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商標異議申立

2022-900473

ミウイ、ミーユーアイ、エムアイユウアイ

審判番号
2022-900473
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-137157
登録番号
6629973
請求日
2022年11月15日
審決日
2023年12月12日
公報発行日
2024年02月22日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】寧波誠予進出口有限公司
  • 【権利者代理人】中澤 昭彦
  • 【異議申立人】小米科技有限責任公司
  • 【異議申立人代理人】杉村 憲司
  • 【異議申立人代理人】杉村 光嗣
  • 【異議申立人代理人】門田 尚也
  • 【異議申立人代理人】長嶺 晴佳
審判長/審判官
  • 審判長 冨澤 武志
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.22 -Y (W22) / T1651.271-Y (W22) / T1651.222-Y (W22)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6629973号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6629973号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6629973号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「MIUI」の欧文字を書してなり、令和3年11月3日に登録出願、第22類「洗濯物を一時保管する袋,テント,ロープ,絹繊維,ハンモック,瓶用わら包み,雨覆い,包装用詰物材料(ゴム製のもの・プラスチック製のもの・紙製のもの又は厚紙製のものを除く。),合成繊維製オーニング,包装用又は結束用のバンド(金属製のものを除く。),織物製包装用袋,アイダーダウン,漁網,瓶用わら製包装材料,ダストシート,網,カモフラージュ用覆い,寝具用羽毛」を指定商品として、同4年7月6日に登録査定、同年10月20日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、引用する商標は、以下のア及びイの登録商標(以下、まとめて「引用商標」という。)並びに申立人の業務に係る商品「スマートフォン」(以下「申立人商品」という。)について使用され、需要者の間に広く認識されているとする、別掲2のとおりの「MIUI」の欧文字からなる標章(以下「申立人商標」という。)である。 なお、引用商標の商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 ア 国際登録第1142043号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲3のとおり「MIUI」の欧文字を書してなり、2011年12月1日にChinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2012年5月31日に国際商標登録出願、第9類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(別掲4)を指定商品及び指定役務として、平成26年12月19日に設定登録されたものである。 イ 国際登録第1388677号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲5のとおりの構成よりなり、2017年2月27日にChinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、同年6月23日に国際商標登録出願、第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品(別掲6)を指定商品として、平成30年12月21日に設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、証拠の表記にあたっては、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載し、枝番号を全て記載するときは、枝番号を省略して記載する。 (1)申立人について ア 申立人の歴史 申立人は、2010年4月に中国でスマートフォンメーカーとして創業した。2011年に、Androidベースのスマートフォン「MI-One(小米手機)」を発売。翌年の2012年には、「MI-2(小米手機2)」を発売。設立後わずか4年後の2014年には、サムスン(Samsung)・アップル(Apple)・ファーウェイ(Huawei)を抜き、中国のスマートフォン市場において、出荷台数シェアでトップとなる。 申立人は、創業当初、マーケティング戦略として、あえて1機種のみ発売し、それを大量生産することでハイエンドながら価格を抑えるという方法を取った。