商標異議申立
2022-900380
ウレクリート
- 審判番号
- 2022-900380
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-155138
- 登録番号
- 6580469
- 請求日
- 2022年09月05日
- 審決日
- 2023年09月26日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】中外商工株式会社
- 【権利者代理人】永田 貴久
- 【異議申立人】コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー
- 【異議申立人代理人】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T1651.261-Y (W19) / T1651.262-Y (W19) / T1651.263-Y (W19) / T1651.271-Y (W19)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6580469号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6580469号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6580469号商標(以下「本件商標」という。)は、「ウレクリート」の文字を標準文字で表してなり、令和3年12月13日に登録出願、第19類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年6月7日に登録査定され、同年6月30日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2183772号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「UCRETE」の文字を横書きしてなるもの
指定商品:第19類「合成建築専用材料,セメント及びその製品」
登録出願日:昭和61年8月11日
設定登録日:平成元年10月31日
書換登録日:平成21年12月24日
(2)登録第4931597号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ユークリート」(標準文字)
指定商品:第19類「床材(金属製のものを除く。),リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成板,床面用又は壁用の合成舗設材,その他の合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,セメント及びその製品」を含む第19類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成17年8月5日
設定登録日:平成18年2月24日
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標類否の判断手法
商標の類否の判断手法については、最高裁判決(平成3年(オ)第1805号等)や商標審査基準で示されている。
(2)申立人について
申立人は引用商標に係る商標権の権利者であり、Master Builders Solutions Deutschland GmbH(ドイツ)をメインとする世界中の建設用化学品及びそのソリューションの大手サプライヤーのひとつであるMBCCグループの一員であり、同企業の子会社である(甲1)。
現在は、引用商標の登録当時の権利者から「ゼネカ リミテッド」、「ソロ システム プロダクツ インコーポレイテッド」、「テグサ コンストラクション ケミカルズ(ヨーロッパ)アーゲー」を経由して申立人が引用商標1の指定商品中、水系硬質ウレタンを主成分とした高機能床材(以下「申立人商品」という。)を販売している。
日本においては、同じくMBCCグループの一員である「ポゾリスソリューションズ株式会社」(以下「ポゾリスソリューションズ社」という。)が申立人商品を販売している。
(3)取引の実情等
ア 引用商標について
(ア)引用商標1は、1969年から硬質ウレタンの強靱性、耐薬品性とコンクリートの耐熱性を併せ持ち、腐食性の強い薬液がこぼれ落ちる床や頻繁な重量車両の走行に耐える床として、40か国以上で申立人商品に使用されている(甲2~甲7)。
例えば、1978年作成のPROJECT REFERENCE LIST(甲2)の表紙には大きく「Ucrete」の白抜き文字が記載されており、「本リストはUCRETE床材の適用可能な範囲を示すものです。」と、引用商標1の記載がある。また、当該リストからは、製パン業・製菓業・製糖業、酒造業・清涼飲料製造業、食品業界(ペットフードを含む)など幅広い分野の工場に採用された実績があり、すでにイギリスをはじめ、アイルランド、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ等様々な国で使われていたことが分かる(甲2)。
1981年11月3日付マンチェスター大学作成の放射化学サービスにおける「Ucrete Mf Red」のサンプルの試験報告書においては除染のしやすさで「良」の評価を得ている(甲3)。また、1982年11月にキャムデン食品保存料研究協会が作成した検査報告(甲4)の表紙には引用商標1が記載されており、引用商品(決定注:「引用商標の指定商品」と認める。)のサンプルタイルでのテストにおける申立人商品の品質の高さが示されている。このように歴代の引用商標の商標権者は品質の向上に努めており、その結果、申立人商品は世界中で使用されるようになっていった(甲5~甲7)。
