のあるチタンや、樹脂製耐摩耗摺動材、炭素繊維などが好ましい。
【0033】
ブレード保持部材36は、帯板の上下両端部がアーム34側に突出し、大略C字形とされている。ブレード保持部材36の上下両端部からアーム34側に突出する一対の突起部36c間に、帯板状とされたブレード連結部材37の前半分(ブレード35側)が嵌入される。一方、ブレード保持部材36のブレード35側長辺の下端部には、ブレード35が脱落しないように保持するための突起部36bが形成されている。
また、ブレード保持部材36には、長辺方向に間隔をあけて厚さ方向に貫通する複数の貫通孔36aが形成されている。一対のブレード挟持部材38は、貫通孔36aを挿通するネジ(図示省略)によってブレード保持部材36に固定される。
【0034】
帯板状とされたブレード連結部材37には、長辺方向に間隔をあけて短辺方向に貫通する複数の貫通孔37aが形成され、各貫通孔37a内のブレード35側に弾性部材24が、アーム34側に弾性部材24の押圧力を調節する押圧力調節部材27が挿入されている。
なお、図5の左側のブレード35及び図6のブレード35では、説明の便宜上、ブレード挟持部材38を省略する。
【0035】
本実施の形態では弾性部材24として円筒状のウレタンゴムを使用している。弾性部材24には、15%圧縮時60kg、20%圧縮時80kg、25%圧縮時100kgの押圧力が発生する。なお、弾性部材24の後端部(アーム34側)には座金25が貼着されている。
押圧力調節部材27は、座金25を押圧する円柱状の押圧棒29と、押圧棒29の後端部(アーム34側)を押圧するボルト31と、ボルト31の螺挿位置を固定するナット33とを備えている。一方、各貫通孔37aのアーム34側内周面には、ボルト31と螺合する雌ネジ部(図示省略)が形成されている。
【0036】
ボルト31を回すことによりボルト31が貫通孔37a内に進入し、ボルト31の先端部が押圧棒29の後端部を押す。これにより、押圧棒29がブレード35側に移動し、押圧棒29の先端部(ブレード35側)が座金25を介して弾性部材24を押圧する。その結果、弾性部材24に押圧力が発生し、弾性部材24はブレード保持部材36を介してブレード35の刃先を竪型ドラム11の内周面に押し付ける。
【0037】
図7は、ブレード35の刃先が竪型ドラム11の内周面に押し付けられている状態を示している。同図において回転軸32は反時計回りに回転する。アーム34は、その先端部34aが回転方向に向けて折れ曲がっており、アーム34の先端部34aにブレード連結部材37の後端部が接合されている。」
イ「【図5】
[図:0001406529000002.jpg]
」
ウ「【図6】
[図:0001406529000003.jpg]
」
エ「【図7】
[図:0001406529000004.jpg]
」
(2)引用文献2に記載された技術的事項
上記(1)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用文献2に記載された技術的事項〕
「竪型ドラム11の内周面の温度を-20℃から-25℃とし、塩分濃度が4.5質量%~1.5質量%である塩水を用いて、シャーベット状の氷を製氷する製氷器30において、回転軸32を回転速度10rpm~15rpmで回転させ、アーム34に接続されたブレード35を、竪型ドラムの内周面に常時、押しつけることで、氷を掻き取る製氷器30。」
第5 対比及び判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「塩水」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明1の「原料処理液」に相当し、以下同様に、「貯氷タンク14」は「貯留タンク」に相当する。
また、引用発明の「貯氷タンク14から循環的に供給される塩水」は、本願発明1の「貯留タンクから循環的に供給される原料処理液」に、以下同様に、「冷凍機4から循環的に供給される冷媒液」は「冷凍機から循環的に供給される冷媒」に、「氷」は「氷粒子」に、「製氷装置1」は「製氷機」に相当する。
そうすると、引用発明の「貯氷タンク14から循環的に供給される塩水を、冷凍機4から循環的に供給される冷媒液により冷却して氷を生成する製氷装置1」は、本願発明1の「貯留タンクから循環的に供給される原料処理液を、冷凍機から循環的に供給される冷媒により冷却して氷粒子を生成する製氷機」に相当する。
また、引用発明の「冷凍機4からの冷媒液により冷却される内周面を有する内筒1e」は、本願発明1の「冷凍機からの冷媒により冷却される内周面を有するドラム状部材」に相当する。
また、引用発明の「内筒1eの中心軸に沿って配置された回転円筒1f」は、本願発明1の「ドラム状部材の中心軸に沿って配置された回転軸回転軸」に相当する。
また、引用発明の「スクレーパ1c」は、「内筒1e」の内側に配置されるものであるから、引用発明の「回転円筒1fから半径方向の外方に向かって延出して、塩水側通路1b内に配設され、前記回転円筒1fとともに回転されるスクレーパー1c」は、本願発明1の「回転軸から半径方向の外方に向かって延出して前記ドラム状部材の内周面に摺接した状態に配置され、前記回転軸とともに回転されるスクレーパー状部材」と、「回転軸から半径方向の外方に向かって延出して前記ドラム状部材の内側に配置され、前記回転軸とともに回転されるスクレーパー状部材」である限りにおいて一致する。