申立人は、しばしば「中国のApple」と称されることがあるが、これは、通信キャリア主体ではなく自社サイト主体の販売方式を採用したり、デザイン性の高いハイスペック端末を単一機種のみで販売したり、オンラインコミュニティを重視するなど、創業当初は、Appleのマーケティング戦略に徹底的に倣ってトップ企業に上り詰めたことによる。 また、創業者の雷軍も「中国のジョブズ」と称されるなど、「ユーザーが中心」を信条としており、「米粉」(ミーファン)と呼ばれるファンクラブを組織し、オンラインコミュニティのほか、リアルでも定期的にユーザーイベントなどを行っている。雷軍は米粉の間で「米神」と呼ばれてカリスマ的な人気を持つ(甲5~甲7)。 中国で出荷台数シェアトップとなってからは、新興スマートフォンメーカーの台頭等もあり、中国国内でのシェアは下がったものの、その後、インドやヨーロッパ等新たな市場への進出が成功し、2021年7月に発表された大手調査会社による世界のスマートフォン出荷台数シェアでは、初のシェア第2位を記録している(甲8)。 さらに、スマートフォンのみならず、2016年頃からは、スマートフォンと連動したスマート家電の製造・販売に進出するなど事業の多角化に取り組んでおり、近年は総合家電メーカーとしても存在感を増している。特にウェアラブル端末は世界で高いシェアを占めており、ウェアラブルバンド市場全体では、Appleに次いで出荷台数世界第2位を誇っている(甲6、甲7)。 その他にも、ワイヤレスイヤホンやタブレット・ノートパソコン等の情報機器及びその周辺アクセサリーの他、空気清浄機・加湿器・照明機器・クリーナー・体組成計等さまざまなスマート家電を製造・販売し、多角的に事業を展開している(甲9)。 2019年には、フォーチュン誌が毎年1回発表する、世界中の会社を対象とした総収益ランキングである「フォーチュン・グローバル500(Fortune Global500)」に、初めてランキング入りを果たし、2021年は世界第338位にランキングされている。 我が国においては、2018年に東京都中央区に「小米日本合同会社」が設立され、2019年には申立人の日本公式Twitterアカウントが開設された。現在では主力のスマートフォンのほか、スマートバンドやスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンに加え、さまざまなスマート家電が購入可能となっている。 イ 申立人及び申立人ブランドの周知著名性について 申立人名称の漢字表記及び英語表記の略称は、それぞれ「小米」及び「Xiaomi」であり、これらに対応する片仮名表記は「シャオミ」である。「小米」は中国語であわなどの雑穀を意味する語であるが、申立人のビジネスの中核をなす「Mobile(モバイル)」と「Internet(インターネット)」の頭文字からなる「MI」と中国語の「米」の発音が同じであるところから「小米」と名付けられた。そして、「MI」の文字及びそのロゴは、申立人を表示するものとして、また、申立人の商品の名称の多くについて、商品の出所が申立人であること表示するものとして、使用されている(甲5~甲9)。 申立人は、2021年には、世界のスマートフォン出荷台数シェアで、初のシェア第2位を記録し、ウェアラブルバンド市場でも出荷台数世界第2位に位置するなど、インターネット・通信関連分野においては、既に世界のトップ企業の一つとなっている(甲6~甲8)。また、「フォーチュン・グローバル500(Fortune Global500)」には2019年に初めてランキング入りを果たして以来、毎年ランクインしており、2021年は世界第338位にランキングされている。つまり、インターネット・通信関連分野に限らず、他業種の企業を合わせても今や世界有数の企業である。 したがって、申立人の略称である「XIAOMI」又は「シャオミ」は、我が国及び外国において広く知られており、さらに、「MI」の文字及びそのロゴも、申立人及び申立人の商品を表示するものとして、我が国及び外国において広く認識されている。これは、申立人が行ってきた様々な宣伝広告活動からもうかがい知ることができる。 (ア)屋外広告 申立人は、2021年、申立人提供に係るハイエンドモデルのスマートフォン「11Tシリーズ」の発売を開始したが、その発売開始に合わせ、ブランドフレンドとして、モデル・俳優として活躍するK氏を起用し、大規模な宣伝広告活動を展開した(甲10)。その一環として、六本木の六本木ヒルズを始め、宿のラフォーレ原宿、秋葉原駅構内、品川駅構内、福岡天神駅構内、大阪道頓堀、札幌駅構内などの大都市エリアで、巨大な屋外広告を展開した。いずれも国内で有数の商業エリア、駅等であり、非常に多くの一般需要者が申立人の商標に接したことがうかがえる(甲11~甲17)。 (イ)電車広告 申立人は、2021年のスマートフォン「11Tシリーズ」の発売に合わせて、山手線の電車の車内において大規模な宣伝広告を展開した。山手線の利用者数は我が国トップであり、非常に多くの一般需要者が申立人の商標に接したことがうかがえる(甲18)。 (ウ)インターネット広告 申立人は、インターネットポータルサイト「YAHOO!JAPAN」において、スマートフォン「11Tシリーズ」の広告を掲載したほか(甲19)、電化製品やガジェットの話題を扱うテクノロジーブログである「engadget(エンガジェット日本版)」において、PR広告を掲載した(甲20)。 