商標拒絶査定不服審判
2023-003343
ヘンプセルロースナノファイバー、ヘンプ
- 審判番号
- 2023-003343
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-055670
- 請求日
- 2023年02月28日
- 審決日
- 2023年09月25日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】C&H株式会社
- 【請求人代理人】青木 孝博
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T18 .13 -Z (W01)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-55670拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ヘンプセルロースナノファイバー」の文字を標準文字で表してなり、第1類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、令和4年5月17日に登録出願されたものである。
原審では、令和4年9月28日付けで拒絶理由の通知、同年11月11日付けで意見書及び手続補正書の提出、同月15日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同5年2月28日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。
本願商標の指定商品は、原審における上記の手続補正書により、第1類「麻(大麻)を原料とする微細なファイバー形状に裁断されたセルローズ(化学品として用いられるものに限る。),麻(大麻)を原料とするセルロース誘導体(化学品として用いられるものに限る。),麻(大麻)を原料とするセルローズ,麻(大麻)を原料とする工業用化学添加剤,麻(大麻)を原料とする紙強化剤,麻(大麻)を原料とする食品製造用化学添加剤,麻(大麻)を原料とする化粧品製造用化学添加剤,麻(大麻)を原料とする塗料加工用化学添加剤(工業用化学品),麻(大麻)を原料とする保護皮膜剤,麻(大麻)を原料とする工業用抗菌剤,麻(大麻)を原料とする工業用脱臭剤,麻(大麻)を原料とするセルロースペースト,麻(大麻)を原料とする化学品,麻(大麻)を原料とするセルローズ樹脂,麻(大麻)を原料とする原料プラスチック,麻(大麻)を原料とするセルロースパルプ,麻(大麻)を原料とするパルプ」と補正された。
2 原査定の拒絶の理由
本願商標は、「ヘンプセルロースナノファイバー」の文字を標準文字で普通に用いられる方法で表示してなる。
本願商標を構成する「ヘンプ」及び「セルロースナノファイバー」の各文字は、それぞれ「麻。大麻。」及び「植物由来の次世代新素材。主に木材等(木材のほかにも、竹、稲わら・麦わら・もみ殻、農業残渣(野菜くず、茶殻、みかん皮等)、草本類(ススキ等)、海藻といった原料からも生成することができる。)から化学的・機械的処理により取り出したナノサイズの繊維状物質」の意味を有する語だから、本願商標の構成全体からは、「麻(大麻)を原料とするセルロースナノファイバー」程の意味合いを容易に認識させるものであるところ、セルロースナノファイバーの用途は、「自動車、航空機部材、ゴム製品(タイヤなど)、住宅・建設、家電、容器・包装材、嗜好品・スポーツ用品・工芸品、塗料・コーティング剤、医療・ヘルスケア・美容(化粧品)、膜・フィルター、電子デバイス・エネルギーデバイス、食品(食品用増粘剤)、紙類」等の多岐にわたっている。
そうすると、上記意味合いを容易に認識させる本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する当該需要者は、その商品が「麻(大麻)を原料とするセルロースナノファイバー」を用いたものであるということ、すなわち、その商品の品質・原材料を表示したものであると理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、前記商品(「麻(大麻)を原料とするセルロースナノファイバー」を用いた商品)以外の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審による証拠調べ通知
当審において、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1及び別掲2のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。
4 上記通知に対する請求人の意見
「ヘンプ」は様々な意味を有する単語であり、殊更「ヘンプ」を植物素材の意味で使用しているウェブサイトを引用して、「ヘンプ」を「植物素材」と断定することは強引な手法であること、また、通知の事例にも依然として「ヘンプセルロースナノファイバー」そのものの使用はなく、当該文字は本願商標の指定商品を流通過程、取引過程に置く場合に必要な表示とはいえず、何人もその使用を欲するわけではないから、本願商標は十分に自他商品の識別機能を果たす。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
ア 本願商標は、「ヘンプセルロースナノファイバー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「ヘンプ」の文字は「麻」(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店)の意味を有する外来語であり、「セルロースナノファイバー」の文字は「木材繊維などを微細化してつくる、直径数~数10ナノメートル程度の繊維状物質。」の意味を有する語(参照:「コンサイスカタカナ語辞典 第5版」三省堂)である。
イ そして、別掲1のとおり、「ヘンプ」(麻)は、環境への影響が少ない天然繊維として注目を集めており、被服、バイオ複合材料、建材、バイオエタノール、CNF(セルロースナノファイバー)など種々の製品の原材料に利用できる植物素材(植物繊維)として広く活用されている実情がある。
ウ また、「セルロースナノファイバー」は、別掲2のとおり、種々の植物(木材、木材パルプなど)を原料として作られる素材であって、別掲1(7)のとおり、ヘンプはCNF(セルロースナノファイバー)の原料としては理想的な素材であるとされる。
エ そうすると、本願商標は、その指定商品が「麻(大麻)」を原料とする商品(化学品)であることも相まって、その需要者及び取引者をして、構成文字全体として「ヘンプ(麻)を原料とするセルロースナノファイバー(繊維)」程度の意味合いを想起させるものであり、その指定商品との関係において、商品の品質(種別)、原材料又は用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「ヘンプ」の文字は「麻。大麻」のほかに、「返付」(もとの持ち主に返すこと)、「片布」(布切れ)にも通じるから、本願商標は、「禁制品を原料とするセルロースナノファイバー」、「返付・還付効果のあるセルロースナノファイバー」、「布切れのようなセルロースナノファイバー」などの数種類の異なる意味合いを認識させるもので、原審認定のような一定の意味合いだけを直接的に認識させるものではなく、また、別掲1及び別掲2の事例にも「ヘンプセルロースナノファイバー」そのものの使用はない旨を主張する。
しかしながら、本願商標は、上記(1)アのとおり、その構成中の「ヘンプ」の文字は「麻」の意味を有する外来語であり、「セルロースナノファイバー」の文字は「木材繊維などを微細化して作る、直径数~数10ナノメートル程度の繊維状物質。」の意味を有する語であるから、いずれも意味合いの特定は可能であること、そして、上記(1)イ及びウのとおり、「ヘンプ」(麻)は種々の製品の原材料に利用できる植物素材(植物繊維)であり、CNF(セルロースナノファイバー)の原料としては理想的な素材であるとされることを踏まえると、「ヘンプセルロースナノファイバー」の語の使用例の存否にかかわらず、本願商標「ヘンプセルロースナノファイバー」の構成文字全体として、それに接する需要者及び取引者をして、「ヘンプ(麻)を原料とするセルロースナノファイバー(繊維)」程度の意味合いを想起させる。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-003343