商標異議申立
2022-900507
スマートアンプピイシイアアルケンサキット、スマートアンプピイシイアアル、スマートアンプ、ピイシイアアル
- 審判番号
- 2022-900507
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-067627
- 登録番号
- 6621028
- 請求日
- 2022年12月05日
- 審決日
- 2023年12月28日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ダナフォーム
- 【異議申立人】タカラ バイオ ユーエスエー, インコーポレイテッド
- 【異議申立人代理人】河野 英仁
- 【異議申立人代理人】河野 登夫
- 【異議申立人代理人】岡田 充浩
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T1651.261-Y (W01) / T1651.262-Y (W01) / T1651.263-Y (W01) / T1651.272-Y (W01)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項16号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6621028号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6621028号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6621028号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマートアンプPCR 検査キット」の文字を標準文字で表してなり、令和4年6月13日に登録出願、第1類「PCR検査のためのキット状の科学用又は研究用試薬,PCR検査のためのキットになった化学用試剤(医療用及び獣医科用のものを除く。)」を指定商品として、同年9月14日に登録査定され、同月28日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1018694号商標(以下「引用商標」という。)は、「SMART」の欧文字を横書きしてなり、2009年(平成21年)10月22日United States of Americaでおいてしたパリ条約第4条による優先権を主張し、同年10月27日に国際商標登録出願、第1類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成23年12月9日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 本件商標の認定
本件商標の外観は、「スマートアンプPCR 検査キット」の文字を横方向一段で書してなり、文字列中間の空白で「スマートアンプPCR」と「検査キット」とに分離された外観である(甲1)。
本件商標の称呼は、外観から自然に生じる「スマートアンプピイシイアアル(一呼吸おき)ケンサキット」である(甲1)。
本件商標の観念は、外観上分離された文字列それぞれから想起される(甲1)。詳細は後述する。
イ 引用商標の認定
引用商標の外観は、「SMART」の欧文字を横方向一段で書してなり、まとまりよく一体不可分をなす(甲2)。
引用商標の称呼は、文字列の綴りから自然に生じる「スマート」である(甲2)。
引用商標の観念は、cDNA合成の手法である「SMART法」を示すものであり(甲3)、タカラバイオ株式会社(滋賀県草津市)らにより周知されている(甲3の2)。
申立人とタカラバイオ株式会社とは、宝ホールディングス株式会社(京都市)に属する関係会社である(甲3の2、3)、申立人は米国の拠点であり、タカラバイオ株式会社は日本国の拠点である(甲3の2)。
なお、証拠(甲3の2)では、申立人の住所が本書記載と異なるが、事業所の移転先であり同一企業を示している(甲3の4)。営業活動及び情報収集の重要拠点であるサンノゼ市への移転を通じて、引用商標は、より高い周知性を獲得している。
申立人らは、中国及び欧州連合等、世界的規模で拠点を展開し、引用商標を、米国、オーストラリア、スイス連邦、中国、欧州連合及び日本で商標登録している(甲2の2)。
ウ 商標の比較検討
商標の比較検討では、引用商標全体と、本件商標のうちの「スマート」の文字とを要部認定すべきである。
拒絶理由通知書によれば、本件商標のうちの「PCR」及び「検査キット」それぞれは、商品の品質を表す文字であるとされている(甲1の2)。よってこれらの文字は、識別力を有しない文字として要部から除外される。
また、拒絶理由の解消を図るため、PCR検査のための商品への減縮補正がなされている(甲1の3)。よって、本件商標の要部は、PCR検査のための商品との関係で認定されるべきである。
ところで、「PCR検査」は、恒常的な取引実情では、最も一般的な「PCR法」を想定して通称的に表記されているに過ぎず、正確にはPCR法以外の複数の手法を含む「核酸増幅検査(NAT:Nucleic acid Amplification Test)」を示している(甲4)。
よって、核酸増幅検査の「Amplification」及びそれを略した「Amp」の文字は、PCR検査の試薬の取引で、広く一般的に使用されている。
例えば、厚生労働省で採用する試薬は、以下のように「Amp」の文字を含む名称の試薬が多数存在する(甲4の2)。
・「QIAamp Viral RNA Mini Kit」
・「Ampdirect 2019-nCoV 検出キット」
・「MicroAmp Optical 96-Well Reaction Plate」
・「Loopamp 新型コロナウイルス 2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット」
よって、PCR検査のための商品との関係では、「Amp」及びその仮名文字の「アンプ」は、商品の品質を表す文字であり、識別力を有しない文字として本件商標の要部から除外されるべきである。
したがって、本件商標の要部は、「検査キット」「PCR」及び「アンプ」を除外した残りの「スマート」の文字である。
上述に基づき、商標の比較検討した場合、両商標の要部の称呼が同一であることから、両商標は類似関係にあるといえる。
また、PCR検査の試薬の取引実情では、多数の企業が競合するため、商品の出所混同のおそれが生じやすい(甲4の2)。
さらに、試薬は、日々進歩して改善され、化体した試薬への信用を守りながら市場に投入され、長年愛される商品が多い。よって、例えば改善された試薬が「スマート」を冠した試薬名で市場に投入されて長年愛される商品へと成長する。
かかる実情を鑑みれば、「スマート」の文字を冠する本件商標と、引用商標とは出所混同のおそれがある。
よって、本件商標は、先行する引用商標との類似関係により商標法第4条第1項第11号に該当する。
エ 補足
文字種が相違するとして仮名文字の「スマートアンプ」を要部認定することは、失当である。
本件商標は、文字列中間の空白で「スマートアンプPCR」と「検査キット」とにまとまりよく分離されている。
本件商標に触れた需要者は、直ちに「スマートアンプ」を要部認定することなく、まとまりがよい「スマートアンプPCR」に着目する。更にPCR検査の試薬との関係で、「PCR」の文字から「核酸増幅検査」を連想し、「アンプ」の文字から核酸増幅検査の「Amplification」を連想する。
よって「PCR」及び「アンプ」のそれぞれは、商品の品質を表す文字であり、識別力を有しない文字であるため、本件商標の要部から除外される。
