特許拒絶査定不服審判
2023-001684
加熱ランプ
- 審判番号
- 2023-001684
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-192583外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年02月01日
- 審決日
- 2024年02月22日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ウシオ電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H01K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-192583「加熱ランプ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月16日出願公開、特開2020- 61296〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年10月11日の出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和4年 6月28日付け:拒絶理由通知書
同年 9月 1日 :意見書・手続補正書の提出
同年11月 7日付け:拒絶査定
令和5年 2月 1日 :審判請求書・手続補正書の提出
同年11月 9日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由通知書」という。)
同年12月27日 :意見書の提出
第2 本願発明の認定
本願の請求項1~5に係る発明は、令和5年2月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち、その請求項1の記載は以下のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。
「光に対して透過性を示す発光管と、
前記発光管の端部側に位置する第一巻回部と、前記第一巻回部よりも前記発光管の中央部側に位置し、前記第一巻回部の巻回密度よりも低密度で巻回された第二巻回部とを含んで構成されているフィラメントと、
前記発光管の管軸方向から見たときの、前記発光管の内壁面側の一部に形成された反射膜とを備えることを特徴とする加熱ランプ。」
第3 当審拒絶理由通知書における拒絶の理由
当審拒絶理由通知書における拒絶の理由は、本願発明は、引用文献5に記載された発明、引用文献5に記載された技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用文献4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない旨を含むものである。
引用文献2.実願昭51-131520号(実開昭53-49138号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
引用文献3.実願昭61-117779号(実開昭63-25488号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2010-107720号公報
引用文献5.特許第5267765号公報
引用文献6.特表2007-528092号公報(周知技術を示す文献)
引用文献7.特許第3834238号公報(周知技術を示す文献)
引用文献8.特開2006-302719号公報(周知技術を示す文献)
引用文献9.特開2007-149649号公報(周知技術を示す文献)
第4 当審の判断
当審は、以下のとおり、本願発明は、引用文献5に記載された発明、引用文献5に記載された技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用文献4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものあると判断する。
1 本願発明の認定
本願発明の認定は、上記第2に記載したとおりである。
2 引用文献の記載及び引用発明等
(1)引用文献5
ア 引用文献5の記載事項
【0011】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みて、被処理体全体を均一に加熱することを可能にしたフィラメントランプおよび光照射式加熱処理装置を提供することにある。
【0014】
はじめに、本発明の第1の実施形態を図1ないし図8を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る光照射式加熱処理装置の構成を示す正面断面図である。
同図に示すように、この光照射式加熱処理装置30は、石英窓32によりランプユニット収容空間S1と加熱処理空間S2とに分割されたチヤンバ31を有する。チヤンバ31は、ステンレスなどの金属材料により構成されている。ランプユニット収容空間S1に配置されたランプユニット40から放出される光が、石英窓32を介して加熱処理空間S2に設置された被処理体Wに照射されることにより加熱処理が行われる。
【0015】