ウ 申立人商標「MIUI」について 申立人は、独自で開発した、スマートフォン及びタブレット端末向けのユーザーインターフェイス(UI)であり、AndroidOSに追加される機能でもあるファームウェアの名称に、「MIUI」(ミーユーアイ)を使用している。該「MIUI」の文字は、申立人を表示するものとして周知著名な「MI」に、「User Interface」(ユーザーインターフェイス)の略語である「UI」を組み合わせてなる(甲21~甲23)。 申立人は、スマートフォン出荷台数シェアにおいて世界第2位であり、申立人のスマートフォンは世界的に著名である。そして、申立人の著名なスマートフォンには、申立人独自のユーザーインターフェイス「MIUI」が必ず搭載されている。つまり、申立人の著名なスマートフォンを使用したり、それに接した者は、必然的にそのユーザーインターフェイスである「MIUI」に触れることとなるので、申立人商標「MIUI」は、「XIAOMI」や「MI」等その他の申立人の商標と同様に、取引者、需要者の間に広く認識されている商標である。 なお、我が国においても、2021年の発売開始前後における大々的な宣伝広告以来、申立人の主力商品であるスマートフォンは、継続的に様々なメディアで取り上げられており、そのユーザーインターフェイス「MIUI」自体についての紹介記事や解説記事等も多数存在する(甲24~甲26) 以上のとおり、申立人は、世界的に名の知れた、世界でも有数のトップ企業であり、また、広範な宣伝広告活動を積極的に行うなど、たゆまぬ営業努力を続けてきた。その結果、申立人の略称である「XIAOMI」やそのロゴ「MI」のみならず、申立人の主力製品であるスマートフォンに搭載されるユーザーインターフェイスの名称「MIUI」も、商品の出所が申立人であることを表示するものとして、本件商標の登録出願前から、我が国及び外国で広く認識されていた。 なお、申立人は、我が国において、商標「MIUI」について、商標権を有し、現在においても有効に存続している(甲3、甲4)。 以上の商標登録の事実から、申立人が、既に2011年には、商標「MIUI」について適切な権利保護を担保するために、取り得る予備的、予防的な対策を講じていたことが分かる。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 混同を生ずるおそれの有無についての判断基準 商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」の「混同を生ずるおそれ」の有無は、出願商標とその他人の標章との類似性の程度、その他人の標章の周知度、その他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか、その他人の標章がハウスマークであるか、企業における多角経営の可能性、商品間、役務間又は商品と役務間の関連性、商品等の需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべき(商標審査基準)である。 イ 商標法第4条第1項第15号該当性についての検討 (ア)本件商標と申立人商標との類似性の程度について 本件商標は、「MIUI」の欧文字からなり、構成文字である4文字が、縦線を基調として整然と並び、上下の高さが4文字の間で一直線に等しく、語頭の「M」の文字の中央の凹部が、文字の一番下まで下がりきっていない点において特徴を有する。 一方、申立人商標も、本件商標と同様に、「MIUI」の欧文字からなり、構成文字である4文字が、縦線を基調として整然と並び、上下の高さが4文字の間で一直線に等しく、語頭の「M」の文字の中央の凹部が、文字の一番下まで下がりきっていない点において顕著な特徴を有しているといえ、本件商標と、申立商標とは、構成文字が同一、その態様も非常に近似したものであり、実質的に同一といえるほどに極めて近似している。 (イ)申立人商標の周知度について 申立人は、スマートフォン出荷台数シェアにおいて世界第2位であり、申立人のスマートフォンは世界的に著名である。そして、申立人の著名なスマートフォンには、申立人独自のユーザーインターフェイス「MIUI」が必ず搭載されており、申立人商標は、その他の申立人の商標「XIAOMI」や「MI」等と同様に、本件商標の登録出願前から、我が国及び外国で広く認識されている商標である。 (ウ)申立人商標の独創性等について 申立人商標「MIUI」の文字は、申立人を表示するものとして周知著名な「MI」に、「User Interface」(ユーザーインターフェイス)の略語である「UI」を組み合わせてなる造語であるから、申立人商標は、既成語ではなく、独創性が非常に高い。 (エ)申立人における多角経営の可能性 申立人は、創業時の主力製品であるスマートフォンだけでなく、2016年頃からは、スマートフォンと連動したスマート家電の製造・販売に進出するなど事業の多角化に積極的に取り組んでおり、近年は総合家電メーカーとして存在感が増しているから、現に経営の多角化が相当程度進んでいる。 (オ)商品間の関連性、商品等の需要者の共通性について 申立人のコアとなる事業分野は、スマートフォンを始めとするインターネット・通信分野であるが、今やスマートフォンは、我が国においては誰もが所有しているといえるくらいにあまねく普及しているから、スマートフォンの需要者は、年齢、性別、職種等を問わず、あらゆる分野の広範な一般消費者であり、その中には、本件商標に係る取引者、需要者も当然に含まれている。申立人商標に係る商品は、「スマートフォン用ユーザーインターフェイス」(つまり、スマートフォンを操作する際の操作画面、機能に関わるもの)であり、スマートフォンの需要者は、当然に、そのスマートフォンに搭載されたユーザーインターフェイスの需要者ということになる。 したがって、本件商標の指定商品の需要者と申立人商標に係るスマートフォン(すなわち、スマートフォンのユーザーインターフェイス)の需要者とは、相当程度共通するといえる。このように、ある商品・役務の需要者が、年齢、性別、職種等を問わず、あらゆる分野の広範な一般消費者であると想定される場合、ある特定の分野のみに係る取引者、需要者もその一般消費者の一部に含まれていると考え得ることは、過去の裁判例で認められている(東京高裁平成14年(行ケ)第285号同15年5月21日判決。甲27)。 (カ)取引の実情について 本件商標の出願人は、本件商標を使用して、ミキサーやジューサー、コーヒーメーカー、空気清浄機、クリーナーなどを販売しており(甲28)、これらの商品のうち、空気清浄機やクリーナーなどは、申立人も実際に販売をしているものである。さらに、ウェブページ(甲28)では、オレンジ色の四角形の中に、白抜きで表示してあるが、これは、申立人の著名な「MI」ロゴに、構成文字自体は異なるものの、カラーリングその他表示態様において酷似する。 両者は、実際の表示態様が酷似しているうえ、本件商標の構成文字「MIUI」は、申立人の著名なスマートフォンに使用するユーザーインターフェイスの名称である。このような事情に鑑みれば、実際に使用されている本件商標に接した需要者が、これに係る商品の出所について誤認混同するおそれを十分に推測できる。 ウ 小括 以上をまとめると、本件商標と申立人商標とは、いずれも文字「MIUI」からなり、その表示態様も非常に近似するものである。 また、申立人商標は、申立人の著名なスマートフォンに搭載されるユーザーインターフェイスであり、申立人のスマートフォンと同様に、取引者、需要者の間で広く認識されている。 さらに、申立人商標は、既成語ではなく、申立人を表示するものとして周知著名な「MI」に、「User Interface」(ユーザーインターフェイス)の略語である「UI」を組み合わせた造語である。 加えて、申立人は、積極的に事業の多角化に取り組んでおり、近年は総合家電メーカーとしての存在感を増しているところ、実際に、空気清浄機やクリーナーなどの商品を販売しており、これらの商品は、本件商標出願人(以下「本件商標権者」という。)も製造・販売している事実が認められる。 また、申立人商標が使用されるスマートフォンの需要者は、年齢、性別、職種等を問わず、あらゆる分野の広範な一般消費者であり、その中には、本件商標に係る取引者、需要者も当然に含まれる。 取引の実情という観点から、本件商標の実際の使用態様をみると、その表示態様は、申立人の著名な「MI」ロゴの表示態様に酷似している。 以上の点を、本件商標及び申立人商標の需要者である一般需要者が普通に払う注意力を基準として総合的に考慮した場合、出所の混同を生ずるおそれを有する。 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号について ア 申立人商標の外国における周知著名性について 世界のトップ企業である申立人及び申立人ブランドは、世界中で広く認識されている。具体的には、2021年には、スマートフォン出荷台数シェアで世界第2位を記録しており、ウェアラブルバンド市場でも、出荷台数世界第2位に位置している(甲5~甲7)。 また、世界最大の人口を誇る中国においては、Appleを抜いて中国市場トップ3のシェアを有しており、人口第2位のインドでは、2017年に、サムスン電子を抜いてシェアトップとなっている(甲5)。 したがって、申立人のスマートフォンは、本件商標の登録出願前から世界的に周知著名であった。そして、申立人の周知著名なスマートフォンには、申立人の「MIUI」ユーザーインターフェイスが必ず搭載されていることに鑑みると、申立人商標「MIUI」が、本件商標の登録出願前には、我が国のみならず、本件商標権者が拠点とする中国を始めインドなど世界的に周知著名であったことは明白である。 イ 本件商標権者の不正の目的について 本件商標権者は、申立人と同じく本拠を中国に置く企業であり、本件商標の出願前より、申立人及びその周知著名なスマートフォン並びにそれに搭載されるユーザーインターフェイス「MIUI」を知しつしていたことは明らかである。 そして、申立人商標「MIUI」は、特段の意味を有さない造語である。 さらに、取引の実際において、本件商標は、申立人の著名な「MI」ロゴのカラーリング、使用態様を意図的に模した態様で使用されている。 