商標拒絶査定不服審判
2023-002913
ポンチャン、ポン
- 審判番号
- 2023-002913
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-154842
- 請求日
- 2023年02月02日
- 審決日
- 2025年06月17日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】江森 徳彰
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 石塚 文子
- 分類
- T18 .21 -WY (W0916)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第6号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第8号、商標法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-154842拒絶査定不服審判事件についてした令和6年9月3日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和6年(行ケ)第10090号、令和7年3月12日判決言渡し)があったので、更に審理の上、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ぽんちゃん」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第16類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、令和3年11月29日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年12月22日に手続補正書が提出され、同4年5月27日付けで拒絶理由の通知がされ、同年6月20日に意見書が提出されたが、同年11月1日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和5年2月2日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
そして、本願の指定商品については、上記手続補正書により、第9類「アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),サングラス,携帯情報端末用ケース,携帯電話用のダウンロード可能なエモティコン(絵文字),携帯電話用のダウンロード可能な画像,業務用テレビゲーム機用プログラム,電子出版物,3D眼鏡」及び第16類「パスポートホルダー,ブックエンド,プラスチック製ごみ収集用袋,写真,出版物,包装紙,印刷物,文房具,書籍,紙,紙製の旗,紙製のよだれ掛け又は胸当て,紙類,鉛筆削り(電気式又は非電気式)」に補正されたものである。
また、本願に対して、館林市観光協会から、令和4年7月29日及び同年9月16日付けで、本願商標が商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当する旨の刊行物等提出書が提出された。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、以下の1及び2のとおり、認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第4条第1項第6号について
本願商標は、「ぽんちゃん」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、群馬県館林市(以下「館林市」という。)が観光事業について使用している著名なマスコットキャラクターである「ぽんちゃん」を認識させるものである。そうすると、本願商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標と判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
2 商標法第4条第1項第7号について
本願商標は、「ぽんちゃん」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、館林市の観光マスコットキャラクターである「ぽんちゃん」の名称と同一の文字からなるものである。
