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商標異議申立

2022-900379

タカラヤサイ、タカラ、ホー

審判番号
2022-900379
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-075592
登録番号
6589117
請求日
2022年09月02日
審決日
2023年11月21日
公報発行日
2024年02月22日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】有限会社美馬グリーンサービス
  • 【異議申立人】宝ホールディングス 株式会社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人みのり特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T1651.261-Z (W31) / T1651.262-Z (W31) / T1651.263-Z (W31) / T1651.271-Z (W31)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6589117号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6589117号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6589117号商標(以下「本件商標」という。)は、「宝野菜」の漢字を横書きしてなり、令和3年6月4日に登録出願、第31類「野菜(「茶の葉」を除く),カットした野菜」を指定商品として、同4年1月31日に登録査定、同年7月20日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第2312832号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:宝 登録出願日:昭和58年3月3日 設定登録日:平成3年6月28日 書換登録日:平成16年5月26日 更新登録日:令和3年3月25日 指定商品:第29類「冷凍野菜」及び第31類「しめじ,その他の野菜」を含む第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第2312833号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:タカラ 登録出願日:昭和58年3月3日 設定登録日:平成3年6月28日 書換登録日:平成16年5月26日 更新登録日:令和3年3月25日 指定商品:第29類「冷凍野菜」及び第31類「しめじ,その他の野菜」を含む第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第2312834号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:TAKARA 登録出願日:昭和58年3月3日 設定登録日:平成3年6月28日 書換登録日:平成16年5月26日 更新登録日:令和3年3月25日 指定商品:第29類「冷凍野菜」及び第31類「しめじ,その他の野菜」を含む第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (4)登録第2430759号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:TAKARA 登録出願日:昭和50年2月17日 設定登録日:平成4年6月30日 書換登録日:平成18年9月20日 更新登録日:令和4年3月25日 指定商品:第29類「冷凍野菜」及び第31類「野菜」を含む第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (5)登録第2430761号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:宝 登録出願日:昭和50年2月17日 設定登録日:平成4年6月30日 書換登録日:平成18年9月6日 更新登録日:令和4年3月25日 指定商品:第29類「冷凍野菜」及び第31類「野菜」を含む第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (6)登録第2491034号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:タカラ 登録出願日:昭和57年4月22日 設定登録日:平成4年12月25日 書換登録日:平成17年2月2日 更新登録日:令和4年9月30日 指定商品:第29類「冷凍野菜」及び第31類「野菜」を含む第29類ないし第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (7)登録第3161895号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の構成:TaKaRa 登録出願日:平成5年6月29日 設定登録日:平成8年5月31日 更新登録日:平成28年5月10日 指定商品:第31類「うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,果実,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,種子類,木,草,芝,ドライフラワ―,苗,苗木,花,牧草,盆栽」 (8)登録第5229915号商標(以下「引用商標8」という。) 商標の構成:TaKaRa(標準文字) 登録出願日:平成19年7月2日 設定登録日:平成21年5月15日 更新登録日:平成31年4月16日 指定役務:別掲1のとおり (9)登録第5229916号商標(以下「引用商標9」という。) 