ランプユニット40の上方には反射鏡41が配置されている。反射鏡41は、例えば、無酸素銅からなる母材に金をコートした構造であり、反射断面が、円の一部、楕円の一部、放物線の一部または平板状などの形状を有する。反射鏡41は、ランプユニット40から上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射する。即ち、同装置30においては、ランプユニット40から放出された光は、直接または反射鏡41で反射されて、被処理体Wに照射される。
【0024】
図2は、図1に示したランプユニット40の構成を上から見た図、図3は、図2に示したフィラメントランプ10の構成を示す斜視図、図4は、図3に示したコイル状に巻回されて形成されたフィラメント20のフィラメント素線を管軸を通る面で切断して見た図である。
図3に示すように、フィラメントランプ10は、両端部に封止部21A、21Bが形成された、例えば、ガラス材料よりなる発光管22を備えており、発光管22の内部空間には、例えば、ハロゲンガスが封入されると共に、例えば、タングステンからなるフィラメント素線がコイル状に巻回されて形成されたコイル状のフィラメント20が、発光管22の管軸に沿って伸びるよう配置され、その両端部はリード23A、23B、金属箔24A、24Bを介して外部リード25A、25Bに接続されている。
また、フィラメント素線から放射される光は、図4(a)に示すように当該フィラメント素線から外部に放射されると光と、図4(b)に示すように当該フィラメント素線から隣接するフィラメント素線間(当該フィラメント素線から見た角度θ1,θ2,θ3・・・)を通して放射される光の和で表される。
【0047】
次に、本発明の第2の実施形態を図9および図10を用いて説明する。
図9は、本実施形態に係わり、図1に示した光照射式加熱処理装置と同様の装置に適用され、図2に示したランプユニット40とは異なる構成を有するランプユニット70の構成を示す図、図10は、図9に示したフィラメントランプ100の構成を示す斜視図である。
【0048】
図9に示すように、ランプユニット70は、被処理体Wの外周縁部のゾーンZ1と被処理体Wの中央部のゾーンZ2との双方に面して配置された複数本のフィラメントランプ100よりなるランプグループG1と、ランプグループG1の両側に位置し、被処理体Wの外周縁部のゾーンZ1のみに面して配置された複数本のフィラメントランプ10よりなるランプグループG2,G3とから構成される。ここで、各フィラメントランプ10,100における各フィラメント20,110の中心軸方向の端部は、被処理体Wの外周縁部の外側の仮想円700の円周上まで伸びるように配置されており、互いに中心軸方向の全長が異なるよう構成されている。
【0049】
図10に示すように、ランプグループG1に属する各フィラメントランプ100は、フィラメントの構成が異なることを除けば、図3に示したフィラメントランプ10と同様の構成を有している。即ち、フィラメントランプ100の発光管102の内部に配置されたコイル状のフィラメント110は、発光管102の管軸方向において中央部に位置する中央側フィラメントF2”と、中央側フィラメントF2”の両端に連続する、中央側フィラメントF2”よりもコイル外径が大きくなるよう形成された一対の端部側フィラメントF1”とにより構成されており、中央側フィラメントF2”の単位長さ当たりの実効表面積SF2”に比して端部側フィラメントF1”の単位長さ当たりの実効表面積SF1”の方が大きくなるように構成されている。各端部側フィラメントF1”の端部には、それぞれ金属箔104A、104Bに接続されるリード103A,103Bが接続されている。フィラメント110は、中央側フィラメントF2”の両端に、各々各端部側フィラメントF1”の一端を溶接することにより形成され、中央側フィラメントF2”と各端部側フィラメントF1”との間には溶接部Mが形成され、溶接部Mは非発光部となる。ここで、管軸方向において中央に位置する中央側フィラメントF2”が低放射コイル部となり、端部に位置する端部側フィラメントF1”が高放射コイル部となる。
【0050】
図9に示すように、複数のフィラメントランプ100よりなるランプグループG1においては、端部側フィラメントF1”が被処理体Wの外周縁部のゾーンZ1に面して配置されると共に、中央側フィラメントF2”が被処理体Wの中央側のゾーンZ2に面して配置されている。【0053】
このランプユニット70によれば、ランプユニット70の直下においては、被処理体Wの中央部のゾーンZ2に対して照射される単位面積当たり照射量に比して、被処理体Wの外周縁部のゾーンZ1に対して照射される単位面積当たりの照射量が大きくなると共に、各フィラメントにおける放射スペクトルの形状(図14参照)を同一にすることができるので、被処理体Wの表面の温度分布が均一になるよう被処理体Wを加熱することができる。さらに、上記の関係3に示すように、各フィラメントF1,F1”の実効表面積を均等にすると共に、各フィラメントF2”の実効表面積を均等にした場合には、各ゾーンZ1,Z2に対して放射される単位面積当たりの照射量を各ゾーンZ1,Z2毎にゾーン内で均等にすることができる。
【0054】
次に、本発明の第3の実施形態を図11および図12を用いて説明する。
図11は、本実施形態に係るフィラメントランプ120の構成を示す斜視図、図12は図1に示した光照射式加熱処理装置と同様の装置に適用され、ランプユニットとして図11に示したフィラメントランプ120を適用したランプユニット80の構成を示す図である。
