特許拒絶査定不服審判
2023-004029
調合デバイス、システム、キット、ソフトウエア、および方法
- 審判番号
- 2023-004029
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-041528
- 請求日
- 2023年03月08日
- 審決日
- 2024年03月19日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ビー.ブラウン メディカル インク.
- 【請求人代理人】弁理士法人栄光事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 内藤 真徳
- 審判官 佐々木 一浩
- 審判官 後藤 泰輔
- 分類
- P18 .121-Z (A61J) / P18 .572-Z (A61J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 41528号「調合デバイス、システム、キット、ソフトウエア、および方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 7月 1日出願公開、特開2021- 98116号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年) 4月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年 4月23日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2018-506800号の一部を、令和 3年 3月15日に新たな特許出願としたものであって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
令和 4年 1月24日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 6月30日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 4年10月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 5年 3月 8日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和 5年 3月 8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 5年 3月 8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「材料を混合するための調合デバイスであって:
第1のバルブ作動デバイスに接続された第1の材料ソースと;
第2のバルブ作動デバイスに接続された第2の材料ソースと;
第3のバルブ作動デバイスに接続された第3の材料ソースと;
プラテンを有するマイクロ蠕動ポンプを含むマイクロ・ポンプと;
プラテンを有するマクロ蠕動ポンプを含むマクロ・ポンプと;
前記第1のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通し、前記マイクロ・ポンプのプラテンに向かい近傍に沿って延びる第1のラインと;
前記第2のバルブ作動デバイスのアウトプットおよび前記第3のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通し、前記マクロ・ポンプのプラテンに向かい近傍に沿って延びる第2のラインと;
前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプ両方の下流に配置され、前記第1のラインと前記第2のラインを、前記第1の材料ソースからの材料が、前記第2の材料ソースからの材料および前記第3の材料ソースからの材料と、前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプを通過した後に混合されるように結合するべく構成されたジャンクション構造と;
前記第1のラインおよび前記第2のラインの同時フラッシングを制御可能なコントローラと、
を備える調合デバイス。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和 4年 6月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
材料を混合するための調合デバイスであって:
第1のバルブ作動デバイスに接続された第1の材料ソースと;
第2のバルブ作動デバイスに接続された第2の材料ソースと;
第3のバルブ作動デバイスに接続された第3の材料ソースと;
前記第1のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通する第1のラインであって、多岐管の第1のチャネルと、前記多岐管からマイクロ・ポンプまで延びる第1のフレキシブルチューブとを有する第1のラインと;
