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商標異議申立

2022-900384

ホーカガクカイセキケンキューショ、ホーカガクカイセキケンキュージョ、ホーカガクカイセキ、ホーカガク

審判番号
2022-900384
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-163358
登録番号
6597916
請求日
2022年09月08日
審決日
2023年08月24日
公報発行日
2023年09月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】法科学研究所合同会社
  • 【異議申立人】一般社団法人 法科学解析研究所
  • 【異議申立人代理人】川口 敬義
審判長/審判官
  • 審判長 冨澤 武志
  • 審判官 大橋 良成
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.18 -Y (W42) / T1651.22 -Y (W42) / T1651.23 -Y (W42) / T1651.25 -Y (W42)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第8号、商標法第3条第1項、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第7号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6597916号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6597916号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6597916号商標(以下「本件商標」という。)は、「法科学解析研究所」の文字を標準文字で表してなり、令和3年12月17日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同4年6月24日に登録査定され、同年8月8日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する標章又は商標(以下「引用商標」という。)は、「法科学解析研究所」の文字からなり、同人と実質的に同一の名称であり、交通事故鑑定をはじめとする法科学鑑定の分野において一定程度の周知性を有しているとするものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同項第10号、同項第7号及び同法第3条第1項柱書に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。なお、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。 (1)異議申立に至った背景事情(商標権者の代表者と申立人の関係性) ア 商標権者である「法科学研究所合同会社」は、法科学鑑定研究所株式会社(以下「法科学鑑定研究所」という。)と法人代表者及び本店所在地を同一とする、実質的に同一視し得る法人である(甲1、甲2)。 (ア)両法人の代表社員ないし代表取締役は、いずれもAである。 (イ)Aは、申立人及びその代表理事である石橋宏典を十分に知る間柄である。すなわち、Aが代表取締役を務める法科学鑑定研究所において、石橋宏典は取締役を務めていたものであり、起ち上げメンバーの一人であった(甲3)。 イ 石橋宏典は、法科学鑑定研究所に在職時代から交通事故の鑑定を行っており、テレビに出演するなどしていた。 (ア)石橋宏典は、法科学鑑定研究所在職中の2015年に、鑑定人イシバシとして、交通事故ミステリー番組のメインキャストとして出演していたものである(甲4)。 (イ)なお、書証として添付していないが、テレビ番組の制作や監修にも関わっており、2016年9月の独立以降においても、同様の業務を行っている。 ウ 2016年9月、石橋宏典は、法科学鑑定研究所を円満退職した。この際、現在、申立人の創業メンバーの一人であるBも、石橋宏典と共に法科学鑑定研究所を退職している。 (ア)石橋宏典が退職したのは、独立して業務を行うためであった。Aは、石橋宏典の独立を快諾しており、新会社の名称として、「法科学解析研究所」の名称を提案している(甲5)。 (イ)石橋宏典は、名称提案を受ける形で、独立後の法人名称を「一般社団法人 法科学解析研究所」とし、福岡県で業務を開始したものである。 エ 石橋宏典は、申立人を設立以降、交通事故鑑定を中心とした法科学鑑定業務に従事してきたものである。石橋宏典及び申立人は、交通事故鑑定における貢献により、様々な警察署から感謝状を受領している(甲6)。すなわち、申立人は、法科学鑑定の分野において、一定程度の知名度を有しているといえる。 オ 石橋宏典は、独立以降においても、テレビに出演していた。 (ア)石橋宏典は、独立後の2017年1月6日に放送された超実話ミステリーにおいて、主要キャストとして出演している(甲7)。 かかる番組は、正月に放送される3時間の大型特番であり、放送時間も19時というゴールデン帯である。 これらより、当該番組は極めて注目度が高く、かつ、人気が期待される番組であり、そのような番組に主要キャストとして出演している石橋宏典は、交通事故鑑定においては周知な存在であったと評価できる。 (イ)また、かかる番組の出演については、一般視聴者からも注目されており、好評を得ている(甲8)。加えて、石橋宏典の独立についても、円満退社であると認識されている。 カ しかるところ、「法科学解析研究所」を標章とする商標出願が、2021年12月17日になされ、2022年8月8日に登録されたものである。 (2)本件商標が取り消されるべき理由 ア 本件商標は、申立人の法人名と実質的に同一の名称であるところ、商標権者は申立人の代表理事である石橋宏典に何らの承諾も得ていない。