商標異議申立
2022-900501
- 審判番号
- 2022-900501
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-039690
- 登録番号
- 6618422
- 請求日
- 2022年12月02日
- 審決日
- 2024年02月16日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】アキレス株式会社
- 【異議申立人】ワールド アスレチックス
- 【異議申立人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【異議申立人代理人】松永 章吾
- 【異議申立人代理人】前川 砂織
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T1651.15 -Z (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項5号商標法4条1項7号商標法4条1項11号商標法43条の3第2項商標法43条の9第1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第5号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6618422号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6618422号商標の商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6618422号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和4年4月6日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,履物用滑り止め具,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年9月1日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
1 商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続している。
(1)国際登録第1444411号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2018年2月8日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年8月8日に国際商標登録出願、第25類「Clothing, footwear, headgear.」並びに第3類、第5類、第9類、第14類、第18類、第28類、第32類、第35類、第38類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年11月26日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第1507165号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2019年2月19日にLiechtensteinにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年7月29日に国際商標登録出願、第25類「Clothing, footwear, headgear.」並びに第4類、第9類、第11類、第12類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類、第27類、第28類、第32類、第35類、第36類、第38類、第39類、第41類ないし第43類及び第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年12月17日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。
2 申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する標章は、引用商標2の構成中の図形(別掲4。以下「引用標章」という。)であり、申立人が同人のハウスマークとして、「陸上競技の規則を整備し、世界記録の公認をするなど、世界的な陸上競技大会の運営を行うほか、各国の陸上競技団体を統轄すること」について使用し、我が国の需要者の間に広く認識されていると主張するものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載する。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商品の類似性について
本件商標の指定商品中、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、引用商標の指定商品及び指定役務中、第25類「Clothing,footwear,headgear(被服,履物及び運動用特殊靴,帽子)」と同一又は類似することは明らかである。
また、本件商標の指定商品中「ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト」については、「被服、帽子」と密接に関連するものであり、生産部門・販売部門・原材料及び品質が一致する場合があり、また、需要者の範囲については一致する可能性が極めて高く、本件商標と引用商標をそれぞれの指定商品に使用したとすれば、需要者が出所の混同を生じるものであり、「ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト」と「被服」は類似するものである。
さらに、本件商標の指定商品中「履物用滑り止め具」については、「履物及び運動用特殊靴」と密接に関連するものであり、生産部門・販売部門・原材料及び品質が一致する場合があり、また、需要者の範囲については一致する可能性が極めて高く、本件商標と引用商標をそれぞれの指定商品に使用したとすれば、需要者が出所の混同を生じるものであり、「履物用滑り止め具」と「履物及び運動用特殊靴」は類似するものである。
加えて、本件商標の指定商品中「仮装用衣服」については、「被服」と密接に関連するものであり、生産部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致する場合があるから、本件商標と引用商標をそれぞれの指定商品に使用したとすれば、需要者が出所の混同を生じるものであり、「仮装用衣服」と「被服」は類似するものである。