前記第2のバルブ作動デバイスのアウトプットおよび前記第3のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通する第2のラインであって、前記多岐管の第2のチャンネルと、前記多岐管からマクロ・ポンプまで延びる第2のフレキシブルチューブとを有する第2のラインと;
前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプ両方の下流に配置され、前記第1のラインと前記第2のラインを、前記第1の材料ソースからの材料が、前記第2の材料ソースからの材料および前記第3の材料ソースからの材料と、前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプを通過した後に混合されるように結合するべく構成されたジャンクション構造と;
を備える調合デバイス。」
2 本件補正の適否について
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1のライン」の「多岐管の第1のチャネルと、前記多岐管からマイクロ・ポンプまで延びる第1のフレキシブルチューブとを有する」という事項を削除するとともに、「第2のライン」の「前記多岐管の第2のチャンネルと、前記多岐管からマクロ・ポンプまで延びる第2のフレキシブルチューブとを有する」という事項を削除するものであり、当該補正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、また、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれを目的とするものでもないから、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものでない。
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~19に係る発明は、令和 4年 6月30日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりである。
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献1:特表平7-503396号公報
第5 引用文献の記載事項、認定事項及び引用発明
1 引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている。
ア 第4ページ右上蘭第3~5行
「本発明は、特に集中治療に適した複数注入または自動薬剤投与を実施するためモジュール設計原理に基づいたカセット注入システムに関するものである。」
イ 第4ページ右下蘭第17~19行
「この点に関して、例えば単一の血管アクセスポイントを使用して2種または2種以上の不相容性注入溶液を患者に供給する事ができる。」
ウ 第6ページ右下欄第21行~第7ページ左上欄第13行
「第7図はベースプレート59の下からの斜視図である。このカセットは、5個の導入弁プランジャ開口69のほか、左右の狭い側面にクリップ取付け用の同型のスロット8を有する。カバープレート61は5個の導入開口15、16、17、106および107を有し、これらの導入開口はそれぞれの弁座62、73、64、65および66の中に開き、またこれらの導入開口の中に5個の弾性弁板18が挿入されている。また図面から明かなように、これらの弁座はそれぞれ排出ダクト67に連続し、これらのダクトが共通排出開口68の中に開く。カバープレート61とベースプレート59は、その間に弁板18を挿入して密封隆起縁またはストリップ20によって圧下溶接または結合されて、注入分配カセットを形成する。このカセットは前記スロット8の中に挿入されたクリップを使用して、弁/ポンプ/注射器作動装置B2(第8図)上に取付けられる。」
エ 第9ページ左上欄第6行~第10ページ左上欄末行
「第8図と第9図について、集中治療患者に対するカセット注入システムによる注入治療法を説明する。この場合、このプログラムド注入治療は自動薬剤投与と結合される。
第8図において、薬剤投与装置Eがポンプ作動装置B2(118)の上に取り付けられている。この装置は使い捨ての無菌薬剤投与カセットEを使用する。このカセットEは6個の弁座100、94、95、96、97、および98を備えたカバープレート115を有する。これらの弁座の設計は前記の弁座と同様である。またこれらの弁座は導入コネクタ110および排出コネクタ109に接続され、また相互にダクトによって接続される。弁座94、95、96、97、および98は、それぞれ薬剤容器としてのマークを付けられた使い捨て無菌プラスチック注射器101にロックするための標準型ルューエル接続ポートを備えている。カバープレート115の下に、それぞれ弁座の中に取り付けられた6個の弾性弁板116が配置され、またカバープレート115の下に、プランジャ開口を備えたベースプレート117が配置される。この設計は第7図の設計と大体同じである。これら2つのプレートは、それぞれの密封隆起縁またはストリップにおいて溶接ボルト(図示されず)によって相互に密封圧着される。付図においては解除状態に示された弾発クリップのフタ部材113、114によって、薬剤カセットEがポンプ作動装置B2の上に固着され、それぞれの弁100、94、95、96、97および98に対する弁プランジャを整列させる。使い捨て注射器101乃至105のピストンロッドとピストンは、ポンプ作動装置B2の中に載置された強いバネの作用で上方に押し上げられ、これらのバネはスロットの中に挿通されたスライダ案内部材108を介して作動して注射器の内容物を圧下に置く。
