商標異議申立
2022-900536
- 審判番号
- 2022-900536
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-155665
- 登録番号
- 6629388
- 請求日
- 2022年12月27日
- 審決日
- 2023年11月02日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社クラウン・クリエイティブ
- 【異議申立人】アスコー・グループ・リミテッド
- 【異議申立人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6629388号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6629388号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録商標第6629388号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和3年12月14日登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(別掲2)を指定商品として、同4年9月12日に登録査定され、同年10月19日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という)が本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録商標は、以下の1及び2のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。
1 登録第2044613号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、昭和60年7月22日登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年4月26日に設定登録され、その後、平成20年6月25日に、指定商品を、第25類「履物」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第4378078号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成7年7月12日登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月21日に設定登録され、その後、同年5月12日に、その指定商品を第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とする職権更正の登録がなされている。
なお、引用商標1及び引用商標2をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。
第3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第〇号証」を「甲〇」のように省略して記載する。
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、ジャンプ・疾走するカンガルーを横方向から表したイラスト図形を基調とし(以下「特徴1」という。)、カンガルーが前足を縮めた姿勢であり(以下「特徴2」という。)、カンガルーが尾を後方に伸ばしその先をやや上向きにした姿勢であり(以下「特徴3」という。)、 カンガルーが後ろ足を後方に蹴り出した状態の姿勢であり(以下「特徴4」という。)、カンガルーの体の表面を黒、茶色及び薄茶色で描いた図形(以下「特徴5」という。)からなる商標である。
本件商標は、その構成のモチーフより「カンガルー」の称呼が生じ、「カンガルー」又は「ジャンプ・疾走するカンガルー」の観念が生じる。
(2)引用商標について
引用商標1は、ジャンプ・疾走するカンガルーのシルエットであって、前足を縮めて、尾を後方に伸ばしその先をやや上向きにした姿勢であり、後ろ足を蹴り出した後に前方に戻す途中の姿勢のシルエットのイラスト図形で、黒塗りのシルエットの一部を白抜きで表してなる商標である。
引用商標1からは、そのモチーフより「カンガルー」の称呼が生じ、「カンガルー」又は「ジャンプ・疾走するカンガルー」の親念が生じる。
引用商標2は、「KagaROOS」の欧文字とその上部に、ジャンプ・疾走するカンガルーのシルエットであって、前足を縮めて、尾を後方に伸ばしその先をやや上向きにした姿勢であり、後ろ足を蹴り出した後に前方に戻す途中の姿勢のシルエットのイラスト図形を配してなる商標である。
引用商標2からは、前記文字構成に照応して「カンガルース」の称呼が生じ、当該文字より「カンガルー」の観念(カンガルーの英単語の複数系)が生じる。
また、引用商標2を構成するモチーフより「カンガルー」の称呼が生じ、「カンガルー」又は「ジャンプ・疾走するカンガルー」の観念が生じる。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、上記のとおり、本件商標の特徴1並びに特徴2及び特徴3が共通し、特徴4のうち蹴り出した後ろ足が、本件商標のように後方に蹴り出した状態であるか、引用商標のように蹴り出した後ろ足を前方に戻す途中の状態であるかの相違があるものの、カンガルーがジャンプして疾走する状態(ジャンプして疾走する空中姿勢)を横方向から表しているという共通の外観上の印象を与えるものである。
本件商標の構成の特徴5は、引用商標にはないが、色彩は、カンガルーをモチーフにしたイラスト図形としては、特異な色彩上の特徴や印象を与えるものではない。
(4)取引の実情について
被服、履物等の分野においては、商品ブランドを象徴するロゴを構成する図形商標について、同種のモチーフを用いつつ、かかる商品分野におけるファッション性や流行性等の観点から、商品自体のデザインを様々な態様のバリエーションで提供するだけでなく、これに使用する商標についても、様々な態様、色彩のバリエーションのものが使用されている事実がある。
そのため、被服、履物等の分野では、これに使用される図形商標について、部分的な構成態様や描写方法が異なるというだけでは、商品の出所混同を防ぐための商標構成上の差異としては必ずしも十分とはいえないというべきである。
例えば、申立人が引用商標に関係する事業を始めた1979年以来、引用商標を使用した商品は、現在ではスニーカーを中心に世界約60か国で展開されて、スニーカー愛好家の間で注目されるに至っているが(甲2、甲3)、我が国においても、カンガルーをモチーフにした引用商標が、様々な態様、色彩のバリエーションで商品に使用されて販売されている(甲4~甲6)。