商標の構成:宝(標準文字) 登録出願日:平成19年7月2日 設定登録日:平成21年5月15日 更新登録日:平成31年4月16日 指定役務:別掲1のとおり (10)登録第5229917号商標(以下「引用商標10」という。) 商標の構成:タカラ(標準文字) 登録出願日:平成19年7月2日 設定登録日:平成21年5月15日 更新登録日:平成31年4月16日 指定役務:別掲1のとおり (11)登録第6050524号商標(以下「引用商標11」という。) 商標の構成:たから(標準文字) 登録出願日:平成29年9月5日 設定登録日:平成30年6月8日 指定商品:第31類「ホップ,野菜,糖料作物,果実,麦芽,飼料」 (12)登録第6606928号商標(以下「引用商標12」という。) 商標の構成:寳(標準文字) 登録出願日:平成31年1月30日 設定登録日:令和4年8月29日 指定役務:別掲2のとおり 2 申立人が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録商標は、次のとおりであり(以下、これらをまとめて「15号引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第57800号商標 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:大正1年12月30日 設定登録日:大正2年3月5日 書換登録日:平成16年7月21日 更新登録日:令和5年1月4日 指定商品:第5類「薬用酒」、第32類「ビール」、第33類「日本酒(「清酒、合成清酒及びみりん」を除く。),洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 (2)登録第85292号商標 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:大正6年2月25日 設定登録日:大正6年4月27日 書換登録日:平成20年9月24日 更新登録日:平成29年8月1日 指定商品:第33類「みりん」 (3)登録第462127号商標 商標の構成:別掲5のとおり 登録出願日:昭和28年9月15日 設定登録日:昭和30年3月10日 書換登録日:平成18年8月30日 更新登録日:平成26年12月16日 指定商品:第33類「洋酒,果実酒,中国酒,虎骨酒,にんじんきなてつぶどう酒」 (4)登録第980690号商標 商標の構成:タカラ 登録出願日:昭和38年9月4日 設定登録日:昭和47年9月18日 書換登録日:平成16年6月2日 更新登録日:令和4年4月4日 指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 (5)登録第1610421号商標 商標の構成:宝 登録出願日:昭和50年12月3日 設定登録日:昭和58年8月30日 書換登録日:平成15年12月17日 更新登録日:令和5年4月4日 指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 (6)登録第3129606号商標 商標の構成:TaKaRa 登録出願日:平成5年6月29日 設定登録日:平成8年3月29日 更新登録日:平成28年1月19日 指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 (7)登録第4348726号商標 商標の構成:タカラ 登録出願日:平成10年11月18日 設定登録日:平成12年1月7日 更新登録日:令和2年1月7日 指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 (8)登録第5896400号商標 商標の構成:別掲6のとおり 登録出願日:平成27年12月17日 設定登録日:平成28年11月11日 指定商品:第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,マッコリ,ソジュ,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」 (9)登録第6137565号商標 商標の構成:寶 登録出願日:平成30年7月2日 設定登録日:平成31年4月12日 指定商品:第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第69号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「宝」と「野菜」の二語を結合したものと解されるところ、構成全体として特定の意味合いを認識させる既成語ではなく、また、「宝」と「野菜」の文字の間の意味の関連性も全く見出せないから、その結合の程度は強いとはいえず、構成全体を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の事情は存しない。 当該構成中「野菜」の文字は、「生食または調理して、主に副食用とする植物の総称。」(広辞苑第七版)として日常良く親しまれた語であって、本件の指定商品の「野菜(「茶の葉」を除く),カットした野菜」との関係においては、商品の普通名称または商品の品質表示にすぎないことは明らかである。 そうとすれば、本件商標中「野菜」の文字部分からは、出所識別標識としての称呼・観念は生じないといえる。 これに対し、構成中の「宝」の文字は、商品の品質とは全く関係のない語であって、それ自体強い識別力を有することに加え、後述のとおり、「宝」商標は、申立人及び申立人のグループ会社のハウスマーク・商標として食品分野において周知・著名なものである。 