【0055】
図11に示すフィラメントランプ120は、発光管112の内部に、コイル状に形成されたフィラメント130と、フィラメント130の両端に連結された一対のリード112A,112Bとからなる複数のフィラメント体が、各フィラメント130が発光管112の管軸に沿って順次に並ぶよう配置された構成を有している。発光管112の両端には、発光管112の内部に配置されたシール用絶縁体115A,115Bと、発光管112の内表面とが、シール用絶縁体115A,115Bの外周面に適宜の間隔で離間して管軸に沿って伸びるよう配置された、フィラメント体の2倍の個数を有する金属箔113A,113Bを介して密着することにより、気密に封止された封止部111A,111Bが形成されている。各金属箔113A,113Bの一端には、各内部リード112A,112Bが接続され、各金属箔113A,113Bの他端には、発光管112の外端面から外方に伸び出ると共に不図示の給電装置に繋がる各外部リード114A,114Bが接続され、これにより、各外部リード114A,114B、各金属箔113A,113B、各内部リード112A,112Bを介して、各フィラメント体に対して各給電装置から給電が行われる。このようなフィラメントランプ120においては、各フィラメント130に対して独立して給電することができる。
このようなフィラメントランプ120においては、発光管112の管軸方向において中央に位置するフィラメントF2”の実効表面積に比して、管軸方向の端部に位置するフィラメントF1”の実効表面積が大きい。即ち、図5ないし図7に示すように、各フィラメントF2”のコイル外径に比して各フィラメントF1、F1”のコイル外径を大きくしたり、また、各フィラメントF2”のコイルピッチに比して、各フィラメントF1,F1”のコイルピッチを小さくしたり、さらには、各フィラメントF2”のコイル素線径に比して各フィラメントF1、F1”のコイル素線径を大きくする。ここで、管軸方向において中央に位置するフィラメントF2”が低放射フィラメントとなり、端部に位置するフィラメントF1”が高放射フィラメントとなる。
【図1】
[図:0001409805000001.jpg]
【図9】
[図:0001409805000002.jpg]
【図10】
[図:0001409805000003.jpg]
【図11】
[図:0001409805000004.jpg]
イ 引用文献5から読み取れる事項の認定
(ア)図10に示される第2の実施形態におけるランプグループG1に属する各フィラメントランプ100は、フィラメントの構成が異なることを除けば、図3に示したフィラメントランプ10と同様の構成を有しているから(【0049】)、図3に示される第1の実施形態のフィラメントランプ10と同様に、ガラス材料よりなる発光管102を備えている(【0024】)ことが理解できる。
(イ)図9に示される第2の実施形態は、図1に示した光照射式加熱処理装置と同様の装置において、図2に示したランプユニット40とは異なる構成を有するランプユニット70を適用したものであるところ(【0047】)、図1の光照射式加熱処理装置は、ランプユニット40の上方には反射鏡41が配置されており、反射鏡41は、ランプユニット40から上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射するものであるから(【0015】)、第2の実施形態においても同様に、光照射式加熱処理装置は、ランプユニット70の上方には反射鏡41が配置されおり、ランプユニット70から上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射することが理解できる。
ウ 引用発明5の認定
上記ア及びイから、引用文献5には、特に第2の実施形態に係るフィラメントランプについて、次の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明5>
「被処理体全体を均一に加熱することを可能にした光照射式加熱処理装置のフィラメントランプであって、(【0011】)
ランプユニット70は、被処理体Wの外周縁部のゾーンZ1と被処理体Wの中央部のゾーンZ2との双方に面して配置された複数本のフィラメントランプ100よりなるランプグループG1と、ランプグループG1の両側に位置し、被処理体Wの外周縁部のゾーンZ1のみに面して配置された複数本のフィラメントランプ10よりなるランプグループG2,G3とから構成され、(【0048】)
フィラメントランプ100は、ガラス材料よりなる発光管102を備えており、(前記イ(ア))
前記フィラメントランプ100の発光管102の内部に配置されたコイル状のフィラメント110は、発光管102の管軸方向において中央部に位置する中央側フィラメントF2”と、中央側フィラメントF2”の両端に連続する、中央側フィラメントF2”よりもコイル外径が大きくなるよう形成された一対の端部側フィラメントF1”とにより構成されており、中央側フィラメントF2”の単位長さ当たりの実効表面積SF2”に比して端部側フィラメントF1”の単位長さ当たりの実効表面積SF1”の方が大きくなるように構成されており、(【0049】)
管軸方向において中央に位置する中央側フィラメントF2”が低放射コイル部となり、端部に位置する端部側フィラメントF1”が高放射コイル部となり、(【0049】)
