2023-002310
改良された端縁を有する改良されたフック付保持具
- 審判番号
- 2023-002310
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-556494外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年02月10日
- 審決日
- 2025年03月04日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アプリックス
- 【請求人代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 分類
- P18 .537-WZ (A44B) / P18 .121-WZ (A44B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)4月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年4月29日(FR)フランス、2016年4月29日(FR)フランス、2016年4月29日(FR)フランス、2016年4月29日(FR)フランス、2016年4月29日(FR)フランス、2016年4月29日(FR)フランス、2016年4月29日(FR)フランス)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
(令和 4年11月 8日 :原査定の謄本の送達)
第2 本願発明
本願の請求項1~17に係る発明は、それぞれ令和6年12月23日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載されたものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。
【請求項1】
フック付保持具であって、
長手方向に延び頂面(511)および底面(512)を有するベース(51)と、
前記ベースの前記頂面(511)から延出し、それぞれがステム(52)とヘッド(53)から形成される複数の保持要素とを備え、
前記ベース(51)の、前記頂面(511)と前記底面(512)との間の距離である厚さが10μm~700μmの範囲にあり、
前記ベース(51)が長手方向に2つの端縁(102,104)を有し、前記端縁(102,104)がそれぞれ凹凸を有し、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量(E)が、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)に渡って、1mm未満であり、
前記ベース(51)の前記頂面(511)は、前記端縁(102,104)に沿って連続的に延びる余分な厚みを有さず、前記端縁(102,104)は成形材料を射出することにより得られ、
前記ベース(51)の前記底面(512)および/または前記ベース(51)の前記頂面(511)に固定される不織材層(200)をさらに備え、前記不織材層(200)の繊維および/または繊維体の一部が前記ベース(51)内に封入され、使用される前記不織材は、0.10mm~0.8mmの範囲にある厚さの不織材であり、不織材の厚さは、1997年の規格 NF EN ISO 9073-2に従い、0.5キロパスカル(kPa)の圧力下で10秒間(s)の間、通常の不織布用の方法Aにより測定される、ことを特徴とする、
フック付保持具。
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年9月20日付けで、当審において通知した拒絶理由は、次の理由を含むものである。
拒絶理由1(明確性)
請求項1における「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」の記載について、「凸部」は点を指すものではないため、「長手方向の長さ(L)」が「連続する3つの凸部」のどの部位からどの部位までの長さを指すのかが理解できず、本願発明1~19は明確ではないため、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
拒絶理由3(進歩性)
本願の請求項1~19に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明及び引用文献3記載事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1 国際公開第2013/156368号
引用文献3 特表2012-526577号公報
引用文献6 特開2010-110537号公報
第4 拒絶理由1について当審の判断
1 請求項1の記載について
本願の【図14】の「端縁104」の拡大図に、本願明細書の【0291】の記載を踏まえて補助線等を加えた図を次のとおり示す(以下「参考図」という。)。
【参考図】
[図:0001424897000001.jpg]
