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商標異議申立

2022-900526

エックスカーボン、カーボン

審判番号
2022-900526
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-069281
登録番号
6630401
請求日
2022年12月23日
審決日
2024年03月28日
公報発行日
2024年04月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】トレンドマイクロ株式会社
  • 【異議申立人】アルセロールミッタル ソシエテ アノニム
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T1652.261-Y (W42) / T1652.262-Y (W42) / T1652.263-Y (W42) / T1652.271-Y (W42)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6630401号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6630401号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6630401号商標(以下「本件商標」という。)は、「xCarbon」の文字を標準文字で表してなり、令和4年6月16日に登録出願、第9類及び第42類に属する別掲に示すとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月12日に登録査定、同月20日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第1610773号商標(以下「引用商標」という。)は、「XCarb」の欧文字を書してなり、2021年(令和3年)1月27日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年4月9日に国際商標登録出願、第42類「Scientific and technological research and development; computer software design; industrial design; industrial analysis and research services; software design and development; consultation and information relating to the aforesaid services, also in the context of customer service; materials testing and mechanical research, as well as related consulting and information; technical project studies; consultancy in the field of scientific and industrial research on improving the quality of goods and services in the field of metals, steels and their applications (quality control); preparation of reports relating to technological research and engineering services in the field of metals, steels and their applications; preparation of reports relating to technological research and engineering services in the field of steels and their use; plan drafting (construction); design and development of computer software, especially for iron and steel working; design of computer software to provide global solutions for the building industry.」のほか、第4類、第6類、第12類、第36類、第40類及び第45類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和4年12月9日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第42類「全指定役務」(以下「申立てに係る役務」という。)について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標の類否 (ア)称呼について 本件商標は、小文字の「x」に続き、大文字の「C」から始まる英単語の「Carbon」の語が連なった商標となっており、「エックスカーボン」の称呼が生ずると考えるのが自然である。 これに対し、引用商標は、左横書きした欧文字「XCarb」の構成よりなり、「エックスカーブ」の称呼が生ずると考えるのが自然である。 本件商標から生ずる「エックスカーボン」の称呼と引用商標から生ずる「エックスカーブ」の称呼を比較すると、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた4音「エックスカー」までを共通にし、語尾の「ボン」と「ブ」との音が異なる。 この促音と長音を含んだ「エックスカー」の音は強く長く発音されることから、この称呼を聞く者には強く耳に残るものである。 また、5音目の「ボ」と「ブ」については、いずれもバ行であり、濁音という点で共通している。 さらに、本件商標は、語尾が「ン」の撥音であり、音が消え入るように弱くなり、その前にある濁音「ボ」に吸収され差異を生まない。 これらの共通点から、本件商標と引用商標の称呼は全体として近似し、本件商標と引用商標に接する取引者・需要者は、本件商標と引用商標との称呼が共通するとして相紛れて聴取するおそれが高いといえる。 (イ)外観について 本件商標は、小文字の「x」に続き、大文字の「C」から始まる英単語の「Carbon」の語が連なった商標となっており、これに対し、引用商標は、左横書きした欧文字「XCarb」の構成よりなり、ローマ字のみから構成され、語頭から5文字目までは、全く同じ文字を同じ順序で配置しており、本件商標と引用商標に接する取引者・需要者には、真っ先に共通する語頭の文字「XCARB」が目に入ることから、取引者・需要者が両商標について外観上相紛れて認識される可能性は高い。 (ウ)本件商標も引用商標も、いずれも辞書等に掲載されている既存の単語ではない。よって、いずれの商標の文字要素からも特定の観念は生じない。すなわち、本件商標及び引用商標との間には、これらの商標を峻別可能とするほどの観念上の相違は認められない。 (エ)また、本件商標と引用商標の第42類の役務は、用途、提供場所、需要者等が一致するため、類似の関係にある。 イ 小括 以上から、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 引用商標について 申立人が扱うXCarbブランドは、2021年に発表され、2050年の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロに向けて、需要者にスコープ3の排出削減を提案する脱炭素・低炭素鋼材供給のXCarbグリーン鋼材認証、XCarb再生可能鋼材、XCarb技術革新基金の3つの活動を展開するものである。水素還元ほか脱炭素製鉄技術など幅広い取組を統一したブランドとして事業を進めている。現在に至るまで一貫して引用商標を使用してきたものである(甲4、甲5)。 その取組は、我が国においても大きく注目され、新聞記事においても、報道されている(甲6、甲7)。 また、申立人は、2021年にクリーンエネルギーのスタートアップ企業に多額の投資を行い、その投資先は、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏が支援していることでも知られ、太陽光から熱や電力、クリーン燃料へ転換する技術が我が国の業界においても注目されているものである(甲8)。 さらに、申立人は、2022年にもXCarbファンドから、2500万ドル(約35億円)を米スタートアップ企業のテラパワーに出資して、そのニュースが日本経済新聞などでも紹介されている(甲9)。 