商標拒絶査定不服審判
2023-003310
アイアンウオーター、アイアン
- 審判番号
- 2023-003310
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-058760
- 請求日
- 2023年02月27日
- 審決日
- 2024年04月17日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社フィネス
- 【請求人代理人】南瀬 透
- 【請求人代理人】加藤 久
- 【請求人代理人】宇野 智也
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .13 -Z (W32)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-58760拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年5月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年9月22日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月7日:意見書の提出
令和4年11月25日付け:拒絶査定
令和5年2月27日:審判請求書の提出
令和5年12月22日付け:証拠調べ通知書
2 本願商標
本願商標は、「アイアンウォーター」の欧文字を標準文字で表してなり、第32類「ミネラルウォーター,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「アイアンウォーター」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「アイアン」の文字は、「鉄」の意味を有する、食品業界において、栄養素の一種ほどの意味合いを表す語として知られており、本願指定商品との関係において、配合されている成分の名称を表示したものと理解されるものである。また、本願指定商品に関連する分野においては、成分等の名称と、「水」や「ウォーター」の文字を結合した語が、飲料に使用されている実情もある。加えて、近年、鉄分を含む飲料が多数販売されている。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、「鉄を含有する飲料」であることを認識するにすぎず、本願商標は、単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記文字に相応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における証拠調べ通知書及びそれに対する請求人の回答
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲6に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、前記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
請求人は、当該証拠調べ通知書に対し、指定した期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。
また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品の品質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。
イ 本願商標は、「アイアンウォーター」の欧文字を標準文字で表してなるところ、別掲1によれば、その構成中の「アイアン」の文字及び「ウォーター」の欧文字は、それぞれ、「鉄」及び「水」の意味を有する、我が国において広く一般に親しまれた英語であるから、本願商標は、前記の各語を結合してなるものと容易に認識されるものである。
そして、別掲2及び別掲3によれば、鉄が栄養素の一つとして知られており、飲食料品の分野において、「アイアン」の文字が、栄養素である鉄を表す語として使用されている実情がある。
また、別掲4によれば、鉄を含有することを特徴とする、水を内容物とする商品が販売されている実情があり、加えて、別掲5によれば、含有する物質名と、「ウォーター」の語を結合してなる、「○○ウォーター」(合議体注:「○○」には、水に含有する物質名が入る。)の文字が使用されている実情がある。
そうすると、本願商標の各構成文字の意味と、前記の実情に照らせば、本願商標は、全体として「鉄を含有する水」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、別掲6によれば、本願指定商品について、水が商品の原材料として使用されている実情があることからすれば、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する需要者は、鉄を含有する水及びそれを原材料とする商品であることを認識するにすぎないものである。
加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標を指定商品に使用した場合に、「鉄分を含有する飲料」のみならず、「強靭になるための飲料」ないし「かたい筋肉を作るための飲料」ほどの意味合いをもって把握する需要者等が相当程度いるとみるのが妥当であり、その他の意味合いで把握される場合もあるから、本願商標に接する需要者等は、一義的に「鉄分を含有する飲料」と認識するものではなく、本願商標を、シンプルで記憶しやすい一種の造語としてみるのが相当であり、一見して直ちに商品の直接的・具体的な用途などを認識させる直接的表示に該当するとは言えず、十分に自他商品識別力を発揮するものである旨主張する。
しかしながら、上記(1)イのとおり、本願商標の各構成文字の意味と、鉄(アイアン)が摂取すべき栄養素の一つとして広く知られている中において、鉄を含有することを特徴とする水が販売されている実情や、含有する物質名と、「ウォーター」の語を結合してなる、「○○ウォーター」の文字が使用されている実情があることに照らせば、本願商標は、全体として「鉄を含有する水」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるというのが相当である。
イ 請求人は、請求人がインターネットにおいて検索したところ、検索結果において、「アイアンウォーター」の文字が、単独で商品や役務に関して使用されている実情は確認できなかったことから、当該文字が、飲料・食品業界はもとより、その他の業界においても、商品の品質を表すものとして認識されているとする事実は見当たらない旨主張する。
しかしながら、出願に係る商標が、その指定商品について商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、当該商標が当該商品との関係で、商品を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者によって当該商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質等を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該商品に使用されていることを要しないと解される(最高判昭和61年1月23日(昭和60年(行ツ)第68号)、知財高判令和4年5月19日(令和3年(行ケ)第10100号)参照)。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであることは、前記(1)で述べたとおりである。
ウ 請求人は、「アイアン」の文字又は当該語を意味する「鉄」等の文字と、食品の名称を結合してなる商標等の、過去の登録例を挙げ、これらの登録例と同様に、本願商標は、指定商品の品質等を間接的に表示するものであって、自他商品識別力を有するものである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(1)のとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。
エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
6 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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