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商標異議申立

2022-900508

リウインズ、レウインズ、ウインズ

審判番号
2022-900508
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-033813
登録番号
6620714
請求日
2022年12月06日
審決日
2023年08月30日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】日本第二楽器製造株式会社
  • 【異議申立人】アンリ セルメ パリ
  • 【異議申立人代理人】宮嶋 学
  • 【異議申立人代理人】本宮 照久
  • 【異議申立人代理人】高田 泰彦
  • 【異議申立人代理人】柏 延之
  • 【異議申立人代理人】渡邊 かおり
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 冨澤 武志
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.4 -ZC (W3537)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法8条1項商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第8条第1項、商標法第43条の2第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6620714号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6620714号商標の指定役務中、第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6620714号商標(以下「本件商標」という。)は、「ReWinds」の欧文字を標準文字により表してなり、令和4年3月24日に登録出願、第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「楽器の修理又は保守」を指定役務として、同年9月5日に登録査定され、同月28日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1623410号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2021年2月16日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2021年(令和3年)8月16日に国際商標登録出願、第35類「Online retail sale services for used musical instruments, and used accessories for musical instruments, namely, cases, reeds and mouthpieces; disseminating advertisements for others, on digital media, featuring the resale of used musical instruments, and used accessories for musical instruments, namely, cases, reeds and mouthpieces; Internet trading services, namely, provision of an online marketplace for buyers and sellers of goods and services, for resale of used musical instruments, and used accessories for musical instruments, namely, cases, reeds and mouthpieces.」及び第38類「Providing access to a trading platform for resale via a computer network for used musical instruments, and used accessories for musical instruments, namely, cases, reeds and mouthpieces.」を指定役務として、令和5年1月20日に日本国において設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議申立ての理由の要点 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第7号証を提出した。 1 商標法第8条第1項について (1)本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、「ReWinds」の欧文字を標準文字で表したものである。 これに対して、引用商標は、外周を二重の線で囲んだ黒塗りの円からなるところ、白抜きされた「REWIND」の欧文字が、円内の上部に配置され、他の文字に比べて大きく表されていることから、「REWIND」の文字が需要者、取引者に対して強く支配的な印象を与えるものであり、「REWIND」が商標の要部を構成するものである。当該「REWIND」の文字と本件商標を対比すると、後述のとおり、外観、称呼及び観念において相紛らわしいことから、両商標は互いに類似する商標というべきものである。 ア 外観についての対比 引用商標の要部の「REWIND」の文字は、「RE」の部分よりも「WIND」の部分が太字で表されていることから、「RE」と「WIND」の2つの部分からなると認識されるものである。これに対して、本件商標の「ReWinds」の文字は、語頭の「R」と中程の「W」が大文字で、それ以外の文字が小文字で表されていることから、「Re」と「Winds」の2つの部分から構成されていると認識されるものである。両文字の外観は、一見して「RE(Re)」と「WIND(Winds)」の2つの部分の組合せであることを認識させるものであり、本件商標の語尾において、小文字の「s」を有するのみが相違するにすぎないものである。語尾の文字は目につきにくい上に、当該「s」は小文字であって、直前の「d」の半分の高さで表されていることから、当該「s」の文字の有無は、印象に残りにくいものである。したがって、両者に接した需要者、取引者には、共通部分が強く印象に残るものであるから、両者は外観において相紛らわしいものである。 イ 称呼についての対比 引用商標は、その要部の構成から「リウィンド」の称呼も生じるものであり、本件商標は、その構成に照応して「リウィンズ」の称呼が生じるものである。これらの称呼を対比すると、両称呼は、称呼の識別において重要な影響を与える語頭音を含めた「リウィン」の4音を共通にし、異なるところは、語尾の「ド」と「ズ」の音の相違にすぎないところ、語尾の音は、明瞭に聴取しにくいものである。