本件商標の要部は、「PCR」及び「アンプ」を除外した残りの「スマート」の文字である。
(2)商標法第4条第1項第16号
本件商標では、拒絶理由通知書が述べる、PCR法による検査のための商品以外との品質誤認の解消を図るため、PCR検査のための商品への減縮補正がなされた(甲1の3)。
上述のとおり、「PCR検査」は、「核酸増幅検査」の通称として使用され、正確にはPCR法以外に、NEAR法、LAMP法及びTMA法等の複数の手法を含んでいる(甲4)。
かかる実情を鑑みれば、本件商標に触れた需要者は、PCR法以外による検査のための商品の品質について誤認を生じるおそれがある。
よって、PCR検査のための商品への減縮補正では、拒絶理由通知書の指摘内容が解消されていない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
(ア)本件商標は、上記1のとおり「スマートアンプPCR 検査キット」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、本件商標は、その構成態様から「スマートアンプPCR」と「検査キット」の文字(語)を結合してなるものと見るのが自然であって、前者の語尾部の「PCR」の文字と後者の「検査キット」の文字は、それらが相まって「PCR検査用のキット(状の商品)」の意味合いを認識させ、本件商標の指定商品の用途、品質を表したものと理解、認識させることが少なくないものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中「スマートアンプ」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討することが許されるものといえる。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応し「スマートアンプピイシイアアルケンサキット」の称呼を生じるほか、「スマートアンプ」の文字部分から「スマートアンプ」の称呼も生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(イ)なお、申立人は、上記「PCR」及び「検査キット」の文字に加え、「Amp」の文字はPCR検査の試薬の取引で広く一般的に使用され、該文字を含む名称の試薬が多数存在するから、該文字「Amp」及びその仮名である「アンプ」の文字は、PCR検査のための商品との関係において、商品の品質を表す文字であり識別を有しないから、本件商標の要部は「スマート」の文字である旨主張している。
しかしながら、申立人提出の証拠によれば、「Amp」(「amp」を含む。)の文字を含む試薬がいくつか存在することは認められる(甲4の2)ものの、該文字がPCR検査用の試薬の取引で広く一般的に使用されていると認め得る証左は見いだせず、また、「アンプ」の文字がPCR検査用の試薬に用いられている事実は確認できない。
さらに、「Amp」及び「アンプ」の文字が本件商標の指定商品との関係において、商品の品質を表すものと認識されるというべき事情は見いだせず、また、他に本件商標の構成中「スマート」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情も見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり「SMART」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「賢い、高性能の、格好いい」の意味を有する平易な英単語である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「スマート」の称呼を生じ、「利口な、賢明な、賢い」ほどの観念を生じるものである。
なお、申立人は、本件商標は「(cDNA合成の手法である)SMART法」との観念を生じるかのように主張しているところがあるが、かかる主張を認め得る証左は見いだせない。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否について検討すると、外観については、両者の全体の構成はそれぞれ上記ア及びイのとおりであり、両商標の全体の比較においても、本件商標の構成中「スマートアンプ」の文字と引用商標の比較においても、文字種及び文字数において明らかな差異を有することから、両者は、外観上、見誤るおそれはなく、判然と区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「スマートアンプピイシイアアルケンサキット」及び「スマートアンプ」の称呼と引用商標から生じる「スマート」の称呼は、本件商標の後半部における「アンプピイシイアアルケンサキット」及び「アンプ」の音の有無という明らかな差異を有し、その音構成及び構成音数が相違するから、両者は、称呼上、聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念については、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「利口な、賢明な、賢い」ほどの観念を生じるものであるから、両者は、観念上相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性について
申立人は、本件商標については拒絶理由通知書で指摘されたPCR法による検査のための商品以外との品質誤認の解消を図るため、PCR検査のための商品に減縮補正がなされているが、「PCR検査」は「核酸増幅検査」の通称として使用され、PCR法以外にNEAR法、LAMP法及びTMA法等の複数の手法を含んでいるから、かかる減縮補正によっては、拒絶理由通知書の指摘内容が解消されていない旨主張する。
そこで、以下検討する。
商品の品質又は役務の質(以下では、商品についてのみ述べる。)の誤認を生ずるおそれがある商標については、公益に反するとの趣旨から、商標登録を受けることができない旨規定されている(商標法第4条第1項第16号)。同趣旨に照らすならば、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とは、指定商品に係る取引の実情の下で、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される品質と指定商品が有する品質とが異なるため、商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである(平成20年11月27日知的財産高等裁判所判決、平成20年(行ケ)第10086号参照)。
そして、上記1のとおり、本件商標中には、「PCR法」を表す「PCR」の文字及び「検査のための用具一式」を意味する「検査キット」の文字を有するところ、本件商標の指定商品の取引者、需要者は、その使用される商品は「PCR(法による)検査に関する商品」であると認識、理解する。そして、本件商標の指定商品は、上記1のとおり、「PCR検査のためのキット状の科学用又は研究用試薬,PCR検査のためのキットになった化学用試剤(医療用及び獣医科用のものを除く。)」である。
そうすると、本件商標が表示していると通常理解される品質と指定商品の有する品質とが異なることはない。
その他、本件商標が商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものといえない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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