下記において、薬剤投与装置を第8図と第9図について説明する。第9図においてそれぞれの機能要素を略示してある。破線は、カセット注入システムの各モジュールA、B、C、DおよびEに対する組合せを示す。A2はダブル注入ポンプカセットに対応し、B2は弁ポンプ/注射器作動装置に対応し、Dは注入分配カセットに対応する。Cはマイクロプロセッサ制御装置に対応し、またEとB2はそれぞれ薬剤投与カセットおよび注射器作動装置に対応する。さらにこの図には、6個の注入容器71、72、73、74、75および88と、患者の注入部位、すなわち腕80と静脈82が図示される。これらの6個の注入容器は、患者の胸部のレベルの約1メートルまたはこれ以上上方に、通常のハンガースタンド76上に担持される。これらの容器にそれぞれ標準コネクタによって接続された排出ホースがカセットの導入コネクタ110、107、106、12、16、15に接続され、従ってそれぞれ導入弁100、83、84、85、86、87に接続される。注入分配カセットDのこれらの導入弁83乃至87はそれぞれの共通開口68とダクトによって接続され、この開口68はホースによってダブル注入ポンプカセットA2の導入弁7、ポンプチャンバ47および排出弁23と接続される。
薬剤投与カセットEはその接続ホース99によって、ポンプチャンバ89の導入弁91および排出弁93に接続される。排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され、この共通ダクトが分路機能によって圧力測定チャンバ26を圧力センサ28に接続し、またこの共通ダクトは標準的コネクタ119を末端に担持して、注入ホース19と中空ニードル81に接続する。
3カセット、すなわちダブル注入ポンプカセットA2、注入分配カセットDおよび薬剤投与カセットEのそれぞれの弁、ダクトおよびポンプチャンバは気泡を含まない注入溶液を挿入される。そこで、所望の薬剤を充填された使い捨て注射器101乃至105が、カセットEに対して、それぞれの標準型ルューエル型接続部においてロックされる。準備されたカセットE、Dが弁/ポンプ/注射器作動装置B2の左側と右側の保持手段の中に配置され(第8図)、クリップ113、114によって固着される。5個の弾発されたスライダ107によって、それぞれの注射器のピストンロッドおよびピストンを介して注射器の内容物がカセットA2の中への組織的排出に適したゲージ圧に置かれる。
薬剤をダブル注入カセットA2の中に転送するため、細いホース99が使用され、このホースは薬剤投与カセットEの排出口109に接続され、またそのコネクタがカセットA2の導入弁91の導入ポートにロックされる。カセットA2を使用する注入操作についてはすでに詳細に説明した。ここでは単に、薬剤投与装置と、2つのポンプチャンバを備えたカセットA2(第9図)について二、三の点を説明する。
設定されたプログラムによって特定の時点に特定の薬剤を例えば注射器101から投与したい場合、マイクロプロセッサ制御装置C(79)が弁/ポンプ/注射器作動装置B2を作動する。それぞれプランジャにより弁94と91が開かれる。従ってゲージ圧の薬剤溶液が転送ホース99と弁91を通してポンプチャンバ89の中に流入する事ができる。充填が終了した時、弁91と94を遮断する。そこでプログラム制御は、排出弁93を開いたままで、ポンプチャンバ89をゆっくり、または急速に、または段階的に圧下に置く。従って、薬剤は中空ニードル81を通して患者の腕の静脈82の中に転送される。
このような薬剤投与とは別に、同時に注入溶液をそれぞれの容器71、72、73、74、75から導入弁7、ポンプチャンバ47および排出弁23を通して患者の静脈中に供給する事ができる。相容性でない薬剤の混合を防止し、またカセットEの中の弁座およびダクト、および転送ホース99、ポンプチャンバ89の導入弁91および排出弁93の中の薬剤残留物による不正確な薬剤用量を防止するため、各薬剤の投与後に、弁100を開いて、注入溶液88、例えば中性の生理学的塩水溶液によって前記のホース、弁、ダクトおよびチャンバを洗滌して、薬剤の残留物を含有するこの洗滌溶液を患者に対して供給する事ができる。
ポンプチャンバ89のレベルセンサ92により、チャンバ容量全体だけでなくその1部の用量を投与する事ができる。
前記のシステムを使用する事により、各種の薬剤と注入溶液を連続的に順次にまたそれぞれの時間に患者に対して供給する事が可能である。またこの供給はマイクロプロセッサ制御装置によって正確にチェックされ、付属のプリンターを使用して操作記録が保持される。」
図7
[図:0001412838000001.jpg]
