商標異議申立
2022-900419
アイインサイト、エイアイインサイト、アイ、インサイト
- 審判番号
- 2022-900419
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-006694
- 登録番号
- 6595917
- 請求日
- 2022年10月06日
- 審決日
- 2023年06月02日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】アビックス株式会社
- 【異議申立人】AI inside 株式会社
- 【異議申立人代理人】IPTech弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 小松 里美
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.261-Y (W0942) / T1651.262-Y (W0942) / T1651.263-Y (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6595917号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6595917号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6595917号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIインサイト」の文字を標準文字で表してなり、令和4年1月7日に登録出願、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年6月21日に登録査定され、同年8月3日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5881845号商標(以下「引用商標」という。)は、「AI inside」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年3月28日に登録出願、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月16日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標の指定商品役務の類似について
本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務は、どちらも類似群コード「11C01」と「42X11」を含んでいるので、両商標の指定商品及び指定役務は類似している。
(2)本件商標と引用商標の類似について
本件商標は、標準文字「AIインサイト」より構成され、当該文字からは「エーアイインサイト」の称呼が生じる。一方、引用商標は標準文字「AI inside」より構成され、当該文字からは「エーアイインサイド」の称呼が生じる。
両商標の外観及び観念は異なっているが、称呼は類似しているため、本件商標と引用商標は類似すると判断されるべきである。以下で詳細を説明する。
ア 特許庁の審査基準について
商標法第4条第1項第11号に関する特許庁の審査基準においては、称呼が類似する例として、「ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が清音、濁音、半濁音の差にすぎない場合
「ビュープレックス」「ビューフレックス」
「バーテラックス」「バーデラックス」
(解説)相違する音が濁音(ガ、ザ、ダ、バ行音)、半濁音(パ行音)、清音(カ、サ、タ、ハ行音)の違いにすぎないとき等においては、全体的印象が近似して聴覚されることが多い。」の記載がある。
この審査基準に当てはめて、本件商標と引用商標の類似性を検討する。
まず、本件商標の称呼「エーアイインサイト」と引用商標の称呼「エーアイインサイド」は、共に同数音の称呼からなっている。
そして、濁音と清音の場合には、全体的印象が近似して聴覚されることが多いという基準から検討すると、本件商標と引用商標の相違音は「ト」と「ド」となるので、全体的印象が近似して聴覚されることになる。
そのため、特許庁の審査基準から、本件商標と引用商標の称呼は類似すると判断されるべきである。
イ 審決例について
特許庁の審決例においても、清音・濁音・半濁音の違いのみでは、両商標は全体として類似すると判断される例もあるので、以下で言及する。
・不服2002-15906「maktec」と「MAGTEK\マグテック」
・不服2002-6827 「クラビット」と「GRABIT」
・不服2006-11967「FBA」と「FPA」
・不服2003-10002「ハイメガ」と「ハイメカ」
・不服2007-21343「Bizlog」と「Biz6\ビズロク」
・不服2013-16117「Feliz」と「フエリス」
上記の審決例の存在から、濁音と清音の違いのみでは商標全体として類似であると判断されている傾向があることがわかる。アルファベットと片仮名という外観の違いがあっても、称呼が類似することで商標全体としても類似すると判断されている事例があることや、語尾音のみが相違している場合でも商標全体として類似すると判断されている事例があることから、本件商標「AIインサイト」と引用商標「AI inside」もその称呼の類似性から、商標全体としても類似すると判断されるべきである。
ウ 実際の使用態様を考慮した主張について
引用商標が使用される態様においても、本件商標との出所混同が生じる可能性が高い旨についても、以下で説明する。
引用商標の出願人は、「AI inside」という商標を片仮名表記「AIインサイド」で使用する実績がある(甲3)。
アルファベットの商標を片仮名で表記することは一般的に行われている。実際、特許庁の審査便覧においても不使用取消審判の箇所において、「片仮名とローマ字の相互間の使用」は登録商標の使用として認められるとしている。言い換えると、アルファベットの商標を片仮名で使用しても社会通念上同一(実質上は専用権の範囲)であると認められるということになる。審査便覧には、以下のような例が記載されている。
・「ラブ」と「love」
・「アップル」と「apple」
・「ライオン」と「lion」
・「ポスト」と「post」
・「スクール」と「school」
・「スモモ」と「sumomo」
・「ホタル」と「hotaru」
上記の内容を考慮したうえで、本件商標「AIインサイト」と引用商標の片仮名表記「AIインサイド」を比較すると、その違いは語尾の「ト」と「ド」のみとなり、紛らわしいものとなっている。また、引用商標の片仮名表記は、新聞などの文字が比較的小さく記載される媒体でも使用されることが多く、その場合には「ト」と「ド」の違いのみであると、その2つの表記の判別がかなり困難になる。
このような事情から、本件商標の登録が認められると、引用商標との出所混同を招くこととなり、取引に混乱が生じる可能性が極めて高いと思われる。公正な取引秩序の維持のためにも、本件商標と引用商標は類似すると判断され、本件商標は認められないと判断されるべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「AIインサイト」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録されておらず、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないものであるから、一種の造語として理解されるというのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応し「エーアイインサイト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「AI inside」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録されておらず、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないものであるから、一種の造語として理解されるというのが自然である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応し「エーアイインサイド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「AIインサイト」と引用商標の構成文字「AI inside」の比較において、両者は後半部において片仮名「インサイト」と欧文字「inside」という顕著な差異を有するから、明瞭に区別できるものである。
次に、本件商標から生じる「エーアイインサイト」の称呼と引用商標から生じる「エーアイインサイド」の称呼を比較すると、両者は語尾において「ト」と「ド」の音の差異を有するものの、該差異音は清音と濁音の近似する音であり、他の8音を共通にするものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、かれこれ聞き誤るおそれのあるものといえる。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、称呼において聞き誤るおそれがあるものの、観念において比較できず、外観において顕著な差異を有し明瞭に区別できるものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)申立人の主張について
ア 申立人は、本件商標と引用商標の称呼の類似性を述べ、両商標が類似する旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきであり(参考:最高裁判決昭和39年(行ツ)第110号、同昭和47年(行ツ)第33号)、かつ、上記のとおり判断するのが相当であるから、申立人のかかる主張は採用できない。
イ また、申立人は、引用商標「AI inside」が使用される態様「AIインサイド」においても、本件商標との出所混同が生じる可能性が高い旨主張している。
しかしながら、商標の類否判断に当たって考慮すべき取引の実情とは、指定商品及び指定役務全般についての一般的・恒常的なそれを指すところ(参考:最高裁判決 昭和47年(行ツ)第33号)、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で欧文字、片仮名を相互に変更することは一般的な取引の実情といえるものの、商標の構成文字の一部のみをそのように変更することは一般的な取引の実情とはいえないから、申立人のかかる主張は採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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