してみれば、本件商標中、語頭部に位置する「宝」の文字部分が、商品の出所識別標識として圧倒的に強く支配的な印象を与えるといえ、それ以外の部分からは出所識別標識としての称呼・観念は生じないから、「宝」の文字部分が独立して取引に資される場合があるものとみるのが相当であり、また、最高裁判決(最高裁平成19年(行ヒ)第223号(平成20年9月8日第二小法廷判決))及び審査基準による結合商標の類否判断の考え方に照らしてみても、本件商標は、「宝」の部分を商標の要部として抽出し分離観察した類否判断が妥当である。 したがって、本件商標は、その要部である「宝」の文字部分から、これに相応した「タカラ(宝)」の称呼及び観念も生じるものといえる。 他方、引用商標は、「宝(賓)」「タカラ」「TAKARA」「TaKaRa」の構成文字に相応して、「タカラ(宝)」の称呼及び観念を生じることは明らかである。 なお、引用商標12を構成する「賓」の文字は、「宝」の異体字であって、「宝」と同義・同音の同じ文字として広く通用している文字である。 してみれば、本件商標は、引用商標と、「タカラ(宝)」の称呼及び観念と「宝」の構成文字を共通にし、出所混同のおそれのある類似商標であるといえ、かつ、その指定商品も、引用商標の指定商品・指定役務と抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)15号引用商標の周知・著名性について ア 申立人は、大正14年(1925年)9月に「賓酒造株式会社」として設立され、以来、我が国屈指の酒類及び調味料・飲料・食料品、並びに醗酵・醸造技術に裏付けられたバイオ関連製品の総合メーカーとして成長を遂げ、平成14年(2002年)4月1日付で、持株会社「宝ホールディングス株式会社」へと移行したものであり、「宝グループ」として、「宝酒造株式会社」などを傘下に置き、同グループ全体の経営を統括するものである。 同グループの会社数は、2021年3月31日現在、国内13社・海外47社の60社である(甲23、甲27)。 また、グループ全体の売上高については、例えば2018年3月期は約2,680億円(甲28)、2021年3月期は約2,784億円である(甲27、甲28)。 イ 宝グループの製品にはいずれも、15号引用商標に代表される「賣(宝/タカラ)」印と称呼、観念される「賓(宝)」「タカラ」「TaKaRa」の文字からなる商標、あるいはこれらを要部とする商標が、ハウスマーク及びその業務に係る商品の商標として永年に亘って使用されており、これらの商標は、本件商標の出願前には既に、取引者・需要者において広く認識されるに至っていたものである(甲23~甲32)。 ウ 例えば、「賓(宝)」商標は、設立以前の前身の個人経営・合名会社の時代から現在に至るまで、焼酎及び味醂について使用されているものであり、早くに著名性を獲得していることは、判決において確認されている(甲35~甲39)。 そして、上記判決においては、焼酎・味醂について、申立人の「賓(宝)」商標の著名性が認められているとともに、食料品および加味品は、酒類とともに酒類食料品店において販売されていることが多いという顕著な事実があるとして、調味料や生鮮食料品、乾物類、加工食品の所属する、旧々第45類「他類に属せざる食料品及加味品」(又は、旧々第45類「他類に属しない食料品及び加味品」)の指定商品に使用する場合は、商品の出所について、誤認・混同を生ずるおそれがある旨、認定されている。 エ 片仮名の「タカラ」商標も、前記「賓(宝)」商標と並んで、みりん、焼酎、料理用清酒、チューハイ等のソフトアルコール飲料等について永年使用され著名となり、防護標章登録を受けた(甲34の2、甲34の3)。 オ 英文字の「TaKaRa」商標は、チューハイ等のソフトアルコール飲料や梅酒・リキュール、タカラバイオ株式会社の業務に係る大多数の商品について、また、八稜鏡輪郭内に「賓」の文字を表した図形とともに、宝酒造インターナショナル株式会社、タカラバイオ株式会社等のハウスマークとして使用されているほか、申立人のハウスマークとしても使用され、国内外に広く知られている。 カ 八稜鏡輪郭内に「賓」の文字を表した構成よりなる商標は、申立人及び宝グループ各社のハウスマークとして、また、みりんや焼酎・チューハイ等の商品について、大々的に使用されている。 キ 「賓(宝/タカラ)」印と称呼観念される「賓(宝)」「タカラ」「TaKaRa」商標は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の「日本国周知・著名商標検索」データ(甲33、甲34の1)や、AIPPI・JAPAN発行「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN/日本有名商標集」(甲40)にも収録されている。 ク 15号引用商標については、申立人及び、その子会社の宝酒造株式会社をはじめとする宝グループ会社のハウスマークとして、また、その業務に係る商品の商標として永年使用され、殊に、酒類や、みりん・料理用清酒等の酒類調味料をはじめとする食品分野において、本件商標の登録出願前には、既に全国的に周知・著名なものとなっていた(甲23~甲56)。 (2)出所の混同のおそれについて ア 前述のとおり、本件商標は、その構成中「宝」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであって、15号引用商標と「タカラ(宝)」の称呼及び観念と「宝」の文字を共通にし、類似性の高い類似の商標である。 また、15号引用商標は、殊に、酒類や、みりん・料理用清酒等の酒類調味料等の分野において、本件商標の登録出願前には既に、全国的に周知・著名なものとなっていたものといえる。 イ 15号引用商標は、申立人及び、その子会社の宝酒造株式会社をはじめとする宝グループ会社のハウスマークである。 ウ 食品分野においては、企業の経営多角化により同一事業者によって多岐に渡る食品分野の商品が製造・販売されることも多いといえる。 