商標異議申立
2022-900371
オーロラシグレ、オーロラ、シグレ
- 審判番号
- 2022-900371
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-151104
- 登録番号
- 6574564
- 請求日
- 2022年08月29日
- 審決日
- 2023年07月10日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ヤマサ蒲鉾株式会社
- 【異議申立人】レロイ・シーフード・アクシェセルスカプ
- 【異議申立人代理人】山尾 憲人
- 【異議申立人代理人】勝見 元博
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T1651.261-Y (W29) / T1651.262-Y (W29) / T1651.263-Y (W29) / T1651.271-Y (W29) / T1651.4 -Y (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法8条1項商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第8条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6574564号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6574564号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6574564号商標(以下「本件商標」という。)は、「オーロラしぐれ」の文字を標準文字で表してなり、令和3年12月3日に登録出願、第29類「肉製品,かに風味かまぼこ,その他の加工水産物」を指定商品として、同4年5月23日に登録査定、同年6月20日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1357691号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲のとおり
国際商標登録出願日:2017年(平成29年)3月7日
優先権主張日 2016年(平成28年)9月7日(Norway)
設定登録日:平成31年4月12日
指定商品:第29類「Fish, fresh, chilled or frozen (not live), other edible aquatic animals, fresh, chilled or frozen (not live); processed fish products for human consumption.」
(2)登録第5068083号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:AURORA QUALITY(標準文字)
登録出願日:平成18年11月13日
設定登録日:平成19年8月3日
指定商品・役務:第29類「魚(生きているものを除く。),その他の食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物」並びに第40類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務
(3)登録第5068084号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:AURORA SEAFOOD(標準文字)
登録出願日:平成18年11月13日
設定登録日:平成19年8月3日
指定商品・役務:第29類「魚(生きているものを除く。),その他の食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物」並びに第40類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務
(4)登録第5154510号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:AURORA SALMON(標準文字)
登録出願日:平成18年11月13日
設定登録日:平成20年7月25日
指定商品:第29類「さけ(生きているものを除く。),さけの加工水産物」
(5)登録第5285362号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:オーロラサーモン(標準文字)
登録出願日:平成20年12月12日
設定登録日:平成21年12月4日
指定商品・役務:第29類「さけ(生きているものを除く。),さけの加工水産物」並びに第40類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務
(6)登録第6575656号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:AURORA TROUT
登録出願日:令和3年6月29日
設定登録日:令和4年6月22日
指定商品:第29類「マス(生きているものを除く。),食用マス(生きているものを除く。),マスを使用した加工水産物,マスを主原料とする加工品,保存加工したマス」
