商標異議申立
2022-900386
オークラ
- 審判番号
- 2022-900386
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-095428
- 登録番号
- 6583891
- 請求日
- 2022年09月12日
- 審決日
- 2023年04月05日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ホテルオークラ
- 【権利者代理人】田中 尚文
- 【権利者代理人】李 未希
- 【権利者代理人】菊地 伸
- 【異議申立人】株式会社 大倉
- 【異議申立人代理人】吉本 力
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山田 啓之
- 分類
- T1651.14 -Y (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項4号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第4号、商標法第43条の2、商標法第43条の3第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6583891号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6583891号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6583891号商標(以下「本件商標」という。)は、「オークラ」の文字を標準文字で表してなり、令和2年8月3日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、同4年6月16日に登録審決、同年7月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第31号証を提出した。
(1)各審決の記載
本件商標に係る審決(甲2)では、「「大倉」及び「大蔵」を姓氏とする者の数は、全国的にみてもさほど多いということはできない。」と、商標「MEGRO」についての審決(甲3)では、「本願商標は、ありふれた氏である「目黒」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。」と、商標「iino」についての審決(甲4)では、「本願商標は、ありふれた氏である「飯野」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。」と、商標「ミヤナガ」についての審決(甲5)では、「本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏である「宮永」を片仮名で表したもの、すなわち、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するにすぎないといわざるを得ない。」と、それぞれ判断している。
(2)本件商標に係る審決における判断の誤り
ア 甲第2号証と甲第3号証の比較
「姓名分布&ランキング」のウェブサイトにおいて、「大倉」の姓の順位が全国で「634位」であり、「大蔵」の姓の順位が全国で「2741位」であることが記載され(甲2)、同ウェブサイトにおいて、「目黒」の姓の順位が全国で「756位」であることが記載されている(甲3)。
このように、「目黒」の姓の順位は、「大倉」の姓の順位よりも低く、当然に「大倉」及び「大蔵」の姓を合計した順位よりも低い。
したがって、「目黒」の姓について、「本願商標は、ありふれた氏である「目黒」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。」と判断されたことを考慮すれば、本件商標に係る審決(甲2)において、「「大倉」及び「大蔵」を姓氏とする者の数は、全国的にみてもさほど多いということはできない。」とした判断には誤りがある。
イ 甲第3号証と甲第4号証の比較
「日本人の姓」(六藝書房)において、「目黒」の姓の順位が全国で「519位」であることが記載され(甲3)、同書において、「飯野」の姓の順位が全国で「556位」であることが記載されている(甲4)。
このように、「飯野」の姓の順位は、「目黒」の姓の順位よりも低い。「目黒」の姓の順位は、「大倉」の姓の順位よりも低いことから、「飯野」の姓の順位は、「大倉」の姓の順位よりも低く、当然に「大倉」及び「大蔵」の姓を合計した順位よりも低い。
したがって、「飯野」の姓について、「本願商標は、ありふれた氏である「飯野」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。」と判断されたことを考慮すれば、本件商標に係る審決(甲2)において、「「大倉」及び「大蔵」を姓氏とする者の数は、全国的にみてもさほど多いということはできない。」とした判断には誤りがある。
ウ 甲第4号証と甲第5号証の比較
「日本人の姓」(六藝書房)において、「飯野」の姓の順位が全国で「556位」であることが記載され(甲4)、同書において、「宮永」の姓の順位が全国で「1646位」であることが記載されている(甲5)。
このように、「宮永」の姓の順位は、「目黒」の姓の順位よりも低い。「飯野」の姓の順位よりも、さらに低い。「飯野」の姓の順位は、「大倉」の姓の順位よりも低いことから、「宮永」の姓の順位は、「大倉」の姓の順位よりも低く、当然に「大倉」及び「大蔵」の姓を合計した順位よりも低い。
したがって、「宮永」の姓について、「本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏である「宮永」を片仮名で表したもの、すなわち、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するにすぎないといわざるを得ない。」と判断されたことを考慮すれば、本件商標に係る審決(甲2)において、「「大倉」及び「大蔵」を姓氏とする者の数は、全国的にみてもさほど多いということはできない。」とした判断には誤りがある。
エ 甲第2号証と甲第5号証の比較
「姓名分布&ランキング」のウェブサイトにおいて、「大倉」の姓の順位が全国で「634位」であり、「大蔵」の姓の順位が全国で「2741位」であることが記載され(甲2)、同ウェブサイトにおいて、「宮永」の姓の順位が全国で「1608位」であることが記載されている(甲5)。
このように、「宮永」の姓の順位は、「大倉」の姓の順位よりも極めて低く、当然に「大倉」及び「大蔵」の姓を合計した順位よりも極めて低い。