こうした申立人の取組は、官庁においても知られており、令和4年9月に経済産業省製造産業局により作成された、「鉄鋼業のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向等について」という報告書においても、申立人のXCarbブランドでの事業が紹介されている(甲10)。 上述の経済産業省報告書にも記載されているとおり、低炭素製鉄プロジェクトの始動という鉄鋼会社、供給側の動きに加え、需要側から、低炭素鉄鋼製品を求める動きが広がっている。 そうした中、需要側は、企業自身の事業による直接排出(スコープ1)や電力使用に関する排出(スコープ2)だけでなく、その他すべてのサプライチェーンによる排出(スコープ3)削減の取組も求められることから、原料調達をはじめとするサプライチェーンヘの働きかけを強めている。それにより、申立人の会社がリサイクル鋼材と100%RE電力の電炉で製造した脱炭素鋼材を需要側に販売しており、この際、申立人が「産業上の調査・研究」を行った上で、XCarbグリーンスチール認証の証明書を発行している。これが我が国でも、多くの企業で広がり始めた動きなのである(甲11、甲12)。 イ 商標の類似性について 本件商標と引用商標は、称呼上及び外親上の類似性の程度は高いといわなければならない。語頭の強い出所識別機能を有する「XCARB」部分が共通するものであり、これを前提に出所混同のおそれの存否が判断されるべきである。 ウ 指定役務の関連の程度、需要者の共通性について 本件商標においては、第42類「コンピュータに関する技術情報の提供,情報技術に関する助言及び情報の提供」などが指定されており、「産業上の調査・研究を行ったうえでXCarbグリーンスチール認証の証明書を発行している」申立人の役務と類似関係にあるといえる。 エ 小括 以上のとおり、申立人は、世界最大級の製鋼メーカーで、日本国内にも現地法人を設け企業活動を積極的に行うものである。 このように、申立人の業務に係る商標「XCarb」に類似する本件商標「xCarbon」が、「コンピュータに関する技術情報の提供,情報技術に関する助言及び情報の提供」などについて使用されたならば、あたかも申立人又はその企業グループの取り扱いに係る役務であるような誤解を招いてしまうため、取引者・需要者間において、出所混同・品質の誤認を招くおそれが生ずるものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「xCarbon」の文字を同書、同大、同間隔でまとまりよく表してなるところ、その構成文字に相応して、「エックスカーボン」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、我が国において一般的な辞書等に掲載が認められず、特定の意味を認識させる文字として親しまれたものでもないから、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標について 引用商標は、上記2のとおり、「XCarb」の欧文字を書してなるところ、その構成文字に相応して、「エックスカーブ」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、我が国において一般的な辞書等に掲載が認められず、特定の意味を認識させる文字として親しまれたものでもないから、特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおり、語頭の「x」が小文字と大文字において差異を有し、それに続く「Carb」の文字を共通にするものの、語尾における「on」の文字の有無に差異を有するものである。そして、両者は、短い7文字及び5文字からなる構成において、本件商標は、「x」と「Carbon」の結合であると容易に認識されるから、語尾における「on」の有無により、両者は、外観上、相紛れるおそれがあるとはいえない。 また、称呼においては、本件商標から生じる「エックスカーボン」の称呼と引用商標から生じる「エックスカーブ」の称呼とは、語尾に位置する「ボン」と「ブ」の音の差異を有し、短い音構成においては、当該差異音が両称呼に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、称呼上、十分に聴別し得るものというべきである。 さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、特定の観念を生じないから、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において区別できることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 エ 小括 したがって、申立てに係る役務と引用商標の指定役務とが同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知性について 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)日刊産業新聞のサイト(甲4)には、「アルセロール・ミッタル 脱炭素ブランド発表 「Xカーブ」3つの活動」(2021年3月18日)の見出しの下、「2050年の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロに向けて、「Xカーブ」ブランドを発表した。」の記載がある。 (イ)鉄鋼新聞(甲6)には、「CO2削減へ向け「1億ドルファンド」/A・ミッタル」(2021年3月19日)の見出しの下、「アルセロール・ミッタル・・・年間1億ドルの「Xカーブ・イノベーション・ファンド」を開始。」の記載、同新聞(2021年6月10日:甲8)には、「A・ミッタルのCO2削減ファンド/スタートアップ企業への初の投資」の見出しの下、「アルセロール・ミッタル・・・3月に発表したCO2削減に寄与する企業を支援する『Xカーブ・イノベーション・ファンド』による初の投資案件となる。」の記載がある。 (ウ)「鉄鋼業のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向等について」(令和4年9月12日 経済産業省 製造産業局)とする報告書(甲10)には、「グリーンスチールに関する動向」の見出しの下、民間レベルの項に「・XCarb(アルセロール・ミタル)・・・等、製造時のCO2排出量を従来の鋼材より大幅に削減したグリーンスチールの提供を開始。」の記載がある。 (エ)上記以外の証拠は、英語の資料及び本件商標の登録査定後のものであるから、採用することができない。 (オ)以上からすると、申立人は、我が国において、2021年3月に脱炭素ブランド「Xカーブ」を発表し、年間1億ドルの「Xカーブ・イノベーション・ファンド」を開始した。そして、令和4年9月12日の「鉄鋼業のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向等について」の報告書には、申立人が「XCarb」のブランドの下、製造時のCO2排出量を従来の鋼材より大幅に削減したグリーンスチールの提供を開始したことが認められる。 そうすると、申立人は、本件商標の登録出願前及び登録査定前には、「脱炭素ブランド」として「Xカーブ」の文字又は「XCarb」の文字の使用を開始したことはうかがえるものの、これらの文字の使用に係る具体的な役務について、我が国における使用数量、広告の範囲・方法、市場シェア等の客観的な証拠は見いだせないことから、引用商標が申立人の業務に関する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 イ 本件商標と引用商標の類似性の程度 本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 ウ 引用商標は、上記ア及びイのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであり、本件商標と引用商標とは、類似性の程度が低いものであるから、本件商標に接する取引者、需要者が申立人の業務に係る引用商標を連想、想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る役務について使用しても、取引者、需要者が、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、申立てに係る役務について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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