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について
ア 本件商標は、「オーロラ」と「しぐれ」の文字を結合してなる商標である。
「オーロラ」は、「地球の南北極に近い地方でしばしば100キロメートル以上の高さの空中に現れる美しい薄光」を意味し(甲8)、我が国でも、北欧への観光旅行の目玉として、その観察が人気の高い自然現象の一である。
「しぐれ」は、「秋の末から冬の初め頃に、降ったりやんだりする雨」を第一義とし、「しぐれ煮」「しぐれ蛤」など、貝類をしょうがなどの香味を添えて醤油などで煮しめた料理として、水産物の調理加工法の一として、古くからありふれて使用されている(甲9~甲14)。
かかる事情からすれば、本件商標は、同商標の構成中「しぐれ」部分から自他商品識別機能を発揮する称呼、観念を生じさせず、むしろ、「オーロラ」の文字を要部として認識され得るものである。
よって、本件商標は、その構成全体から、「オーロラシグレ」の称呼のみならず、「オーロラ」の称呼をも生じさせ得るというべきである。
イ 申立人は、欧文字「AURORA」の語からなる、あるいは、同語ないしその表音である「オーロラ」の文字を含む引用商標を所有している。
引用商標6の登録日は、本件商標のそれよりも劣後するが、いずれの引用商標も、本件商標よりも先の出願日(優先日)を有する。
引用商標1は、「AURORA」の文字を多少図案化したものであって、「オーロラ」と称呼し得る。
引用商標2ないし引用商標6は、「AURORA」又は「オーロラ」の文字にそれぞれ、「品質」を意味する「QUALITY」、「シーフード(魚介類、海藻類などの水産食品の総称)」を意味する「SEAFOOD」、「サーモン(鮭)」を意味する「SALMON」「サーモン」、「ます(鱒(ニジマス))」を意味する「TROUT」という、加工水産物との関係で自他商品識別力の弱い記述的な語とを結合したものであり、「AURORA」又は「オーロラ」の文字部分が、強く支配的な印象を与えるものであるから、いずれも「オーロラ」の称呼が生じ得る。
とりわけ、引用商標4及び引用商標5は、また、申立人は、引用商標を、遅くとも2003年頃から現在に至るまで、長年にわたり、養殖生産地であるノルウェーから日本に輸入されるアトランティックサーモンについて継続的に使用してきたものであって、その継続的な使用の結果、遅くとも本件商標の出願日である2021年12月3日には、引用商標4及び引用商標5は、関連する需要者及び取引者の間で、申立人の業務に係る商品の出所を示す表示として、広く知られるに至っていたというべきであり、その周知著名性は、現在に至るまで維持されている。
申立人は、ノルウェー国最大手の水産物輸出業者であり、同社が日本に輸入するアトランティックサーモン(以下「オーロラサーモン」という。)は、2003年に、京都市に所在する商社であるオーシャン貿易株式会社の発案で、申立人が年間平均気温6℃という北極圏での養殖施設を開設し、我が国に最速で空輸する独自のチャーター便を利用した、申立人独自の「日本国内最高峰のブランドサーモン」である。
なお、「アトランティックサーモン」とは、生食に適した「大西洋サケ(タイセイヨウサケ)」を示し、いわゆる「紅ざけ」「ぎんざけ」「トラウトサーモン」「キングサーモン」とは異なる魚種である(甲15)。
甲第16号証は、申立人の日本子会社である「日本レロイ株式会社」(東京都荒川区)のウェブサイト写し、甲第17号証は、上記オーシャン貿易株式会社のウェブサイトであって、「オーロラサーモン」に関して紹介するページの写しである。
甲第18号証は、申立人のブランド・ダイレクトマーケティング長による宣誓書であって、同宣誓書に添付する「オーロラサーモン」の日本への各年輸入量データを真正なものである旨宣誓するものである。
甲第18号証に添付する我が国への各年輸入量に示すとおり、「オーロラサーモン」は、2015年以降、5,000トン後半から6,000トン後半にかけて推移しており、直近の2021年では、過去最高の6,815トンの輸入を達成している。
農林水産省輸出・国際局国際経済課のまとめた「農林水産物輸出入概況 2021年(令和3年)」(甲19)によれば、いわゆる「さけ・ます」の我が国への輸入は、2021年において約245,000トンである。
これには「ます」の輸入量も含まれる上に、アトランティックサーモンとは魚種の異なる「紅ざけ」「ぎんざけ」も含まれており、この「紅ざけ」「ぎんざけ」の合計が約130,000トンであることからすると、アトランティックサーモンの輸入量は、残りの約115,000トンの一部であるということになる。
甲第20号証は、加工水産物製造業大手マルハニチロ株式会社のウェブサイト「サーモンミュージアム」の写しであり、アトランティックサーモンに対応する「大西洋サケ」の量は2012年に突発的に増加しているが、それ以前の2000年から2011年までは、約2~3万トンで推移していたことがわかる。
さらに、甲第21号証として提出するウェブサイト「日本における生サーモンの歴史」によれば、「大西洋産の鮭(サーモン)」(大西洋サケ=アトランティックサーモンを示す)の輸入量について、「1995年には約24,000トン、2019年で約37,000トンにまで輸入量が増加して」いるとの記述があり、その後も増加傾向にあるものの、年間の輸入量は、せいぜい4万トン前後であることが推察される。