したがって、それぞれを称呼するときには、全体の語調、語感が近似したものとなるものであるから、両者は、称呼上、互いに紛らわしいものである。 ウ 観念についての対比 引用商標も本件商標も、中古の管楽器の販売、特に中古の管楽器をそのまま販売するのではなく、修理、再生して販売する小売等役務に使用されるところ(甲3、甲4)、両商標の語頭の「RE(Re)」の文字は、「繰り返し」や「再び」の意味を有する接頭辞である。環境保護が重視されている昨今の社会情勢においては、「Recycle」(再生利用)や「Reuse」(再使用)等、「RE(Re)」から始まる語が、「再び~する」という意味を有することは広く一般に認識されているものであり、管楽器に相当する英語が「wind instruments」であることから、本件商標に接した中古の管楽器の需要者、取引者に、引用商標の「REWIND」及び本件商標から、「管楽器を再生する」程の共通する観念を想起させるものである。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標の要部とは、外観において近似した印象を与えるものであり、称呼及び観念において互いに紛らわしいものであることから、その外観、称呼及び観念によって、需要者、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある類似の商標と判断されるべきものである。 (2)役務の類否について ア 本件商標に係る第35類の指定役務について 引用商標に係る第35類の指定役務「Online retail sale services for used musical instruments, and used accessories for musical instruments, namely, cases, reeds and mouthpieces」(以下、「中古楽器等の小売等役務」という。)と本件商標に係る第35類の指定役務「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、互いに類似するものである。 特に、本件商標に係る実際の役務が、引用商標と同じ中古の管楽器を修理、再生した商品の販売であることから、実際の商取引において両役務は同一のものであり、両役務に類似する商標が使用された場合には、互いに出所の混同が生じるおそれが高いことは明白である(甲3、甲4)。 イ 本件商標に係る第37類の指定役務について 引用商標に係る第35類の中古楽器等の小売等役務は、本件商標に係る第37類の指定役務「楽器の修理又は保守」とも類似する役務である。本件商標の役務にも見られるように、中古の楽器の販売においては、商品の販売前に楽器の修理や保守を行ってから販売することもあるから、当然に中古の楽器の販売を行う業者は修理や保守業務も行うことができるものであり、中古楽器を購入した需要者も、購入した楽器が故障した場合には、購入先に修理の相談をするものである。中古品にかかわらず、楽器は使い捨ての商品ではなく、一度購入したら修理や保守を行って長く愛用するものであり、楽器の小売業者が購入後の商品の修理・保守を行っていることが多いし(甲5~甲7)、楽器を購入した需要者も、楽器が故障したら購入先に相談するのが通常である。以上より、両役務は、同一の事業者が提供するものであり、需要者の範囲が一致し、また提供に関する物品も一致するものであるから、これに同一又は類似する商標を使用する場合には、需要者をして同一営業主の提供に係る役務との誤認を生じるおそれがあるといわざるを得ないものである。したがって、両役務は互いに類似する役務である。 ウ 小括 以上のとおり、引用商標に係る第35類の指定役務は、本件商標に係る第35類及び第37類の役務と類似すると判断されてしかるべきである。 2 むすび 上記1のとおり、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第8条第1項に違反して登録された商標であることは明らかであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。 第4 当審における取消理由の要旨 当審において、商標権者に対して、「本件商標の登録は、その指定役務中の第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、商標法第8条第1項に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和5年6月14日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 第5 商標権者の意見 商標権者は、上記第4の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べていない。 第6 当審の判断 1 商標法第8条第1項について 商標法第8条第1項は、「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。」と規定しているので、以下、各要件について検討する。 2 指定役務の類否について 本件商標の指定役務中、第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標の指定役務中、第35類「Online retail sale services for used musical instruments, and used accessories for musical instruments, namely, cases, reeds and mouthpieces」と類似の役務と認められる。 3 商標の類否について (1)本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「ReWinds」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「R」と「W」の文字が大文字で表されていることから、「Re」と「Winds」の文字からなると容易に看取されるものである。 そして、「Re」の文字は、「再び」等の意味を表す接頭辞であり「リ」と称呼され、「Winds」の文字は、「風」等を意味する「wind」の複数形であり「ウィンズ」と称呼されるから(以上「ジーニアス英和辞典第6版」参照)、本件商標は、全体として「リウィンズ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。 なお、「ReWinds」の文字は、「巻き戻す」等を意味し「リワインド」と称呼する「rewind」の英単語と語尾の「s」以外のつづりを共通にするものであるが、我が国において同語の使用頻度は低く(以上「ジーニアス英和辞典第6版」参照)、需要者が直ちに同語を想起し得るものとはいえないから、本件商標が「rewind」に「s」が付されたものと認識されることはなく、これより「rewind」に基づく特定の称呼及び観念は生じないとみるのが相当である。