したがって、「宮永」の姓について、「本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏である「宮永」を片仮名で表したもの、すなわち、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するにすぎないといわざるを得ない。」と判断されたことを考慮すれば、本件商標に係る審決(甲2)において、「「大倉」及び「大蔵」を姓氏とする者の数は、全国的にみてもさほど多いということはできない。」とした判断には誤りがある。
オ 取引実情
商標法第3条第1項第4号の判断においては、需要者を基準に判断すべきであり、取引実情も考慮して判断するのが妥当である。
「オークラホテル丸亀」の公式ホームページ(甲6)及び「シティーホテルオークラ」の公式ホームページ(甲7)で、少なくとも「宿泊施設の提供」という役務について、「オークラ」という文字が普通に用いられる方法で使用されている。
このように、ありふれた氏を片仮名表記した「オークラ」という文字が既に普通に用いられる方法で使用されているという取引実情がある場合、需要者にとって、「オークラ」の文字だけでは何人かの業務に係る商品又は役務であるか識別することができないため、「オークラ」の文字自体は識別力を有していないというべきである。
カ 商標審査基準
「大倉」又は「オークラ」が著名人の氏又は名称として周知であり、「大倉」又は「オークラ」が需要者にとって「ありふれた氏又は名称」として認識されるべきものであることを示している(甲8~甲12)。また、「オークラ」について、「商号や屋号に慣用的に付される文字や会社等の種類名を表す文字等を結合したもの」や、さらに「著名な地理的名称」又は「業種名」を結合したものを示している(甲13~甲20)。さらに、「大倉」について、「商号や屋号に慣用的に付される文字や会社等の種類名を表す文字等を結合したもの」や、さらに「業種名」を結合したものを示している(甲21~甲29)。
このように、「ありふれた氏」である「大倉」又は「オークラ」に他の文字等を結合した「ありふれた名称」も数多く存在している。
キ 本件商標に関連する先願
「オークラ」の文字からなる商標について、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」などを指定役務として、本件商標の出願日(令和2年8月3日)よりも前である令和元年7月3日に出願された商願2019-92202号の商標については(甲30)、「本願商標は、これに接する取引者・需要者をして、我が国においてありふれた氏の一つである「大倉」の表音を片仮名文字で表記したにすぎないものと理解されるというのが相当」と判断され、商標法第3条第1項第4号に該当することを理由に拒絶査定とされている(甲31)。
このように、「オークラ」という文字が既に普通に用いられる方法で使用されているという取引実情がある状況下において、先願が商標法第3条第1項第4号に該当することを理由に拒絶査定とされているにもかかわらず、本件商標に係る後願が、同号に該当しないとして登録されることは不当というべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「オークラ」の文字を標準文字で表してなるものである。
申立人は、本件商標に係る登録審決において、「「大倉」及び「大蔵」を姓氏とする者の数は、全国的にみてもさほど多いということはできない。」とした判断には誤りがある旨主張している。
当審における職権による調査(「名字辞典ONLINE」(https://myoji.jitenon.jp/))によれば、「大倉」及び「大蔵」という氏が存在することは認められるものの、これらの氏の片仮名による表記は「オオクラ」であることが認められる。
また、「大倉」及び「大蔵」という氏を片仮名で表記する場合に、「オークラ」と表記するというような事情は見いだせない。
そうすると、仮に、「大倉」及び「大蔵」という氏がありふれた氏であるとしても、「オークラ」の文字からなる本件商標は、これらの氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。
他に、本件商標が「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」であるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に該当しない。
(2)申立人の主張について
ア 申立人は、「宿泊施設の提供」について、「オークラ」という文字が普通に用いられる方法で使用されており、「オークラ」の文字自体は識別力を有していない旨主張している。
申立人の提出に係る証拠によれば、「オークラホテル丸亀」(甲6)及び「シティーホテルオークラ」(甲7)という名称のホテルが存在することは認められる。
しかしながら、当該証拠によっては、名称の一部に「オークラ」の文字が含まれているホテルが存在することはいえたとしても、「オークラ」の文字自体は識別力を有していないとまではいうことはできず、また、「オークラ」がありふれた名称であるということもできない。
イ 申立人は、氏が「大倉」である著名人(甲8~甲11)、「オークラ」という著名人(甲12)、名称中に「オークラ」の文字を含む法人(甲13~甲20)、及び名称中に「大倉」の文字を含む法人(甲21~甲29)を挙げ、「大倉」又は「オークラ」が「ありふれた氏又は名称」として認識される旨、また、「大倉」又は「オークラ」に他の文字等を結合した「ありふれた名称」も数多く存在する旨主張している。
しかしながら、たとえ、「オークラ」という著名人が存在し、名称中に「オークラ」の文字を含む法人が数社存在しているとしても、「オークラ」の文字それ自体がありふれた名称ということはできない。
また、氏が「大倉」である著名人及び名称中に「大倉」の文字を含む法人が存在するとしても、前記(1)のとおり、「大倉」という氏を片仮名で表記する場合に、「オークラ」と表記するというような事情は見いだせないことからすれば、本件商標が商標法第3条第1項第4号に該当しないという前記(1)の判断を左右するものではない。
ウ 申立人は、「オークラ」の文字からなる商標についての登録出願が、商標法第3条第1項第4号に該当することを理由に拒絶査定とされている(甲30、甲31)旨主張している。
しかしながら、たとえ、そのような審査例があるとしても、本件商標については、前記(1)のとおり判断するのが相当である。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するとはいえず、その登録は同条の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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