そして、「ぽんちゃん」は、この商標登録出願の出願前である2010年1月28日のリリース以降、イベントや各地の観光キャンペーンに参加して館林市のPRに努め、そのPRの一環として参加した「ゆるキャラグランプリ2015」においては、出場1,727体中総合33位を獲得したことや、当該キャラクターにちなんだ各種商品(スクエアタオル、ピンバッチ、ぬいぐるみキーホルダー、ボールペン、エコバッグ、LINEスタンプ)の生産、販売が行われていることなど、館林市の観光振興や地域おこしに寄与している実情が認められる。そうすると、館林市の観光マスコットキャラクターである「ぽんちゃん」の名称を表したものと認められる本願商標を、館林市からこの商標登録出願を行うことについて同意を得ているものとは認められない出願人が、自己の商標として、その指定商品について独占的に使用することは、そのマスコットキャラクターの名称を使用した館林市の観光振興や地域おこしなどの公益的な施策の遂行を阻害することとなり、社会公共の利益に反するものといわざるを得ない。また、出願人は館林市に住所を有するところ、本願商標の出願時には、館林市の報道を始め、新聞やインターネット情報等で容易に上記実情を知り得る状態にあったものということができる。
以上の理由から、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
第3 当審における審尋
当審において、令和6年1月23日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人に対し、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和6年2月13日付けの回答書を提出し、要旨、以下、1ないし5のとおりの意見を述べた。
1 商標法第4条第1項第6号に係る著名性について、「指定商品・役務に係る一商圏以上の範囲の取引者、需要者に広く認識されていることを要する」と判示した平成24年(行ケ)第10125号審決取消請求事件の判決に鑑みれば、審尋におけるマスコットキャラクター(以下「引用キャラクター」という。)及びその愛称である「ぽんちゃん」の文字からなる標章(以下「引用標章」という。)の著名性の認定をもって、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとされてよいものではない。
2 審尋における認定事実は、館林市が単に引用キャラクター及び引用標章に関して告示を行ったにとどまる内容であり、このことが、引用キャラクター及び引用標章の商標法第4条第1項第6号に係る著名性を事実の問題として証明するものではない。
3 「使用許可業務(着ぐるみ)」(第41類「仮装用衣服の貸与」)、「公式ツイッター及びインスタグラムの管理・運用」(第41類「インターネットを利用して行う映像の提供」等)及び「ゆるキャラRグランプリ」(第41類「コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画」)は、本願商標の指定商品とは無縁であって、その役務における引用キャラクター及び引用標章の著名性のいかんをもって、本願商標の商標法第4条第1項第6号該当性を問うことはできない。
4 新聞記事において引用キャラクターが「ぽんちゃん」の文字とともに相当数掲載されているとされているが、恣意的主観にすぎない。また、「全国紙」の記事群が、各紙の何面に載ったものなのか判然とせず、それらは全て地方(群馬県)面の記事である可能性があり、かかる記事群が県(群馬県)のほか、一商圏以上の範囲の取引者、需要者にまで、引用キャラクター及び引用標章の認知度を広げる手助けになり得たとはいえない。
5 マスコットキャラクターの名称がゆるキャラRグランプリにおける30位に言及した上で、商標法第4条第1項第6号非該当とされた過去の審決(不服2023-3442)によれば、同33位である引用キャラクターの商標法第4条第1項第6号に係る著名性を認めるべきではない。
第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号について
商標法第4条第1項第6号は、商標登録を受けることができない商標として、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」を規定する。その趣旨は、同号に掲げる団体の公益性に鑑み、その権威、信用を尊重するとともに、出所の混同を防いで取引者、需要者の利益を保護することにあると解される。このような趣旨に照らすと、同号にいう「著名なもの」というために、必ずしも、日本全国において広く知られていることを要するものとまでは解されない。すなわち、同号に掲げる団体や事業の地域性を考慮して、著名性の認定に当たり、地理的範囲を限定して考慮する余地があるといえる。
