商標異議申立
2022-900424
バルクマーケット
- 審判番号
- 2022-900424
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-012614
- 登録番号
- 6594356
- 請求日
- 2022年10月11日
- 審決日
- 2023年06月21日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社NAKAGAWA
- 【異議申立人】株式会社 バルクオム
- 【異議申立人代理人】弁理士法人スズエ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 冨澤 武志
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T1651.261-Y (W35) / T1651.262-Y (W35) / T1651.263-Y (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6594356号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6594356号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6594356号商標(以下「本件商標」という。)は、「バルクマーケット」の文字を標準文字で表してなり、令和4年2月4日に登録出願、第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年7月5日に登録査定、同月29日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)は、次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5738351号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
登録出願日:平成26年7月16日
設定登録日:平成27年2月6日
指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第6006367号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成29年3月15日
設定登録日:平成29年12月22日
指定商品:第3類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(3)登録第6006373号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
登録出願日:平成29年3月17日
設定登録日:平成29年12月22日
指定商品:第3類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、片仮名文字の「バルクマーケット」を横書きした態様からなる商標である。
この点、本件商標の構成中「バルク」の文字部分は、「大きさ。容量。容積。積み荷」等の意味がある(甲6)。
これに対し、「マーケット」の文字部分は、「食料品や日用品などを商う店が集まっている場所や建物。市場。」の意味があり(甲7)、特にカタカナ語で「マーケット」といった場合には、スーパーマーケットなど一般需要者が利用できる商業施設を示すものである(甲8)。
そして、本件商標の指定役務は、一般的に「商業施設」で提供されていることを考慮すると、「マーケット」の文字部分は、役務を提供する場所(商業施設)として把握されるにすぎず、自他役務の出所識別標識機能は極めて弱いものである。
そうすると、本件商標は「バルク」の文字部分が要部であり、当該文字部分に相応して「バルク」の称呼が生じ、かつ、「大きさ。容量。容積。積み荷」等の観念が生じる。
(2)引用商標について
引用商標は、それぞれ別掲1ないし別掲3のとおりの構成よりなるものである。
この点、上段の「BULK」の欧文字部分は、太字で顕著に表されており、かつ、引用商標1については、下段の各欧文字に対して、約2倍又は3倍のサイズで表されていることから、引用商標の構成中、最も目立つ構成態様で表されている。
そして、「BULK」の欧文字は、上述のように「大きさ。容量。容積。積み荷」等の意味がある(甲6)のに対し、「HOMME」の欧文字は、「男性。」の意味があることから(甲9)、指定商品「化粧品」等との関係においては、自他商品識別機能が極めて弱いものである。
このことは、「HOMME」を含む商標の審査過程において、「男性用の化粧品」等に指定商品を補正するよう拒絶理由を通知されていることからも明らかである(甲10、甲11)。
以上より、引用商標は、その構成中「BULK」の欧文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えていることは明らかであり、「BULK」の文字部分のみを分離、抽出し、他人の商標と比較して、商標の類否を判断することは許されるものである。
したがって、引用商標は商標全体のみならず、「BULK」も要部となり得るものであり、当該文字部分に相応して「バルク」の称呼が生じ、かつ、「大きさ。容量。容積。積み荷」等の観念が生じる。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標の「バルク」と引用商標の「BULK」は、欧文字と片仮名の文字種を異にするものであるが、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両商標における文字種の相違が、需要者・取引者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
そして、本件商標の「バルク」と引用商標の「BULK」からは、ともに「バルク」の称呼が生じる点において共通し、かつ、「大きさ。容量。容積。積み荷」等の観念が生じる点においても共通する。
そうすると、本件商標及び引用商標は、これらの外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、出所混同のおそれのある類似の商標である。
イ 本件商標の指定役務は、引用商標の指定商品と類似の役務である。
(4)周知・著名性について
申立人が販売する化粧品等の「BULK HOMME(バルクオム)」は、2022年2月の時点において、シリーズ累計出荷が1000万本を突破しており、化粧品・乳液の2カテゴリで売上シェア1位を獲得している(甲12)。また、上記シリーズの製品のランキングは、大手通販サイト等の多数のランキングで上位を獲得している(甲13~甲15)。
さらに、申立人は、タレントの木村拓哉氏を起用したTVCMを2020年5月、2021年10月に関東地区で放映しており、化粧品業種のCM好感度ランキングで1位を獲得するなどしている(甲16)。
以上のことから、申立人が販売する化粧品等である「BULK HOMME(バルクオム)」は、化粧品業界において、相当程度の周知・著名性を有しているものである。
この点、申立人が販売する化粧品等には、引用商標2及び引用商標3が表示されており(甲15)、かかる引用商標2と引用商標1は、構成要素の一部において重複するものである。
そして、上述のように、引用商標は、商標全体のみならず、「BULK」の文字部分も要部であることから、本件商標は、他人の周知著名商標の要部である「BULK」の片仮名である「バルク」を含むものである。