(イ)日本では2002年の「コンクリート用高性能床材」のカタログが発行されていることから、遅くとも2002年には引用商標2を付した高性能床材の販売が開始されており(甲8)、現在も申立人商品は販売され続けており、食品・飲料工場だけではなく、医薬工場、化学工場、整備工場などのさまざまな分野の工場に使用されており、2022年1月10日付で最新版のカタログが発行されている(甲9)。現在、申立人商品の日本での塗床材業界におけるシェアは5~50%となっている。ポゾリスソリューションズ社のウェブサイトでは、「ユークリート」商品だけで11種類ものカタログや資料がダウンロードできるようになっている(甲10)。
そして、ポゾリスソリューションズ社は動画サイト「YouTube」において「MASTER BUILDERS ポゾリス」のチャンネル名で現在、50本の動画を提供しており、そのうち15本が引用商標に係る商品に関するものである(甲11)。
また、「塗り床ハンドブック(平成24年版)」(編著:日本塗り床工業会、発行:株式会社工文社)の「塗り床主要商品一覧表」にメーカー名の欄にBASFポゾリス、その他の樹脂塗床材の欄に各種「ユークリート」商品名が掲載されている(甲12)。
そして、「塗り床ハンドブック(令和2年版)」(同上)にも塗り床主要商品として、「ポゾリスソリューションズ」の水性硬質ウレタン系塗布型塗り床材である「ユークリート」商品が掲載されている(甲13)。
上記書籍の編著者である日本塗り床工業会のウェブサイトの「塗床の主な商品」ページにも「BASF ジャパン」の名で「ユークリート」各商品が掲載されている(甲14)。
さらに、検索エンジンGoogleにて、「ユークリート」という文字で検索すると、検索結果一覧に引用商標に係る商品が複数表示され(甲15)、ポゾリスソリューションズ社のウェブサイトのみならず、施工業者のウェブサイトでも引用商標に係る商品が紹介されている(甲16~甲20)。
また、「閲覧会員数、出展企業数がともにNo.1のBtoBデータベースサイト」であり、150万人を超える会員が登録している「イプロス」のサイトにも引用商標2である「ユークリート」が「高耐久・水系硬質ウレタン塗り床材」として掲載されている(甲21)。
イ 引用商標の認知度
以上によると、申立人商品は、50年以上も前から販売され、日本においても少なくとも20年以上にわたり販売され続けていることが分かる。いわゆるBtoB取引のため、一般需要者の目に触れるような大々的な広告宣伝はしていないものの、長年にわたる使用により、日本においても申立人商品の高い品質は業界では広く知られており、信頼されている。このような使用・販売実績によって、申立人商品は塗床材の業界において、本件商標の登録査定時に広く知られていたというべきである。
ウ 需要者の注意力
本件商標及び引用商標の指定商品は、いずれも塗床材の施工業者を通じて、最終の需要者である飲食料品メーカー、医薬品メーカー、化学品メーカー等の工場に販売されるが、各メーカーにとって重要なのは塗床材の品質であり、施工業者を通じて商品の施工を受けることから、その需要者は、高度の注意力をもって商品選択するとは限らない。
(4)本件商標と引用商標との類否について
ア 類否判断の前提としての取引の実情
引用商標1「UCRETE」及び引用商標2「ユークリート」は水系硬質ウレタンを主成分とした床材として本件商標の登録査定時に広く知られていたという事実は上記(3)において述べたとおりであり、この事実は、塗床材の需要者であるメーカー等の間で広く一般的に認識されている実情である。したがって、本件商標と引用商標について出所混同のおそれがあるか否かを判断するにあたっては、「UCRETE」及び「ユークリート」商標が水系硬質ウレタンを主成分とした床材として広く知られているという取引実情を考慮に入れて判断すべきである。
イ 観念
本件商標「ウレクリート」、引用商標1「UCRETE」及び引用商標2「ユークリート」は、明瞭な意味を有する言葉ではない。しかしながら、観念は明瞭な意味に限定されない。観念とは、商標に接する需要者が、取引上自然に想起する意味又は意味合いをいう(商標審査基準 第4条第1項第11号)。また、「意味合い」とは、「他の物事や表現とのかかわりにおいて帯びる意味。また、それとなく示される意味内容。」とされている(甲22)。さらに、最高裁判決(平成3年(オ)第1805号)でも、明瞭な観念が生じないものの「増毛効果を連想させる樹木を想起させる。」等として観念の対比を認めている。
そこで、本件について同様に検討する。引用商標1「UCRETE」及び引用商標2「ユークリート」は「Urethane(ウレタン)」の頭文字である「U」と、「Concrete(コンクリート)」から取った「crete(クリート)」を結合させた造語である。しかし、造語であるからといって、直ちに観念を有しないということはできない。上述したとおり、「UCRETE」及び「ユークリート」はウレタンを主成分としたコンクリート用高性能床材の名称であるとして広く知られている。したがって、塗床材を扱うメーカー等の需要者は「UCRETE」「ユークリート」からウレタンを使用するコンクリート用床材を想起するということができる。
一方、本件商標は「ウレクリート」の文字より構成されるところ、構成部分「ウレ」からは「ウレタン」、「クリート」からは「コンクリート」が想起されることから、ウレタンを使用するコンクリート材程の観念が生じる。