また、被服、履物等の分野における他の商標の例として、ラコステ(Lacoste)のブランド名で我が国でもよく知られていている、ワニをモチーフにした図形商標の登録例、使用例を、取引の実情を示す証拠として提出する(甲7、甲8)。
他の商標の登録例、使用例でも示されるように、ワニという共通のモチーフの図形商標であっても、複数の態様の図形商標の登録を得て、また、商標を付す商品上の位置や、商品のデザイン等のバリエーションに応じて、商標の表し方の態様や色彩を含めて、様々なバリエーションで図形商標を使用している事実があることが示されている。
(5)総合考察による商標の類否の検討について
上記(4)に記載したとおりの取引の実情も考慮して、本件商標と引用商標が、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すると、申立商品中の被服や履物等に使用した場合には、例えば、これらの商品に商標を付す方法としてよく用いられるようにワンポイントマークとして、被服の襟や胸の部分、履物の側面部分・甲部を覆う部分(タン)、及びこれらの商品のタグ等に表す場合においては、特に、本件商標及び引用商標からは、カンガルーがジャンプして疾走する状態(ジャンプして疾走する空中姿勢)を横方向から表しているという共通の外観上の印象が強く残り、かかる商品分野では、同種のモチーフの商標について様々な態様、色彩のバリエーションのものが使用されている取引の実情も相まって、部分的な態様や色彩の違いがあるとしても、本件商標と引用商標とは、出所の混同のおそれがあるというべきである。
また、申立商品は、「仮装用衣服」を除き、引用商標の指定商品と類似する関係にあり、引用商標2の指定商品には「被服」が含まれているところ、「被服」と「仮装用衣服」とは、生産部門、販売部門、原材料及び品質、需要者の範囲が共通する場合があり、類似する程度に関係性の高い商品である。
そうすると、本件商標と引用商標とを、時と場所を異にして離隔的に観察して対比した場合であって、外観、称呼、観念に基づき、被服や履物等の商品分野の取引実情も考慮して、総合的に考察した場合、両商標は類似するというべきであり、また、申立商品は、引用商標の指定商品と類似性があるというべきである。
2 過去の審決例等
商標の外観の類似性に基づき、対比する商標を類似と判断した過去の審決例があることからも、上記1の商標の類似性の主張の正当性が裏付けられる。
3 結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、2本の後ろ足を後方に長く伸ばし、ジャンプした状態の左横向きのカンガルー様の動物を茶色の濃淡で写実的に描いた図形よりなり、当該図形が、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
2 引用商標について
引用商標1は、別掲3のとおり、胴体に白抜きされた模様を有し、伸ばした後ろ足を前足よりも前方に引き寄せ、着地前後とおぼしき状態の左横向きのカンガルー様の動物の黒いシルエット図形よりなり、当該図形が、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
引用商標2は、別掲4のとおり、「KangaROOS」の欧文字と、当該欧文字のうち「ROOS」の文字の上部に、伸ばした後ろ足を前足よりも前方に引き寄せ、着地前後とおぼしき状態の右横向きのカンガルー様の動物の黒いシルエット図形(以下「引用2図形」という。)を配してなる構成よりなるところ、「KangaROOS」の欧文字と引用2図形とは、重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、それぞれが視覚的に分離して把握されるものである。
また、引用商標2の構成中の「KangaROOS」の欧文字及び引用2図形は、いずれも、看者に対し、強く支配的な印象を与える部分といえる。
そうすると、引用商標2は、これを構成する「KangaROOS」の欧文字と引用2図形のそれぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないところ、構成中の「KangaROOS」の欧文字及び引用2図形のいずれもが自他商品の識別標識としての機能を有するものであるから、引用商標2は、本件商標との類否を判断するに当たって、看者に対し強く支配的な印象を与える部分である引用2図形を要部として抽出し、この部分のみを本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そして、引用2図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
3 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標との外観を比較すると、カンガルー様の動物の図形を描いた点においては共通するとしても、本件商標がカンガルー様の動物の2本の後ろ足を後方に長く伸ばし、ジャンプした状態であるのに対し、引用商標はカンガルー様の動物の伸ばした後ろ足を前足よりも前方に引き寄せ、着地前後とおぼしき状態である点において相違し、さらに、本件商標と引用商標1とは胴体の白抜き模様の有無の差異において相違し、また、本件商標と引用商標2とは文字の有無の差異、及び、本件商標と引用2図形とはカンガルー様の動物の向きが右向きと左向きの差異において、相違することからすると、本件商標と引用商標とは、看者に与える印象が明らかに相違するものであって、両商標は、これを対比した場合はもとより、時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、明確に判別し得るものである。
また、本件商標と引用商標1及び引用2図形は、いずれも特定の称呼及び観念を生じないものであるから、称呼及び観念について比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において比較することはできないとしても、これらの商標における外観上の明確に判別し得る差異が、両商標の取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、外観において相紛れるおそれはないものであるから、非類似の商標というべきである。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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