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商標異議申立

2022-900456

トムトミー、トム、テイオオエム、トミー

審判番号
2022-900456
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-010028
登録番号
6604265
請求日
2022年10月31日
審決日
2024年03月29日
公報発行日
2024年12月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】李稷
  • 【異議申立人】トミー ヒルフィガー ライセンシング ベー. フェー.
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人小笠原特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 冨澤 武志
  • 審判官 豊田 純一
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.261-Y (W1825) / T1651.262-Y (W1825) / T1651.263-Y (W1825) / T1651.271-Y (W1825)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第12条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6604265号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6604265号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6604265号商標(以下「本件商標」という。)は、「TOMTOMMY」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年1月30日に登録出願、第18類「肩掛けかばん, トートバッグ,財布,リュックサック,手提げかばん,アルペンストック,旅行用トランク,スポーツバッグ,未加工又は半加工の革,洋傘」及び第25類「下着,乳幼児用バンツ(下着),スカーフ,ミトン,ベルト,コンビネーション,靴及び運動用特殊靴,帽子,外衣,ソックス」を指定商品として、同年7月29日に登録査定、同年8月23日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4434376号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TOMMY」の欧文字を横書きしてなり、平成11年4月20日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同12年11月24日に設定登録されたものである。 (2)登録第4702419号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TOMMY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年11月7日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同15年8月22日に設定登録されたものである。 なお、以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていう場合は「11号引用商標」という。 2 申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録商標は、11号引用商標及び以下の(1)ないし(8)のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。 (1)登録第2187365号商標(以下「引用商標3」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年2月2日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年11月28日に設定登録され、その後、同22年1月6日に、指定商品を第8類「ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」、第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ポタン類,造花(「造花の花輪」を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (2)登録第2357619号商標(以下「引用商標4」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年2月2日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年12月25日に設定登録され、その後、同14年10月30日に、指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第25類「履物」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (3)登録第2607371号商標(以下「引用商標5」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年11月10日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年12月24日に設定登録され、その後、同15年8月20日に、指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (4)登録第5377248号商標(以下「引用商標6」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年9月28日に防護標章登録出願された商願2009-73517号に係る商標法第12条第1項の規定による商標登録出願(変更出願)として、同22年7月28日に登録出願、第24類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品(別掲1)を指定商品として、同22年12月17日に設定登録されたものである。 (5)登録第5792578号商標(以下「引用商標7」という。)は、「Tommy Hilfiger」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年5月1日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載の役務(別掲2)を指定役務として、同27年9月11日に設定登録されたものである。 (6)登録第6591277号商標(以下「引用商標8」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、令和4年3月31日に登録出願、第9類、第14類、第24類、第25類,第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務(別掲3)を指定商品及び指定役務として、同年7月22日に設定登録されたものである。 (7)国際登録第1243929号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、2014年4月28日に国際商標登録出願、第3類、第9類、第14類、第18類、第24類、第25類、第35類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(別掲5)を指定商品及び指定役務として、平成28年8月12日に設定登録されたものである。 (8)国際登録第1270616号商標(以下「引用商標10」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、2015年7月29日に国際商標登録出願、第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務(別掲6)を指定役務として、平成28年10月14日に設定登録されたものである。 なお、以下、11号引用商標及び引用商標3ないし引用商標10をまとめていう場合は、「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して記載する場合があり、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、「TOMTOMMY」の文字を同一の書体、大きさで等間隔に横書きにしてなるところ、「TOM」及び「TOMMY」の文字は、どちらも男子の名「Thomas」の愛称を意味する(甲3)。 これらの両語を結合させてなる本件商標は、何か新たな観念を生じさせるというよりも、本件商標の指定商品の分野において「TOMMY」の文字が世界的ファッションブランド「トミーヒルフィガー」を表すものと認識されていることから、「TOMMY」の文字から「トミーヒルフィガーのトミー」ほどの観念が生じる。 称呼としては、「TOM」及び「TOMMY」の文字より、各々、「トム」、「トミー」の称呼が生ずる。 (2)引用商標について 11号引用商標は、「TOMMY」の文字を同一の書体、大きさで等間隔にまとまりよく書してなるところ、当該文字は、「トミー」の称呼が生じ、「トミー」は、ファッション関連分野において世界的なファッションブランド「トミーヒルフィガー」を表すものとして取引者・需要者に広く認識されていることから、「トミーヒルフィガーのトミー」ほどの観念が生じる。 引用商標9は、「TOMMY」及び「HILFIGER」の文字の間に赤・白・青の三色からなる横長長方形の図形を配した商標であり、該図形部分は、上下の青色の帯に挟まれた中間部分の左側を白色、右側を赤色で表した態様よりなる(以下、該図形を「フラッグロゴ」という。)。 引用商標9は、1985年にブランド「TOMMY HILFIGER」(以下、「トミーヒルフィガー」という。)が設立されて以来、継続して使用されているものであり、申立人の代表的商標として国内外において広く認識されている。 引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10は、「TOMMY HILFIGER」の文字を同一の書体、大きさの文字で横書きに表してなり、引用商標9と同様に、申立人の代表的商標として国内外において広く認識されている。 (3)本件商標と11号引用商標との類否について 本件商標は、「TOM」と「TOMMY」の文字を結合させてなるところ、結合商標の類否については、「法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである」(平成20年9月8日最高裁平成19年(行ヒ)第223号)と最高裁判決に示されている。 本件商標「TOMTOMMY」は、その構成中に「TOMMY」の文字を含むものであるところ、申立人の商標「TOMMY」は世界的ファッションブランド「トミーヒルフィガー」を表すものとして我が国のファッション関連の取引者、需要者に広く認識されるものである。 したがって、本件商標においては「TOMMY」の文字が、取引者、需要者に対して商品等の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、本件商標の構成中「TOMMY」の文字を抽出し、この部分だけを申立人の登録商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 本件商標の構成中の「TOMMY」の文字は、11号引用商標と同一の文字からなり、同一の称呼、観念が生ずる。 したがって、本件商標と11号引用商標とは、商品の出所について取引者・需要者に混同を生じさせるおそれのある類似の商標である。 過去の異議申立事件(甲4)を参照すると、本件商標の構成中、「TOMMY」の部分が、被服を含むファッション関連分野の分野において商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえるから、本件商標「TOMTOMMY」は11号引用商標と類似する。 以上より、本件商標と11号引用商標とは、両商標がその外観、称呼又は観念によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標である。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について 仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しない場合も、引用商標が世界的なファッションブランドであり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国のファッション関連分野の取引者、需要者に広く認識されていること、かつ、本件商標はその構成中に「TOMMY」の文字を含むものであり、ファッション関連商品について使用するものであることから、本件商標が本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)により、その指定商品について使用されると、申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であると出所の混同を生ずるおそれがあるというべきである。 ア 引用商標の周知性について 「トミーヒルフィガー」は、1985年にトミー・ヒルフィガー氏が米国ニューヨークにおいて創立したファッションブランドであり、創立以来、男性用、女性用、子供用被服の他、履物、かばん類など多岐にわたる商品について、「TOMMY HILFIGER」、「TOMMY」等の商標を使用している(甲5)。 1985年の広告キャンペーンにおいて、「アメリカの四大紳士服デザイナーは?」というクイズ形式の広告をニューヨークのタイムズスクエアに掲載した。 「ラルフ・ローレン、ペリー・エリス、カルバン・クライン」に続いて、「TOMMY HILFIGER」の回答欄とフラッグロゴが表示されている(甲6)。 1985年のこの広告によって、「トミーヒルフィガー」は一気にブランドの知名度を上げることに成功したといわれている。 