商標拒絶査定不服審判
2023-000800
ブランディングデイエックス、ブランディング
- 審判番号
- 2023-000800
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-072555
- 請求日
- 2023年01月17日
- 審決日
- 2023年06月08日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ライオンハート
- 【請求人代理人】米田 恵太
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T18 .13 -Z (W354142) / T18 .272-Z (W354142)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-72555拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ブランディングDX」の文字を標準文字で表してなり、第35類、第41類及び第42類に属する別掲1に記載のとおりの役務を指定役務として、令和4年6月23日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年8月22日付けで拒絶理由の通知がされ、同年9月22日付けで意見書が提出されたが、同年12月15日付けで拒絶査定がされ、これに対して同5年1月17日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「ブランディングDX」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ブランディング」の文字は、「顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するための活動」の意味を、「DX」の文字は、「デジタルトランスフォーメーション(IT(情報技術)が社会のあらゆる領域に浸透することによってもたらされる変革)」の意味を有する語であり、デジタル技術を駆使して企業・商品のブランディングを行うなど、ブランディングのDX化が推進、実施されている実情にあり、その中には、ブランディングに関するデジタルトランスフォーメーションが「ブランディングDX」などと称されている実情がある。そうすると、本願商標を本願に係る指定役務中、例えば、第35類「デジタルトランスフォーメーションのための事業に関する助言」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」や第42類「デジタルトランスフォーメーションのための技術的助言」等に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「ブランディングのDXに関する役務」であることを認識するにとどまり、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記意味合いに照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである(原審が示した証拠は別掲2のとおり。)。
第3 当審における審尋
当審において、令和5年3月2日付け審尋により、別掲3に掲げる事実を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解を通知し、相当の期間を指定して、請求人に対し意見を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答の要旨
請求人は、前記第3の審尋に対し、令和5年4月6日付けで回答書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べた。
1 合議体が主張する「デジタル技術の活用を促進する」や「デジタルトランスフォーメーションの推進」といった内容は、合議体提示の事例で共通して用いられていないから、上記内容まで拡張した認定をすることは困難である。
2 「DX」については、「デジタルトランスフォーメーション」の取組が求められる企業やビジネスパーソンにおいて、約2割から半数程度が「デジタルトランスフォーメーション」を表す「DX」の意味を理解していないとの調査結果が存在する(甲3~甲5)。そのため、「デジタルトランスフォーメーション」を表す「DX」の文字の理解すら十分に及んでいない以上、「デジタルトランスフォーメーション」を表す「DX」との文字を使った「○○DX」との表現が一般化されているとはいえず、「○○DX」と表すことが一般に行われている実情が見られるとの合議体の主張は納得できるものではない。
3 本願商標は、その構成から「顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するための活動」の「情報通信技術の浸透に伴うビジネスや社会の構造的変革」と認識されるが、抽象的な言葉の意味の組合せとなり、一義的なものとして認識させるものではない。そのため、取引者、需要者も内容を理解することができない。
4 合議体は、「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション(化)」との認識をしているが、(化)との文字を追加していることからすれば、本願商標が役務の特徴等を間接的に表示することを示しているに他ならない。
5 本願商標と同様に業務等の名称に「DX」の文字を結合した登録例が存在することからも、本願商標についてのみ商標登録が認められないのは不合理である。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の趣旨について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定役務との関係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日最高裁判決、平成26年(行ケ)第10056号 平成26年8月6日知財高裁判決)。