本件商標権者が、申立人の造語である周知著名商標「MIUI」と同一の商標を偶然に想起、選択し、商標登録出願を行い、偶然、申立人の著名な「MI」ロゴと混同を生じるほどに近似する使用態様で使用しているとは考え難く、本件商標出願人は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して、本件商標を取得したことは明らかであって、不正の目的をもって使用をするものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第7号について 申立人商標「MIUI」は、本件商標の登録出願前から周知著名であり、本件商標は、申立人の造語である該商標「MIUI」と構成文字を同一にし、フォントも酷似しており、実質的に同一の商標というべきものであり、本件商標は、申立人の著名な「MI」ロゴと極めて近似する態様で実際に使用されている。 以上に鑑みれば、本件商標権者が、本件商標を不正の目的をもって使用し、申立人商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図があると推認することは至極妥当である。このような行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するし、また、このような商標の登録を認めることは、商標法の予定する秩序に反するものであり、本件商標の出願の経緯は、社会的妥当性を欠く。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)申立人商標の周知性について ア 申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、2010年に設立されたスマートフォンなどを製造、販売する家電メーカーであり(甲5)、「リカテック」のウェブサイト(2020年7月11日付け)において、「Xiaomi(シャオミ)は、・・・設立からわずか数年で、サムスン・Apple・Huaweiなどを抑えて中国国内でのスマホシェアトップの座に」(甲6)、「ITmediaMobile」のウェブサイト(2021年8月23日付け)において「2021年第2四半期の世界のスマートフォン出荷シェアでXiaomiが初の2位に躍り出た。また、中国でも3位に浮上している。」(甲8)の記載がある。 (イ)我が国では、「Wikipedia」のウェブサイトにおいて、申立人の紹介として、「日本での展開」の見出しの下、「2017年4月3日、TJC株式会社が日本での正規代理店となったと発表。同年6月16日、TJCはモバイルバッテリーとステレオイヤホンのオンライン販売を開始した。」及び2020年6月2日に、SIMフリースマートフォンを発表した旨の記載がある(甲5)。 (ウ)TJC株式会社及び他人の複数のウェブサイトにおいて、「Xiaomi Mi3」、「Xiaomi 11T Series」など、申立人の略称である「Xiaomi」を冠した申立人商品が紹介され(甲7、甲10、甲19、甲20)、申立人商品は、屋外広告として,東京の六本木、原宿、大阪の商業施設や複数の駅構内における広告(甲10~甲17)、山手線内における電車内広告(甲18)による広告宣伝が行われている。 (エ)申立人及び他人の複数のウェブサイトにおいて、「MIUI」の文字は、申立人商品に搭載されるユーザーインターフェースの名称として紹介・解説されている(甲21~甲26)。 イ 判断 上記アによれば、申立人は、スマートフォンなどを製造、販売する家電メーカーであり、2021年に市場シェアで世界第2位のスマートフォンメーカーとなったこと、複数のウェブサイトにおいて、申立人の略称である「Xiaomi」を冠したスマートフォンが紹介されていること、我が国において、2020年6月2日に、SIMフリースマートフォンを発表し、商業施設、駅などの屋外広告及び電車内などの広告等、申立人の略称である「Xiaomi」を冠したスマートフォンの広告宣伝が行われたこと等を併せ考慮すれば、申立人及び申立人商品は、スマートフォンの分野における需要者の間に一定程度認識されていたといえる。 しかしながら、提出された証拠から、申立人商標が、申立人商品に搭載されるユーザーインターフェースの名称として使用されていることがうかがえるとしても、我が国における申立人商品の売上高や市場占有率等の量的規模を示す客観的な証拠、引用商標及び申立人商標が使用された申立人商品の宣伝広告の時期、期間、回数及び宣伝広告費等に係る証拠が確認できないことから、引用商標及び申立人商標の使用状況を把握することができず、引用商標及び申立人商標の周知性の程度を推し量ることができない。 その他、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標及び申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間で広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。 したがって、引用商標及び申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 本件商標と引用商標及び申立人商標の類似性の程度について (ア)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、「MIUI」の欧文字を書してなるところ、当該文字は、一般的な辞書に載録がなく、本件商標の指定商品との関係において、特定の意味合いを表す語として一般に使用されているような特別な事情はないことから、特定の意味を有しない一種の造語とみるのが相当である。 