商標異議申立
2022-900481
フレキシブルジョイント、フレキシブル、ジョイント
- 審判番号
- 2022-900481
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-023704
- 登録番号
- 6616067
- 請求日
- 2022年11月25日
- 審決日
- 2023年10月10日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】旭化成ホームズ株式会社
- 【異議申立人】水野 圭助
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 浦崎 直之
- 分類
- T1652.13 -Z (W0619) / T1652.272-Z (W0619)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第1号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6616067号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6616067号商標の指定商品及び指定役務中、第6類「全指定商品」及び第19類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6616067号商標(以下「本件商標」という。)は、「フレキシブルジョイント」の文字を標準文字で表してなり、令和4年3月2日に登録出願、同年9月1日に登録査定され、第6類、第19類、第36類、第37類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月16日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第6類「全指定商品」及び第19類「全指定商品」(以下「申立商品」という。)について、商標法第3条第1項第1号、同項第3号及び同項第6号並びに同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
なお、以下、甲各号証の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように表示する。
1 商標法第3条第1項第1号について
フレキシブルジョイントとは、製造現場のさまざまな環境に応じて柔軟な使い方ができる継ぎ手の総称である(甲2)。その使用は、例えば、配管同士のつなぎ合わせを簡単にする、配管の熱膨張を吸収する、地震や機械振動などの外部からの振動・圧力を吸収するほか、設備、機械、配管などで発生する伸縮や偏心、運動などにともなって発生するエネルギーをうまく散らす、柱と柱、梁と梁などを部材の長さ方向に結合するなど、対象物の保全や作業性などを向上させることを目的としている。なお、使用用途や場所によって、金属やゴム、樹脂などの素材が使い分けられる(甲27、甲28)。
建築設備の分野においても、フレキシブルジョイントは、自在に変形可能な接続部材として、主に手すりなどに用いられている。フレキシブルジョイントを接続部材に用いることで、接続する手すりの角度を自由に可変する。
具体的には、通常、階段や廊下では、曲がり角の形状にあわせて手すりを設ける必要があるが、2つの壁面が出会うへこんだ部分(入隅)や出っ張った部分(出隅)では、手すり棒をその角度に則して設置しなければならない。その際に手すりを0゜から90゜の間で自由な角度に曲げるための接続部材(ジョイント)として「フレキシブルジョイント」の名称が一般に使用されている。フレキシブルジョイントを使うことで、手すりを固定し、接続し、様々なカーブに対応して連続した手すりの実現を可能にする。なお、フレキシブルジョイント自体も自在に角度を変えられるような構造になっている。
このような部材の名称は、建築設備を担う業界各社が使用を希求するもので、各社のパンフレットでは、まさに建築用部材として「フレキシブルジョイント」のラインナップが、「ブラケット」、「ジョイント」、「エンドブラケット」、「エンドエルボ」、「エンドキャップ」、「エンドベース」などの他の部材と同列に訴求されている。
業界各社のパンフレットにおいてフレキシブルジョイントが紹介されている例から、フレキシブルジョイントが接続部材の普通名称として掲載されていることがわかる。
上記のように、フレキシブルジョイントが、階段や廊下の曲がり部の入隅や出隅において手すりを自由な角度に曲げるための接続部材の名称として広く使用されている事実があり、また、多くの企業が「フレキシブルジョイント」なる名称の使用を欲する現実がある。
ところで、判決によれば、商標法第3条第1項第1号に規定する普通名称とは、「商品についていえば、指定商品の属する特定の業界において当該商品の一般的名称であると認識されているに至っているもの」と示されているところ(東京高裁平成13年(行ケ)第249号及び同14年(行ケ)第434号参照)、「フレキシブルジョイント」が接続部材の一種を表す普通名称であるというためには、取引界においてその商品の一般的な名称と認められていることが必要であり、商品自体の名称として普及して使用されている事実が認められることが必要と思料する。
ここで、「フレキシブルジョイント」という文字が、LIXIL、TOTO、パナソニック、大建工業といった我が国でも有数の大手建築設備会社のカタログやウェブサイトでは、通常は一般的な名称を記載する表題部、品名欄、仕様書、価格表、説明図中、注意書き部、備考欄等に記載されていて、特定企業の固有商品を示すものとしては記載されていない。このような「フレキシブルジョイント」の語の使用状況からみると、「フレキシブルジョイント」という語は、特定企業の商品を示す出所標識として用いられてはおらず、むしろ、業界において、複数の業者が製造している手すり用の接続部材を表す一般的な名称として用いられており、商品自体の名称として普及して使用されているとみるのが相当である。一方、出所標識として使用されているのは、例えば、「LIXIL」「Interio」「TOTO」「Panasonic」「VERITIS」「PRAIRIE HOMES」「YASUDA INTERIOR SUPPLY」「EIDAI」「SkismT」「マルボ21」「DAIKEN」「株式会社シロクマ」「nakao」等であることは言うまでもない。
このように、多くの企業が「フレキシブルジョイント」の名称の使用を欲する現状においては、何人もその名称を使用する安全性が確保されるべきであるところ、本件商標の登録を維持することは、特定人によるその独占使用を認めることを意味し、取引秩序を乱し、あわせて、産業の発達及び需要者の利益をも阻害する。
よって、「フレキシブルジョイント」という標章は、複数の当業者によって、遅くとも本件商標の登録査定時において、特定の接続部材を表す普通名称として使用され、取引者、需要者間に広く認識されていたものといえる。すると、「フレキシブルジョイント」の標準文字よりなる本件商標は、「建築用又は構築用の接続部材(ジョイント)」を始めとする本件指定商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといわざるを得ない。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当するものと思料する。
2 商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、審査の過程において、「その構成全体から「柔軟性のある継手」ほどの意味合いを容易に理解させ、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「フレキシブルジョイント」の文字が上記意味合いで商品の品質を表示する語として使用されている実情がある」として、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に基づく拒絶理由通知が発行されている。これに対し、出願人は、第6類「金属製管継ぎ手」を削除する補正をおこなって、本件商標は登録に至っている。