上述したとおり、ウレタンを主成分とした床材としてはコンクリート用高性能床材の名称である「UCRETE」「ユークリート」が広く知られている。したがって、本件商標を指定商品「合成樹脂製塗り床材」に使用した場合、これに接する需要者は「ウレタン」を材料とする床材として広く知られている「UCRETE」「ユークリート」と観念上混同するおそれがあるということができる。そして、「合成樹脂製塗り床材」とそれ以外の指定商品は建築材料である点で共通し、需要者が共通する。そうすると、「合成樹脂製塗り床材」以外の商品についても、混同のおそれがあるといえる。
したがって、両商標は観念においてほぼ同一であるといい得る程度に類似しているということができる。
ウ 称呼
本件商標からは「ウレクリート」の称呼の他に、ウレタンを想起させる「ウレ」、コンクリートを想起させる「クリート」の称呼も生じると考えるのが自然である。
一方、引用商標1「UCRETE」及び引用商標2「ユークリート」の構成中「U」「ユー」は、記号又は符号として一般的に使用されるローマ字であることから、引用商標1及び2からは「CRETE」「クリート」が抽出されて認識され「ユークリート」の称呼の他に「クリート」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標は「クリート」の称呼において共通することから、称呼上類似する商標であるということができる。
エ 外観
本件商標は、上述したとおり、「ウレタン」を想起させる「ウレ」及び「クリート」の結合商標である。一方、引用商標2は記号又は符号として一般的に使用されるローマ字「U」の片仮名表記である「ユー」及び「クリート」の結合商標である。
したがって、本件商標と引用商標2は「クリート」の構成部分が共通することから、外観上相紛れるおそれのある商標であるということができる。
オ 総合判断
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念においてほぼ同一であるといい得る程度に類似しており、称呼において共通する場合があり、さらに引用商標2については外観においても類似する商標であることから、互いに類似する商標であるというべきである。引用商標1については、外観において片仮名と欧文字の相違があるものの、時と場所を異にする離隔的観察により判断する場合には、観念及び称呼の類似性より混同を生ずるおそれが高いということができる。
ここで、結合商標の類否判断については、商標法第4条第1項第11号の審査基準において「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。」と規定されている。上述したとおり、引用商標1「UCRETE」及び引用商標2「ユークリート」の構成中「U」「ユー」は、記号又は符号として一般的に使用されるローマ字であることから、引用商標1及び2からは「CRETE」「クリート」が抽出されて観察される場合もある。本件商標「ウレクリート」は、需要者の間に広く認識されている「UCRETE」及び「ユークリート」から抽出される「CRETE」「クリート」と結合した商標であることから、審査基準に照らしても、本件商標と引用商標は類似する商標であるということができる。
(5)指定商品の類否
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。
(6)商標法第4条第1項第11号
以上により、本件商標と引用商標とは類似し、両商標の指定商品は同一又は類似である。
したがって、本件商標は、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品又はこれに類似する商品について使用をするものであるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第15号
仮に、本件商標と引用商標との類似性が高くないと判断されたとしても、以下の理由で本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標に該当する。
本号の「混同を生ずるおそれ」の有無は、a)当該商標と他人の表示との類似性の程度、b)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、c)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性、d)その他取引の実情などに照らし、e)当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁判決(平10(行ヒ)85号))。
a)については、本件では、本件商標及び引用商標は、語尾に「CRETE」を構成要素とする点で共通する。混同のおそれを肯定するには、商標の類似や商品の類似が必要であるわけではない。したがって、仮に本件商標と引用商標が類似しないと判断されたとしても本号該当の可能性がある(参考:高部眞規子「実務詳説 商標関係訴訟」)。
b)について、引用商標は(3)のとおり、申立人商品を扱う塗床材の業界において広く知られている。また、引用商標は造語であり、独創性の高いものである。したがって、これらの要素は、少なくとも同一の産業分野内の商品において、混同を生ずるおそれが肯定される要素となる(同上)。
c)については、(5)で述べたとおり、商品については同一又は類似であり、しかも、申立人商品と本件商標に係る商品はともに水硬性ウレタンの床材であるから、商品間の関連性並びに取引者及び需要者の共通性は非常に強い。
d)及びe)については、(3)ウの需要者の注意力等から混同を生ずるおそれが肯定される要素となる。