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「リウィンズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について ア 引用商標は、別掲のとおり、外周に沿って長さの異なる2本の矢印線と4本の棒状の線を二重に配した黒塗り円状図形の中央に、細く白抜きした「RE」の欧文字と太く白抜きした「WIND」の欧文字を大きく横書きし、その下に、植物の葉様の図形と共に、白抜きした「HENRI」、「BY」、「SELMER」及び「PARIS」の欧文字をそれぞれ小さく横書きした構成からなるところ、これらの図形部分と文字部分とは、特段相互に関連性を見いだせないから、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものである。 そして、その構成文字中「RE」の文字と「WIND」の文字は、白抜きの太さは相違するものの、同じ書体で等間隔に一体的に表されたものであって、引用商標の構成全体に占める割合の大きさから、他の文字に比べてかなり目立ち、かつ、他の文字部分との関連性も見いだせないものであるから、当該文字部分は、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができる。 そうすると、引用商標は、その構成中の「REWIND」の文字部分を要部として抽出し、本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 イ 引用商標の要部である「REWIND」の文字部分をみると、構成文字の太さの相違から「RE」と「WIND」の文字からなると容易に看取されるものである。 そして、「RE」の文字は、「再び」等の意味を表す接頭辞であり「リ」と称呼され、「WIND」の文字は、「風」等を意味する「wind」であり「ウィンド」と称呼されるから(以上「ジーニアス英和辞典第6版」参照)、引用商標の要部である「REWIND」の文字部分からは、全体として「リウィンド」の称呼が生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。 また、「REWIND」の文字部分は、「巻き戻す」等を意味し「リワインド」と称呼する「rewind」の英単語とつづりを共通にするものであるが、我が国において同語の使用頻度は低く(以上「ジーニアス英和辞典第6版」参照)、需要者が直ちに同語を想起し得るものとはいえないから、これより「リワインド」の称呼及び「巻き戻す」の観念は生じないとみるのが相当である。 したがって、引用商標は、要部である「REWIND」の構成文字に相応して、「リウィンド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との比較 そこで、本件商標の「ReWinds」の文字と引用商標の要部である「REWIND」の文字部分とを比較するに、外観においては、大文字と小文字との違いはあるものの、「ReWind(REWIND)」の構成文字を共通にし、異なるところは末尾における「s」の文字の有無のみであるから、両商標は、外観において近似した印象を与えるものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「リウィンズ」の称呼と、引用商標の要部から生じる「リウィンド」の称呼とを比較すると、両者は、語尾における音が「ズ」になるか「ド」になるかの差異はあるものの、需要者の注意を引きやすい語頭音を含めた「リウィン」の音を共通にするものであるから、語尾音の差異が称呼において強い印象を与えるとはいえず、これらを一連に称呼した場合には、互いに紛らわしいものといえる。 そして、観念においては、両商標は、共に特定の観念が生じないから、これを比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に考察すると、たとえ、観念において比較できないとしても、外観において近似した印象を与え、称呼において類似する両商標は、役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 4 最先の出願人について 本件商標は、前記第1のとおり、令和4年3月24日に登録出願されたものであり、引用商標は、前記第2のとおり、2021年2月16日にフランス国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2021年(令和3年)8月16日に国際商標登録出願されたものであるから、本件商標よりも引用商標が先願と認められる。 そうすると、引用商標に係る商標登録出願人が最先の商標登録出願人といわなければならず、かつ、同人と本件商標に係る商標登録出願人(商標権者)とは同一人ではない。 5 小括 以上のとおりであるから、本件商標は、その指定役務中の第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、同一又は類似の役務について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に二以上の商標登録出願があったときに、最先の商標登録出願人でない者(商標権者)が商標登録を受けたものといえる。 したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。 6 申立人の主張について 申立人は、中古の楽器の販売においては、商品の販売前に楽器の修理や保守を行ってから販売することもあるから、当然に中古の楽器の販売を行う業者は修理や保守業務も行うことができるものであり(甲5~甲7)、中古楽器を購入した需要者も、購入した楽器が故障した場合には、購入先に修理の相談をするものであると述べ、引用商標に係る第35類の中古楽器等の小売等役務は、本件商標に係る第37類の指定役務「楽器の修理又は保守」とも類似する役務である旨主張する。 しかしながら、申立人が述べる事情は、中古楽器を取り扱う業界のごく一部の個別的なものにすぎず、直ちに上記両役務についての一般的、恒常的な事情とはいえないから、申立人の主張のみを根拠に、引用商標に係る第35類の中古楽器等の小売等役務と本件商標に係る第37類「楽器の修理又は保守」の役務とが類似するものであるということはできない。 したがって、申立人の上記主張は採用することができない。 7 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中,本件登録異議の申立てに係る第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 そして、本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務については、その登録を取り消す理由がないから、同第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。

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