商標異議申立
2022-900362
ハグクミプラス、ハグクミ
- 審判番号
- 2022-900362
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-116151
- 登録番号
- 6594088
- 請求日
- 2022年08月23日
- 審決日
- 2023年06月22日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社はぐくみプラス
- 【権利者代理人】弁理士法人共生国際特許事務所
- 【異議申立人】森永乳業 株式会社
- 【異議申立人代理人】田中 尚文
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T1652.261-Y (W0535) / T1652.262-Y (W0535) / T1652.263-Y (W0535) / T1652.271-Y (W0535)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6594088号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6594088号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6594088商標(以下「本件商標」という。)は、「hugkumi+」の文字を標準文字で表してなり、令和3年9月17日に登録出願、第5類「サプリメント」及び第35類「カタログ及びインターネットを用いた商品の販売に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同4年6月29日に登録査定、同年7月29日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立の理由において、引用する商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)は、次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5109042号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:はぐくみ(標準文字)
登録出願日:平成19年3月30日
設定登録日:平成20年2月1日
指定商品:第29類「食用油脂,乳製品,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,食用たんぱく,ラクトフェリン・ラクチュロース・ビフィズス菌・乳酸菌・乳・ペプチド・ビタミン・脂質・糖質・カルシウム・たんぱく質・ミネラル・アミノ酸・鉄・亜鉛・アロエ・食物繊維・炭水化物・デキストリン・麦芽糖・乳たんぱく分解物・α-ラクトアルブミン・マグネシウムを主原料とする粉状・粒状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・ペースト状・ゲル状・ゼリー状・クリーム状・液状・ブロック状・固形状・ウエハース状・ビスケット状・チュアブル状の加工食品」
(2)登録第5228780号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲のとおり
登録出願日:平成19年6月21日
設定登録日:平成21年5月1日
指定役務:第35類「飲食料品(「日本酒,ビール,洋酒,果実酒,茶,コーヒー及びココア,清涼飲料,果実飲料,氷,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,うま味調味料,香辛料,食肉,卵,コーヒー豆,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,酒かす,工業用粉類,豆,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用たんぱく・食用グルテン・飼料用たんぱくの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食餌療法用食品及び食餌療法用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児の離乳育児用食品及び乳幼児の離乳育児用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児用粉乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
(3)登録第5556588号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:はぐくみ(標準文字)
登録出願日:平成24年6月7日
設定登録日:平成25年2月8日
指定役務:第35類「飲食料品(日本酒・ビール・洋酒・果実酒・酎ハイ・茶・コーヒー・ココア・清涼飲料・果実飲料・飲料用野菜ジュース・氷・菓子・パン・サンドイッチ・中華まんじゅう・ハンバーガー・ピザ・ホットドッグ・ミートパイ・みそ・ウースターソース・グレービーソース・ケチャップソース・しょうゆ・食酢・酢の素・そばつゆ・ドレッシング・ホワイトソース・マヨネーズソース・焼肉のたれ・ごま塩・食塩・すりごま・セロリーソルト・うま味調味料・香辛料・食肉・卵・コーヒー豆・イーストパウダー・こうじ・酵母・ベーキングパウダー・酒かす・工業用粉類・豆・米・脱穀済みえん麦・脱穀済みの大麦・食用粉類・あわ・きび・ごま・そば・とうもろこし・ひえ・麦・籾米・もろこしを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用たんぱく・食用グルテン・飼料用たんぱくの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食餌療法用食品及び食餌療法用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児用食品及び乳幼児用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児用粉乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,プラスチック製の包装用容器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品(植物成長調整剤・燻蒸剤(農薬に当たるものに限る。)