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商標異議申立

2022-900523

ドロシャン

審判番号
2022-900523
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-044030
登録番号
6626458
請求日
2022年12月20日
審決日
2024年02月15日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社I-ne
  • 【権利者代理人】山田 威一郎
  • 【異議申立人】株式会社 ティースリー
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人共生国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 飯田 亜紀
分類
T1652.13 -ZC (W03) / T1652.272-ZC (W03)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第43条の2第1号、商標法第3条、商標法第4条、商標法第3条第1項、商標法第43条の3第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6626458号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6626458号商標の指定商品中、第3類「シャンプー,ヘアートリートメント,ヘアーコンディショナー,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,髪油,頭髪用化粧品,化粧品,せっけん類」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6626458号商標(以下「本件商標」という。)は、「泥シャン」の文字を標準文字により表してなり、令和4年4月15日に登録出願、第3類「シャンプー,ヘアートリートメント,ヘアーコンディショナー,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,髪油,頭髪用化粧品,化粧品,せっけん類,香料,薫料,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,口臭用消臭剤,動物用防臭剤」を指定商品として、同年9月20日に登録査定され、同年10月12日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨、次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 取引の実情等について (1)「泥」の文字について 本件商標を構成する「泥」の文字は、「水がまじってやわらかくなった土。粒子は砂よりも細かく、大きさによりシルトと粘土とに分ける。」を意味するものであるところ(甲2)、美容に関心がある我が国の需要者・取引者の間においては、泥湯の温泉や泥パックが美肌に良いとして広く認識されている事実があり(甲3~甲5等)、実際に「泥パック(クレイパック)」(甲6)や「泥(クレイ)でスカルプケア」、「天然泥のヘッドスパクレンズ」(甲7)のように、本件商標の指定商品である「シャンプー,ヘアートリートメント,ヘアーコンディショナー,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,化粧品」について、「泥を配合した商品,原材料に泥を含む商品」が多数製造され、実際の取引に供されている事実がある。 (2)「シャン」の文字について 本件商標を構成する「シャン」の文字は、国語辞典には「((ドイツ)schon(oの文字の上にはウムラウト記号がある。以下同じ。)(美しい、の意)から)美しいこと。また、美人。もと、旧制高等学校生の学生語。」という意味が録取されている(甲8)。しかしながら、「1980年代中盤から朝早く起きてシャンプーをしてから通勤、通学する「朝シャン」が若い女性に流行した事実(甲9)があり、「シャン」の文字は一般的に「シャンプー」の略語であるとしてその需要者・取引者に理解されている。そして、本件商標の登録査定時において、実際にシャンプーや洗髪に関して「シャン」の文字が「シャンプー」の略語として普通に使用されている例が多数発見される(甲11)。 2 総合的な判断 したがって、仮に、現時点においては「泥シャン」との文字が、「泥を配合したシャンプー,原材料に泥を含むシャンプー」という商品の品質を表示する文字として現在使用されている事実がないとしても、本件商標は、その指定商品中の「泥を配合したシャンプー,原材料に泥を含むシャンプー」との関係で商品の品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本件商標が当該指定商品に使用された場合に、需要者等によって、将来を含め、商品の品質を表示したものとして一般に認識されるものである(甲14~甲17)。 3 商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号について 本件商標をその指定商品中「泥を配合したシャンプー,原材料に泥を含むシャンプー」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質を表示した語と認識するに止まるから、該文字は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであって商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、上記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 第3 取消理由の通知 当審において、商標権者に対し、期間を指定し「本件に係る商標登録は、その指定商品中「シャンプー,ヘアートリートメント,ヘアーコンディショナー,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,髪油,頭髪用化粧品,化粧品,せっけん類」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条3第2項の規定により取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和5年9月26日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 第4 商標権者の意見 1 「シャン」の文字が「シャンプー」の略語であるとはいえない (1)広辞苑、略語辞典には、「シャンプー」を「シャン」と略称するというような記載はない。 (2)「広辞苑第7版」(株式会社岩波書店)の「朝シャン」との語の説明における「シャンはシャンプーの略」との記載は「朝シャン」との語中の「シャン」の文字が「シャンプー」の略語であることを説明した記載にすぎず、「シャン」の文字が「シャンプー」の略語として一般的に使用されていることを示すものではない。 (3)別掲2の使用例について、(1)ないし(3)の「ムラシャン」(紫シャンプーの略)、(4)ないし(6)の「カラシャン」(カラー シャンプーの略)については、特許庁の過去の審査で自他商品識別力が認められ 、指定商品を「シャンプー」に限定することなく、商標登録がなされており、これらの商標の審査でも「シャン」の文字が「シャンプー」の略語とは判断されていない(乙3)。 また、(6)ないし(13)及び(15)並びに甲11の5に掲載の「パルモティブシャン」、「オマシャン」、 「泡シャン」、「薬用もふもふポップムーシャン」、「チャコシャン」、「みそシャン」、「おとなのくろシャン」との語に関しても、「ムラシャン」や「カラシャン」と同様、全体として自他商品識別力を有する語であり、これらの商標の一部に「シャン」の文字が使用されていることをもって、「シャン」の文字が「シャンプー」の略語として一般的に使用されていると判断することはできない。 さらに、(14)について、記事のタイトルとして使用されているが、このタイトルでは、文字数を減らして、インパクトを出すために、意図的に「シャン&トリ」という不自然な表現方法を採用しているものであり、このような使用例があるからといって、「シャン」の文字が「シャンプー」の略語として一般的に使用されていると結論付けることはできない。 2 「泥シャン」の語が一般的に使用されている語でない 別掲3の使用例について、(1)は商標権者が「DROAS」のブランドで販売しているシャンプーであり、当該商品の宣伝広告で「泥シャン」の文字が使用されているとの事実は本件商標の自他商品識別力を否定する根拠にはなり得ない。当該商品の広告で「泥シャン」との語が使用されているのは、商標権者自身が「泥シャン」との造語を積極的に使用しているためであり、(1)は「泥シャン」との語が「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」の品質表示として一般的に使用されていることの論拠にはならない。 また、(2)は「マッドヘアエステ」との名称のシャンプーの販売サイトであり、商品名の欄に「泥シャン マッド オーガリッチシャンプー270mlサラサラ しっとり まとまる ヘアエステ オーガニック 泥クレイ 無添加 超低刺激 アミノ酸系 ハリ コシ ツヤ」との記載があるが、インターネット通販サイトの商品名の欄には、自社及び他社の商標を含む顧客を引き付ける様々な表現が使用される傾向があり、この商品名の欄に記載されている表現が、品質表示として一般的に使用されている語であるとはいえない。 3 過去の審査における登録例 過去の登録例を見ると、上述した「ムラシャン」、「カラシャン」のほかにも、「○○シャン」との構成からなる商標に関し(乙4)、商標登録が認められている例が多数存在しているから、これらの登録例との対比においても、本件商標の自他商品識別力を否定する合理性はない。 4 小括 以上のとおり、本件商標「泥シャン」は、「泥を配合したシャンプー」の品質を直接的に表す語からなる商標ではなく、商標法3条1項3号に該当するものではない。 また、本件商標を構成する「泥シャン」の文字が品質表示にあたらない以上、本件商標を「泥を配合したシャンプー」以外の商品に使用しても、品質の誤認が生じるおそれはなく、本件商標は商標法4条1項16号に該当するものでもない。 5 結論 以上のとおり、取消理由は妥当ではないから、本件異議申立に関しては、登録を維持するとの決定をするのが妥当である。 第5 当審の判断 1 本件商標 本願商標は、前記第1のとおり、「泥シャン」の文字を標準文字で表してなるものである。 2 本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について (1)申立人の提出した証拠及び職権調査によれば、以下のとおりである。 ア 「泥」の文字は「水がまじってやわらかくなった土。粒子は砂よりも細かく、大きさによりシルトと粘土とに分ける。」を意味するものである(甲2)。 イ 美容に関心がある我が国の需要者・取引者の間においては、泥湯の温泉や泥パックが美肌に良いとして広く認識されている事実がある(甲3~甲5)。 ウ 「泥パック(クレイパック)」(甲6)や「泥(クレイ)でスカルプケア」、「天然泥のヘッドスパクレンズ」(甲7)のように、本件商標の指定商品である「シャンプー,ヘアートリートメント,ヘアーコンディショナー,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,化粧品」について、「泥を配合した商品、原材料に泥を含む商品」が多数製造され、実際の取引に供されている事実がある。 エ 化粧品辞典(丸善株式会社)には、「泥シャンプー」の見出しの下「洗いあがりの感触向上を目的として特殊な泥を配合したもの」の記載があり、実際に「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」が「泥シャンプー」のように指称されている事実が見受けられる(別掲1)。 