これより、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。 イ 「法科学解析研究所」は、交通事故鑑定をはじめとする法科学鑑定の分野において一定程度の周知性を有している未登録商標であり、本件商標は、これと類似するものであることから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 ウ 商標権者の代表者であるAは、申立人の代表理事である石橋宏典及び申立人の存在を認識しており、かつては深い関係性にあったにもかかわらず、本件登録に至ったものである。 このような商標登録は商取引上の信義則に反するものであり、かつ、申立人が出願していないことを奇貨として先取り的に商標を取得する行為と評価し得るものであり、公の秩序を害するものであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 エ 本件登録は、商標権者が自ら使用する意志があるとは認められないことから、商標法第3条第1項柱書に違反して登録されたものである。 (3)なお、商標権者は、「SeeDNA」という商標出願を行っている(甲9)。かかる「SeeDNA」は、株式会社seeDNAの法人名と実質的に同一と評価できる商標出願であり、商標権者の代表者であるAは、この法人を認識していた事実が存在する(甲10)。かかる出願についても冒認出願と評価し得るものであり、本件商標と同様の出願と評価し得るものである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。 申立人の代表者である石橋宏典氏(以下「石橋」という。)及び申立人は、平成30年10月ないし令和4年3月に、画像の解析・鑑定により事件の解決に貢献したなどとして、各地の警察署長から感謝状を10回贈られていること(甲6)が認められ、2015年(平成27年)10月及び2017年(平成29年)1月にテレビ朝日で放送された番組に申立人の代表者が出演したことがうかがえる(甲4、甲7)。 しかしながら、引用商標の使用状況等を客観的に示す証拠をはじめ、申立人が提供する役務(法科学鑑定など)の提供件数(取扱件数)、取引額など申立人の取引実績(事業規模)等を示す主張はなく、その証左は見いだせないから、上記事実のみをもって、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を提供するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 そうすると、申立人の略称といえる引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、また、申立人の著名な略称と認めることもできない。 (2)商標法第4条第1項第8号について 本件商標は、上記1のとおり「法科学解析研究所」の文字を標準文字で表してなり、引用商標は、上記2のとおり「法科学解析研究所」の文字からなるものであるから、両商標は同一のものといえる。 しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標「法科学解析研究所」は、申立人の著名な略称と認められないものであるから、本件商標は、他人(申立人)の著名な略称を含む商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものといえない。 (3)商標法第4条第1項第10号について 上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは同一のものといえるものであり、また、本件商標の指定役務の一部が申立人の提供する役務(法科学鑑定など)と同一又は類似するとしても、上記(1)のとおり引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。 (4)商標法第4条第1項第7号について 商標権者の代表社員と法科学鑑定研究所の代表取締役は、共にAであり、同一人であること(甲1、甲2)、A及び申立人の代表者石橋は、法科学鑑定研究所の設立当初(平成25年10月)から石橋が辞任した2016年9月までの間、Aは代表取締役、石橋は取締役であったこと(甲2、甲3、申立人主張)が認められ、2016年(平成28年)8月17日には、Aが石橋に「法科学解析研究所」の文字が文中に記載された「新会社の名称 提案」をタイトルとするEメールを送信したこと(甲5)がうかがえることから、商標権者の代表社員であり、法科学鑑定研究所の代表取締役でもあるAは、申立人の存在を認識していたと推認できる。 しかしながら、商標権者の代表社員及び代表取締役のAが、申立人の存在を認識していたと推認でき、かつ、仮に、Aが申立人の代表者に新会社の名称として「法科学解析研究所」を提案したことが事実であるとしても、その事実のみをもって、直ちに本件商標を先取りすることを目的として剽窃的に出願したとすることはできないものであるから、本件商標の登録が商取引上の信義則に反するとはいえず、他に、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものといえない。 (5)商標法第3条第1項柱書について 商標権者は、「DNA・筆跡・文書偽造・・・科学捜査の解析,研究,鑑定,調査及び検査業務」などを目的としていること(甲1)から、商標権者が本件商標をその指定役務について使用する意思があることを否定することはできないし、他に、商標権者が本件商標をその指定役務に使用する意思があることについて、合理的疑義があったというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。 (6)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第7号、同項第8号及び同項第10号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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