[図:0001412838000002.jpg]
図8
[図:0001412838000003.jpg]
図9
[図:0001412838000004.jpg]
2 引用文献1からの認定事項
上記1から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されている。
(1)上記1のエの「弁座94、95、96、97、および98は、それぞれ薬剤容器としてのマークを付けられた使い捨て無菌プラスチック注射器101にロックするための標準型ルューエル接続ポートを備えている。」なる記載から、使い捨て無菌プラスチック注射器101は、弁座94が備える標準型ルューエル接続ポートにロックされている。
(2)上記1のエの「6個の注入容器71、72、73、74、75および88」及び「これらの容器にそれぞれ標準コネクタによって接続された排出ホースがカセットの導入コネクタ110、107、106、12、16、15に接続され、従ってそれぞれ導入弁100、83、84、85、86、87に接続される。」なる記載を踏まえて図9をみると、注入容器71は、導入弁87に接続されており、注入容器72は、導入弁83に接続されていることが看取できる。
(3)上記1のエの「6個の弁座100、94、95、96、97、および98」、「またこれらの弁座は導入コネクタ110および排出コネクタ109に接続され、また相互にダクトによって接続される。」及び「薬剤投与カセットEはその接続ホース99によって、ポンプチャンバ89の導入弁91および排出弁93に接続される。」なる記載を踏まえて、図9をみると、弁座94の出口に接続された流路であって、6個の弁座100、94、95、96、97、および98を相互に接続するダクトと、排出コネクタ109からポンプチャンバ89の導入弁91まで延びる接続ホース99とを有する流路が看取できる。
(4)上記1のエの「注入分配カセットDのこれらの導入弁83乃至87はそれぞれの共通開口68とダクトによって接続され、この開口68はホースによってダブル注入ポンプカセットA2の導入弁7、ポンプチャンバ47および排出弁23と接続される。」なる記載を踏まえて図9及び図7をみると、導入弁87の出口及び導入弁83の出口に接続された流路であって、注入容器71、72、73、74、75に対応する5個の導入弁83乃至87と共通開口68とを接続するダクトと、共通開口68から導入弁7まで延びるホースとを有する流路が看取できる。
(5)上記1のエの「排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され、この共通ダクトが分路機能によって圧力測定チャンバ26を圧力センサ28に接続し、またこの共通ダクトは標準的コネクタ119を末端に担持して、注入ホース19と中空ニードル81に接続する。」、「排出弁93を開いたままで、ポンプチャンバ89をゆっくり、または急速に、または段階的に圧下に置く。従って、薬剤は中空ニードル81を通して患者の腕の静脈82の中に転送される。」、「同時に注入溶液をそれぞれの容器71、72、73、74、75から導入弁7、ポンプチャンバ47および排出弁23を通して患者の静脈中に供給する事ができる。」なる記載を踏まえて図9をみると、排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され、注射器101からの薬剤が、注入容器71、72、73、74、75からの注入溶液と、ポンプチャンバ89及びポンプチャンバ47を通過した後に、同時に供給される共通ダクトを備えることが看取できる。
3 引用発明
上記1、2から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数注入を実施するためモジュール設計原理に基づいたカセット注入システムであって、
弁座94が備える標準型ルューエル接続ポートにロックされた使い捨て無菌プラスチック注射器101と、
導入弁87に接続された注入容器71と、
導入弁83に接続された注入容器72と、
弁座94の出口に接続された流路であって、6個の弁座100、94、95、96、97、および98を相互に接続するダクトと、排出コネクタ109からポンプチャンバ89の導入弁91まで延びる接続ホース99とを有する流路と、
導入弁87の出口及び導入弁83の出口に接続された流路であって、注入容器71、72、73、74、75に対応する5個の導入弁83乃至87と共通開口68とを接続するダクトと、共通開口68から導入弁7まで延びるホースとを有する流路と、
排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され、注射器101からの薬剤が、注入容器71、72、73、74、75からの注入溶液と、ポンプチャンバ89及びポンプチャンバ47を通過した後に、同時に供給される共通ダクトと、
を備える複数注入を実施するためモジュール設計原理に基づいたカセット注入システム。」