(2)本件商標と引用商標1との類似性について
本件商標と引用商標1の外観を対比すると、両商標とも扇の形であるという共通点がある。
確かに、本件商標は商標が白に黒枠の扇であるのに対し、引用商標1は黒一色の扇である点及び本件商標は扇の下部分が弧を描いているのに対し、引用商標1は山型になっている点に違いがある。
しかし、両者の共通点である扇形の図形は、商品の取引者、需要者が着目する図形の全体的構成に関わる部分であり、図形全体として看者に共通した印象を与えるものであり、識別力の強い特徴的部分である。
他方、両者の上記差異点は外観上の差異として強い印象を与えるとはいえず、各商標の全体として受ける類似の印象を凌駕するほどの特徴とはいえない。
そうすると、両者は、外観において互いに相紛れるおそれがあるといえる。
また、本件商標と引用商標1からは、いずれも「オウギ」の称呼及び「扇」の観念が生じる。
したがって、本件商標と引用商標1は、称呼・外観・観念を総合的に判断すると互いに相紛らわしい類似の商標である。
(3)本件商標と引用商標2との類似性について
引用商標2は、扇の図形に左から斜め右上がりの白線が6本描かれた図形と「WORLD ATHLETICS」の文字からなる商標である。
扇の図形は文字とは分離して把握できるものであるため、図形部分と文字部分が、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そこで、本件商標と引用商標2の図形部分の外観を対比すると、両商標とも扇の形であるという共通点がある。
確かに、本件商標は白に黒枠の扇であるのに対し、引用商標2の図形部分は黒の扇に6本の白線が描かれている点及び本件商標は扇の下部分が弧を描いているのに対し、引用商標2の図形部分は山型になっている点に違いがある。
しかし、両者の共通点である扇形の図形は、商品の取引者、需要者が着目する図形の全体的構成に関わる部分であり、図形全体として看者に共通した印象を与えるものであり、識別力の強い特徴的部分である。
他方、両者の上記差異点は外観上の差異として強い印象を与えるとはいえず、各商標の全体として受ける類似の印象を凌駕するほどの特徴とはいえない。
そうすると、両者は、外観において互いに相紛れるおそれがあるといえる。
また、本件商標と引用商標2の図形部分からは、いずれも「オウギ」の称呼及び「扇」の観念が生じる。
したがって、本件商標と引用商標2は、称呼・外観・観念を総合的に判断すると互いに相紛らわしい類似の商標である。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、陸上競技の規則を整備し、世界記録の公認をするなど、世界的な陸上競技大会の運営を行うほか、各国の陸上競技団体を統括する権威を持つ団体であり(甲5)、旧名称は国際陸上競技連盟であり、我が国においては「世界陸連」として認知されている著名団体である(甲6)。
申立人は、引用標章をハウスマークとして使用しており、本件商標を指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、申立人の業務に係る商品、又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同する蓋然性が極めて高い。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、その業務の一内容として、公式競技シューズの認定を行っている。
この公式競技シューズは申立人が求める厳しい品質基準を満たす製品のみが認定の対象となり、認定を受けた製品は承認シューズリストに掲載される(甲7)。
公式競技シューズの認定を受けることは、高い技術と商品力の証明ともなり、認定によってスポーツシューズメーカーは高い宣伝効果を得ることになる。
したがって、申立人のハウスマークである引用標章と類似する商標が指定商品に付された場合、当該商品が申立人により何らかの公式認定を受けた商品であるとの誤解が需要者及び取引者に生じるおそれがある。
この点は、申立人のみならず、自社製品について申立人の認定をうけた世界各国の企業にとっても懸念される事項である。
このような商標が登録されることは、国際信義にも反するものといわざるを得ず、本件商標は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。
第3 当審における取消理由
当審において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)に対し、別掲5のとおりの事実を提示した上で、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである旨の取消理由を令和5年11月2日付けで通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。
第4 商標権者の意見
上記第3の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
1 本件商標の商標法第3条第1項第5号該当性について
本件商標は、別掲1のとおり、扇の形状を輪郭線で表したもの(以下「扇図形」という。)であるところ、扇図形は、線の太さに若干の広狭があるものの、これは、扇の形状を輪郭線で表したにすぎないものであり、輪郭図形、背景図形、標章の輪郭や枠を表示する場合に、普通に採択される図形である。
そして、別掲5のとおり、扇図形は、実際に、輪郭図形、背景図形、標章の輪郭や枠を表すものとして、一般に使用されている事実がある。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、ありふれた扇の形状を輪郭線で表したものと認識するにとどまり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものであるから、自他商品の識別標識とは認識しないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その商標登録を取り消すべきものである。
なお、申立人が主張する、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同第15号に該当するとの理由を挙げているところ、上記のとおり、本件商標は、同法第3条第1項第5号に該当するというのが相当であるから、同法第43条の9第1項により、上記条項を適用すべきものとした。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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