そうすると、出願に係る商標が、その指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決がされた時点において、当該商標が当該役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の取引者、需要者によって当該役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。
そして、当該商標の取引者、需要者によって当該役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(令和3年(行ケ)第10113号、令和4年1月25日知財高裁判決)。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)本願商標
本願商標は、前記第1のとおり、「ブランディングDX」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると認められる。
また、本願商標の構成中、「ブランディング」の文字は、「顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するための活動。ブランドの特徴や競合する企業・製品との違いを明確に提示することで、顧客や消費者の関心を高め、購買を促進することを目的とする。消費者との信頼関係を深めることで、ブランドの訴求力が向上し、競合他社に対して優位に立つことができる。」を意味する語である(「大辞泉第二版」株式会社小学館発行)。さらに、本願商標構成中の「DX」の文字は、「デジタル-トランスフォーメーション」を表す語であり(「コンサイスカタカナ語辞典第5版」株式会社三省堂発行。)、「デジタル-トランスフォーメーション」は、「【IT】情報通信技術の浸透に伴うビジネスや社会の構造的変革。DX,デジタル変革とも。」を意味する語である(前掲書)。
(2)「DX」の文字に関する取引の実情
原審で示した事例(別掲2)に加え、審尋で示した事例(別掲3)によれば、ブランディングやマーケティングといった様々な業務や事業活動、業種等において、デジタル技術の活用を促進することによる業務の変革を表す際に、当該業務等の名称に、「デジタルトランスフォーメーション」を表す「DX」の文字を結合して、例えば「ブランディングDX」、「マーケティングDX」のように、「○○DX」と表すことが一般に行われている実情が認められる。
(3)判断
上記(1)及び(2)の認定事実によれば、本願商標構成中の「DX」の文字は、「情報通信技術の浸透に伴うビジネスや社会の構造的変革。」、「デジタル変革」を意味する「デジタルトランスフォーメーション」を表す語であると認められるころ、ブランディングやマーケティングといった様々な業務や事業活動、業種等において、デジタル技術の活用を促進することによる業務の変革(デジタルフォーメーション)の推進が行われている実情があり、そのような活動を表す際に「○○DX」と表すことが一般に行われている実情がある。さらに、ブランディングについてもデジタルトランスフォーメーションの推進が行われ、「ブランディングDX」と称される取引の実情もある。
そして、本願商標の指定役務には、上記デジタルトランスフォーメーションの推進が行われているブランディングの業務に関連する役務(例えば、第35類「広告業,企業の広告及び広報活動の企画・代行,商業イベントの運営,商業又は広告のための展示会の企画・運営,商品見本市の企画・運営,通信販売を利用した広告,ブランド・アイデンティティの構築を目的とした広告(他人のためのこと),メディアへの広報活動の企画・代行,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,事業に関する指導及び助言,販売促進のための企画及び実行の代理,マーケティング」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,教育認証サービス、すなわち、訓練の提供及び教育上の試験の実施,教育の分野における情報の提供,コーチング(訓練),ノウハウの伝授(訓練),ビジネスの知識及びノウハウの伝授(訓練),セミナーの企画・運営又は開催,会議の手配及び運営,教育フォーラムの手配及び運営,研修会の手配及び管理,シンポジウムの手配及び運営,討論会の手配及び運営,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,」又は第42類「コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する助言,デザインの考案,ロゴデザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,インターネットセキュリティに関する指導及び助言,ウェブサイトの設計に関する助言,コンピュータシステムの設計,コンピュータソフトウェアの設計・作成・保守に関する助言,電気通信技術の分野に関する研究,品質管理,機械器具に関する試験又は研究,コンピュータ技術に関する助言,情報技術(IT)に関する助言,人工知能に関する助言,デジタルトランスフォーメーションのための技術的助言,コンピュータシステムの分析,科学に関する実験及び研究,技術的課題の研究」)が多数含まれているといえる。
以上よりすれば、「ブランディングDX」の文字は、その指定役務中、第35類、第41類及び第42類に属する上記役務の取引者、需要者によって、「ブランディング」についてITやデジタル技術の活用等による業務の変革である「デジタルトランスフォーメンション」を推進していくこと、すなわち「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション(化)」を表したと一般に理解されるものというのが相当である。