ランプユニット70の上方には反射鏡41が配置されており、ランプユニット70から上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射する、(上記イ(イ))、
フィラメントランプ。」
エ 引用文献5技術事項の認定
上記アから、引用文献5には、第3の実施形態に係るフィラメントランプについて、次の技術事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献5技術事項>
「被処理体全体を均一に加熱することを可能にした光照射式加熱処理装置のフィラメントランプにおいて(【0011】)、
フィラメントランプ120は、発光管112の内部に、コイル状に形成されたフィラメント130と、フィラメント130の両端に連結された一対のリード112A,112Bとからなる複数のフィラメント体が、各フィラメント130が発光管112の管軸に沿って順次に並ぶよう配置された構成を有しており、(【0055】)
発光管112の管軸方向において中央に位置するフィラメントF2”の実効表面積に比して、管軸方向の端部に位置するフィラメントF1”の実効表面積が大きく、即ち、フィラメントF2”のコイル外径に比してフィラメントF1”のコイル外径を大きくしたり、また、フィラメントF2”のコイルピッチに比して、フィラメントF1”のコイルピッチを小さくしたり、さらには、フィラメントF2”のコイル素線径に比してフィラメントF1”のコイル素線径を大きくすること。(【0055】)」
(2)引用文献4
ア 引用文献4の記載事項
【0001】
この発明は、複写機やプリンタのトナーを定着させるためのヒータとして用いられる管型ヒータ装置およびこれを用いたトナー定着装置に関する。
【0011】
図1~図3において、100はヒータの役目を果たす直管型の白熱ランプである。白熱ランプ100は、石英ガラスよりなるバルブ11内にコイル状の長尺フィラメント12が収容される。
【0016】
バルブ11の外表面の長手方向の図中上側には、図3の切断面線Ia-Ibから見た状態を示す図4のように、白熱ランプ100の発光部121から発せられた光を図中下側に照射させるための熱膨張率の小さい例えばアルミナ、シリカ等を主材とする反射膜18が形成されている。
【0022】
この実施形態では、バルブ11の外表面上に直接、リフレクタの役目を果たす反射膜18を形成したことにより、リフレクタのスペースを必要としないことから、反射膜18を回動させたとしても被加熱体に対する距離を長くする必要がなく加熱効率の低下させることがない。
【0023】
図7~図9は、この発明の管型ヒータ装置に関する他の実施形態について説明するためのものであり、図7は正面図、図8は図7のIIa-IIb線断面図、図9は図7のIIIa-IIIb線断面図である。なお、上記した実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0024】
この実施形態は、例えばハガキサイズに相当する領域t1の範囲では反射膜181を、図8に示すように照射角が広くなるようにし、領域t1の両端の領域t2とt3の範囲では反射膜181を、図9に示すように照射角を狭くなるようにしている。領域t2とt3は、領域t1とを合わせて例えばA4サイズの用紙を加熱できる幅に相当する領域t4となる。
【0025】
フィラメント12の光が同条件である場合の反射膜181は広い照射範囲であることから、狭い照射範囲の反射膜181に比べて加熱温度がやや低い。このため、周辺の構成物に熱が奪われやすい白熱ランプ100の長手方向両端側の温度の中央部に対して高く設定することができる。
【図3】
[図:0001409805000005.jpg]
【図4】
[図:0001409805000006.jpg]
【図7】
[図:0001409805000007.jpg]
【図8】
[図:0001409805000008.jpg]
【図9】
[図:0001409805000009.jpg]
イ 引用文献4から読み取れる事項の認定
(ア)図7~図9は、この発明の管型ヒータ装置に関する他の実施形態について説明するためのものであり、図1~4で説明される実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付しているから(【0023】)、図7~9で示される他の実施形態においても、ヒータの役目を果たす直管型の白熱ランプ100は、石英ガラスよりなるバルブ11内にコイル状の長尺フィラメント12が収容されること(【0011】)が理解できる。
(イ)図1~4で説明される実施形態では、図3の切断面線Ia-Ibから見た状態を示す図4により、バルブ11の外表面の長手方向の図中上側に、白熱ランプ100の発光部121から発せられた光を図中下側に照射させるための反射膜18が形成されていることが記載されているとともに(【0016】)、当該反射膜18は、バルブ11の外表面上に直接、リフレクタの役目を果たす反射膜18として形成したものであることが記載されているところ(【0022】)、上記図4が図3の切断面線Ia-Ibから見た状態を示すのと同様に、図7の切断面線からみた状態を示す図8及び9において、図4における反射膜18がバルブ11の外表面に形成されている様子と同じ描画手法により、反射膜181及び反射膜182が描画されていることから、図8の反射膜181及び図9の反射膜182(図9の反射膜182は、【0024】では反射膜181と説明されており、反射膜181の誤記と認める。)は、バルブ11の外表面上に直接形成され、リフレクタの役目を果たすものであることが理解できる。