他方、同号に掲げる団体や事業を表示する標章は極めて多数にわたるために、同号は、対象となる標章を「著名なもの」と限定しているのであって、商標法上の他の規定(例えば、商標法第4条第1項第8号)と完全に整合的に解すべき必要まではないが、少なくとも「著名」の字義に反するような解釈をすることは相当でない。このことは、著名性の地理的範囲についても同様であって、公益事業等を示す標章として特定の地域でのみ知られている標章と同一又は類似する商標の登録を禁止するとなると、本来であれば一般的に認められるべきはずの、商標権を取得して全国的に当該商標を使用する権利を過度に制約することになりかねない。
以上によると、商標法第4条第1項第6号にいう「著名なもの」というためには、同号に掲げる団体や事業の地域性に照らし、必ずしも日本全国にわたって広く認識されている必要はないが、なお相応の規模の地理的範囲において広く認識されていることを要するものと解するのが相当である(知的財産高等裁判所令和6年(行ケ)第10090号、同7年3月12日判決参照)。
2 本件商標の商標法第4条第1項第6号該当性について
請求人が裁判所に提出した甲第137号証ないし甲第174号証、及び、職権により調査し裁判所に提出した乙第1号証ないし乙第32号証によれば、以下のとおりの各事実が認められる。
なお、乙第1号証は、前記第1に記載の令和4年9月16日付け刊行物等提出書(提出者:館林市観光協会)により提出された甲第2号証ないし甲第136号証であり、以下、請求人が裁判所に提出した甲各号証につき、甲第○号証を「甲○」のように、乙第○号証を「乙○」のように(ただし、乙第1号証の書証を構成する甲第1号証~甲第136号証については「乙1の甲○」のように)、それぞれ簡略して表記する。
(1)館林市は、分福茶釜で知られる同市の観光振興を図ることを目的として、平成22年1月に、別掲のとおりの構成からなる、愛称を「ぽんちゃん」(引用標章)とするマスコットキャラクター(引用キャラクター)を決定した(甲137、甲138、乙1の甲2、乙1の甲70、乙1の甲71、乙11)。
(2)
ア 引用キャラクターは、館林市観光大使に委嘱されており(甲139、乙1の甲5)、館林市観光ガイドブック(甲154、乙1の甲13)及び同マップ(甲161、乙1の甲14)に使用され、平成25年には館林市の市制施行60周年記念のロゴマークにも使用されている(乙1の甲88、乙1の甲92)。
イ 平成26年には、市制施行60周年の記念事業として、引用キャラクターが同市の観光名所を歌に乗せて紹介する「ぽんちゃん音頭」のCDとDVDが制作され(甲158、乙1の甲55、乙4)、同年、引用キャラクターは「アサヒ十六茶のCM」に群馬県代表として出演している(甲163、乙1の甲25の1、乙5)。
(3)館林市観光協会は、「館林市のさまざまな魅力を、館林市の観光マスコットキャラクター「ぽんちゃん」の視点で発信することで、館林市のPRとともに、知名度やイメージの向上を図ること」を目的として、ぽんちゃん公式ツイッター及びインスタグラムを開設し、運用・管理している(甲137、甲140、甲141、乙1の甲4、乙1の甲8、乙1の甲9、乙1の甲33、乙1の甲34)。
(4)
ア 館林市観光協会は、ぽんちゃん着ぐるみやイラストの利用申請を受け付けており、着ぐるみ利用マニュアル、イラスト使用規定及びぽんちゃん借用書を定め、管理している(乙1の甲7)。
イ 同市の菓子店や惣菜店が、「ぽんちゃんのおやつ」(甲167の1、甲167の2、乙6)、「ぽんちゃん焼き」(乙7)のように、引用キャラクターのイラストを使用した商品を販売しており、「ぽんちゃん型麦落雁」は同市のふるさと納税のお礼品に使用されている(乙8)。
ウ 館林信用金庫では、金利上乗せ定積「ぽんちゃん定期積金2」を取り扱い(乙9)、引用キャラクターのイラストを使用した総合口座通帳も配布している(甲173、乙1の甲62、乙10)。
(5)
ア 市制施行60周年記念の館林市史別巻「写真で見る館林」には、平成23年、館林駅前に市の観光マスコットキャラクター「ぽんちゃん」の温度計が設置され、同年2月に「ぽんちゃんの1歳を祝う誕生会」が開かれたこと、平成25年6月に、ぽんちゃんが日本気象協会から熱中症予防PR大使に任命されたことが記載されている(甲149、乙1の甲17)。