「トミーヒルフィガー」は世界各地に店舗展開しており、2020年には、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など115か国以上において2,000店を超える店舗を有している(甲7)。 各地の店舗の店頭には、引用商標9が表示されている(甲8)。 2010年から2019年の「トミーヒルフィガー」の世界売上高は、2019年92億ドル、2018年85億ドル、2017年74億ドル、2016年66億ドル、2015年65億ドル、2014年67億ドル、2013年64億ドル、2012年60億ドル、2011年56億ドル、2010年46億ドル、2017年ないし2019年の世界売上高においてアジア太平洋地域の占める割合は11%である。 アジアは、今後、最も大きな成長が期待されている地域であり、我が国においても、商品、市場等への投資が実り、健全な成長を続けてきた(甲9)。 「トミーヒルフィガー」は、2019年は約2億米ドル、それ以前も年間約1億5,000万ないし1億7,000万米ドルの費用をかけて、国際的に大規模な宣伝広告を行っている(甲7、甲9、甲10)。 ニューヨーク・ファッション・ウィーク等の大規模なファッション・ショーや展示会にも参加・出展している(甲11)。 ブランドの創設者であるトミー・ヒルフィガー氏は、ファッション界における功績が認められ、2012年にアメリカファッションデザイン評議会からジェフリービーン生涯功労賞を受賞している(甲12)。 「トミーヒルフィガー」は、世界的に有名な調査会社であるミルウォード・ブラウンの最も価値の高いグローバルブランド調査において、2014年及び2015年に2年連続で10位に入賞し、世界で最も価値があり、最先端を行くブランドであるとの評価を受けている(甲13)。 また、「トミーヒルフィガー」はSNSを積極的に利用して情報発信したり、ECサイトを充実させたり、デジタル化への対応を推進しているが、この取組が高く評価されて、ガートナー社のデジタルIQインデックスのファッション分野において、有名ファッションブランドの中で、2016年に9位、2017年に14位、2018年に8位にランクされている(甲14)。 デステニーズ・チャイルド、ブリトニー・スピアーズ、ブルーノ・マーズ等の多くの人気アーティスト等がトミーヒルフィガーを公の場において着用しており、そのことが同ブランドの宣伝・広告にもなっている(甲15)。 また、トミーヒルフィガーは、ニック・ドハティ、ラファエル・ナダル等のスポーツ選手やF1レーサーのルイス・ハミルトンのスポンサーである(甲16)。 2019年秋にはメルセデスベンツとのカプセルコレクションを発売した(甲17)。 これらの一流スポーツ選手への後援や、一流企業とのコラボレーションは、同ブランドに大きな宣伝効果をもたらすものである。 我が国においては、販路の広がりと販売効率の改善により、2003年度の売上が110億円に達している(甲18)。 トミーヒルフィガーは、2010年11月28日付け朝日新聞に25周年を記念する広告を掲載し(甲19)、2020年の創立35周年には記念スニーカーを販売する等の宣伝活動を行っている(甲20)。 また、2021年メンズウェアコレクションの新しいブランドアンバサダーに、日本人として初めて、人気俳優・ミュージシャンの北村匠海を起用している(甲21)。 2020年3月現在、我が国にはトミーヒルフィガーの店舗は109店舗あり、加えて、自己のオンラインストアや、Amazon、楽天市場、ららぽーと公式通販等の通販サイトにおいても商品を販売している(甲22)。 「トミーヒルフィガー」の商品は、テレビ番組において人気アイドルや出演者が着用し、また、多くの雑誌やFacebook、Twitter等のSNSに商品が掲載されており、その宣伝効果は絶大である(甲23)。 引用商標は、被服等の商品に直接、付して使用するものが多くあり、商標「TOMMY」も商品に付して使用されている(甲24)。 また、他ブランド等とのコラボレーションにおいて「TOMMY×MERCEDES-BENZ」、「TOMMY×ZENDAYA」、「TOMMY×LARDINI」、「TOMMY×TAKUMI」、「TOMMY×TIMBERLAND」等の表示を使用している(甲25)。 このように、世界的ファッションブランドである「トミーヒルフィガー」の代表的な出所識別標識として、商標「TOMMY」及び「TOMMYHILFIGERR」は、本件商標の登録出願日前から、主に被服、履物、帽子、かばん、財布等の申立人の業務に係る商品について、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものであり、その状況は本件商標の登録査定日はもとより、現在においても継続している。 イ 本件商標と引用商標との類似性について 本件商標は11号引用商標「TOMMY」を構成中に包含するものであるところ、11号引用商標は世界的なファッションブランド「トミーヒルフイガー」を表すものとしてファッション関連の分野において広く認識されているものである。 申立人は、「TOMMY」のほかにも、「TOMMY JEANS」、「TOMMY NOW」、「TOMMY SPORT」、「TEAMTOMMY」、「TOMMY FACTORY」等の「TOMMY」の文字を含む商標を使用し、展開している(甲26)。 申立人は我が国において、引用商標以外にも、多数の「TOMMY」を含む商標を登録出願及び登録をしている(甲27)。 申立人が「TOMMY HILFIGER」、「TOMMY」や「TOMMY JEANS」、「TOMMY SPORT」等の「TOMMY」を含む商標を多数、使用していることから、本件商標がその指定商品について使用されると、本件商標に接した取引者・需要者は、「TOMMY」の文字からファッションブランド「トミーヒルフィガー」を想起又は連想する蓋然性が非常に高く、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いといえる。 ウ 商品間又は商品と役務間の関連性 本件商標の指定商品は、ファッション関連の商品であり、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のもの、あるいは商品の関連性が高いものである。 エ 需要者の共通性 本件商標の指定商品は、ファッション関連の商品であるから、本録商標と申立人の「トミーヒルフィガー」ブランドとは、取引者・需要者を共通にする。 オ 混同のおそれ 被服、履物、かばん類、財布等のファッションアイテムの分野における我が国の需要者の通常有する注意力を基準とすれば、これらの商品は消費財であり、医薬品や精密機械のように十分な注意力を持って商品の出所を確認することなく、購入を決める需要者が多く存在する。 本件商標がその指定商品に使用されると、取引者・需要者は有名ブランドと同一の「TOMMY」の文字に着目して、トミーヒルフィガーと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるとの誤認、混同を生ずるおそれがある。 