請求項1の「前記端縁(102,104)がそれぞれ凹凸を有し、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量(E)が、連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)に渡って、1mm未満であり」の記載における「凹凸間の最大ずれ量(E)」について、参考図における「凸部」である「凸部1」~「凸部3」の箇所には、「凹部」は含まれないため、「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」に渡る「凹凸間の最大ずれ量(E)」はどのような量を意味するのか理解できない。
したがって、請求項1における「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」の記載は不明確である。
2 明細書等の記載を参照した解釈について
上記1のとおり、請求項1における「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」の記載自体が不明確であるから、本願明細書の記載を参照する。
本願明細書には、「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」に関して次の記載がある。
「【0291】図14に示すように、端縁102、104には、長手方向に連続する凹凸を有し、前記凹凸はベース51により形成される平面に平行な平面内に延びる。これら凹凸はテープ100を形成する成形材料の分布における微小な凹凸を表し、すなわち、精密に直線の端縁を産業的に形成することは不可能であると解釈される。【0292】凹部は、端縁102、104の、テープ100の内側に向けて凹む部分と解され、凸部は、端縁102、104の、テープ100の外側に向けて膨らむ部分と解される。」
「【0295】上述の装置および方法によれば、凸部3つ分に相当する長手方向の長さLにおいて、長手方向に対し横断する方向における凹凸間の最大ずれ量Eが、3.0mm未満、より正確には2.0mm未満、さらに正確には1.0mm未満、実際には0.001mm~1.0mmの範囲、特に0.001mm~0.5mmの範囲、さらには0.001mm~0.1mmの範囲にあるようなテープ端縁102、104を得ることができる。」
本願明細書における上記記載を参照しつつ、参考図を参照すると、「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」は、「凸部1」の下半分、「凹部1」、「凸部2」、「凹部2」、「凸部3」の上半分に相当する長さであるため、「連続する3つの凸部」に加えて、当該「3つの凸部」間にある「凹部に相当する長手方向の長さ」も含むものと解されるため、「長手方向の長さ(L)」は、「連続する3つの凸部に相当する」ものとはいえない。
また、審判請求人は、令和6年12月23日提出の意見書において、「凸部のどの位置かを特定しなくても、例えば頂点でもよく頂点から低い位置でも長さであってもよい」と主張するが、当該主張によると、参考図の「凸部1」、「凸部3」における長手方向を規定する位置は、それぞれ「凸部1」、「凸部3」において任意であるから、「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」は、「Lmin(L凹1+L凸2+L凹2)」以上「Lmax(L凸1+L凹1+L凸2+L凹2+L凸3)」以下の範囲を取り得ることになる。
したがって、請求項1における「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」の記載について、本願明細書の記載等を参照しても不明確である。
3 第三者にとって不測の不利益を及ぼすか否か
上記1、2のとおり、請求項1において、「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」を特定することができない以上、実施品等に係るフック付き保持具が本願発明に含まれるか否かを判断することができないため、第三者にとって不測の不利益を及ぼすほどに不明確であることは明らかである。
4 拒絶理由1についてのまとめ
よって、請求項1に係る発明は明確ではない。
第5 拒絶理由2について当審の判断
1 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、上記第4において説示したとおり、「連続する3つの凸部に相当する長手方向の長さ(L)」の記載が不明確であるため、本願明細書の【0292】、【0293】、本願図面の【図14】の記載を踏まえて、次のとおりのものと認める(下線は請求項1の記載と相違する箇所。)。
<本願発明1>
フック付保持具であって、
長手方向に延び頂面(511)および底面(512)を有するベース(51)と、
前記ベースの前記頂面(511)から延出し、それぞれがステム(52)とヘッド(53)から形成される複数の保持要素とを備え、