以上により、a)について、本件商標及び引用商標は語頭が異なるという相違点があるものの、後半部分が同一又は類似であり、その他の要素、b)~e)を考慮しても出所の混同のおそれが肯定されるべきである。
よって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、商標「UCRETE」を使用した商品(床材)は、1969年から製造、販売されていること(甲9)、我が国においては、引用商標2を使用した商品(床材)(以下「引用2商品」という。)が、遅くとも2002年頃から販売され、病院廊下、医薬品工場、食品工場などで使用されていること(甲8)、2020年6月頃には「ポゾリスソリューションズ株式会社」(ポゾリスソリューションズ社)が引用2商品を販売していること(甲9、甲13)及び引用2商品は、2022年11月頃において、複数の施工事業者のウェブページで紹介等されていること(甲16~甲20)などが認められる。
しかしながら、引用2商品の売上高、市場シェアなど販売実績を示す証左は見いだせず、また、引用商標1が、我が国において床材などの商品に使用されている事実は確認できない。
イ 上記アのとおり、引用2商品は、我が国において、遅くとも2002年頃から販売され、病院廊下、医薬品工場、食品工場などで使用され(甲8)、2020年6月頃には申立人の関連会社と思われるポゾリスソリューションズ社が販売していることなどが認められるものの(甲13)、引用2商品の販売実績を示す証左は見いだせないから、引用2商品及びそれに使用されている引用商標2は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人(関連会社を含む。)の業務に係る商品として及び同商品を表示するものとして、いずれも需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標1は、それが我が国において床材などの商品に使用されている事実が確認できないから、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人(関連会社を含む。)の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、申立人は、水系硬質ウレタンを主成分とした高機能床材(申立人商品)の日本での塗床材業界におけるシェアは5~50%となっている旨主張しているが、その数値の幅は大きく、何より当該数値を裏付ける証左は見いだせないから、かかる主張は採用できない。
したがって、引用商標はいずれも、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「ウレクリート」の片仮名を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ウレクリート」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1は、上記2(1)のとおり「UCRETE」の欧文字を横書きしてなり、該文字に相応し「ユークリート」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
引用商標2は、上記2(2)のとおり「ユークリート」の片仮名を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ユークリート」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観において、まず、本件商標「ウレクリート」と引用商標1「UCRETE」とは、両者の構成文字の相違により、明らかに区別し得るものである。
また、本件商標「ウレクリート」と引用商標2「ユークリート」を比較すると、両者は文字商標における外観の識別上重要な要素である語頭部において、「ウレ」と「ユー」の文字の差異を有し、その差異が両商標の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標から生じる「ウレクリート」と引用商標から生じる「ユークリート」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭部において、「ウレ」と「ユー」という音の差異を有し、その差異が両称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、相紛れるおそれのないものというのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないものであるとしても、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標及び引用商標はいずれも「クリート」の称呼が生じるなどとして、両商標は類似する旨主張している。
しかしながら、本件商標及び引用商標の構成態様などからすれば、両商標から「クリート」の称呼が生じるというべき事情は見いだせず、上記のとおりの外観及び称呼が生じるものと判断するのが相当であるから、申立人のかかる主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、引用商標の独創性の程度、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「床材」との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-900380