本件商標は「TOMMY」の文字の前に「TOMMY」と意味合いを同じくする「TOM」に置いたにすぎないものであり、申立人の「TOMMY」や、「TOMMY JEANS」、「TOMMY SPORT」等の上記の「TOMMY」を含む商標の積極的な使用を考慮すれば、本件商標の使用は、申立人の商標「TOMMY」に化体された信用や、トミーヒルフィガーの強力な顧客誘引力に便乗し、トミーヒルフィガーのブランドイメージを毀損させるおそれが大きいものといえる。 さらに、本件商標がその指定商品について使用されれば、一定の商標を使用した商品は一定の出所から提供されるという健全な取引秩序を乱し、需要者の誤認混同を招き、結果的に、需要者の利益を損なうものである。 以上より、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について 申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば、「トミーヒルフィガー」は、1985年にトミー・ヒルフィガー氏が米国において創立したファッションブランドであり、創立以来、男性用、女性用、子供用被服の他、履物、かばん類などの商品について、主に「TOMMY HILFIGER」の商標を使用していること(甲5)、2017年世界売上高が74億ドル、2018年世界売上高が85億ドル、2019年世界売上高が92億ドルであると記載されていること(甲7、甲9)、ファッション・ショーや展示会にも参加・出展していること(甲11)は確認できる。 また、ブランドの創設者のトミー・ヒルフィガー氏が、2012年にアメリカファッションデザイン評議会からジェフリービーン生涯功労賞を受賞したこと(甲12)、グローバルブランド調査において、2014年及び2015年に2年連続で10位に入賞したこと(甲13)、ガートナー社のデジタルIQインデックスのファッション分野において、有名ファッションブランドの中で、2016年に9位、2017年に14位、2018年に8位にランクされていること(甲14)、宣伝広告に著名なアーティスト、スポーツ選手等を起用していること(甲16、甲21)、2019年秋にメルセデスベンツとのカプセルコレクションを発売したこと(甲17)、我が国における2003年度の売上が110億円に達した旨の記事が掲載されていること(甲18)、2010年11月28日付け朝日新聞に25周年を記念する広告を掲載する等の宣伝広告を行ったこと(甲19)、2020年の創立35周年に関する記事が雑誌等に掲載されていること(甲20)、2022年3月現在、国内に109の店舗(申立人主張)があり、店舗以外でも各種通販サイト等で商品が販売されていること(甲22)も確認できる。 しかしながら、申立人による「2010年から2019年のトミーヒルフィガーの世界売上高」の主張は、PVH社代表者の宣誓書(甲7)及び「2017~2019年トミーヒルフィガー業績概要」(甲9の1、甲9の2)等に記載されているにすぎず、これを裏付ける証拠の提出はない。 また、2003年度以降現在に至る我が国における売上高に関する主張やこれを裏付ける証拠は提出されていない。 さらに、我が国における「TOMMY HILFIGER」等の商標の使用開始時期や、我が国における広告宣伝の方法、回数及び内容等を詳細に説明する書面の提出はない。 加えて、「トミーヒルフィガー」を「TOMMY」と表している例は決して多くはなく、また、「TOMMY」の欧文字を使用した商品の販売開始時期、売上高、広告宣伝費等を詳細に説明する書面の提出もない。 そうすると、申立人提出に係る全証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。 その他、申立人の提出した証拠から、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間で、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めるに足る事実は見いだせない。 したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 2 本件商標と引用商標の類似性及びその程度 (1)本件商標について 本件商標は、「TOMTOMMY」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録された成語とは認められないものであり、かつ、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないものである。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「トムトミー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について ア 11号引用商標について 引用商標1は、「TOMMY」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は、「TOMMY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録された成語とは認められないものであり、かつ、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないものである。 したがって、11号引用商標は、その構成文字に相応して「トミー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10について 引用商標3ないし引用商標5、引用商標8及び引用商標10は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、引用商標6は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を標準文字で表してなり、引用商標7は、「Tommy Hilfiger」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これらの文字は、一般の辞書等に載録された成語とは認められないものであり、かつ、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないものである。 したがって、引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10は、その構成文字に相応して「トミーヒルフィガー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 ウ 引用商標9について 引用商標9は、横書きした「TOMMY」の欧文字と「HILFIGER」の欧文字の間に、2つの青色の横長長方形を上下に配し、その間の右半分に赤色を施した構成よりなる幾何図形(以下「図形」という。)を配してなるところ、「TOMMY」の欧文字及び「HILFIGER」の欧文字は、同じ書体、同じ大きさで表されており、また、これらの文字は、図形を介して、結合している印象を与えることから、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きにした印象を与えるものである。 他方、「TOMMY HILFIGER」の欧文字と図形は、常に不可分一体のものとしてのみ認識し把握されるべき格別の理由は見いだし難く、図形と「TOMMY HILFIGER」の欧文字は、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。 