前記ベース(51)の、前記頂面(511)と前記底面(512)との間の距離である厚さが10μm~700μmの範囲にあり、
前記ベース(51)が長手方向に2つの端縁(102,104)を有し、前記端縁(102,104)がそれぞれ凹凸を有し、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量(E)が、連続する3つの凸部の両端の凸部における最も高い位置の間の長手方向の長さ(L)に渡って、1mm未満であり、
前記ベース(51)の前記頂面(511)は、前記端縁(102,104)に沿って連続的に延びる余分な厚みを有さず、前記端縁(102,104)は成形材料を射出することにより得られ、
前記ベース(51)の前記底面(512)および/または前記ベース(51)の前記頂面(511)に固定される不織材層(200)をさらに備え、前記不織材層(200)の繊維および/または繊維体の一部が前記ベース(51)内に封入され、使用される前記不織材は、0.10mm~0.8mmの範囲にある厚さの不織材であり、不織材の厚さは、1997年の規格 NF EN ISO 9073-2に従い、0.5キロパスカル(kPa)の圧力下で10秒間(s)の間、通常の不織布用の方法Aにより測定される、ことを特徴とする、
フック付保持具。
2 引用文献に記載された発明等
(1)引用文献1の記載
引用文献1には次の記載がある。なお、訳は当審が作成した。
「基材102は、例えば、不織布業界で知られているステープルファイバー不織布、ニードルパンチ不織布、ポイント未結合ウェブのようなスパンボンドウェブ、スパンボンド/メルトダウン/スパンボンド(SMS)ウェブなどである。」(明細書6ページ8~11行)
「示されているように、構造104は、ループ状の材料の繊維を引っ掛けるための湾曲部を定義するJ字型フックとして形成されている。」(明細書6ページ20~21行)
「図10を参照すると、タッチファスナーを製造する別の方法は、金型ロール130と滑らかな反転回転するローラー138との間のニップに溶融樹脂を直接押出すことを特徴としており、基材102がその周りに配置されているため、基材と樹脂が一緒にニップに入るようになっている。ニップ圧力は樹脂を金型ロールのキャビティやチャネルに押し込み、樹脂の基層を基材に直接ラミネートし、一部の樹脂が基材表面の隙間に浸透して樹脂を永久に固定する。この例では、押出機144はニップに整列するように配置されており、複数の間隔を置いた樹脂ストリップを形成するデッキルダイオリフィスを特徴としており、各ストリップはニップに連続的に垂れ下がるように形成され、樹脂は高いニップ圧力を受ける直前に基材の表面に接触する。」(明細書8ページ31行~9ページ7行)
「図14および14Aに示されるストリップの端は、リブ120を越えていくつかの横方向のオーバーフロー160を特徴としている。オーバーフローには視覚的な横方向の変動があるが(図14Aに示されるように)、リブ120なしで形成された類似のストリップと比較して、樹脂エッジの全体的な直線性は改善されている。」(明細書11ページ20~23行)
「21. タッチファスナー製品であって、広い表面を有する柔軟なシート状基板(102);広い表面に直接積層された樹脂層(106)であって、樹脂層は広い表面の一部のみを覆い、広い表面の露出領域に隣接する層の端を定義する樹脂層;及び樹脂層から延びる離散的なファスナー突起(104)の配列;からなり、樹脂層は、配列と層の端の間の点よりも層の端での厚さが大きい。22. 請求項21に記載の製品であって、層の端はリブ(120)を含み、層はファスナー突起の配列からリブまで延びる端部領域を定義し、端部領域はリブでの樹脂層の厚さよりも薄い厚さである。」(請求項21、22)
「[図:0001424897000002.jpg]」(図3)
「[図:0001424897000003.jpg]」(図10)
「[図:0001424897000004.jpg]」(図14)
「[図:0001424897000005.jpg]」(図14A)
(2)引用文献1に記載された事項
ア 引用文献1の図3、図14、図14Aから、引用文献1には次の事項が記載されている。
「樹脂層(106)は、長手方向に延び頂面および底面を有する。」
イ 引用文献1の図3から、引用文献1には次の事項が記載されている。
「樹脂層(106)は、長手方向に2つの端縁を有する。」
(3)引用文献1に記載された発明