そして、我が国においては、特定の意味合いを有しない欧文字からなる商標は、英語読み風又はローマ字読み風に称呼されるのが一般的といえるから、本件商標は、その構成文字に相応して「ミウイ」の称呼が生じ、特定の観念を生じない。 (イ)引用商標及び申立人商標 引用商標1及び申立人商標は、それぞれ別掲2及び別掲3のとおり、「MIUI」の欧文字を書してなり、引用商標2は、別掲5のとおり、黒色の長方形内に白抜きの「MIUI」の欧文字を配してなるところ、引用商標及び申立人商標は、本件商標とつづりを共通にするものであるから、上記(ア)と同様に、その構成文字に相応して「ミウイ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。 (ウ)本件商標と引用商標及び申立人商標との類否について 本件商標と引用商標及び申立人商標とは、外観において、「MIUI」のつづりを共通にするから、両商標は近似した印象を与えるものであり、また、称呼において、両商標から生じる「ミウイ」の称呼を共通にし、さらに、観念において、両商標は、いずれも特定の観念が生じないから、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標及び申立人商標とは、観念において、比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれがある類似の商標というべきであるから、両商標の類似性の程度は高いといえる。 イ 引用商標及び申立人商標がハウスマークであるか及び独創性について 引用商標及び申立人商標はハウスマークではなく、上記アのとおり、引用商標及び申立人商標は、特定の意味を有しない一種の造語であるから、独創性の程度は高いといえる。 ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務並びに申立人商品との関連性及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、覆いや包装材料関連商品であるところ、引用商標の指定商品及び指定役務並びに申立人商品であるコンピュータ関連商品及び役務並びにスマートフォンとは、商品の製造部門、販売部門、原材料、用途、役務の提供場所等が全く異なることから、商品及び役務の関連性は高いとはいえず、需要者について、一部の商品及び役務の需要者を共通にする場合があるとしても、全ての商品及び役務の需要者の範囲が必ずしも一致するとはいえない。 エ 出所の混同のおそれについて 上記アないしウのとおり、本件商標と引用商標及び申立人商標の類似性の程度及び独創性の程度が高いとしても、上記(1)のとおり、引用商標及び申立人商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものであり、引用商標及び申立人商標はハウスマークではなく、商品及び役務の関連性は高いとはいえず、需要者の範囲が必ずしも一致するとはいえない。 そうすると、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、引用商標及び申立人商標を連想、想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはないから、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(2)のとおり、本件商標と引用商標及び申立人商標の類似性の程度が高いとしても、上記(1)のとおり、引用商標及び申立人商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものであるから、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。 また、本件商標の使用態様などを考慮したとしても、申立人の提出した証拠からは、本件商標権者が我が国及び外国において不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実を見いだせない。 そうすると、本件商標は、引用商標及び申立人商標の周知性へのフリーライドの意図を有し、引用商標及び申立人商標が我が国において登録されていないことを奇貨として、その参入を阻害する等、不正の目的をもって使用されるものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標及び申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。 また、本件商標は、引用商標及び申立人商標の持つ顧客吸引力にフリーライド、不正の目的をもって使用するものでもない。 さらに、本件商標は、その構成自体が非道得的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではく、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900473

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