イ 「館林市史 通史編3 館林の近代・現代」には、平成22年、館林市の観光マスコットキャラクターとして「ぽんちゃん」が誕生し、平成23年に「ぽんちゃんの1歳を祝う誕生会」が開かれたこと、平成25年からは日本気象協会から熱中症予防PR大使に任命され、平成28年にはシンガポールで「日本シンガポール国交50周年まつり・ジャパントラベルフェア」に参加したことが記載され、写真も掲載されている(乙11)。
ウ 「るるぶ情報版 群馬 草津 伊香保 富岡 ’16」では、「群馬の次世代スターキャラ」として、引用キャラクターが「ぽんちゃん」の文字(引用標章)とともに掲載されている(乙12)。
(6)
ア 引用キャラクターは、平成23年から平成27年まで「ゆるキャラグランプリ」に出場しており(乙1の甲93、乙1の甲94、乙1の甲101)、「ゆるキャラグランプリ2015」では、館林市が選挙対策本部を発足させ(乙1の甲103~乙1の甲105、乙1の甲107)、記者会見(甲164、乙1の甲25の3)や応援集会(乙1の甲111、乙1の甲112)を行う等の宣伝が行われ、33位を獲得している(甲165、乙1の甲26)。
イ 引用キャラクターは、「ご当地キャラ」、「全国各地の地方公共団体や、企業、団体等が採用、設定したキャラクター」として群馬県内のイベントに定期的に参加している(乙1の甲25、乙1の甲40、乙1の甲41、乙1の甲73、乙1の甲80、乙1の甲96)ほか、埼玉県や東京都のイベントにも参加しており(乙1の甲42、乙1の甲77、乙13、乙14)、チラシや新聞記事において、引用標章とともに使用されている。
ウ 館林市と台湾の交流イベントで引用キャラクターのぬいぐるみが手渡されたこと(乙15)及びシンガポールで開催された日本シンガポール国交50周年の記念イベントに引用キャラクターが参加したこと(乙16)が、全国紙で報じられている。
(7)
ア 引用キャラクター及び引用標章は、東武鉄道の臨時特急列車「両毛地域市民号」のヘッドマークに使用され(乙1の甲78)、同鉄道が企画するイベントのチラシ(乙1の甲67)や賞品(乙17)に使用されているほか、同鉄道が発売する「お得なきっぷ」の特典として、引用キャラクターグッズのプレゼントが行われている(乙18)。
イ 群馬・栃木両県を巡るイベントチラシにおいても、引用キャラクター及び引用標章が使用されており(乙1の甲69)、東武トップツアーズの東京都発着のツアー等においては、「ぽんちゃんがお出迎えを行うこと」や「ぽんちゃんグッズがプレゼントされること」が特典として宣伝されている(乙1の甲66、乙19)。
(8)
ア 館林市観光協会の集計によると、館林市の過去4年間(平成30年~令和3年)の観光客数は、合計424万人を超えており、特につつじが岡公園への来場者数は16万人~32万人で推移している(乙1の甲27)ところ、同公園や同公園内の「つつじが岡ふれあいセンター(つつじ映像学習館)」では、マップ、パンフレット(甲148、甲155、乙1の甲15、乙1の甲16)、「ぽんちゃんを題材にした謎解きゲーム」(乙1の甲10、乙1の甲29)等のイベントチラシ(乙1の甲39)に引用キャラクター及び引用標章が使用されている。
イ つつじ映像学習館では、館内の案内に引用キャラクター及び引用標章が使用され(甲148、乙1の甲54)、同館の4Dシアターにおいては、引用キャラクターが登場する約10分の映像が上映されているところ(乙1の甲54、乙1の甲108)、同映像は「ルミエール・ジャパン・アワード2015」3D部門で優秀作品賞を受賞している(乙1の甲110)。
(9)館林市立資料館では、同館の収蔵資料展において、展示及びワークシートに引用キャラクター並びに引用標章が使用され(乙1の甲20、乙20)、茂林寺では、「ぽんちゃん祭りだ!」(乙1の甲102)等のイベントが開催され(乙1の甲89)、向井千秋記念子ども科学館では、館林市制施行60周年・向井千秋宇宙飛行士飛行20周年記念番組「ぽんちゃん・コン太の大冒険」として、引用キャラクターがプラネタリウムに登場し(乙21、乙22)、館林市児童館では、こどもの日企画として「歴史ぽんちゃんカード」を配布する(乙23)等、市内の観光施設において、引用キャラクター及び引用標章は、様々な形で継続的に使用されている。
(10)館林市では、「つつじまつり」(乙1の甲30、乙1の甲95、乙1の甲116)、「花ハスまつり」(乙1の甲31)、「館林さくらとこいのぼりの里まつり」(乙1の甲32)、「市民のつどい」(乙1の甲36)、「産業祭」(乙1の甲37、乙1の甲131)、「館林お雛さままつり」(乙1の甲74)、「たてばやし光のページェント」(乙1の甲109)等のイベントが例年開催されており、イベントチラシ、イベント会場の案内板、看板等に、引用キャラクター及び引用標章が使用されるほか、引用キャラクターの着ぐるみや電飾も登場している。