上記(1)、(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「広い表面を持つ柔軟なシート状基材(102);広い表面に直接積層された樹脂層(106)であって、広い表面の一部のみを覆い、広い表面の露出領域に隣接する層の端を定義する樹脂層;及び樹脂層から延びる離散的なファスナー突起(104)の配列;からなるタッチファスナー製品であって(以上、請求項21)、樹脂層(106)は、長手方向に延び頂面および底面を有し(上記(2)ア)、続きを表示(全12行)樹脂層(106)は、長手方向に2つの端縁を有し(上記(2)イ)、樹脂層は、配列と層の端の間の点よりも層の端での厚さが大きく(請求項21)、層の端はリブ(120)を含み、層はファスナー突起の配列からリブまで延びる端部領域を定義し、端部領域はリブでの樹脂層の厚さよりも薄い厚さであり(請求項22)、ファスナー突起(104)は、ループ状の材料の繊維を引っ掛けるための湾曲部を定義するJ字型フックとして形成されており(明細書6ページ20~21行)、樹脂層は樹脂ストリップであり、ストリップの端はリブ(120)を超えたオーバーフロー(160)を特徴としており、オーバーフローは、視覚的に横方向にいくらか変動しており(明細書11ページ20~23行)、基材(102)は不織布であり(明細書6ページ8~11行)、樹脂ストリップは、押出機(144)により溶融樹脂を押し出して形成し、一部の樹脂が基材表面の隙間に浸透して樹脂を永久に固定される(明細書8ページ31行~9ページ7行)、タッチファスナー製品。」
3 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「不織布であ」る「基材(102)」は本願発明1の「不織材層(200)」に相当する。
引用発明1の「長手方向に延び頂面および底面を有」する「樹脂層(106)」は本願発明1の「長手方向に延び頂面(511)および底面(512)を有」する「ベース(51)」に相当する。
引用発明1の「ファスナー突起(104)」は本願発明1の「保持要素」に相当する。
引用発明1の「タッチファスナー製品」は本願発明1の「フック付保持具」に相当する。
引用発明1の「J字型フックとして形成され」た「ファスナー突起(104)」は、「J字型フック」が「ステムとヘッドから形成され」たものといえるから、引用発明1の「J字型フックとして形成され」、「樹脂層から延びる離散的な」「ファスナー突起」は、本願発明1の「前記ベースの前記頂面(511)から延出し、それぞれがステム(52)とヘッド(53)から形成される複数の保持要素」に相当する。
引用発明1において、「樹脂層(106)」が「長手方向に2つの端縁を有」することは、本願発明1において、「前記ベース(51)が長手方向に2つの端縁(102,104)を有」することに相当する。
引用発明1において、「基材(102)は不織布であり、樹脂ストリップは、押出機(144)により溶融樹脂を押し出して形成し、一部の樹脂が基材表面の隙間に浸透して樹脂を永久に固定される」ことは、本願発明1において、「前記端縁(102,104)は成形材料を射出することにより得られ、前記ベース(51)の前記底面(512)および/または前記ベース(51)の前記頂面(511)に固定される不織材層(200)をさらに備え、前記不織材層(200)の繊維および/または繊維体の一部が前記ベース(51)内に封入され」ることに相当する。
本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点1]
「フック付保持具であって、長手方向に延び頂面(511)および底面(512)を有するベース(51)と、前記ベースの前記頂面(511)から延出し、それぞれがステム(52)とヘッド(53)から形成される複数の保持要素とを備え、前記ベース(51)が長手方向に2つの端縁(102,104)を有し、前記端縁(102,104)は成形材料を射出することにより得られ、前記ベース(51)の前記底面(512)および/または前記ベース(51)の前記頂面(511)に固定される不織材層(200)をさらに備え、前記不織材層(200)の繊維および/または繊維体の一部が前記ベース(51)内に封入された、フック付保持具。」
[相違点1]
本願発明1は「前記ベース(51)の、前記頂面(511)と前記底面(512)との間の距離である厚さが10μm~700μmの範囲にあ」るのに対して、引用発明1は「樹脂層」の厚さが不明である点。
[相違点2]
本願発明1は「前記端縁(102,104)がそれぞれ凹凸を有し、長手方向に対し横断する方向の凹凸間の最大ずれ量(E)が、連続する3つの凸部の両端の凸部における最も高い位置の間の長手方向の長さ(L)に渡って、1mm未満であり、前記ベース(51)の前記頂面(511)は、前記端縁(102,104)に沿って連続的に延びる余分な厚みを有さ」ないのに対して、引用発明1は「樹脂層は樹脂ストリップであり、ストリップの端はリブ(120)を超えたオーバーフロー(160)を有し、オーバーフローは、視覚的に横方向にいくらか変動して」いる点。
[相違点3]
本願発明1は、「使用される前記不織材は、0.10mm~0.8mmの範囲にある厚さの不織材であり、不織材の厚さは、1997年の規格 NF EN ISO 9073-2に従い、0.5キロパスカル(kPa)の圧力下で10秒間(s)の間、通常の不織布用の方法Aにより測定される」のに対して、引用発明1は、「基材(102)」の厚さが不明である点。
(2)判断
ア 相違点1について