(ウ)図8、図9からみて、図7~9で示される他の実施形態においては、ハガキサイズに相当する領域t1の範囲では反射膜181を円周方向に短く形成し、領域t1の両端の領域t2とt3の範囲では反射膜181を円周方向に長く形成していることが理解できる。
ウ 引用発明4の認定
上記ア及びイから、引用文献4には、特に図7~図9に示される他の実施形態に係る管型ヒータ装置について、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明4>
「管型ヒータ装置であって、(【0023】)
ヒータの役目を果たす直管型の白熱ランプ100は、石英ガラスよりなるバルブ11内にコイル状の長尺フィラメント12が収容され、(前記イ(ア))
当該バルブ11の外表面上に直接、リフレクタの役目を果たす反射膜181を形成し、(前記イ(イ))
ハガキサイズに相当する領域t1の範囲では反射膜181を円周方向に短く形成して照射角が広くなるようにし、領域t1の両端の領域t2とt3の範囲では反射膜181を円周方向に長く形成して照射角を狭くなるようにして、領域t2とt3は、領域t1とを合わせて例えばA4サイズの用紙を加熱できる幅に相当する領域t4とし、(【0024】、上記イ(ウ))
フィラメント12の光が同条件である場合の反射膜181は広い照射範囲であることから、狭い照射範囲の反射膜181に比べて加熱温度がやや低いため、周辺の構造物に熱を奪われやすい白熱ランプ100の長手方向両端側の温度を中央部に対して高く設定することができる、(【0025】)
管型ヒータ装置。」
(3)周知技術の認定
ア 引用文献2及び3の記載事項から見て、以下の事項は周知技術であると認められる。
<周知技術1>
「均一な加熱効果が得られるように、両端部でフィラメントコイルの巻きピッチが密であり、中央部でフィラメントコイルの巻きピッチが疎であるフィラメントランプ(引用文献2の明細書3頁3~6行、5頁5~14行、6頁4~13行、図4、引用文献3の明細書1頁14~17行、2頁13行~3ページ1行、3頁5~10行、図1)」
イ 引用文献6~9の記載事項から見て、以下の事項は周知技術であると認められる。
<周知技術2>
「加熱ランプの発熱部材から出射される光を加熱対象に対して反射するために、前記発熱部材を内部に備えるガラス管の外壁面側や内壁面側の周方向の一部に反射膜を形成すること(引用文献6の【0001】、【0030】、【0032】、【0034】、図3、引用文献7の【0001】、【0087】~【0090】、【0094】、図12~図14、引用文献8の【0001】、【0002】、【0010】、【0012】~【0013】、【0021】、図2、図3、図7、引用文献9の【0001】、【0058】、【0061】、図5)」
3 引用発明5を主引用発明とする拒絶理由
(1)対比
ア 引用発明5が「フィラメントランプ100は、ガラス材料よりなる発光管102を備えて」いることは、ガラス材料よりなる発光管が光に対して透過性を示すことはフィラメントランプの機能に照らせば自明のことであるから、本願発明の「光に対して透過性を示す発光管」を備えることに相当する。
イ 本願の明細書【0027】には、「第一巻回部は、発光管の端部側に配置され、発光管の端部側における光強度を高くするためのものである。」と記載されており、本願発明の第一巻回部の技術上の意義は、第二巻回部よりも光強度を高くすることである。
一方、引用発明5は、「前記フィラメントランプ100の発光管102の内部に配置されたコイル状のフィラメント110は、発光管102の管軸方向において中央部に位置する中央側フィラメントF2”と、中央側フィラメントF2”の両端に連続する、中央側フィラメントF2”よりもコイル外径が大きくなるよう形成された一対の端部側フィラメントF1”とにより構成されており、中央側フィラメントF2”の単位長さ当たりの実効表面積SF2”に比して端部側フィラメントF1”の単位長さ当たりの実効表面積SF1”の方が大きくなるように構成されて」おり、「管軸方向において中央に位置する中央側フィラメントF2”が低放射コイル部となり、端部に位置する端部側フィラメントF1”が高放射コイル部となる」ところ、このことは、中央側フィラメントの光強度に比して端部側のフィラメントの光強度が大きいこと意味するものといえる。
そうすると、引用発明5が上記のように構成されていることと、本願発明が「前記発光管の端部側に位置する第一巻回部と、前記第一巻回部よりも前記発光管の中央部側に位置し、前記第一巻回部の巻回密度よりも低密度で巻回された第二巻回部とを含んで構成されているフィラメント」を備えることとは、「前記発光管の端部側に位置する第一巻回部と、前記第一巻回部よりも前記発光管の中央部側に位置し、第一巻回部」よりも光強度が低い「第二巻回部とを含んで構成されているフィラメント」を備える点で共通する。
