商標異議申立
2022-900432
ボーイー、ボーイワイ、ボーイ、ビイオオワイ
- 審判番号
- 2022-900432
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-021402
- 登録番号
- 6598329
- 請求日
- 2022年10月13日
- 審決日
- 2023年08月14日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ボーイ アイピー プライベート リミテッド
- 【権利者代理人】小林 浩
- 【権利者代理人】岡田 貴子
- 【権利者代理人】瀧澤 文
- 【異議申立人】アングロフランチャイズ リミテッド
- 【異議申立人代理人】豊崎 玲子
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T1651.261-Y (W1825) / T1651.262-Y (W1825) / T1651.263-Y (W1825)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6598329号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6598329号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6598329号商標(以下「本件商標」という。)は、「BOYY」の文字を標準文字で表してなり、令和4年2月25日に登録出願、第18類「皮革,擬革,革製ラベル,旅行かばん用タグ,かばん類,ブリーフケース,ハンドバッグ,ウエストポーチ,肩掛けかばん,札入れ,財布,革製の袋物,袋物,キーケース,布製の買物袋,トートバッグ」及び第25類「被服,外衣,水泳着,下着,履物,サンダル,靴類,ブーツ,ウエスト用ベルト,スカーフ,靴下,帽子,日よけ用帽子,野球帽子,ヘッドバンド」を指定商品として、同年8月1日に登録査定、同月8日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)であり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6476947号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和元年7月25日に登録出願、第14類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同3年11月26日に設定登録されたものである。
(2)登録第5802810号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成26年4月11日に登録出願、第14類、第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同27年10月30日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
以下、証拠の記載にあたっては、「甲第○号証」を「甲○」のように記載する。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標の構成について
本件商標は、「BOYY」の文字を標準文字で表した態様よりなり、本件商標全体より「ボーイ」の称呼が生じ、この称呼が生じることより、需要者はごく自然に「少年」の観念を想起する。
審査基準上、「称呼とは、商標に接する需要者が、取引上自然に認識する音をいう。」と記述されているが、本件商標に接する需要者は「BOYY」よりごく自然に「ボーイ」の音を認識する。
「ddmmyy」のような略語として用いられる場合を除き、「YY」の文字が欧文字単語の最後に配された既成語は世の中に多く存在するものではないが、既存の英単語の最後の「Y」にさらに「Y」をつなげ、英単語の意味を強調する手法は頻繁に用いられる方法である。
そうした手法を用いられた語句に接する看者は、語尾に配された連続する「Y」を「Y」として認識し意味を把握し、かつ称呼する。
このように、単語の意味を強調させるために特定の子音をリピートする方法は、ごく一般的に行われているものであり、本件商標は「BOY」の既成語に「Y」をつなげることによって、「BOY」であることを強調しているにすぎない。
したがって、本件商標に接する需要者は、ごく自然に、本件商標を「ボーイ」と称呼し、「少年」の観念を想起する。
JPlatPatが提供する公開データベースを用いて、本件商標の参考称呼情報を確認すると、やはり「ボーイ」と記述されており、このことは、本件商標の自然称呼が「ボーイ」であることを示す一つの根拠である。
なお、本件商標から「ボーイ」の称呼が自然称呼として生じることは本件商標の出願人自身が認識している上、本人自らが商標の採択にあたり、自己のニックネームである「BOY」に由来したと発言している(甲7、甲8)。
イ 小括
(ア)「YY」が語尾に配された英単語の読み方に倣った自然称呼であること
(イ)本件商標の出願人自らが「ボーイ」と称していること
(ウ)J Plat Patにて示される参考称呼情報においても「ボーイ」とされていること
これらにより、本件商標「BOYY」より生ずる自然称呼は「ボーイ」であることは明らかであり、「ボーイ」は「少年」という観念を直截的に想起させる。
(2)引用商標について
引用商標1は、「BOY」の欧文字と図形の組み合わせよりなり、その称呼は、文字部分より発生する「ボーイ」である。
引用商標2も「BOY」と鷲図形の組み合わせよりなるところ、文字部分より「ボーイ」の称呼及び「少年」の観念が生じる。