そして、図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 そうすると、引用商標9は、本件商標との類否を判断するに当たって、引用商標9の構成中、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標9は、その構成中の「TOMMY HILFIGER」の欧文字に相応して「トミーヒルフィガー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と11号引用商標の類否について 本件商標と11号引用商標を比較すると、本件商標は、欧文字8字で構成されているのに対し11号引用商標は、欧文字5字で構成されることから、これらは、構成文字数に明らかな差異があるため、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得るものである。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる「トムトミー」の称呼と11号引用商標の構成文字に相応して生じる「トミー」の称呼とは、「トム」の音の有無に相違があり、また、構成音数も異なることからすると、これらは容易に聴別することができるものである。 さらに、本件商標と11号引用商標は、いずれも特定の観念が生じないため、観念について比較することができない。 そうすると、本件商標と11号引用商標は、観念について比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と11号引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 (4)本件商標と引用商標3ないし引用商標10の類似性及びその程度について ア 本件商標と引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10の類似性及びその程度について 本件商標と引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10を比較すると、本件商標は、欧文字8字で構成されているのに対し引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10は、欧文字13字で構成されることから、これらは、構成文字数に明らかな差異があるため、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得るものである。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる「トムトミー」の称呼と引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10の構成文字に相応して生じる「トミーヒルフィガー」の称呼とは、構成音数が異なることからすると、これらは容易に聴別することができるものである。 さらに、本件商標と引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10は、いずれも特定の観念が生じないため、観念について比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10は、観念について比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と引用商標3ないし引用商標8及び引用商標10は、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、類似性の程度は低いものである。 イ 本件商標と引用商標9の類似性及びその程度について 本件商標と引用商標9を比較すると、本件商標は、欧文字8字で構成されているのに対し引用商標9は、欧文字13字と図形とで構成されることから、これらは、図形の有無、構成文字数に明らかな差異があるため、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得るものである。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる「トムトミー」の称呼と引用商標9の構成文字に相応して生じる「トミーヒルフィガー」の称呼とは、構成音数が異なることからすると、これらは容易に聴別することができるものである。 さらに、本件商標と引用商標9は、いずれも特定の観念が生じないため、観念について比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標9は、観念について比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と引用商標9は、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、類似性の程度は低いものである。 (5)小括 以上(1)ないし(4)のとおり、本件商標と11号引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当であり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、類似性の程度は低いものである。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について 上記2(3)のとおり、本件商標と11号引用商標は、観念について比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と11号引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、他に、本件商標と11号引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標の指定商品が、11号引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるとしても、本件商標は、11号引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、上記2(3)及び(4)のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は、これらの商品の製造者、販売者及び需要者を共通にし、これらが、密接な関連性を有するとしても、本件商標の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標の権利者が、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人又は引用商標を連想、想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900456

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