甲第18号証に記載の2019年の「オーロラサーモン」の輸入量である6,006トンとの比較で見たとき、その占有率は、約16.2%となり、2021年にその輸入総量がある程度増加しているとして、約4万トンと仮定した場合、2021年の「オーロラサーモン」の輸入量(6,815トン)の占有率は、約17%となる。
ノルウェー以外にも、チリ、ロシアなどの輸入元国が多数を占める中で(甲19(8頁))、単独銘柄での約16.2%~約17%という占有率は、驚異的な数字といえる。
また、さけ・ますの我が国食糧自給率は、約35%といわれ、輸入が約65%であり(甲20(1葉目))、いわゆるアトランティックサーモンは、大西洋産であるが故に大半が輸入に頼っていることからすれば、「オーロラサーモン」は我が国のさけ・ます市場において重要な位置を占めていることが推測される。
申立人や国内の輸入業者による20年近い営業努力もあって、「オーロラサーモン」は、我が国の食品加工業者のみならず、すしチェーン店、食品スーパー、料理店、などを通じて我が国の消費者に流通し、上記のごとく「ブランドサーモン」の銘柄として高い名声と人気を博している。
甲第22号証は、多数の食品スーパー、すしチェーン店(出店地域は、東京都、大阪府、京都府のほか、12の県。店舗数は、合計354店舗。)において「オーロラサーモン」が販売されていることを示す売り場写真であり、「オーロラ」の文字が強調されるように使用されている。
すなわち、これは、引用商標4及び引用商標5が、「オーロラ」が要部として需要者に認知されやすい態様で使用されてきたことの証左である。
甲第23号証ないし甲第26号証は、各取引業者において「オーロラサーモン」が紹介されたウェブサイトの写しを示す。
甲第27号証は、卸売市場に「オーロラサーモン」が納品される様子を示す写真であり、発泡スチロールの箱の側面には「AURORA」の文字を含むラベルが貼付されている。
甲第28号証は、2018年に「オーロラサーモン」の販促活動として行われた「親子お魚教室」の様子を表した写真であり、「オーロラ」を強調した使用態様で引用商標が表示されており、多くの消費者の目に触れたことが推認される。
また、「オーロラサーモン」は、これまで多数のメディアによって取り上げられている(甲29、甲30)。
上述のとおり、「オーロラサーモン」は、「ブランドサーモン」であり、一般的に流通するさけ・ます類とは一線を画す「高級」な存在であって、上記のような流通状況や、新聞、雑誌、オンライン、テレビ番組などの各種メディアを通じた報道例からすると、その販売数量(輸入数量)や、一般的なさけ・ます類を母集団とする市場占有率からでは単純に類推することのできない、高い名声や知名度をすでに獲得しているというべきである。
よって、我が国加工水産物の分野において、「オーロラサーモン」ないし「オーロラ」の表示は、一定以上の知名度を獲得しており、申立人の業務に係る商品の出所を示す表示として、我が国の関連する需要者・取引者の間で広く認知されているというべきである。
上記のとおり、引用商標4及び引用商標5において「AURORA」「オーロラ」が強く支配的な印象を与える要部である一方で、同様に「オーロラ」の語を冠し、「オーロラ」部分を要部とする第三者の商標は、互いに出所の誤認混同を生じさせるほどに類似するというべきである。
正しく、本件商標は「オーロラ」の語を冠し、「オーロラ」部分を要部とすることから、引用商標4及び引用商標5との関係で、類似するというべきである。
ウ ここで、本件商標と引用商標とは、その要部の称呼が「オーロラ」で一致し、称呼上相紛らわしいというべきであるから、本件商標と引用商標とは、互いに類似する。
本件商標に係る指定商品はいずれも、引用商標に係る指定商品に含まれるか、密接に関係するものであり、両指定商品は、同一又は極めて密接に類似するものであることは明らかである。
エ 以上のことから、本件商標は、引用商標1ないし引用商標5との関係で、商標法第4条第1項第11号に、引用商標6との関係で、商標法第8条第1項にそれぞれ違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 両商標の類似度について
本件商標と、引用商標とは、極めて高い類似度を有する。
イ 引用商標の周知度
申立人は、アトランティックサーモンについて、引用商標を我が国において、長年にわたり継続的に使用してきた結果、遅くとも本件商標の出願日には、引用商標は、関連する需要者及び取引者の間で、申立人の業務に係る商品の出所を示す表示として、広く知られるに至っていたというべきであり、その周知・著名性は、現在に至るまで維持されている。
ウ 引用商標が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するか、ないしハウスマークであるか
引用商標は、当該業界において、ありふれて採択されていない、申立人によって独自に創作、採択された商標である。
また、引用商標は、申立人の日本向けに輸出するアトランティックサーモンの銘柄として、長年にわたって使用されてきたものである。
エ 商品・役務間の関連性ないし商品等の需要者の共通性その他取引の実情について
引用商標は、アトランティックサーモンについて使用されている。
他方、本件商標に係る指定商品のうち、第29類「肉製品,かに風味かまぼこ,その他の加工水産物」については、引用商標の使用されてきた商品との間で、需要者・取引者が共通し、また、流通経路も重複し得ることから、互いに密接な関連性を有し、同一ないし類似するものである。