第6 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)上記第5のイの「例えば単一の血管アクセスポイントを使用して2種または2種以上の不相容性注入溶液を患者に供給する事ができる」なる記載、同エの「特定の薬剤を例えば注射器101から投与したい場合、・・・薬剤は中空ニードル81を通して患者の腕の静脈82の中に転送される。このような薬剤投与とは別に、同時に注入溶液をそれぞれの容器71、72、73、74、75から・・・患者の静脈中に供給する事ができる。」なる記載を踏まえると、引用発明の「複数注入を実施するためモジュール設計原理に基づいたカセット注入システム」は、薬剤及び注入溶液を共通ダクトから同時に供給するものであるから、本願発明の「材料を混合するための調合デバイス」に相当する。
(2)引用発明の「弁座94」は本願発明の「第1のバルブ作動デバイス」に相当し、以下同様に、「無菌プラスチック注射器101」は「第1の材料ソース」に、「標準型ルューエル接続ポートにロックされ」ることは「接続され」ることに、それぞれ相当する。
以上を総合すると、引用発明の「弁座94が備える標準型ルューエル接続ポートにロックされた使い捨て無菌プラスチック注射器101」は、本願発明の「第1のバルブ作動デバイスに接続された第1の材料ソース」に相当する。
(3)引用発明の「導入弁87」は本願発明の「第2のバルブ作動デバイス」に相当し、以下同様に、「注入容器71」は「第2の材料ソース」に相当する。
よって、引用発明の「導入弁87に接続された注入容器71」は、本願発明の「第2のバルブ作動デバイスに接続された第2の材料ソース」に相当する。
(4)引用発明の「導入弁83」は本願発明の「第3のバルブ作動デバイス」に相当し、以下同様に、「注入容器72」は「第3の材料ソース」に相当する。
よって、引用発明の「導入弁83に接続された注入容器72」は、本願発明の「第3のバルブ作動デバイスに接続された第3の材料ソース」に相当する。
(5)引用発明の「弁座94の出口」は、上記(2)も踏まえると、本願発明の「前記第1のバルブ作動デバイスのアウトプット」に相当し、以下同様に、「接続された」は「流体連通する」に、「流路」は「第1のライン」に、それぞれ相当する。
よって、引用発明の「弁座94の出口に接続された流路」は、本願発明の「前記第1のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通する第1のライン」に相当する。
(6)引用発明の「6個の弁座100、94、95、96、97、および98を相互に接続するダクト」は本願発明の「多岐管の第1のチャネル」に相当し、以下同様に、「排出コネクタ109からポンプチャンバ89の導入弁91まで延びる接続ホース99」は「前記多岐管からマイクロ・ポンプまで延びる第1のフレキシブルチューブ」に相当する。
よって、上記(5)も踏まえると、引用発明の「6個の弁座100、94、95、96、97、および98を相互に接続するダクトと、排出コネクタ109からポンプチャンバ89の導入弁91まで延びる接続ホース99とを有する流路」は本願発明の「多岐管の第1のチャネルと、前記多岐管からマイクロ・ポンプまで延びる第1のフレキシブルチューブとを有する第1のライン」に相当する。
(7)引用発明の「導入弁87の出口」及び「導入弁83の出口」は、それぞれ本願発明の「前記第2のバルブ作動デバイスのアウトプット」及び「前記第3のバルブ作動デバイスのアウトプット」に相当し、以下同様に、「接続された」は「流体連通する」に、「流路」は「第2のライン」に、相当する。
よって、引用発明の「導入弁87の出口及び導入弁83の出口に接続された流路」は本願発明の「前記第2のバルブ作動デバイスのアウトプットおよび前記第3のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通する第2のライン」に相当する。
(8)引用発明の「注入容器71、72、73、74、75に対応する5個の導入弁83乃至87と共通開口68とを接続するダクト」は本願発明の「前記多岐管の第2のチャンネル」に相当する。
また、引用発明の「導入弁7」は、図9から「ポンプチャンバ47」の入口に接続されているから、引用発明の「共通開口68から導入弁7まで延びるホース」は、本願発明の「前記多岐管からマクロ・ポンプまで延びる第2のフレキシブルチューブ」に相当する。
よって、引用発明の「注入容器71、72、73、74、75に対応する5個の導入弁83乃至87と共通開口68とを接続するダクトと、開口68から導入弁7まで延びるホースとを有する流路」は本願発明の「前記多岐管の第2のチャンネルと、前記多岐管からマクロ・ポンプまで延びる第2のフレキシブルチューブとを有する第2のライン」に相当する。
(9)引用発明の「共通ダクト」は、「排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され」たものであるから、本願発明の「ジャンクション構造」に相当する。
