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商標異議申立

2022-900395

オクトーバーフェスト

審判番号
2022-900395
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-028498
登録番号
6585219
請求日
2022年09月16日
審決日
2024年02月26日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社ザート商会
  • 【権利者代理人】吉永 貴大
  • 【異議申立人】株式会社 ユーハイム
  • 【異議申立人代理人】鳥巣 実
  • 【異議申立人代理人】中嶋 慎一
  • 【異議申立人代理人】鳥巣 慶太
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 阿曾 裕樹
  • 審判官 山根 まり子
分類
T1651.16 -Z (W43)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項6号商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第16号、商標法第43条の3第2項
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6585219号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6585219号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6585219号商標(以下「本件商標」という。)は、「オクトーバーフェスト」の文字を横書きしてなり、令和3年2月26日に登録出願、第43類「飲食物の提供,飲食物の提供」を指定役務として、同4年3月15日に登録査定され、同年7月11日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由(要旨) 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同法第3条第1項第6号、同法第4条第1項第16号及び同法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。 2 商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、1810年以来、ドイツのミュンヘンで開催される世界最大規模の祭りと同一の標章である。 「オクトーバーフェスト」とは、ドイツのバイエルン州の州都ミュンヘンで開催される世界最大規模の祭りで、1810年以来ミュンヘン市内中心部で9月半ばから10月上旬に開催され、毎年約600万人もの人が訪れている。オクトーバーフェストは、ビールをはじめとするソーセージなどドイツの名物料理などの飲食物が提供される、世界最大のビールの祭りである(甲2、甲3)。 そして、オクトーバーフェストの文言は、各種の辞書に掲載されており、在日大使館のサイトにも掲載されており、全国誌の新聞記事にも多数回にわたり掲載されており、またオクトーバーフェストを冠した祭りは、地方公共団体やドイツの大使館等とともに、名古屋や横浜、日光、仙台、福岡、広島など日本多数の地域で開催されていて、我が国においても「ドイツのミュンヘンで開催される世界最大規模の祭り」を意味する語として一般的に広く親しまれている(甲2~甲13)。 また、当該祭りは、ビールやソーセージをはじめとする名物料理を提供することや、行政機関(地方公共団体)・ドイツ連邦共和国総領事館・ドイツ大使館・ドイツ観光局などとともに、日本各地で開催されている事実が多数見受けられ、強い顧客吸引力を有している。 したがって、本件商標を、指定役務「飲食物の提供」に使用しても、これに接する需要者は「日本で行われるオクトーバーフェストにおける飲食物の提供」ということを認識するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができず、また、本件商標を、一私人である商標権者が自己の商標として、その指定役務について独占的に使用することは、当該名称を使用した活動などの公益的な事業の遂行を阻害することとなり、ひいては社会公共の利益に反するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 3 商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号について 上述のとおり、「オクトーバーフェスト」は、「ドイツのミュンヘンで開催される世界最大規模の祭り」を意味する語として複数の辞書や、大使館のサイトにも掲載され、日本の多数の地域で長年にわたり開催されている祭りであり、我が国においても「ドイツのミュンヘンで開催される世界最大規模の祭り」を意味する語として一般的に広く親しまれている。 そうすると、本件商標を、指定役務「飲食物の提供」に使用しても、これに接する需要者は、「日本で行われるオクトーバーフェストにおける飲食物の提供」ということを認識するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。また、「日本で行われるオクトーバーフェストにおける飲食物の提供」以外の「飲食物の提供」に使用するときは、役務の質の誤認が生ずるため商標法第4条第1項第16号に該当する。 4 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、他人の登録商標「仙台オクトーバーフェスト」「福岡オクトーバーフェスト」「東北オクトーバーフェスト」「梅小路オクトーバーフェスト」「関西オクトーバーフェスト」「東海オクトーバーフェスト」「日比谷オクトーバーフェスト」「お台場オクトーバーフェスト」「芝オクトーバーフェスト」「長崎オクトーバーフェスト」「豊洲オクトーバーフェスト」「代々木オクトーバーフェスト」「駒沢オクトーバーフェスト」「神戸オクトーバーフェスト」「新宿オクトーバーフェスト」「京都オクトーバーフェスト」「舞鶴公園オクトーバーフェスト」「大阪城オクトーバーフェスト」「横浜港オクトーバーフェスト」「伊豆オクトーバーフェスト」「東京オクトーバーフェスト」「中野オクトーバーフェスト」「天神オクトーバーフェスト」「上越オクトーバーフェスト」など(以下、これらをまとめて「引用商標」という。