引用商標の商標権者は、1970年代から続くファッションブランドメーカーであり、「BOYLONDON」あるいは「BOY」というブランドで、ストリート系ファッションを長年牽引していたメーカーである。
引用商標1のほか、引用商標2などに代表される鷲の図形とBOYの文字を配した商標は世界で周知されており、少なくとも、模倣品が出回り、その対策に追われる程度に認知され、一部の者にとっては羨望の的となる程度に知られた商標である。ファッション業界において、「ボーイ」の称呼、「少年」の観念を示す商標は、引用商標である。
(3)本件商標と引用商標の類似性
ア 本件商標と引用商標は、ともに「ボーイ」の称呼及び「少年」の観念を生じる点において同一であり、「BOY」の文字を構成の主要素としている点において共通し、外観において類似する。
なお、本件商標より生じる「ボーイ」の称呼及び「少年」の観念が引用商標と類似するにも関わらず、看過されたのは、審査において、外観を重視したものと考えられる。
しかし、称呼・観念が共通するとしてもそれらを凌駕するほどに外観が異なる、との見解は、以下に述べる「本件商標の指定商品分野において、商標の称呼が常に意識されるという事実」があるため、少なくとも本件商標の指定商品分野において成り立たない。
さらにこの事実は、本件商標の称呼「ボーイ」が商標的機能を果たす役割を大いに担っている実体があることを裏付けている。
「本件商標の指定商品分野において、商標の称呼が常に意識されるという事実」
本件商標の指定商品は、第18類「かばん類」ほか及び第25類「被服」ほかであり、いわゆるファッション分野と称される分野である。この分野ではブランド名として欧文字よりなる商標が採択されることが一般的である一方、片仮名にて当該商標の音訳、すなわち称呼を並列するなど、商標の称呼を文字にて示すのが、通常である。ネーミングの聴覚的要素が重要だからである。「GUCCI」や「HERMES」などは「グッチ」「エルメス」という称呼が表示される。
当業界の商慣習上、ブランドの称呼が常に視覚的に表示されブランドの読み方が浸透されるような告知・宣伝・販売活動を行うのが当該業界の商慣習である。
本件商標もこの商慣習に従い、商標の称呼をもってブランド展開告知がなされている。この告知法が明確に表示しているように、「BOYY」よりも「ボーイ」という称呼をもって告知活動がなされており、これが本分野における通常の取引慣例である。
このように、ファッション業界において、ブランドを示す商標の要素のうち、称呼が果たす役割は極めて大きい。
イ 小括
上述のとおり、本件商標の指定商品の分野において、外観は必ずしも自他識別力に重要な要素とはなり得ず、むしろ称呼が重要として扱われている。このため、称呼及び観念が引用商標と共通する本件商標は、引用商標と需要者をして出所混同を生じさせる程度に類似する商標である。
(4)本件商標と引用商標の指定商品の対比
本件商標が指定する第18類の商品及び第25類の商品は、引用商標の指定商品と同一・類似の関係にある。
(5)小括
上述のとおり、本件商標は、引用商標とその態様において類似し、かつその指定役務について引用商標の商品と類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「BOYY」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書に載録のない語であるから、特定の観念を生じない。
そして、特定の意味を有しない語にあっては、親しまれたローマ字読み風または英語読み風に称呼されるのが一般的である。
したがって、本件商標は、「ボーイ」または「ビーオーワイワイ」などの称呼を生じ得るが、特定の観念を生じない。
イ 引用商標について
引用商標1は、別掲1のとおり、「BOY」の文字を横書きしてなり、その右下に円状の図形を表してなるところ、引用商標1の構成中「BOY」の文字は、「男の子、少年」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店発行)の意味を有する語であるから、引用商標1は、その構成文字に相応して、「ボーイ」または「ビーオーワイ」などの称呼を生じ得るもので、「男の子、少年」の観念を生じる。
引用商標2は、別掲2のとおり、鷲をモチーフにしたと思しき図形及びその下に「BOY」の文字を配した構成よりなるところ、引用商標2は、上記同様、その構成中の「BOY」の文字に相応して、「ボーイ」または「ビーオーワイ」などの称呼を生じ得るもので、「男の子、少年」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、上記アのとおり、「BOYY」の文字を標準文字で表してなるのに対し、引用商標は、上記イのとおり、その構成中にそれぞれ「BOY」の欧文字を有してなるところ、両者は、外観において、図形の有無の差異に加え、語頭の「BOY」の文字を共通にするとしても、4文字または3文字と短い構成における語尾の「Y」の文字の差異により、異なる語を表してなると容易に理解できるから、明確に区別できるものである。
また、称呼において、「ボーイ」の称呼を生じ得る点において共通するものの、その他の称呼は構成音が明らかに異なるから、聴別は容易である。
さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標は、「男の子、少年」の観念が生じるから両者は相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、「ボーイ」の称呼を共通にする場合があるとしても、その他の称呼は聴別が容易であり、外観及び観念において相紛れるおそれはないから、それらを総合して考察すれば、出所の混同をおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-900432