しかし、本件商標は、当該拒絶理由通知の中で引用された「金属製管継ぎ手」に関する使用だけでなく、上述のように、多くの企業により、建築部材の一種を表す名称として広く使用されているのが実情である。
ここで、ジョイントとは、一般に“つなぎめ、あわせめ、継手”を表す言葉であるところ(甲29)、本件商標の指定商品の分野においてジョイントの種類は様々で、例えば、「T型ジョイント」は、“主にH型手すりを構成する際に縦方向と横方向の手すり棒を繋ぐもの”を指し(甲23)、「ストレートジョイント」は、“手すりを直線上でつぎ足すことができる部材”を指す(甲21)。「フレキシブルジョイント」についても、各社カタログではこれらと同列に並べられており、“連続手すりを構成する際に曲げ部に取付けるもの”を指す。しかも、フレキシブルジョイントの角度は自在に変更可能であることから、「フレキシブル」な「ジョイント」として需要者に想起させることは想像に難くない。
すると、「フレキシブルジョイント」は、自在の角度に接続する部材といったほどの意味合いで一般に認識されているとみることができ、本件商標は、審査の過程で削除された「金属製管継ぎ手」のみならず、第6類の指定商品「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット,金属製フランジ,金属製金具」及び第19類の「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,木材」に使用しても、単に商品の品質、効能、用途、使用の方法を普通に用いられる方法で表示するものである。
すなわち、本件商標は、指定商品との関係で、その商品の品質、効能、用途、使用の方法その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであり、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くものと思料する。そして、その状態は、本件商標の出願時・査定時において、本件商標の指定商品の取引者及び需要者によって本件商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものである。
以上より、「フレキシブルジョイント」の文字を標準文字で表してなる本件商標をその指定商品に使用しても、その構成文字から生じる意味合い、並びに、当該商品分野における取引の実情、すなわち、「フレキシブルジョイント」の名のもとで取引される接続部材が実際に存在することを踏まえれば、これに接する取引者、需要者は、その商品が「自在に変形可能な接続部材」であるという商品の品質を記述表示したものとして認識するにとどまり、本件商標を自他商品の識別標識としては認識し得ないものとみるのが相当である。よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
3 商標法第3条第1項第6号について
本件商標が、仮に商標法第3条第1項第1号及び第3号に該当しなくとも、「フレキシブルジョイント」という文字が、多くの同業他社により現実に同時進行的に使用されている状況を鑑みれば、本件商標をその指定商品に使用しても自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、これに接する取引者及び需要者は、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとみるのが相当である。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものと思料する。
4 商標法第4条第1項第16号について
また、本件商標は普通名称に当たるところ、本件商標を前記商品(第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット,金属製フランジ,金属製金具」及び第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,木材」)以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものと思料する。
第3 当審における取消理由
当審において、商標権者に対し、別掲2に係る証拠を示した上で、「「フレキシブルジョイント」の文字からなる本件商標は、全体として「柔軟性のあるつなぎめ・あわせめ・継手」の意味合いを容易に理解させるものであり、本件商標をその指定商品中、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製フランジ,金属製金具」及び第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,木材」に使用するときは、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと認識されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨の取消理由を令和5年7月26日付けで通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。
第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「フレキシブルジョイント」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲2の1に示すとおり、その構成中の「フレキシブル」の文字は「柔軟性のあるさま。」の意味を、「ジョイント」の文字は「つなぎめ。あわせめ。継手。」の意味を有する語としてそれぞれ一般に知られているものであって、本件商標の構成文字全体として「柔軟性のあるつなぎめ・あわせめ・継手」の意味合いを容易に理解させるものである。
そして、別掲2の2に示すとおり、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、本件商標の登録査定時前から、商品の取引において、「フレキシブルジョイント」の文字が、「柔軟性のある継手、自在に変形可能な接続部材」の意味合いで一般に使用されている実情にある。
そうすると、本件商標を、申立商品中、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製フランジ,金属製金具」及び第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,木材」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「柔軟性のある管継手のための金属製フランジ・金属製金具,柔軟性のある継手又は自在に変形可能な接続部材等の建築用又は構築用の商品」であること、すなわち商品の品質を表示したものと理解するにとどまるとみるのが相当であり、本件商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記商品以外の申立商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するというのが相当である。
2 むすび
以上により、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第6類「全指定商品」及び第19類「全指定商品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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