また、引用発明の「共通ダクト」は、「排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され」たものであって、「排出弁23」及び「排出弁93」は、図9から、それぞれ「ポンプチャンバ89」及び「ポンプチャンバ47」の下流に配置されているから、引用発明の「排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され」る「共通ダクト」は、本願発明の「前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプ両方の下流に配置され」る「ジャンクション構造」に相当する。
さらに、引用発明の「注射器101からの薬剤」は本願発明の「前記第1の材料ソースからの材料」に相当する。
そして、引用発明の「注入容器71、72、73、74、75からの注入溶液」と本願発明の「前記第2の材料ソースからの材料および前記第3の材料ソースからの材料」とは、上記(3)及び(4)も踏まえると、「前記第2の材料ソースからの材料や前記第3の材料ソースからの材料」である限りで一致する。
以上を踏まえると、引用発明の「排出弁23、93の2つのダクトが共通に結合され、注射器101からの薬剤が、注入容器71、72、73、74、75からの注入溶液と、ポンプチャンバ89及びポンプチャンバ47を通過した後に、同時に供給される共通ダクト」と本願発明の「前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプ両方の下流に配置され、前記第1のラインと前記第2のラインを、前記第1の材料ソースからの材料が、前記第2の材料ソースからの材料および前記第3の材料ソースからの材料と、前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプを通過した後に混合されるように結合するべく構成されたジャンクション構造」とは、「前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプ両方の下流に配置され、前記第1のラインと前記第2のラインを、前記第1の材料ソースからの材料が、前記第2の材料ソースからの材料や前記第3の材料ソースからの材料と、前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプを通過した後に混合されるように結合するべく構成されたジャンクション構造」という点で共通する。
以上より、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「材料を混合するための調合デバイスであって:
第1のバルブ作動デバイスに接続された第1の材料ソースと;
第2のバルブ作動デバイスに接続された第2の材料ソースと;
第3のバルブ作動デバイスに接続された第3の材料ソースと;
前記第1のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通する第1のラインであって、多岐管の第1のチャネルと、前記多岐管からマイクロ・ポンプまで延びる第1のフレキシブルチューブとを有する第1のラインと;
前記第2のバルブ作動デバイスのアウトプットおよび前記第3のバルブ作動デバイスのアウトプットと流体連通する第2のラインであって、前記多岐管の第2のチャンネルと、前記多岐管からマクロ・ポンプまで延びる第2のフレキシブルチューブとを有する第2のラインと;
前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプ両方の下流に配置され、前記第1のラインと前記第2のラインを、前記第1の材料ソースからの材料が、前記第2の材料ソースからの材料や前記第3の材料ソースからの材料と、前記マイクロ・ポンプおよび前記マクロ・ポンプを通過した後に混合されるように結合するべく構成されたジャンクション構造と;
を備える調合デバイス。」である点。
【相違点】
ジャンクション構造に関し、本願発明は、前記第1の材料ソースからの材料が、「前記第2の材料ソースからの材料および前記第3の材料ソースからの材料」と混合されるのに対し、引用発明は、注射器101からの薬剤が、注入容器71、72、73、74、75からの注入溶液と混合されるものの、「注入容器71」及び「注入容器72」からの注入溶液の双方と混合されるかは明らかでない点。
2 判断
上記相違点について検討する。
引用発明は「注入容器71、72、73、74、75に対応する5個の導入弁83乃至87」を備え、かつ、「注射器101からの薬剤が、注入容器71、72、73、74、75からの注入溶液と、注入ポンプ89及び注入ポンプ47を通過した後に、同時に供給される共通ダクト」を備えている。
また、医師の処方等に応じて、薬剤に加えて、複数の輸液を同時に供給することは普通に行われていることである。
そうすると、注射器101からの薬剤と注入容器71、72、73、74、75からの注入溶液とを同時に供給する際、注入容器71~75のうち、注入容器71及び72の双方の注入溶液を供給することは、当業者が格別の創意を要することなく容易になし得た程度のことである。
また、本願発明の奏する作用効果も、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-004029