商標拒絶査定不服審判
2023-003018
シントーガタリポソーム、シントーガタ、リポソーム
- 審判番号
- 2023-003018
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-062179
- 請求日
- 2023年02月22日
- 審決日
- 2024年01月23日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】富士フイルム株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人栄光事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W0103)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-62179拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年6月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 8月25日 :刊行物等提出書
令和4年 9月22日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年11月17日付け:拒絶査定
令和5年 2月22日 :審判請求書の提出
令和5年 2月28日 :手続補足書の提出
2 本願商標
本願商標は、「浸透型リポソーム」の文字を標準文字で表してなり、第1類及び第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、第1類「リポソームを含む化学品」及び第3類「リポソームを使用した化粧品,リポソームを使用したせっけん類」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「浸透型リポソーム」の文字を標準文字で表してなるところ、化粧品、せっけん類を取り扱う業界において、「浸透型コラーゲン」や「浸透型ヒアルロン酸」のように、有効成分が浸透していくといった特徴を表す際に「浸透型」の語が一般に使用されていること、また、生体親和性が高いリポソームに有効成分を封入して肌や髪の奥まで浸透しやすくした商品が製造、販売されていることが認められる。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「リポソームに封入された有効成分が浸透していく商品」ほどの意味合い、すなわち、商品の品質を一義的かつ具体的に認識する。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「浸透型リポソーム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「浸透」の文字は「しみとおること。しみこむこと。」の意味を、「型」の文字は「タイプ。」等の意味を、「リポソーム」の文字は「生体膜と同じくリン脂質の二分子膜の構造からなる微少なカプセル。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑 第七版」(岩波書店)から引用。)であり、構成文字全体として「しみこむタイプのリポソーム」程の意味合いを想起させるものである。
そして、本願の指定商品を含む化粧品やせっけん類を取り扱う業界においては、例えば「浸透型コラーゲン」、「浸透型ヒアルロン酸」、「浸透型セラミド」等のように、「(有効成分が)浸透する」という特長を表すものとして、有効成分の名称に「浸透型」の文字を冠した表示が一般に使用されている実情がある(別掲1(1)、(2)、別掲2)。また、細胞膜に似たリン脂質を主成分とした微小のカプセルであるリポソームは、肌との親和性や浸透性の高さ、有効成分の徐放性などといった利点を有し、カプセルに内包した有効成分を肌や髪の深部まで届ける特長があることから、化粧品等に一般に使用されている実情もある(別掲1(3)~(8))。加えて、角質層の奥まで浸透するリポソームを「浸透型リポソーム」と指称している用例もある(別掲1(3))。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「しみこむタイプのリポソーム(化学品)」及び「しみこむタイプのリポソームを使用した化粧品・せっけん類」であること、すなわち、商品の品質、原材料を記述的に表したものとして理解、認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、請求人が独自に開発したリポソームは、単層構造である点が従来のリポソームと異なり、当該構造によって、リポソーム内部に多量の成分を含有する機能を有し、多様な成分を肌に届けることが可能となるところ、当該独自技術によるリポソームの特徴を表すため、「浸透型リポソーム」の名称を考案し、採用した旨主張する。
しかしながら、本願商標の採択の意図が請求人の主張どおりであるとしても、取引者、需要者が、本願商標をその意図どおりのものとして認識するとは必ずしもいえず、むしろ、「浸透型」の文字が有する語義に加えて、化粧品やせっけん類を取り扱う業界において、「浸透型」の文字が、「(有効成分が)浸透する」という特長を表すものとして一般に使用されていることや、肌との親和性や浸透性の高さを利点とするリポソームが、化粧品等に一般に使用されていることからすると、本願商標に接する取引者、需要者をして、単に、商品の品質、原材料を表したものと容易に認識、理解させるというべきである。
イ 請求人は、本願の指定商品であるリポソームを用いた商品の分野において、「浸透型」の語が一般化している事実は見受けられず、「型」の語が有する多様な意味合いに鑑みると、「浸透型」が商品の品質等を直接的に示すとはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標をその指定商品に使用した場合における取引者、需要者の認識を推し量るに当たり、これらの指定商品と需要者を共通にする商品(リポソームを使用していない化粧品やせっけん類等)に係る取引の実情を勘案することは、合理的であるというべきであるし、「浸透型」の文字が「(有効成分が)浸透する」という特長を表すものとして、化粧品等に一般に使用されていることは、上記(1)のとおりである。
ウ 請求人は、構成中に「浸透型」又は「リポソーム」を含む過去の商標登録例を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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