オ 以上の事情を総合的に考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した需要者及び取引者は、申立人、又は同人と資本関係又は業務提携関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとくその出所について誤認混同を生ずるおそれが十分にあるというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について
ア 本件商標
(ア)本件商標は、「オーロラしぐれ」の文字を標準文字で表してなるところ、各文字が同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に表されており、当該文字に相応して生じる「オーロラシグレ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標は、「地球の南北極に近い地方でしばしば100キロメートル以上の高さの空中に現れる美しい薄光。極光。」の意味を有する「オーロラ」と、「秋の末から冬の初め頃に、降ったりやんだりする雨。」の意味を有する「しぐれ(時雨)」(いずれも「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店(甲8、甲9))の各語を結合してなるものと把握されるものの、全体として特定の意味合いを認識させるとまではいえないから、これより特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(イ)なお、申立人は、「しぐれ」は、「しぐれ煮」「しぐれ蛤」など、貝類をしょうがなどの香味を添えて醤油などで煮しめた料理として、水産物の調理加工法の一として、古くからありふれて使用されている語であるから、本件商標は、その構成中「しぐれ」部分から自他商品識別機能を発揮する称呼、観念を生じさせず、むしろ、「オーロラ」の文字を要部として認識され得るものである旨、主張している。
しかしながら、申立人提出の証拠によれば、「しぐれ(時雨)」の文字(語)は、前記(ア)のとおりの意味を有するほか、「時雨羹の略」、「時雨饅頭の略」の意味があるとされるものの、「時雨煮」や「時雨蛤」の略との記載はされておらず、それらは別の見出し語として挙げられている(甲9)。また、ウェブサイトにおいて、「しぐれ煮」の文字を含む見出しの下、すなわち、「しぐれ煮」に関する記事であることを前提に、「しぐれ」や「志ぐれ」の文字が「しぐれ煮」を指すものとして用いられていること(甲10、甲11)、「しぐれ煮」や「時雨蛤」が料理の名称であること(甲12、甲13)、「しぐれとそぼろの違い」の見出しの下、「しぐれ」は「しぐれ煮の略」である旨が記載されたウェブ記事が1件(出力日は本件商標の登録査定日の後。)存在すること(甲14)は見て取れるが、これをもって、本件商標の構成において、看者をして、「しぐれ」の文字部分が「しぐれ煮」などの商品の普通名称を表示したもの、あるいは、商品の品質又は生産の方法を表示したものと認識されるとまではいい難く、当該文字部分から商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないとはいえないし、その他、「オーロラ」の文字部分のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるというべき事情も見いだせない。
(ウ)してみれば、本件商標は、その全体が一体不可分のものであって、「オーロラシグレ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲のとおりの構成からなるところ、語頭と語尾がややデザイン化されているものの、「AURORA」の欧文字からなるものと看取されるものであって、当該構成文字に相応して「オーロラ」の称呼及び観念が生じるものというのが相当である。
(イ)引用商標2ないし引用商標6は、前記2(2)ないし(6)のとおりの構成からなるところ、商標の構成全体からは、当該各構成文字に相応して、「オーロラクオリティ」(引用商標2)、「オーロラシーフード」(引用商標3)、「オーロラサーモン」(引用商標4及び引用商標5)又は「オーロラトラウト」(引用商標6)の称呼が生じ、いずれも特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標と引用商標1
本件商標と引用商標1の類否を検討すると、外観においては、前記ア(ア)及びイ(ア)のとおりであり、構成文字及び文字数など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
また、称呼においては、本件商標の称呼「オーロラシグレ」と引用商標1の称呼「オーロラ」とは、「シグレ」の音の有無という差異を有するから、明らかに聴別し得るものである。
さらに、観念においては、前者が特定の観念を生じないのに対し、後者は「オーロラ」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(イ)本件商標と引用商標2ないし引用商標6