引用発明1の樹脂層の厚さをどの程度とするかは当業者が適宜決め得ることであり、引用発明1において、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。
イ 相違点2について
引用文献1の図14、14Aを参照すると、引用発明1の「オーバーフロー(160)」は、樹脂層(106)の端縁に沿って連続的に延びる余分な厚みを有しておらず、引用発明1の「オーバーフローは、視覚的に横方向にいくらか変動して」いることは、凹凸を有することといえる。
また、「オーバーフローは、視覚的に横方向にいくらか変動して」いても、「樹脂層の端は、全体的な直線性が向上している」(引用文献1の明細書11ページ21~23行)ものであること、また、コスト面からオーバーフローによる使用材料の増加は少量にとどめることは当業者が適宜なし得ることであるから、リブからのオーバーフローを小さくし、相違点2に係る本願発明1の構成とすることに格別の困難性はない。
ウ 相違点3について
引用発明1の「タッチファスナー製品」は、「不織布であ」る「基材(102)」、「樹脂層(106)」、「ファスナー突起(104)の配列」からなるものであるところ、「基材(102)」としてどのようなものを採用するかは、「タッチファスナー製品」に求められる物理的特性、機能等を考慮して当業者が適宜決め得ることであり、引用発明1において、相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。
エ 作用効果について
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明1の奏する作用効果は、引用発明1に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(3)審判請求人の主張について
ア 審判請求人の主張の概要
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審判請求人は令和6年12月23日提出の意見書において、(主張1)引用文献1の全体的な教示は、特に縁に余分な厚みを加えることであり、本願発明の「前記ベース(51)の、前記頂面(511)と前記底面(512)との間の距離である厚さが10μm~700μmの範囲」であり、「前記ベース(51)の前記頂面(511)は、前記端縁(102,104)に沿って連続的に延びる余分な厚みを有さ」ないという特徴とは完全に反するものであり、(主張2)本願発明における「前記ベース(51)の前記底面(512)および/または前記ベース(51)の前記頂面(511)に固定される不織材層(200)」を備え、「前記不織材層(200)の繊維および/または繊維体の一部が前記ベース(51)内に封入され、使用される前記不織材は、0.10mm~0.8mmの範囲にある厚さの不織材であり、不織材の厚さは、1997年の規格 NF EN ISO 9073-2に従い、0.5キロパスカル(kPa)の圧力下で10秒間(s)の間、通常の不織布用の方法Aにより測定される」との不織布の特性に関する特徴は、引用文献1、3、6に開示も示唆もされていない旨主張する。
イ 主張1について
引用文献1の図14、図14Aを参照すると、引用発明1の「オーバーフロー(160)」が端縁に沿って連続的に延びる余分な厚みを有さないことは明らかである。
ウ 主張2について
上記相違点3の判断についての説示したとおりである。
なお、本願発明1の「使用される前記不織材は、0.10mm~0.8mmの範囲にある厚さの不織材であり、不織材の厚さは、1997年の規格 NF EN ISO 9073-2に従い、0.5キロパスカル(kPa)の圧力下で10秒間(s)の間、通常の不織布用の方法Aにより測定される」という構成について、本願明細書の【0213】には、「使用している不織材は、通常、厚さが0.10mm~0.8mmの範囲、特に、0.20mm~0.60mmの範囲にある不織材である。不織材の厚さは、たとえば、NF EN ISO 9073-2:1997規格に従い、0.5キロパスカル(kPa)の圧力下で10秒間(s)行う、通常の不織布用の方法Aにより測定することができる。」と記載されているのみであり、そのような厚さ、測定方法としたことによる格別な効果が開示されていない。
(4)拒絶理由2についてのまとめ
本願発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のことから、請求項1に係る発明が明確ではなく、特許請求の範囲の記載が特許法36条第6項第1号に適合しないから、この出願は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。
また、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により特許をすることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-002310