ウ 引用発明5は、「ランプユニット70の上方には反射鏡41が配置されており、ランプユニット70から上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射する」ところ、ランプユニット70のフィラメントランプ100は、反射鏡41によって当該フィラメントランプ100から上方に向けて照射された光が被処理体W側へ反射される作用を受けるから、引用発明5のフィラメントランプ100は、反射部材により、「前記発光管の管軸方向から見たときの」「一部の方向」に照射された光の反射を受けるといえる。
そうすると、引用発明5の「ランプユニット70の上方には反射鏡41が配置されており、ランプユニット70から上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射する」ことと、本願発明の「前記発光管の管軸方向から見たときの、前記発光管の内壁面側の一部に形成された反射膜とを備える」こととは、「前記発光管の管軸方向から見たときの」「一部」の方向に照射された光が反射部材により反射される点で共通する。
エ 引用発明5の「被処理体全体を均一に加熱することを可能にした光照射式加熱処理装置のフィラメントランプ」は、本願発明の「加熱ランプ」に相当する。
オ 上記ア~エからみて、本願発明と引用発明5は、下記の一致点で一致し、下記相違点1及び2の点で相違する。
<一致点>
「光に対して透過性を示す発光管と、
前記発光管の端部側に位置する第一巻回部と、前記第一巻回部よりも前記発光管の中央部側に位置し、前記第一巻回部よりも光強度が低い第二巻回部とを含んで構成されているフィラメントと、を備え
前記発光管の管軸方向から見たときの一部の方向に照射された光が反射部材により反射される、
加熱ランプ。」
<相違点1>
第二巻回部について、本願発明は、「前記第一巻回部の巻回密度よりも低密度で巻回された」ものであるのに対し、引用発明5は、端部側フィラメントF1”よりもコイル外径が小さくなるように形成され、端部側フィラメントF1”の単位長さ当たりの実効表面積に比して単位長さ当たりの実効表面積F2”が小さくなるように構成されているものであり、フィラメントF2”の巻回密度よりも低密度で巻回されたものではない点。
<相違点2>
発光管の管軸方向から見たときの一部の方向に照射された光を反射する反射部材について、本願発明は、「前記発光管の内壁面側の一部に形成された反射膜」であるのに対して、引用発明5は、ランプユニット40の上方に配置された反射鏡41である点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明5では、被処理体全体を均一に加熱するために、発光管102の管軸方向において、中央側フィラメントF2”の単位長さ当たりの実効表面積SF2”に比して端部側フィラメントF1”の単位長さ当たりの実効表面積SF1”の方が大きくなるように構成されているところ、引用文献5技術事項は、発光管112の管軸方向において中央に位置するフィラメントF2”の実効表面積に比して、管軸方向の端部に位置するフィラメントF1、F1”の実効表面積が大きくする手段として、引用発明5と同様にフィラメントF2”のコイル外径に比してフィラメントF1”のコイル外径を大きくすることとともに、フィラメントF2”のコイルピッチに比して、フィラメントF1”のコイルピッチを小さくすることを開示するものであるから、引用発明5において、中央側フィラメントF2”の単位長さ当たりの実効表面積SF2”に比して端部側フィラメントF1”の単位長さ当たりの実効表面積SF1”の方が大きくなるようにする手段として、引用文献5技術事項のフィラメントF2”のコイルピッチに比して、フィラメントF1”のコイルピッチを小さくする構成を採用し、一対の端部側フィラメントF1”のコイルピッチを中央側フィラメントF2”のコイルピッチよりも小さく、すなわち高密度で巻回する、換言すれば、中央側フィラメントF2”のコイルピッチを端部側フィラメントF1”のコイルピッチよりも大きく、すなわち低密度で巻回ように構成することにより、相違点1に係る本願発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用発明5の反射鏡41は、ランプユニット40から上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射するものであるところ、周知技術2のように発光管102の内壁面側の周方向の一部に反射膜を形成する構成を採用することにより上記反射鏡41の機能を奏するようにして、相違点2に係る本願発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3)請求人の主張について
ア 相違点1に関する判断について
(ア)請求人は、相違点1について、以下の点を主張する。
引用文献5の段落[0055]に記載されている構成は、フィラメントF1”を形成する素線と、フィラメントF2”を形成する素線とがそれぞれ独立している構成において採用し得る構成である。
引用文献5に記載の発明は、被処理体全体を均一に加熱するために、フィラメントの色温度を同一にすることを要求しているところ、フィラメントにおいて部分的に実効表面積を変更するためにコイルピッチを異ならせる場合、密に巻回された部分と、疎に巻回された部分とで、表面温度、すなわち、色温度が大きく異なってくるから、引用文献5に記載の発明の技術的思想と相反することになる。
コイルピッチを変更しつつ、色温度をも揃えるような設計というのは極めて難しいことから、引用発明5においては、両端部で密、中央部で疎となるようなコイルピッチを採用し得るとの判断を単純にはなし得ない。