そうすると、本件商標をその指定役務に使用すると、これに接する需要者・取引者が、申立人の化粧品等のシリーズ商品に関する役務の提供であると誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがある。
(5)まとめ
以上より、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品と類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「バルクマーケット」の文字を標準文字で表してなるところ、これらの文字は、同じ大きさ、同間隔で、視覚上まとまりよく一体に表されているものであって、いずれかの文字部分が看者に強い印象を与えるような態様ではない。
そして、本件商標は、その構成中、前半の「バルク」の文字が「積み荷」の意味を有する語であり、後半の「マーケット」の文字が「市場」等の意味を有する語であって、その構成全体として、「積み荷の市場」ほどの意味合いを理解、認識させるものである。
なお、申立人の主張するように、「マーケット」の語が商業施設を示す場合があるとしても、上記のとおりまとまりよく一体に表された本件商標においては、これに接する取引者、需要者が、殊更「マーケット」の文字部分のみを捉え、役務の提供場所を表示したものと理解するというよりは、むしろ「バルクマーケット」の構成文字全体をもって認識するというべきである。
その他、本件商標において、構成中の「バルク」の文字部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、構成全体で一体不可分のものとみるべきものであるから、その構成文字に相応して「バルクマーケット」の称呼を生じ、「積み荷の市場」の観念が生じる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲1のとおり、上段に太い線で表された「BULK」と細い線で表された「HOMME」の欧文字を横一連に書し、下段左側に「SIMPLE」と「LUXURY」の欧文字を二段に横書きし、縦線を挟んで、下段右側に「TRUE LUXURY IS ABOUT」、「SIMPLICITY.THIS IS WHAT」、「OUR BRAND IS BASED UPON.」の欧文字を三段に横書きしてなる。
そして、上段の欧文字部分は、下段の欧文字部分に比して約2倍又は3倍の大きさで表されていることから、引用商標1の構成において、最も目をひく部分といえる。
さらに、上段の欧文字部分において、「HOMME」の欧文字は、「男性」の意味を有する語であり(甲9)、化粧品の分野では、男性用のものを意味する語として知られているものであるから、引用商標1の指定商品との関係においては、自他商品識別標識としての機能が極めて弱いものとみるのが相当である。
そうすると、「BULK」の欧文字が、「HOMME」の欧文字よりも太い線で表されていることも相まって、引用商標1においては、構成中の「BULK」の欧文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきである。
したがって、引用商標1は、構成中の「BULK」の文字部分に相応して「バルク」の称呼が生じ、該文字は、「積み荷」の意味を有する語であるから、「積み荷」の観念が生じる。
(イ)引用商標2は、別掲2のとおり、太い線で表された「BULK」の欧文字と細い線で表された「HOMME」の欧文字を、半角程度の空白を設けて横書きしてなり、引用商標3は、別掲3のとおり、太い線で大きく表された「BULK」の欧文字の下に、細い線で小さく表された「HOMME」の欧文字を併記した態様からなるものである。
そうすると、引用商標2及び引用商標3においては、それぞれ「BULK」の欧文字部分が、太い線で顕著に表されていることから、構成中、最も目をひく部分といえる。
そして、引用商標1と同様に、「HOMME」の欧文字は、それぞれの指定商品「男性用の化粧品」等との関係においては、自他商品識別機能が極めて弱いものである。
したがって、引用商標2及び引用商標3は、その構成中「BULK」の欧文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきであるから、当該文字部分に相応して「バルク」の称呼が生じ、かつ、該文字は、「積み荷」の意味を有する語であるから、「積み荷」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標は、「バルクマーケット」の片仮名からなり、他方、引用商標は、それぞれ欧文字で表してなるところ、両者は、文字種において相違するものであり、外観において紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「バルクマーケット」の称呼と、引用商標から生じる「バルク」の称呼とは、音数及び「マーケット」の音の有無において明らかな差異を有するから、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛れるおそれはない。
また、本件商標は、「積み荷の市場」の観念を生じるのに対し、引用商標からは、「積み荷」の観念が生じるから、両者は、観念においても相紛れるおそれはない。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(イ)なお、申立人は、自らが販売する化粧品等である「BULK HOMME(バルクオム)」が、化粧品業界において、相当程度の周知・著名性を有している旨主張しているので、以下、検討する。
申立人の主張及び提出された証拠によれば、申立人は、「BULK HOMME(バルクオム)」と称する男性用化粧品(以下「申立人商品」という。)を2013年から販売していること(甲12)、申立人商品に引用商標2及び引用商標3が使用されていること(甲13)、申立人商品は、2022年2月にシリーズ累計出荷1000万本を突破するとともに、通販サイト等におけるランキングで上位を獲得したこと(甲12~甲15)、また、申立人商品についてタレントを起用したテレビCMの放映が、2020年5月12日及び2021年10月25日より関東地区で開始されたこと(甲16)がうかがえる。
しかしながら、上記の申立人商品の累計出荷数は、その多寡を客観的に評価し得る証拠の提出はなく、各種ランキングについても、その調査方法が明らかでない。さらに、上記のテレビCMについても、放映地域は関東地区に限られ、放映期間や回数等も不明であるから、これらの主張及び証拠をもって、「BULK HOMME(バルクオム)」の商標ないし引用商標の周知性を推し量ることはできない。
そして、その他、申立人商品の販売実績(売上額、提供地域、業界シェア等)並びに広告実績(広告額、広告の地域及び方法等)を客観的に把握できる証拠は確認できない。
なお、引用商標1については、その使用を確認することができない。
そうすると、「BULK HOMME(バルクオム)」の商標ないし引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人に係る化粧品等を表示するものとして、需要者に広く認識されていたものと認めることはできない。
よって、申立人の上記の主張は採用することができない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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