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商標異議申立

2022-900522

ミズノフライ、ミズノ、フライ、エフエルワイ

審判番号
2022-900522
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-047167
登録番号
6625899
請求日
2022年12月16日
審決日
2023年07月27日
公報発行日
2023年09月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】美津濃株式会社
  • 【異議申立人】ウエスタン パワー スポーツ,エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】水野 勝文
  • 【異議申立人代理人】和田 光子
  • 【異議申立人代理人】保崎 明弘
  • 【異議申立人代理人】鈴木 亜美
  • 【異議申立人代理人】竹山 尚治
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1652.22 -Y (W25) / T1652.261-Y (W25) / T1652.262-Y (W25) / T1652.263-Y (W25) / T1652.271-Y (W25) / T1652.222-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6625899号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6625899号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6625899号商標(以下「本件商標」という。)は、「MIZUNO FLY」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年4月22日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年9月16日に登録査定され、同年10月11日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4775126号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 FLY(標準文字) 指定商品 第9類、第12類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成14年1月21日 設定登録日 平成16年5月28日 (2)登録第4728752号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 FLY RACING(標準文字) 指定商品 第9類、第12類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成14年1月21日 設定登録日 平成15年11月21日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取消しを免れないものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号に該当する点について ア 本件商標 本件商標は、標準文字で「MIZUNO FLY」と書してなり(甲1)、構成文字全体から「ミズノフライ」の称呼及び「ミズノのフライシリーズ」程度の意味合いが生じる。 また、本件商標の「MIZUNO」の文字は、指定商品との関係では、商標権者の商号の略称を表示する代表的な出所標識の一つとして認識される語と認められる。そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「MIZUNO」の文字を当該商品の主体を表す代表的な出所表示標識として捉え、また、「FLY」の文字をその取扱商品のシリーズや種類を個別化して特定するための個別商標と認識し、把握するとみるのが相当である。 そのため、本件商標は、構成文字全体から生じる称呼及び意味合いの他、簡易・迅速を旨とする取引の実際においては、「MIZUNO」の提供する個別商標である「FLY」に着目し、これより生じる称呼及び観念のみをもって取引に資されることも少なからずあるといえ、当該文字に相応して、「フライ」の称呼、「飛ぶ」又は「申立人のブランドであるフライ」程度の意味合いをも生じるといえる。 イ 引用商標 引用商標1は、標準文字にて「FLY」と書してなる商標であり(甲2)、その文字に照応して「フライ」の称呼が自然に生じ、「飛ぶ」又は「申立人のブランドであるフライ」の観念が生じる。 引用商標2は、標準文字にて「FLY RACING」と書してなり(甲3)、その指定商品には、競技(racing)用の商品が多数含まれていることから、その構成中「RACING」は単に用途を表すに過ぎず、「FLY」部分が要部として認識される。 そのため、引用商標2からは、その文字に照応して「フライレーシング」及び「フライ」の称呼が生じ、「申立人のブランドであるフライの競技用商品」の観念が生じる。 ウ 商標の類否 本件商標と引用商標の類否について、最高裁判例(昭和37(オ)953号)及び特許庁における審決例(甲4~甲6)で示された観点を踏まえて、以下検討する。 (ア)本件商標と引用商標1とを対比すると、その構成文字は「MIZUNO」の有無について相違する。上記ア及びイで述べたとおり、また、特許庁の審決(甲4、甲6)における判断同様、簡易迅速をたっとぶ取引の実際においては、本件商標は、「MIZUNO」の提供する個別商標と認められる「FLY」部分に着目し、これより生じる称呼及び観念をもって取引に資されることも少なからずあるといえるため、本件商標及び引用商標1から、「フライ」の称呼が生じ、「飛ぶ」又は「申立人のブランドであるフライ」の観念が生じる。 (イ)引用商標2からは、前述のとおりその指定商品との関係で要部「FLY」が分離考察される。また、本件商標についても「FLY」部分について分離して認識・記憶されうるため、本件商標からも引用商標2からも「フライ」の称呼が生じ、「飛ぶ」又は「申立人のブランドであるフライ」の観念が生じる。 (ウ)これらを総合的に勘案し、時と場所を異にして指定商品等の需要者が通常有する注意力を基準として判断すれば、本件商標と引用商標は相紛れるおそれの高い類似の商標である。 エ 指定商品の類否 本件商標の指定商品中「被服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。 オ 小括 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号に該当する点について 本号該当性について、最高裁判例(平成10年(行ヒ)第85号)及び特許庁の審査基準(甲7)の観点を踏まえて、以下検討する。 ア 申立人について 申立人は、アメリカ合衆国アイダホ州ボイシを拠点として1960年に法人化された自転車・二輪自動車・スノーモービル等の製品を製造販売する会社である(甲8)。また、申立人が2022年に日本で行ったマーケティング費用の総額は、4.3万ドルに及ぶ。 引用商標は、申立人が製造販売する二輪自動車やスノーモービル、マウンテンバイク・BMXなどの自転車についてのブランドであり、当該スポーツ業界においては著名性を獲得している(甲9)。 例えばフリースタイルモトクロス(FMX)の著名日本人ライダーも申立人が提供するポッドキャストに出演した(甲10)。 イ 混同の有無について 引用商標が使用されている商品自体が、例えば野球やサッカーほどに一般的に知られていないとしても、日本においても一定の競技人口があり、例えば日本モーターサイクルスポーツ協会が提供する各種モータースポーツの競技人口は、2019年時点で延べ人数で8000人を超える(甲11)。当該分野の人気選手が、申立人主催のイベントにも登場する(甲10)ことから、当該競技分野での一定の著名性は是認されるものである。 一方、上述のとおり、本件商標の「MIZUNO」の文字は、指定商品との関係では、商標権者の商号の略称を表示する代表的な出所標識の一つとして認識される語と認められるところ、「FLY」の文字は、その取扱商品のシリーズや種類を個別化して特定するための個別商標と認識される。そのため、引用商標の著名性も相まって、本件商標は、あたかも本件商標権者と申立人とがコラボレーションした商品シリーズと誤認する、すなわち、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認するおそれがあるため、本号に該当するものである。 以上のことを総合的に勘案すれば、申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標を係る指定商品について使用するときは、あたかも申立人の系列会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品であると、取引者、需要者に誤信されるおそれが多分に存するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号に該当する点について 上述のとおり、引用商標は日本及び外国における需要者の間に広く認識されており、また、本件商標と引用商標が類似する商標であることは前述したとおりであるが、加えて、商標権者は、不正の目的をもって本件商標を係る商品等に使用をするものであると推認せざるを得ない。 