(イ)請求人の主張について検討する。
引用文献5技術事項に関する第3の実施形態において、中央側フィラメントF2”及び一対の端部側フィラメントF1”に独立して給電することと、コイルピッチ異ならせることとの技術的関連(例えば、特にコイルピッチを異ならせる場合には、必ず独立して給電する必要があること)が記載されていないことからみて、【0055】でフィラメントの実効表面積を大きくするための手段として、フィラメントのコイル外径を異ならせる構成とともに例示されるフィラメントのコイルピッチを異ならせる構成は、独立して給電を行うものではない第2の実施形態に関する引用発明5への適用を妨げるものとは解されない。
また、請求人が主張するように、コイルピッチを異ならせるとフィラメントの温度が異なるのであれば、引用発明5のようにコイル外径を異ならせてもフィラメントの温度は異なるから、そのようなフィラメント温度の差異は第2の実施形態に係る引用発明5では許容されていると解するのが相当であり(なお、引用文献5の【0038】には、被処理体の表面温度の均一性を厳格に要求されない場合があることが明記されている。)、第2の実施形態に係る引用発明5がコイル外径を変える形態のみに限定されると解すことはできない。
よって、引用発明5に対してコイルピッチを異ならせる構成を適用することが、被処理体全体を均一に加熱するために、フィラメントの色温度を同一にするという引用文献5に記載の発明の技術的思想と相反することになるとする請求人の上記主張は採用できない。
イ 相違点2に関する判断について
(ア)請求人は、相違点2ついて、以下の点を主張する。
a 引用文献5に記載の発明は、フィラメントランプの温度上昇をできる限り抑制しようとしているから、当業者はフィラメントランプの全体の体積を大きくし、熱容量を高めるような構成、つまり、反射鏡に代えて、フィラメントランプの発光管の壁面に、全体の体積を大きくしてしまうような反射膜を形成するなどとは考えられない。
発光管の内壁面側に反射膜を設けてもよいとするのであれば、反射鏡に冷却風を当てること、水冷機構により水冷することなど物理的の実現不可能であり、当該記載の意味がなくなる。
b 引用文献5の段落【0043】、及び図8においては、ランプユニット40を上下段に互いに井桁状に配置して構成されたランプユニット60の構成が記載されており、発光管の壁面に反射膜を形成したフィラメントランプを、上下段に配置すると、上段に配置されたフィラメントランプから出射された光が、下段に配置されたフィラメントランプの壁面に形成された反射膜によって反射されて、被処理体に照射されなくなってしまう。
c 単に追加的に反射膜を搭載すると、被処理体に対して照射される光の照度分布が変化し、被処理体の温度分布が不均一化するおそれがあるところ、引用文献6-9においては、反射膜を形成しても被処理体における温度分布に影響がないことは記載されていない。
(イ)請求人の主張について検討する。
まず前記(ア)aについて、反射鏡が引用発明5の解決しようとする課題に必須の構成と解すべき記載は引用文献5には存在しないし、反射鏡に代えてフィラメントランプの発光管の壁面に反射膜を形成する場合においても、例えば発光管を冷却するなどの手段により反射膜を冷却することは可能であるから、熱容量や反射鏡の冷却の観点から反射鏡に代えて反射膜を採用することが考えられないとの請求人の主張は失当である。
また、前記(ア)bについては、引用発明5として認定したものは、ランプユニットを井桁状に設けたものではないから、請求人の主張は前提において誤っている。
さらに、前記(ア)cについては、引用発明5のランプユニット40の上方に配置された反射鏡41と周知技術2における反射膜の、被処理体と反対側に向かう光を被処理体に向けて反射するという作用の共通性から見て、反射鏡に代えて反射膜を設けることにより被処理体の温度分布が不均一化すると解すべき事情は存在しないから、請求人の主張は根拠のないものである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
(4)小括
以上検討のとおり、相違点1及び2に係る本願発明の構成は当業者が容易に想到し得たものであり、当該相違点1及び2を備える本願発明の効果は、本願発明の構成が奏するものとして、引用発明5、引用文献5技術事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明5、引用文献5技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 引用発明4を主引用発明とする拒絶理由
(1)対比
ア 引用発明4の「ヒータの役目を果たす直管型の白熱ランプ100」が、「石英ガラスよりなるバルブ11内にコイル状の長尺フィラメント12が収容され」ていることは、石英ガラスよりなるバルブ11が光に対して透過性を示すことは自明であることに鑑みれば、本願発明が「光に対して透過性を示す発光管」を備えることに相当するとともに、本願発明の「前記発光管の端部側に位置する第一巻回部と、前記第一巻回部よりも前記発光管の中央部側に位置し、前記第一巻回部の巻回密度よりも低密度で巻回された第二巻回部とを含んで構成されているフィラメント」を備えることと、「フィラメント」を備える点で共通する。
