商標拒絶査定不服審判
2023-000772
クランベリーユウアアル
- 審判番号
- 2023-000772
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-123683
- 請求日
- 2023年01月17日
- 審決日
- 2025年04月10日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】キッコーマン株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 鯉沼 里果
- 分類
- T18 .16 -WY (W053032)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第5号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-123683拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年10月5日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月17日付け:拒絶理由通知書
令和4年 8月 2日 :意見書、手続補正書(以下「手続補正書1」という。)の提出
令和4年10月20日付け:拒絶査定
令和5年 1月17日 :審判請求書の提出
令和6年 6月11日付け:審尋(以下「審尋1」という。)
令和6年 8月 9日 :回答書(以下「回答書1」という。)の提出
令和6年10月15日付け:審尋(以下「審尋2」という。)
令和6年12月26日 :回答書(以下「回答書2」という。)、手続補正書(以下「手続補正書2」という。)の提出
2 本願商標
本願商標は、「クランベリーUR」の文字を標準文字で表してなり、第5類、第30類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、上記1の手続補正書1及び手続補正書2により、最終的に、第5類「クランベリーを使用したサプリメント」、第30類「クランベリーを使用したゼリー菓子」及び第32類「クランベリーを使用した果実飲料」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「クランベリーUR」の文字を標準文字で表してなるものである。
本願商標の構成中の「クランベリー」の文字は、「ツツジ科の小低木。・・・ツルコケモモに似て背は低く、細い花茎を直立させて淡紅色の花をつけ、秋に小型で球形の液果が赤く熟す。ソース・ジャム・ジュースなどに用いる。」等の意味を有する語であり、「UR」の欧文字2文字は、商品の品番・型番等を表示する記号・符号の一類型を表すと認められるものである。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、クランベリーが商品の原材料(成分)として使用されている実情が認められる。
そうすると、これらの文字を組み合わせた本願商標の構成全体からは「クランベリーを原材料(成分)とするURという商品の品番・型番のもの。」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そうとすれば、本願商標を、手続補正書1による補正後の指定商品に使用するときは、これに接する需要者は、前記意味合いを理解するにとどまり、結局、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、審尋1により、本願商標がその指定商品との関係において、商標法第3条第1項第6号に該当する旨、また、審尋2により、請求人の提出資料からは、本願商標が使用により自他商品の識別性を獲得しているものとは認められない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、これに対する回答(意見)を求めるとともに、本願商標が使用により自他商品の識別性を獲得していることを客観的に示す証拠資料のさらなる提出を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、審尋1に対し、回答書1を、審尋2に対し、回答書2及び手続補正書2を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。
(1)本願商標は一連一体で識別力を有する語であり、実際に、請求人及び請求人のグループ会社であるキッコーマンニュートリケア・ジャパン株式会社は、本願商標を、主として病院向けの飲料食品に係る出所表示標識として30年以上にわたり長年継続的に広く使用しており、本願商標は、自他商品の識別機能を有するものである。
(2)請求人は、手続補正書2を提出するとともに、回答書2において、回答書1において主張した事実に関する客観的な資料を追加で提出し、本願商標が識別性を獲得していることを主張する。
(3)追加提出した証拠により、審判官が指摘した情報はすべて解消しており、本願商標は周知性を獲得しており、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
6 当審の判断
(1)本願商標は、「クランベリーUR」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「クランベリー」の文字は、「ツツジ科の小低木。(中略)秋に小型で球形の液果が赤く熟す。ソース・ジャム・ジュースなどに用いる。」(出典:広辞苑 第七版 株式会社岩波書店)等の意味を表す語であり、「UR」の文字は、欧文字の「U」と「R」の2文字を組み合わせたものにすぎず、それのみでは「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」(商標法第3条第1項第5号参照)といえるものである。
そして、本願商標の構成中「クランベリー」の文字は、本願の指定商品との関係において、原材料名又は商品の普通名称を表示したものと理解できるものである。
そうすると、本願商標は、原材料又は商品の一般名称である「クランベリー」と識別力を有さない欧文字2文字である「UR」を組み合わせたにすぎないものといい得るものである。
(2)請求人は、手続補正書2において、本願の指定商品を上記1のとおりの商品に補正を行うとともに、回答書1及び回答書2において、本願商標は、その指定商品について使用された結果、取引者や需要者において、十分に自他商品の識別機能を発揮するに至っているものである旨主張し、証拠方法として、回答書1において甲第2号証ないし甲第6号証を、回答書2において甲第1号証ないし第9号証を提出した。
請求人の提出した上記証拠及び主張によれば、以下のとおりである。
なお、請求人提出の証拠の表記に当たっては、「回答書1甲○」、「回答書2甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。
請求人及び請求人のグループ会社であるキッコーマンニュートリケア・ジャパン株式会社は、「クランベリーURシリーズ」と称する商品を1991年の発売から現在に至るまでの30年以上にわたり、製造販売してきた(回答書1甲4)。そして、この「クランベリーURシリーズ」では、果実飲料に「クランベリーUR100」「クランベリーUR65」、ゼリーに「クランベリーURゼリー」、サプリメントに「クランベリーURタブレット」の標章が使用されているところ、これらの表示中、「100」及び「65」は数字で、「ゼリー」は商品名で、「タブレット」は商品の形状の表示であり、これらの文字は、いずれも自他商品識別標識としての機能を有しない部分であることから、「クランベリーUR」の標章(以下「使用標章」という。)を使用しているといえるものである(回答書1甲2~6、回答書2甲1)。
使用標章を付した商品は、腎臓病疾患に多い尿路感染症を予防するクランベリーを用いているため、その取引者、需要者は、主に医療関係者や泌尿器科の患者等である。そして、商品の通信販売を通じた購入者への配送先から、全国的な規模で販売されている商品であり(回答書2甲3)、その売上高は、2015年度で約1億3000万円、それ以降、安定して売上げを記録しており、2023年度では約1億7500万円であることが認められ(回答書2甲2)、商品の需要者が狭い範囲であることを踏まえると、相当な額の売上げ実績があるといえるものである。
また、使用標章を付した商品の広告宣伝活動は、上述したとおり、商品の取引者、需要者が主に医療関係者であるとの取引の実情から、医療関係者や泌尿器科の患者等の特定の取引者、需要者向けに注力されており、各種ウェブサイトにおける商品掲載の他、2019年から2024年の期間において、少なくとも14の医療関係の学会において発表及び展示が行われ(回答書2甲4、5)、2021年から2024年の期間において、医療関係の専門誌への広告の掲載が5回行われている(回答書2甲6)。
以上のことから総合的に判断すると、本願商標は、その指定商品を取り扱う分野において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、医療関係者を中心とする取引者、需要者の間においては、相当程度知られているといえるものである。
そして、当審において職権をもって調査するも、請求人又は請求人のグループ会社以外の者が「クランベリーUR」の文字からなる商標を使用している事実を発見することができなかった。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、それが請求人の業務に係る商品名を表示したものと認識するといえ、本願商標は、十分に自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、自他商品識別力を有するというのが相当であるから、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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