(11)
ア 引用キャラクター及び引用標章は、「広報館林」(乙1の甲25)を始め、「館林市オリジナル婚姻届・出生届」(甲174、乙1の甲24)、教材「ぽんちゃんと学ぼう 館林の歴史」(甲152、乙1の甲19、乙1の甲130)、「館林市金券」(甲168、乙1の甲37の3、乙1の甲57、乙24)、「館林市外四町広域公共路線バス時刻表」(甲162、乙1の甲22)、「館林市からのお知らせ」(乙1の甲23)等の各種印刷物に使用されている。
イ 引用キャラクターは、一日警察署長(甲159、乙1の甲25の2、乙1の甲133)、下水道の日(乙1の甲100)、納税(乙1の甲126、乙1の甲129)、コロナ撲滅(乙25)、熱中症予防(乙26)等の各種キャンペーンやPRに継続的に使用され、「個人番号カードイメージ」(甲166、乙1の甲25の4)やチラシ「ふるさと納税で館林を楽しもう」(乙1の甲21)にも、引用標章とともに使用されている。
ウ 館林市では「ぽんちゃんの予防接種・子育てナビ」(甲157、乙1の甲12、乙1の甲25の7)が配信され、令和5年からは電子地域通貨「ぽんちゃんPay」も発行されている(乙2の(1)、乙2の(2))。
(12)
ア 館林市では、駅前、市役所前、店舗前等に引用標章を冠した引用キャラクターのモニュメントやパネル(乙1の甲47~乙1の甲49、乙1の甲52、乙1の甲82、乙1の甲120)が設置されているほか、館林インターハイのカウントダウンボード(乙1の甲25 の10)、観光施設等の看板や案内板(乙1の甲28)、工事看板(甲171、乙1の甲60)、のぼり旗(乙1の甲63)、市内公園等の花壇(乙1の甲50)や遊具(乙1の甲52)、路線バス(甲170、乙1の甲59)、社会福祉協議会の団体バス(乙1の甲62)、公用車(乙1の甲63)、消火栓(甲172、乙1の甲61)、レンタサイクル「ぽんチャリ」(乙1の甲65、乙27)、ガスホルダー(乙1の甲25の16、乙1の甲134)等においても、引用キャラクター及び引用標章が使用されている。特に、ぽんちゃんのパネルがついた温度計は、これまでに6本設置され(甲149、乙1の甲17、乙1の甲106、乙28)、「館林がちゃ」として商品化もされている(乙29)。
イ 引用標章は、館林市の認知症カフェ「オレンジカフェぽんちゃん」(乙1の甲25の12)及び給食センター「スクールランチぽんちゃん」(乙1の甲25の9、乙1の甲127)の名称に使用されており、「スクールランチぽんちゃん」では、建物壁面、看板、配送車、パンフレット及び給食だよりに、引用キャラクターが使用され(甲147、乙1の甲53)、イベント「出張スクールランチぽんちゃん」も開催されている(乙1の甲25 の13)。
(13)館林市では、平成29年から引用キャラクター及び引用標章を使用したマンホールカード(甲169、乙1の甲25の8、乙1の甲58、乙1の甲121~乙1の甲123、乙1の甲128、乙30)が、令和3年からは、引用キャラクターを使用したナンバープレート(甲160、乙1の甲56、乙2の(4)、乙31)が無料配布されている。
(14)
ア 館林市では、引用標章を冠した引用キャラクターのLINEスタンプを販売しており(甲156、乙1の甲11)、引用キャラクターや引用標章を使用したオリジナルグッズとして、「ぽんちゃんポロシャツ」、「ぽんちゃんピンバッチ」、「ぽんちゃんぬいぐるみキーホルダー」、「ぽんちゃん缶バッチ」、「ぽんちゃんボールペン」、「ぽんちゃんエコバッグ」、「ぽんちゃんぬいぐるみ」、「ぽんちゃんタオル」、「ぽんちゃんストラップ」、「ぽんちゃんネックストラップ」、「ぽんちゃんクリアファイル」等を、市内の観光施設やショッピングモール等で販売している(甲142~甲145、乙1の甲25の11、乙1の甲43、乙1の甲46、乙1の甲76、乙1の甲132)。また、館林市観光協会では、「ぽんちゃん」の名刺台紙を作成し、希望者に印刷販売を行っている(甲146、乙1の甲44、乙1の甲90、乙1の甲91、乙32)。
イ 引用キャラクターを使用した館林市オリジナルグッズについて、引用標章が館林市マスコットキャラクターの愛称であることとともに、平成22年4月から令和4年12月まで継続して、全国紙を含む新聞記事において紹介されている(乙1の甲75、乙1の甲81、乙1の甲83~乙1の甲87、乙1の甲98、乙1の甲99、乙1の甲113~乙1の甲115、乙1の甲119、乙29)。
