商標拒絶査定不服審判
2023-003325
デジタルチョーザイヤッキョク、チョーザイヤッキョク
- 審判番号
- 2023-003325
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-014427
- 請求日
- 2023年02月28日
- 審決日
- 2024年08月27日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社グリーンメディック
- 【請求人代理人】植田 吉伸
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 深田 彩紀子
- 分類
- T18 .13 -Z (W0944) / T18 .272-Z (W0944)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 14427拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年2月9日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 7月20日付け:拒絶理由通知書
令和4年10月26日 :意見書の提出
令和4年11月28日付け:拒絶査定
令和5年 2月28日 :審判請求書の提出
令和6年 5月 7日 :上申書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「デジタル調剤薬局」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第44類に属する別掲1に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「デジタル調剤薬局」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「デジタル」の文字は「ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば2進数)として表現すること」を意味し、「調剤薬局」の文字は「市販の薬でなく、自家で調剤した薬を主として扱う薬局」を意味するものである。そして、近時、調剤や薬の提供に関する様々なサービスの電子化及びデジタル化が行われており、「デジタル調剤薬局」の文字が、「デジタル技術を活用した調剤薬局」、「デジタル薬局」の文字が、「デジタル技術を活用した薬局」ほどの意味合いを表すものとしてそれぞれ使用されている実情が見受けられるから、本願商標は全体として、「デジタル技術を活用した調剤薬局」ほどの意味合いを容易に認識させる。そうすると、本願商標をその指定商品・指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品・役務が「デジタル技術を活用した調剤薬局に関するもの」(例えば、「デジタル技術を活用した調剤薬局のためのコンピュータプログラム及びコンピュータソフトウェア」、「デジタル技術を活用した調剤薬局によって提供される調剤」等)であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質・役務の質を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものである。また、当該商品・役務以外の商品・役務に本願商標を使用するときは、その商品の品質・役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状その他の特性又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が、その指定商品又は指定役務について商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標が指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該商品又は役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。
そして、当該商標が指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、商標の構成やその指定商品又は指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(令和3年(行ケ)第10113号同4年1月25日知的財産高等裁判所判決参照)。
(2)本願商標の語義及び取引の事情について
本願商標は、上記第2のとおり、「デジタル調剤薬局」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「デジタル」の文字(語)は「ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば2進数)として表現すること」を意味し、「調剤薬局」の文字(語)は「市販の薬でなく、自家で調剤した薬を主として扱う薬局」を意味するものである(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)。
そして、別掲2及び別掲3(1)ないし(6)(いずれも原審において示した事例。)によれば、薬局及び調剤の分野において、近時、調剤や薬の提供に関する様々なサービスの電子化及びデジタル化が行われており、デジタル技術を活用した調剤薬局又は薬局のことを「デジタル調剤薬局」又は「デジタル薬局」と指称している実情が認められる。
また、このようなデジタル技術を活用するためのソフトウェアやアプリが開発され、調剤薬局、薬局又は患者等において利用されている実情が認められる。
これらの実情は、別掲3(7)ないし(9)からも、うかがい知ることができる。
以上の実情からすると、「デジタル調剤薬局」の文字は、調剤薬局、薬局及びその利用者並びにソフトウェアやアプリの開発者において、「デジタル技術を活用した調剤薬局」といった意味を表すものとして利用され、かつ、認識されているとみるのが相当である。
(3)以上よりすると、「デジタル調剤薬局」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、調剤に関する商品及び役務との関係においては、「デジタル技術を活用した調剤薬局」といった商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、また、当該商品及び役務に使用された場合には、その取引者、需要者によって、当該商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものというべきである。
また、本願商標は、標準文字により表されてなるものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
そうすると、本願商標は、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであり、これをその指定商品及び指定役務中、調剤に関する商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、その商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「デジタル技術」というものは様々に活用されており、一義的な技術ではなく、本願商標もいずれの技術を利用したのか明らかでないから、本願商標からは特定の観念が生じない旨主張する。
しかしながら、デジタル技術が様々に活用されているからといって、上記1(2)及び(3)の認定判断が左右されるものではない。
(2)請求人は、本願商標である「デジタル調剤薬局」という語が、本願商標の指定商品及び指定役務に関し、他で一般的に使用されているという実例がないことから、本願商標は造語であり、指定商品及び指定役務との関係で識別性を有する旨主張する。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、上記1(1)のとおり、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。
そして、本願商標は、上記1(3)のとおり、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものというべきである。
(3)請求人は、商標構成中に「デジタル」の文字を有する過去の登録例を挙げ、本願商標もそれらと同様に登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた審決例や登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものでもない。
(4)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
(5)なお、請求人は、合議体において、一部の指定商品及び指定役務について商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものがあると判断した場合には、補正を検討する準備もある旨主張するが、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することは、上記1(3)のとおりであって、指定商品及び指定役務の補正によって、それらの拒絶の理由が解消し得るものではないから、当該補正の機会を設けることなく、本件審判の審理を終結することとした。
3 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-003325