また、引用発明の「塩水は、塩分濃度調整装置261により設定された塩分濃度が2%又は3%の海水23と真水24との混合水からな」ることは、「塩分濃度が2%又は3%の海水23と真水24との混合水」が、塩分濃度1%から3.5%の範囲の海水であるといえるから、本願発明1の「原料処理液は、塩分濃度が1%から3.5%の海水からな」ることに相当する。
また、引用発明の「冷凍機4から-12℃程度の冷媒液を流すことで内筒1eの内周面の温度が調整され」ることは、本願発明1の「ドラム状部材の内周面が-10℃の温度に維持され」ることと、「ドラム状部材の内周面を低温に維持され」ることである限りにおいて一致する。
また、引用発明の「スクレーパー1cを回転することにより」は、「スクレーパー1c」が「回転円筒1fにより回転されることから、本願発明1の「スクレーパー状部材の回転軸が190rpmで回転されることにより」と、「スクレーパー状部材の回転軸が回転されることにより」である限りにおいて一致する。
また、引用発明の「内筒1eの内周面に生成されたおよそ0.1mmの粒径の氷の掻き取りを行う」ことは、本願発明1の「ドラム状部材の内周面に氷粒子の膜が形成される前における0.05mmの粒径の氷粒子の掻き取りを行う」ことと、「ドラム状部材の内周面に形成された氷粒子の掻き取りを行う」ことである限りにおいて一致する。
また、引用発明の「塩水を用いた氷の製造装置」は、本願発明1の「フローアイス製造装置」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。
〔一致点〕
「 原料処理液を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクから循環的に供給される原料処理液を、冷凍機から循環的に供給される冷媒により冷却して氷粒子を生成する製氷機と、を備えたものであって、
前記製氷機が、
前記冷凍機からの冷媒により冷却される内周面を有するドラム状部材と、
前記ドラム状部材の中心軸に沿って配置された回転軸と、
前記回転軸から半径方向の外方に向かって延出して前記ドラム状部材の内側に配置され、前記回転軸とともに回転されるスクレーパー状部材と、
を有するフローアイス製造装置において、
前記原料処理液は、塩分濃度が1%から3.5%の海水からなり、
前記ドラム状部材の内周面を低温に維持され、かつ、前記スクレーパー状部材の回転軸が回転されることにより、前記ドラム状部材の内周面に形成された氷粒子の掻き取りを行うことを特徴とするフローアイス製造装置。」
〔相違点1〕
「スクレーパー状部材」について、本願発明1は、「スクレーパー状部材」が「ドラム状部材の内周面に摺接した状態に配置され」、「スクレーパー状部材の回転軸が190rpmで回転される」ものであるのに対して、引用発明は、スクレーパー1cが内筒1eの内周面に摺接した状態で配置されるものであるか不明であり、かつ、スクレーパー1cの回転数も不明である点。
〔相違点2〕
「ドラム状部材の内周面を低温に維持」することについて、本願発明1は、「ドラム状部材の内周面が-10℃の温度に維持され」るものであるのに対して、引用発明は、「冷凍機4から-12℃の冷凍液を流すことで内筒1eの内周面の温度が調整され」るが、「内筒1eの内周面」の温度が明らかでない点。
〔相違点3〕
「氷粒子の掻き取り」について、本願発明1は、「ドラム状部材の内周面に氷粒子の膜が形成される前における0.05mmの粒径の氷粒子の掻き取りを行う」ものであるのに対して、引用発明は、「内筒1eの内周面に生成されたおよそ0.1mmの粒径の氷の掻き取りを行う」ものである点。
上記相違点1について検討する。
引用文献2に記載された技術的事項は、「竪型ドラム11の内周面の温度を-20℃から-25℃とし、塩分濃度が4.5質量%~1.5質量%である塩水を用いて、シャーベット状の氷を製氷する製氷器30において、回転軸32を回転速度10rpm~15rpmで回転させ、アーム34に接続されたブレード35を、竪型ドラムの内周面に常時、押しつけることで、氷を掻き取る製氷器30」である。
しかしながら、仮に引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用することができたとしても、「スクレーパー状部材」について、スクレーパー状部材の回転軸が190rpmで回転されものにはならないのであるから、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は構成しない。
そして、本願発明1は、「原料処理液として海水を使用した場合には、海水の塩分濃度が1%のときよりも3.5%の海水の方が、氷の膜が形成され易くなることから、それに対処するためには回転ブレードの回転数を150rpm以上に上げる必要がある。」(段落【0005】)という課題を解決し、「微細な氷粒子を、高い氷濃度(IPF)で含むフローアイスを効率的に製造することができる」(段落【0006】)という格別な作用効果を奏する。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに請求項2-7で新たに特定する発明特定事項を備えるものである。
そうすると、本願発明2-7についても、本願発明1と同じ理由により、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-7は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-004055