そうすると、本願商標を、その指定役務中、第35類、第41類及び第42類に属する上記役務について使用をするときは、その取引者、需要者によって、例えば「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション(化)」を特徴とする広告業や事業の管理であるとか、「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション(化)」を内容とする知識の教授やセミナーであるといった、役務の特徴、質(内容)を表示したものとして一般に認識されるものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他役務の識別力を欠くというべきである。
加えて、上記(1)のとおり、本願商標は、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
したがって、本願商標は、その指定役務中、第35類、第41類及び第42類に属する上記役務に使用するときは、その役務の特徴、質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、その指定役務中、「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション(化)」と関連のない役務について使用をするときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、合議体が主張する「デジタル技術の活用を促進する」や「デジタルトランスフォーメーションの推進」といった内容は、合議体提示の事例で共通して用いられていないから、上記内容まで拡張した認定をすることは困難である旨主張する。
しかしながら、別掲2又は別掲3に掲げる事例から、企業等が、ITやデジタル技術の活用等を通じ、「デジタルトランスフォーメンション」を推進する取組を行っていることは十分に理解できるものであって、企業等によって「デジタルトランスフォーメーション」推進のための具体的、詳細な取組内容に差異があることをもって、「デジタルトランスフォーメンション」を推進する取組が行われていることを認識できないとみるべきではない。そして、上記2(2)のとおり、デジタルトランスフォーメーションの推進を表す際に、「ブランディングDX」、「マーケティングDX」のように、「○○DX」と表すことが一般に行われている実情がある。
(2)請求人は、企業やビジネスパーソンにおいて、約2割から半数程度が「デジタルトランスフォーメーション」を表す「DX」の意味を理解していないとの調査結果が存在する(甲3~甲5)ことから、理解が十分に及んでいない以上、「デジタルトランスフォーメーション」を表す「DX」との文字を使った「○○DX」との表現が一般化されているとはいえず、「○○DX」と表すことが一般に行われている実情が見られるとはいえない旨主張する。
しかしながら、請求人の提出した調査結果は、半数程度から約8割の者が「DX」を理解しているというものであって、これらの数値は決して少ないものではない。また、請求人提出の資料によれば、「企業におけるDXへの関心が高まる一方、DXの正しい定義を理解している人は少ない」(甲4)、「DXという言葉が広く使われているにも関わらず正しい定義を理解している人は少ない」(甲4)といった紹介がなされていることや、意味を理解していないとする回答の中には、「言葉は知っているが意味を理解できない」旨の回答が含まれている(甲3、甲5)ことなどを併せて考慮すれば、企業等の「DX」に対する関心や認知度は十分あるといい得るものである。
(3)請求人は、本願商標の構成から「顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するための活動」の「情報通信技術の浸透に伴うビジネスや社会の構造的変革」と認識されるが、抽象的な言葉の意味の組合せとなり、一義的なものとして認識させるものではない旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する各文字の意味合いを説明する情報に接すれば、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の文字については、上記2(1)や別掲2(3)の情報にあるように、一言で「デジタル変革」とも言い換えられるものであり、上記2(3)のとおり、本願商標は、「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション(化)」の意味合いが無理なく生じるというべきであるから、本願商標の構成が一義的なものを認識させないとはいえない。
(4)請求人は、本願商標の意味合いを「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション(化)」と認定しているが、(化)との文字を追加していることから、本願商標が役務の特徴等を間接的に表示することを示している旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する各語の語義や、ブランディングをはじめとした各種業務等のデジタルトランスフォーメーションを推進する取組や、「ブランディングDX」をはじめとした「○○DX」の文字の使用状況等からすれば、本願商標からは「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション」又はその取組を指す「ブランディングのデジタルトランスフォーメーション化」ほどの意味合いが想起され得るものであり、その意味合いにおいて「化」の語が補われることによって、直ちに本願商標が間接的な表示であるというべき理由にはならない。
(5)請求人は、業務等の名称に「DX」の文字を結合した登録例が存在することからも、本願商標についてのみ商標登録が認められないのは不合理である旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、過去の登録例の存在によって、その判断が拘束されたり左右されたりするものではない。
(6)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-000800