イ 引用発明4が「当該バルブ11の外表面上に直接、リフレクタの役目を果たす反射膜18を形成」し、「ハガキサイズに相当する領域t1の範囲では反射膜を円周方向に短く形成して照射角が広くなるようにし、領域t1の両端の領域t2とt3の範囲では反射膜を円周方向に長く形成して照射角を狭くなるように形成」することと、本願発明が「前記発光管の管軸方向から見たときの、前記発光管の内壁面側の一部に形成された反射膜」を備えることとは、「前記発光管の管軸方向から見たときの、前記発光管の」壁面の「一部に形成された反射膜」を備える点で共通する。
ウ 引用発明4の「管型ヒータ装置において」「ヒータの役目を果たす直管型の白熱ランプ100」は、本願発明の「加熱ランプ」に相当する。
エ 上記ア~ウから、本願発明と引用発明4は、下記の一致点で一致し、下記の相違点A及びBの点で相違する。
<一致点>
「光に対して透過性を示す発光管と、
フィラメントと、
前記発光管の管軸方向から見たときの、前記発光管の壁面の一部に形成された反射膜とを備える加熱ランプ。」
<相違点A>
フィラメントについて、本願発明は、「前記発光管の端部に位置する第一巻回部と、前記第一巻回部よりも前記発光管の中央部側に位置し、前記第一巻回部の巻回密度よりも低密度で巻回された第二巻回部」を含んでいるのに対し、引用発明4は、フィラメントの巻回密度が場所ごとに異なるものではない点。
<相違点B>
発光管の壁面の一部に形成された反射膜について、本願発明は、「発光管の内壁面側の一部に形成された反射膜」であるのに対して、引用発明4は、バルブ11の外表面上に直接形成された反射膜18である点。
(2)判断
ア 相違点Aについて
引用発明4は、周辺の構造物に熱を奪われやすい白熱ランプ100の長手方向両端側の温度を中央部に対して高く設定することができるものであるところ、引用発明4において、均一な加熱効果が得られる周知技術1の構成を採用して、相違点Aに係る本願発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点Bについて
引用発明4の反射膜18は、バルブ11の外表面上に直接形成されているところ、周知技術2のようにバルブ11の内壁面側の周方向の一部に反射膜を形成する構成を採用して、相違点Bに係る本願発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、相違点Aについて、以下の点を主張する。
(ア)引用文献2及び3においては、コイルのピッチを変えることで、加熱対象物を均一に熱することが記載されているが、いずれも印刷物を加熱対象物としているわけではない。一般的に「均一に加熱する」ことを検討するにあたっては、何を加熱対象物とするのか、そして、当該加熱対象物の特徴に対してどういった工夫がなされることによって均一な加熱が実現されるのかが確認されるべきであって、単に「均一に加熱できる」との記載から、これらを周知技術として、安易に任意の文献に記載の加熱装置に関する発明に適用できるとする判断など到底認められるものではない。
(イ)引用文献4に記載の発明は、発光部と非発光部とを含むフィラメントを備えることによって、局所的な加熱を実現する発明であるところ、引用文献2又は3に記載されている事項を、引用文献4に記載の発明にどのように適用して、印刷物がどのような光照射によって均一に加熱されるのかもわからない。
イ 請求人の主張について検討する。
まず前記ア(ア)について、フィラメントランプの中央部と両端部で加熱対象を均一に加熱するための周知技術1は、その加熱対象がなんであれ一定の作用効果が得られることは当業者には自明のことであり、周知技術1が特定の加熱対象にしか適用できないと解すべき事情は存在しない。そして、引用発明4は、白熱ランプ100の長手方向両端側の温度を中央部に対して高く設定することができるものであり、被加熱体の長手方向両端の温度低下が生じないように構成しているのであるから、被加熱体を均一に加熱することを課題としているのであり、当該課題を解決する技術である周知技術1を適用する動機付けがあるといえる。
また、前記ア(イ)について、請求人の主張がするように、発光部と非発光部とを含むフィラメントに対して周知技術1を適用することがなぜ困難であるのか判然としないが、引用発明4に周知技術1を適用する際に、両端部の発光部でフィラメントコイルの巻きピッチを密とし、中央部の発光部でフィラメントコイルの巻きピッチを疎にすればよいことは、当業者であれば直ちに理解できることである。
よって、請求人の主張は採用できない。
(4)小括
以上検討のとおり、相違点A及びBに係る本願発明の構成は当業者が容易に想到し得たものであり、当該相違点A及びBを備える本願発明の効果は、引用発明4及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明4及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献5に記載された発明、引用文献5技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものあり、また、引用文献4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものあるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-001684