3 検討
(1)前記2の認定事実によると、引用キャラクターは、平成22年1月に館林市の観光マスコットキャラクターとして作成され、その愛称である「ぽんちゃん」(引用標章)とともに、館林市及び館林市観光協会によって、観光振興事業のために種々の方法により利用されていることが認められるから、引用標章を付した物品が有償で販売されている事実等を考慮しても、引用標章は、「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」に当たると認められる。
(2)前記2の認定事実によると、引用キャラクターは、館林市のマスコットキャラクターとして、各種の公的な文書への掲載、市内の公的施設や観光施設等での掲示、市内で実施される行事等への参加等、使用実績が積み重なっており、これらにより、館林市内においては知名度を獲得しているものと推認される。
(3)しかし、これらの使用実績は、基本的に館林市民や館林市を訪問する観光客等に向けられたものにとどまっている。なお、前記2の(8)アのとおり、館林市観光協会の集計によると、館林市の過去4年間(平成30年~令和3年)の観光客数は合計424万人を超えるとされるが、これは館林市観光協会が市内の主要な観光地点・催事ごとの来場者数(館林市民を含む。)を足し合わせた延べ人数である(乙1の甲27)。
(4)そこで、館林市外に向けて引用キャラクターが使用された実績をみると、埼玉県や東京都で開催された催事への参加は、証拠上、4件にとどまり(乙1の甲42、乙1の甲77、乙13、14)、日本シンガポール国交50周年記念イベント(乙16)や東武鉄道「りょうもう7市スタンプラリー」(乙17、18)への参加は、いずれも、他の多数のマスコットキャラクター等と共に参加しているものである。次に、新聞記事への掲載実績をみると、引用キャラクター又は引用標章は、平成22年1月から令和5年までの13年余の間に、証拠上は90本弱の新聞記事に掲載されているが(乙1の甲70~甲134、乙2、4、5、9、10、13、16、20、22、24~26、28、29、31、32)、これらの新聞記事は、いずれも、群馬県の地方紙である上毛新聞の記事か、全国紙であっても記事の文面からしていわゆる地方版に掲載された記事であると認められる。
(5)さらに、日本全国に向けた発信等をみると、引用キャラクターのSNS公式アカウントのフォロワー数は、「X」が3,186、インスタグラムは1,931(乙1の甲8、乙1の甲9の2。いずれも令和4年時点)にとどまる。「全国版」、「関東版」等の種類がある「アサヒ十六茶」のCMに他のキャラクターと共に約1か月間出演したことや(甲163、乙5)、全国各地の地方公共団体や、企業、団体等が採用、設定したキャラクターを対象とした「ゆるキャラグランプリ2015」で総合33位を獲得したこと(甲165)、日本全国に向けて発行された「るるぶ群馬’16」に縦横各約3センチメートルの大きさの紹介記事が掲載されたこと(乙12)がいずれも認められるが、いずれも平成26年から平成27年にかけて限定的に露出されたものにとどまる。なお、ふるさと納税返礼品としての引用キャラクター及び引用標章の実績は不明である。
(6)以上の事情を総合すると、引用キャラクター及びその愛称である「ぽんちゃん」(引用標章)は、館林市民にはなじみのあるキャラクターとして広く認識されていると認められ得るものの、館林市外への露出は散発的かつ限定的であり、群馬県の総人口約197万人に対して館林市の人口が8万人弱にとどまること(平成28年4月1日現在:乙1の甲116)からしても、群馬県及びその周辺において広く認識されていると認めるには至らない。
(7)そうすると、引用標章は、館林市及び館林市観光協会による観光振興事業の地域性を考慮しても、相応の規模の地理的範囲において広く認識されているということはできないから、商標法第4条第1項第6号にいう「著名なもの」に当たらない。
4 まとめ
以上によると、引用標章は、「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なもの」に当たらないから、本願商標は、商標法4条1項6号に該当する商標には当たらない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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