本件商標と引用商標2ないし引用商標6の類否を検討すると、外観においては、前記ア(ア)及び2(2)ないし(6)のとおりであり、構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
また、称呼においては、本件商標の称呼「オーロラシグレ」と引用商標2ないし引用商標6の称呼「オーロラクオリティ」、「オーロラシーフード」、「オーロラサーモン」又は「オーロラトラウト」とは、後半部において「シグレ」の音か「クオリティ」、「シーフード」、「サーモン」又は「トラウト」の音かという相違があるから、明らかに聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標2ないし引用商標6は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
また、引用商標2ないし引用商標6は、その指定商品との関係において、構成中の「AURORA」又は「オーロラ」の文字部分が商品の出所識別標識としての機能を有する要部として認識され、該文字に相応して「オーロラ」の称呼及び観念が生じる場合があるとしても、本件商標とは、前記(ア)と同様に相紛れるおそれのないものである。
(ウ)申立人は、引用商標4及び引用商標5は、関連する需要者及び取引者の間で、申立人の業務に係る商品の出所を示す表示として広く知られるに至っており、「オーロラ」が要部として需要者に認知されやすい態様で使用されてきたことなどから、「オーロラサーモン」ないし「オーロラ」の表示は、申立人の業務に係る商品の出所を示す表示として、我が国の関連する需要者・取引者の間で広く認知されているというべきであるなどと述べ、引用商標4及び引用商標5において「AURORA」「オーロラ」が強く支配的な印象を与える要部である一方で、同様に「オーロラ」の語を冠し、「オーロラ」部分を要部とする第三者の商標は、互いに出所の誤認混同を生じさせるほどに類似するというべきである旨主張しているので、以下検討する。
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人又は申立人関連会社が「オーロラサーモン」に引用商標5を構成する「オーロラサーモン」の文字(上下二段に横書きしたものを含む。)を使用していること(甲16、甲17、甲22 ほか)がうかがえ、また「オーロラサーモン」に関して、その包装箱に「aurora」の欧文字が表示され、包装袋に上下二段に横書きした「aurora」及び「salmon」の欧文字が表示されていること(甲27)、ウェブサイトで紹介されていること(甲23、甲24)、及び新聞に関連記事が掲載されていること(甲29)がうかがえる。
しかしながら、申立人提出の証拠からは、商標の使用開始時期及び使用期間が必ずしも明らかでないこと、上記ウェブサイト及び新聞の記事は、掲載回数が少ない上、本件商標の登録出願又は登録査定の日より後のものを含むことなどから、本件商標の登録出願時及び登録査定時における、「オーロラサーモン」に係る商標の周知性を立証する証拠としては不十分なものである。
その他、「オーロラサーモン」の売上高、市場シェアなどの販売実績、宣伝広告の回数や宣伝広告の額などの広告実績等、周知性を具体的に裏付ける証拠の提出はない。なお、申立人は、輸入量に係る証拠を提出しているが、当該証拠及び主張から、直ちに申立人の業務に係る商品の輸入量が他の同種の商品に比して多いものと評価することができない。
してみれば、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標4及び引用商標5、ないしは「オーロラサーモン」及び「オーロラ」の表示が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者に広く認識されているものとは認めることができない。なお、引用商標1ないし引用商標3及び引用商標6については、その使用を確認することができないから、当該各引用商標についても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者に広く認識されているものとは認めることができない。
したがって、申立人の上記主張は、その前提を欠くものであり、採用することができない。
(エ)以上からすれば、本件商標は、引用商標のいずれとも相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであるから、両商標の指定商品の類否等の要件について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項のいずれにも違反して登録されたものといえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
前記(1)ウ(ウ)のとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、前記(1)ウ(ア)及び(イ)のとおり本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、両者は別異の商標というべきものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同法第8条第1項に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-900371