甲14。)、多数の「地名+オクトーバーフェスト」と類似し、その商標登録に係る指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (1)本件商標について 本件商標は、「オクトーバーフェスト」の文字を明朝体様の一般的な文字で表してなるものであり、「ドイツで開催される世界最大規模の祭りの名称」を意味する語である。そして、本件商標は、「オクトーバーフェスト」の称呼と「ドイツで開催される世界最大規模の祭り」の観念を生ずる。 (2)引用商標について 引用商標は、漢字の「仙台」や「福岡」などの地域の名称を表す語と、片仮名の「オクトーバーフェスト」(ドイツで開催される世界最大規模の祭りの名称を表す語)とを結合した結合商標である。そして、「地名」と「オクトーバーフェスト」の語とを結合することにより、引用商標全体をもって親しまれた熟語的意味合いが生ずるものとはいえないのみならず、その構成中の地名の文字部分は、地域の名称を表す普通名称や役務の質を提供する場所と解されるものである。また、引用商標の構成中の「オクトーバーフェスト」の文字部分は、上述のとおり「ドイツで開催される世界最大規模の祭りの名称」を表し、識別力がないものであるが、仮に識別力を有する場合は、自他役務の識別標識としての機能を発揮するものとなる。 そうすると、引用商標は、たとえ同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表されるとしても、その指定役務について使用した場合、その構成中の「地名」の文字部分は、普通名称や役務の質等を表すものとして自他商品の識別標識としての機能を有しない部分であるから、かかる「地名」の文字部分からは、役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきである。 以上によれば、引用商標は、これをその指定役務「飲食物の提供」について使用する場合には、漢字と片仮名の別等も相まって、その構成中の「オクトーバーフェスト」の文字部分が役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるから、構成文字全体に相応して生ずる例えば「センダイオクトーバーフェウスト」の称呼のほかに、「オクトーバーフェスト」の文字に相応して「オクトーバーフェスト」の称呼をも生じ、「ドイツで開催される世界最大規模の祭り」の観念を生ずるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、その指定役務との関係において、引用商標とは「オクトーバーフェスト」の文字、称呼、観念を共通にするものであるから、両商標は、役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標であること明らかである。そして、本件商標に係る指定役務は、引用商標に係る指定役務と同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 第3 当審における取消理由 当審において、商標権者に対して、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、その登録は、同条の規定に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべき旨の取消理由を、令和5年11月9日付けで通知した。 第4 商標権者の意見 商標権者は、上記第3の取消理由に対して、要旨次のように意見を述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。 1 商標法第3条第1項第6号について (1)商標権者によるイベントについて 商標権者は、ドイツビールを手軽に愉しんでもらうためのイベントとして、本件商標を冠した「オクトーバーフェスト」を2003年より毎年開催しており(ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により2021年~2022年は開催中止)、同イベントは、年間数万人の来場者を誇る一大イベントに成長している。 ア 2006年の「横浜オクトーバーフェスト」では、ミュンヘン・オクトーバーフェストの公式ビール、「シュパーテン・オクトーバーフェストビール」を商標権者が輸入し初出店した(乙3)。シュパーテンは、本場ミュンヘン・オクトーバーフェストでビールをふるまうことが許されている6つの公式ブルワリーのひとつであり、本件商標を冠したイベントは、その公式ブルワリーにも認められたことを示すものである。なお、シュパーテンは、翌年の2007年の「仙台オクトーバーフェスト2007」でも提供された(乙4)。 イ 2013年の「うめきたオクトーバーフェスト2013」の告知サイトに、「後援:ドイツ連邦共和国大使館・ドイツ観光局・バイエルン州駐日代表部」と記載されているように、商標権者が主催するオクトーバーフェストは、この頃からすでにドイツ連邦共和国大使館等の承認のもとで開催されるイベントとしての地位を確立していた(乙5)。商標権者が主催し、バイエルン州駐日代表部が後援する関係は、翌年の「うめきたオクトーバーフェスト2014」でも継続している(乙6)。 ウ 2016年の「NEWoMan OKTBERFEST」では、2つの公式ブリュワリー「ホフブロイ」と「シュパーテン」のオクトーバーフェストビアが提供された(乙7)。「ホフブロイ」は2023年もオクトーバーフェスト用のビール提供店で提供され、日本のオクトーバーフェストでも定番商品になっている(乙8)。 (2)取消理由通知書の使用例について 取消理由通知書における「オクトーバーフェスト」等の文字の使用例は2019年から2021年のものであるが、上述のように本件商標は、これらの使用例よりも以前に使用されてきたものであり、使用例として挙げられているものはむしろ商標権者が本件商標を継続して使用し獲得した業務上の信用にただ乗りするものでしかない。 (3)まとめ 本件商標は、その登録出願前からドイツビールのイベントに使用される商標として多くの需要者に認識され、かつ、すでに高い顧客吸引力を備えていたといえる。そして、同イベントが、ドイツ連邦共和国大使館・ドイツ観光局・バイエルン州駐日代表部の後援を受けていることに鑑みれば、ドイツ連邦共和国公認とまではいえないまでも、少なくともドイツ連邦共和国大使館等の承認のもとで使用が認められた商標であることは事実であるし、ドイツ・ミュンヘンでのオクトーバーフェストに出店している公式ブリュワリーと継続的な取引も行っている。 したがって、本件商標は独占使用について公益上適当としないとする認定は妥当ではなく、また、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる商標であるので、商標法第3条第1項第6号には該当しない。 第5 当審の判断 1 本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性について (1)本件商標は、「オクトーバーフェスト」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「ドイツのミュンヘンで毎年秋に開催される、ビールの祭典のこと。200年以上の歴史を誇る大規模な祭りとして有名であり、「オクトーバーフェスト」を模した祭りも世界各国で開かれている。参加者はビールを飲むことはもちろん、ザワークラウト(キャベツの漬物)やヴルスト(ソ―セージ)などを食べる。」(甲2)の意味を有する語である。 (2)そして、例えば「お台場オクトーバーフェスト2012~リターンズ~」(甲4)のほか、別掲のとおり、「第3回九州オクトーバーフェストin門司港」、「気仙沼オクトーバーフェスト」、「ミニ!オクトーバーフェスト」、「オクトーバーフェスト」、「北見オクトーバーフェスト」、「オクトーバーフェスト2019」、「枚方オクトーバーフェスト2019」、「オクトーバーフェストやすJAZZ UP!2019」、「ひがしね×オクトーバーフェスト」、「よみうりらんど オクトーバーフェストJAPAN」、「第4回岩見沢オクトーバーフェスト」、「オオサカオクトーバーフェスト」、「小倉オクトーバーフェスト」、「ホテルオークラ東京ベイ オクトーバーフェスト」などと称する、ドイツの祭りである「オクトーバーフェスト」を模した飲食イベントが、本件商標の登録査定時から、我が国の各地で広く企画、開催されている実情が確認できる。 (3)そうすると、本件商標は、その指定役務が「飲食物の提供」であることも相まって、ドイツの祭りを模した「オクトーバーフェスト」と称する飲食イベントの種別を表したものであると容易に認識、理解できるから、これをその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、単に、役務の宣伝広告としてイベントやフェアの種別を表示するものと理解するにとどまるものである。 また、本件商標は、上記のように「オクトーバーフェスト」と称するイベントが多数開催されている中では、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、本件商標権者に係る役務と他の事業者の提供する役務との間において、本件商標によって出所を識別することが事実上困難でもあるから、自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものである。 したがって、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 2 商標権者の主張について 商標権者は、本件商標を冠した「オクトーバーフェスト」というドイツビールのイベントを2003年より毎年開催していること、そして、ドイツのオクトーバーフェストに出店している公式ブリュワリーと継続的な取引を行い、その公式ビールを我が国で開催したイベントで提供していること(乙3、乙4、乙7、乙8)、また、同イベントが2013年と2014年にドイツ連邦共和国大使館等に後援されたことから、本件商標の使用は同大使館等に承認されていること(乙5、乙6)、本件商標は、その出願前からドイツビールのイベントに使用される商標として多くの需要者に認識され、高い顧客吸引力を備えていること、別掲の他人の使用例は、それ以前から商標権者が本件商標を継続して使用し獲得した業務上の信用にただ乗りするものでしかないこと等を述べ、本件商標が商標法第3条第1項第6号には該当しない旨主張している。 しかしながら、「オクトーバーフェスト」の文字は、上記1(1)のとおり、「ドイツのミュンヘンで毎年秋に開催される、ビールの祭典のこと。200年以上の歴史を誇る大規模な祭りとして有名であり、「オクトーバーフェスト」を模した祭りも世界各国で開かれている。」の意味を有する語であり、上記1(2)のとおり、当該祭りを模した飲食イベントが、本件商標の登録査定時以前から、我が国の各地で広く企画、開催されている実情が確認できる。 そうすると、本件商標の登録査定時において、商標権者と他の事業者は、「オクトーバーフェスト」と称するイベントを開催する同業者であったのであり、そのような状況において、それら事業者の間において、本件商標によって役務の出所を識別することは事実上困難であると考えられるから、当該イベントで提供されるビールの種別や後援者の有無にかかわらず、本件商標が、その登録査定時において、商標権者に係るドイツビールのイベントに使用される商標として多くの需要者に認識され、高い顧客吸引力を備えているとは考え難い。 したがって、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当するというべきであり、商標権者の主張は採用することはできない。 3 まとめ 以上により、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、その登録は、同条の規定に違反してされたものである。 したがって、本件商標の登録は、上記以外の登録異議の申立ての理由について検討するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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