すなわち、本件商標権者は多種のスポーツ関連商品を世界中で取り扱っており(甲12)、近縁の業界であるモータースポーツについて有名な引用商標を知らなかったとは考えられない。商標権者は申立人が築き上げた信用、名声、顧客吸引力等にフリーライドする意図を持って本件商標を採択したと考えるのが自然であり、本件商標が係る指定商品に使用されれば、著名商標「FLY」に化体した信用や名声等を毀損させるおそれが多分に存するものである。 以上のことを総合的に勘案すれば、商標権者は、不正の目的をもって本件商標を係る指定商品に使用をするものであると容易に推認することができる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第7号に該当する点について 本号に係る特許庁の審査基準(甲7)の観点を踏まえて検討する。 商標「FLY」が日本及び外国における需要者の間に広く認識されており、また本件商標と商標「FLY」が類似する商標であることは前述したとおりである。そのため、本件商標と引用商標は相紛れるおそれの高い類似の商標であるといえる。 前示のとおり、申立人はモータースポーツの世界においては取引者、需要者の間に広く認識されていることから、商標権者が引用商標ないしは申立人の存在を知らなかったものとはいい難く、本件商標は、意図的に「FLY」の文字を含み、申立人の著名商標を含む構成態様にすることにより、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を連想、想起せしめ、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものといわざるを得ない。 そのため、本件商標は、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたものといわざるを得ず、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、アメリカ合衆国アイダホ州ボイシを拠点とするWestern Power Sports(以下「WPS」という。)は、1960年に法人化され、二輪自動車、スノーモービル等15万点以上の製品を、米国内の数千のディーラーに供給していることなどが認められる(甲8)。 しかしながら、「FLY RACING」(大文字と小文字が異なるものを含む。)、「FLYRacing」、「FLYRacingUSA」及び「FLYRacingFamily」の文字は確認できるものの(甲9、甲10)、それらの文字がどのような商品又は役務について使用されているのか確認できず、また、「FLY」(大文字と小文字が異なるものを含む。)の文字が何らかの商品又は役務について使用されていると認め得る証左は見いだせない。 そうすると、「FLY」及び「FLY RACING」の各文字並びにそれら各文字からなる引用商標1及び2は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は米国など外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 (ア)本件商標は、上記1のとおり「MIZUNO FLY」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ミズノフライ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (イ)申立人は、本件商標はその構成中「MIZUNO」の文字は商標権者の代表的な出所標識として、「FLY」の文字は個別商標として認識され、簡易・迅速を旨とする取引においては、個別商標である「FLY」に着目し、これより「フライ」の称呼、「飛ぶ」又は「申立人のブランドであるフライ」の観念も生じる旨主張している。 しかしながら、本件商標の構成文字「MIZUNO FLY」は同書同大でまとまりよく一体的に表され、それから生じる称呼「ミズノフライ」は無理なく一連に称呼し得るものであるから、本件商標は、かかる構成及び称呼からすれば、これに接する取引者、需要者をして、「FLY」の文字を個別商標として認識、把握させることなく、その構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握させるものと判断するのが相当である。 また、上記(1)のとおり引用商標1は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるし、他に、本件商標は、その構成中「FLY」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。 したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 イ 引用商標 引用商標1は、上記2(1)のとおり「FLY」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「フライ」の称呼を生じ、「飛ぶ」の観念を生じるものと判断するのが相当である。 引用商標2は、上記2(2)のとおり「FLY RACING」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「フライレーシング」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標の類否 (ア)本件商標と引用商標1 本件商標と引用商標1の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「MIZUNO FLY」と引用商標1の構成文字「FLY」の比較において、両者は語頭部における「MIZUNO」の文字の有無という差異を有し、その差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものである。 次に、本件商標から生じる「ミズノフライ」の称呼と引用商標1から生じる「フライ」の称呼を比較すると、両者は語頭部における「ミズノ」の音の有無という差異を有し、この差異音が両称呼全体の構成音数、語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。 さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1は「飛ぶ」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標1が類似するというべき事情は見いだせない。 (イ)本件商標と引用商標2 本件商標と引用商標2の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「MIZUNO FLY」と引用商標2の構成文字「FLY RACING」の比較において、両者はその構成文字の差異により外観全体の視覚的印象が異なり、相紛れるおそれのないものである。 次に、本件商標から生じる「ミズノフライ」の称呼と引用商標2から生じる「フライレーシング」の称呼を比較すると、両者はその構成音の差異により語調語感が異なり、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。 さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標2は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標2が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)のとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 (4)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号について 上記(1)のとおり引用商標及び「FLY」「FLY RACING」の文字は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であり、また、上記(3)のとおり本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものでもない。 そうとすれば、本件商標は、引用商標や申立人の信用、名声、顧客吸引力などにフリーライドするなど不正の目的をもって使用をするものということはできない。 さらに、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものといえない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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