オ 「広辞苑第7版(株式会社岩波書店)には、「朝シャン」の見出しの下、「(シャンはシャンプーの略)朝、出かける前に行う洗髪。」の記載がある。 カ 「シャン」の文字について、「シャンプー(商品)」の略称を表す語として使用されている事実が見受けられる(甲11の5、別掲2)。 キ 「泥シャン」の文字について、「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」を意味する「泥シャンプー」の略称を表すものとして少なからず使用されている事実が見受けられる(別掲3)。 (2)判断 本件商標は前記第1のとおり「泥シャン」の文字を標準文字で表してなるものであるが、上記(1)の内容を考慮すると、「泥シャン」の文字は、「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」である「泥シャンプー」の略称を表すものとして容易に理解されるものであるから、本件商標をその指定商品中、「シャンプー,せっけん類」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商標権者の取り扱いに係る商品であることを認識、理解するよりも、「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」という商品の品質を表示したものと認識、理解するにとどまるというのが相当である。 したがって、本件商標は、その指定商品中「シャンプー,せっけん類」に使用する場合には、商品の品質を普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」以外の「シャンプー,せっけん類」に使用する場合には、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 また、本件商標を、その指定商品中、「ヘアートリートメント,ヘアーコンディショナー,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,髪油,頭髪用化粧品,化粧品」に使用するときは、当該商品があたかも「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」であるかのように、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 3 商標権者の主張について (1)商標権者は、前記第4の1(1)ないし(3)のように主張するが、広辞苑や略語辞典に「シャンプー」を「シャン」と略称するというような記載がないとしても、前記第5の1(1)オの記載(「広辞苑第7版(株式会社岩波書店)」には、「朝シャン」の見出しの下、「(シャンはシャンプーの略)朝、出かける前に行う洗髪。」)が、「シャン」の文字が「シャンプー」の略称であることを表す一要素であることに加えて、別掲2のように、商品「シャンプー」との関係において、「○○シャン」の文字が使用されていることから、「シャン」の文字が「シャンプー」の略称を意味する語として認識し得ることは明らかである。 また、別掲2(1)ないし(6)について、「ムラシャン」「カラシャン」の文字が登録商標であるとしても、当該文字は、当該登録商標の権利者以外の複数の者により「紫シャンプー」を「ムラシャン」、「カラーシャンプー」を「カラシャン」のように指称され、使用されているものであるから、当該商品の使用者および需要者においては、「シャン」の文字が「シャンプー」の略称を意味する語として認識されているというべきである。 (2)商標権者は、前記第4の2のように主張するが、別掲3(1)は、商標権者による商品の名称としての使用ではなく、一般的な商品カテゴリー名である「泥シャンプー」の略称としての使用であることは明らかである。 また、別掲3(2)は、「泥シャン」の文字が商標権者の商品を指しているともいえず、別掲1により「泥シャンプー」が存在すること、別掲2により「シャン」の文字が、「シャンプー(商品)」の略称を表す語として使用されていることからすると、当該「泥シャン」の文字よりは、「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」を認識するというのが自然である。 (3)商標権者は、過去の登録例を挙げ、本件商標も同様に判断されるべきである旨主張しているが、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項各号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本件については前記第5の2(2)のとおり判断するものであるから、商標権者の挙げた登録例があることが、本件の判断を左右するものではない。 (4)したがって、商標権者の上記主張は、いずれも採用することができない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「シャンプー,せっけん類」について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであり、また、その指定商品中「泥を配合したシャンプー、泥を原材料とするシャンプー」以外の「シャンプー,ヘアートリートメント,ヘアーコンディショナー,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,髪油,頭髪用化粧品,化粧品,せっけん類」について、同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 そして、本件商標のその余の指定商品については、同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではなく、他にその登録を取り消す理由はないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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