実際に、申立人のグループ会社の業務範囲も、酒類にとどまらず、調味料やバイオ事業、また、酒かすや米・麦・飼料等を取り扱っているほか、これまでにも、本件商標の指定商品に含まれる「キノコ」や、清涼飲料、健康食品等の食品分野に広く及んで業務を行ってきた実績がある。 また、現在でも、ノンアルコール飲料の分野への参入のほか、加工・業務用商品や海外日本食材卸事業に事業領域を拡大して地域的にも世界にネットワークを有するなど、食に纏わる事業を広く展開している(甲23~甲32)。 エ 本件の指定商品は、酒類や酒類調味料と、食品分野の商品である点や用途において共通し、需要者も共通にする。 また、商品が販売される際には、近年のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の多品目を扱う小売業の発達により、食品の商品は同一店舗・同一取引業者において取り扱われることが多いことは周知の事実であり、このことは、前記判決においても示されている(甲35)。この点については酒類・酒類調味料と「野菜」との関係においても同様といえ、流通・小売業が発達した現在において、同一の売場で売られる頻度が当該判決時よりも高くなっていることは明らかである。 してみれば、本件の指定商品は、酒類や酒類調味料と、販売部門や用途、需要者・取引者の範囲が一致し、互いに密接な関連性を有するものといえる。 さらに、本件の指定商品は、申立人グループがこれまでに業務を行ってきた実績のある「キノコ」を含むものである。 オ 本件商標は、「宝」の文字部分が出所識別標識としての機能を果たし、15号引用商標と「タカラ(宝)」の称呼及び観念を共通にする類似の商標であるが、仮に、本件商標が外観上まとまりよく一体に表されたものとみることや観念上何らかの繋がりがあるものとみることがあったとしても、出所の混同を生ずるおそれのある商標であって、本号に該当するものといえる。 カ 以上のとおり、本件商標が、その指定商品について使用された場合、これに接する取引者・需要者は、顕著に表された「宝」の文字部分から、周知・著名な申立人及び申立人グループ会社の「賓(宝/タカラ)」印と称呼観念される15号引用商標を想起して、当該商品があたかも申立人及び申立人グループ会社の業務に係る商品であるかの如く誤認して取引に当たる蓋然性が極めて高いといえ、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審における取消理由 当審において、令和5年6月22日付けで、本件商標権者に対し、「本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 第5 本件商標権者の意見 商標権者は、上記第4の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べていない。 第6 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1) 本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「宝野菜」の漢字を横書きしてなり、「宝」と「野菜」の二語を結合したものと容易に認識されるというべきである。 そして、本件商標の構成文字は、全体として特定の意味合いを認識させる既成語ではなく、また、両文字間に意味の関連性もなく、その結合の程度は強いとはいえないものであって、構成全体を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の事情は存しない。 さらに、本件商標の構成中「野菜」の文字は、日常親しまれた語であって、本件商標の指定商品との関係においては、商品の普通名称又は商品の品質表示にすぎないことは明らかである。 そうとすれば、本件商標は、その構成中の「宝」の文字部分(以下「本件要部」という。)が独立して取引に資される場合があるものとみるのが相当であり、本件要部からは、「宝」の文字に相応して、「タカラ」の称呼及び「貴重な品物。大切な財物。」の観念を生じるものというべきである。 (2)引用商標について 上記第2の1のとおり、引用商標1、引用商標5及び引用商標9は、「宝」の漢字から、引用商標2、引用商標6及び引用商標10は、「タカラ」の片仮名から、引用商標3及び引用商標4は、「TAKARA」の欧文字から、引用商標7及び引用商標8は、「TaKaRa」の欧文字から、引用商標11は、「たから」の平仮名から、並びに、引用商標12は、「宝」の旧字体である「寳」の漢字から、それぞれ構成されるものであるから、引用商標よりは「タカラ」の称呼及び「貴重な品物。大切な財物。」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標1、引用商標5、引用商標9及び引用商標12との類否について 本件商標と引用商標1、引用商標5及び引用商標9を比較するに、外観においては、全体としては相違するものであるが、本件要部との比較においては、「宝」の漢字からなる点において共通にするものであって、近似するものである。また、本件商標と引用商標12を比較するに、外観においては、全体としては相違するものであるが、本件要部との比較においては、書体において常用漢字と旧字体の差異を有するのみであって、近似した印象を与えることから、本件要部と引用商標1、引用商標5、引用商標9及び引用商標12とは、外観を共通にするか近似するものである。 そして、称呼においては、「タカラ」を共通にし、また、観念においては、「貴重な品物。大切な財物。」を共通にするものである。 そうすると、本件商標と引用商標1、引用商標5、引用商標9及び引用商標12は、全体の外観において相違するものの、本件要部との比較においては、外観を共通にするか又は近似し、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、商品又は役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。 (4)本件商標と引用商標2、引用商標3、引用商標4、引用商標6、引用商標7、引用商標8、引用商標10及び引用商標11との類否について 本件商標と引用商標2、引用商標3、引用商標4、引用商標6、引用商標7、引用商標8、引用商標10及び引用商標11(以下、これらをまとめて「引用商標2等」という。)を比較するに、外観においては、漢字と片仮名、平仮名又は欧文字という文字種の差異を有するものではあるが、我が国の商取引においては、例えば、漢字からなる商標をその読みに対応した平仮名や欧文字で代替的に表記したり、又はその逆に表記したりすることが、一般的に行われていることからすれば、文字種の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえない。さらに、本件商標及び引用商標2等は、いずれも普通に用いられる方法で表されており、外観において格別特徴があるものではない。 そして、称呼においては、「タカラ」を共通にし、また、観念においては、「貴重な品物。大切な財物。」を共通にするものである。 そうすると、本件商標と引用商標2等は、全体の外観においては、構成文字が相違し、明確に区別し得るものの、称呼及び観念を共通にするものであり、本件要部との比較における外観上の差異は、本件商標と引用商標2等に接する者に対し、称呼及び観念を共通にすることによる類似性を凌駕するほどの差異として認識されるとはいえないものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、商品又は役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。 (5)本件商標と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について 本件商標の指定商品は、引用商標1ないし引用商標3の指定商品中、第29類「冷凍野菜」及び第31類「しめじ,その他の野菜」、引用商標4ないし引用商標6の指定商品中、第29類「冷凍野菜」及び第31類「野菜」、引用商標7の指定商品中、第31類「野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉」、引用商標8ないし引用商標10の指定役務中、第35類「飲食料品(「ウースターソース・グレービーソース・ケチャップソース・オイスターソース・中華調味用ソース・焼きそば用ソース・お好み焼きソース・その他の調味用ソース・だし入りしょうゆ・しょうゆ・食酢・酢の素・そばつゆ・うどんつゆ・だしつゆ・煮魚用つゆ・その他の調味用つゆ・中華風ドレッシング・だしわりドレッシング・ドレッシング・ホワイトソース・マヨネーズソース・焼肉のたれ・焼鳥のたれ・蒲焼のたれ・しゃぶしゃぶのたれ・その他の調味用たれ・だしの素・つゆの素・漬物用調味液・おでん用調味料・プロテイン・植物性油脂・しょ糖脂肪酸・デキストリンよりなる炊飯用調味液・五目おこわ調味液・辛子明太子漬込み調味液・イクラ漬込み調味液・カレー風味調味液・サザエ調味液・塩にうまみと酸味を配合した各種調味液のベース用調味液・工業用粉類・豆・米・脱穀済みのえん麦・脱穀済みの大麦・食用粉類・あわ・きび・ごま・そば・とうもろこし・ひえ・麦・籾米・もろこし」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、引用商標11の指定商品中、第31類「野菜」、並びに、引用商標12の指定役務中、第35類「飲食料品(「ウースターソース・グレービーソース・ケチャップソース・オイスターソース・中華調味用ソース・焼きそば用ソース・お好み焼きソース・その他の調味用ソース・だし入りしょうゆ・しょうゆ・食酢・酢の素・そばつゆ・うどんつゆ・だしつゆ・煮魚用つゆ・その他の調味用つゆ・中華風ドレッシング・だしわりドレッシング・ドレッシング・ホワイトソース・マヨネーズソース・焼肉のたれ・焼鳥のたれ・蒲焼のたれ・しゃぶしゃぶのたれ・その他の調味用たれ・だしの素・つゆの素・漬物用調味液・おでん用調味料・プロテイン・植物性油脂・しょ糖脂肪酸・デキストリンよりなる炊飯用調味液・五目おこわ調味液・辛子明太子漬込み調味液・イクラ漬込み調味液・カレー風味調味液・サザエ調味液・塩にうまみと酸味を配合した各種調味液のベース用調味液・工業用粉類・豆・米・脱穀済みのえん麦・脱穀済みの大麦・食用粉類・あわ・きび・ごま・そば・とうもろこし・ひえ・麦・籾米・もろこし」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とその販売者、提供者、販売場所、提供場所及び需要者の範囲などが一致するものといえるから、それぞれ、同一又は類似の商品又は役務というべきである。 (6)小括 以上のとおり、本件商標は引用商標と類似する商標であり、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について 商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から前号までに掲げるものを除く。)」と規定されている。 したがって、本件商標は、上記1のとおり、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同項第15号の括弧書きの規定により、同号に該当するとはいえない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しないものの、引用商標に類似する商標であって、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品について使用するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900379

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