・殺菌剤(農薬に当たるものに限る。)・殺そ剤(農薬に当たるものに限る。)・殺虫剤(農薬に当たるものに限る。)・除草剤・防虫剤(農薬に当たるものに限る。)・防腐剤(農薬に当たるものに限る。)を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第5類「サプリメント」(以下「申立に係る商品」という。)について、商標法第4条第1項11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。以下、枝番号をすべて示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「hugkumi+」の標準文字をもって表されてなるところ、「hugkumi」と「+」は、アルファベットと記号という顕著な差異があり、視覚上、「hugkumi」と「+」とに分離され、前半部の「hugkumi」の文字が着目され易い。
また、後半部の「+」は、「加える」などを意味するありふれた記号であって、主たるものが存在し、それに何か他のものを加えるといった意味合いを看取させるにとどまり、特に、本件商標の指定商品「サプリメント」を含む飲食料品を取り扱う業界では、「+」の記号は、これに照応する「プラス、PLUS」の文字と共に、上位版の製品であること、あるいは、従来の製品に新たな効能が追加されたことを意味するものとして広く一般に用いられているといった実情があり(甲5)、ありふれた記号である(甲6)。
そうとすると、本件商標の構成中の「+」の記号は、これが末尾に配されていることとも相侯って、自他商品の識別機能がきわめて弱いものということができる。
したがって、本件商標は、「hugkumi」のアルファベットのみが自他商品識別機能を発揮する要部として需要者・取引者をして把握され、構成するアルファベット及び記号を全体として称呼した場合の「ハグクミプラス」の称呼のほか、「hugkumi」の文字部分より単に「ハグクミ」の称呼も認識され、当該称呼をもって本件商標が実際の商取引に資されることも少なくないといい得るものである。
他方、引用商標1及び3は、「はぐくみ」の標準文字をもって、また、引用商標2は、「はぐくみ」の文字を多少図案化させて、それぞれ表されてなり、引用商標からは「ハグクミ」の称呼が自然に生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、「ハグクミ」の称呼を共通にする、称呼上相紛らわしい類似の商標といえる。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務中の第5類「サプリメント」と引用商標の指定商品及び指定役務は、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人について
申立人は、1917年に乳製品の製造を主たる事業目的として設立された日本煉乳株式会社を前身とし、森永製菓株式会社との合併分離を経て1949年に設立され、その後、1967年に森永商事株式会社の乳製品販売部門を譲り受けた、我が国有数の乳製品を中心とする飲食料品の製造・販売メーカーである(甲7)。
申立人の取扱製品は、多岐にわたっているが、その中でも牛乳、乳製品、アイスクリーム、飲料、健康食品が中心となっており、これらの製品は、スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストア、百貨店、各種量販店、インターネット等の多様なチャネルを介して提供され、需要者に購入されている。
イ 「はぐくみ」の著名性について
(ア)多様な商品を取り扱う申立人にあっては、前身の日本煉乳株式会社が設立した直後の1920年より、育児用のドライミルクの製造を開始、事業の中核をなす乳製品の製造で培ったノウハウと蓄積された母乳研究の成果を活かして、1993年に従来品よりもより母乳に近く、消化態たんぱく質の増強による乳児の消化負担の軽減を特長とする育児用ドライミルク「はぐくみ」の販売が開始された(甲8)。
(イ)申立人の業務に係る「はぐくみ」は、その販売開始以降、“限りなく母乳に近い育児用ミルク”を目指して幾度となく改良がなされ、「オリゴ糖増強による便性への配慮(1996年)」、「ラクトフェリンの増強(2007年)」、「アラキドン酸の増強によるリニューアル(2009年)」、「3種のオリゴ糖の配合、コレストロール・カロニチン増強、たんばく質低減(2014年)」、「DHAとアラキドン酸の配合変更によるリニューアル(2020年)」や商品タイプの追加を経て(甲8の1、甲9)、現在に至るまで申立人の育児用品のカテゴリーの主力製品として需要者に提供されている(甲10)。
(ウ)申立人の業務に係る育児ミルク「はぐくみ」は、申立人の名声や商品そのものの高品質性と相まって、新製品の販売のたびに多くのメディアに取り上げられており(甲11)、申立人にあっても、とかく育児についての情報を強く欲する妊産婦向けに「はぐくみ」の製造過程や妊産婦のための育児情報提供のためのホームページを開設し、育児のためのサポート体制を万全なものとして整えている(甲12、甲13)。
その結果、申立人の業務に係る「はぐくみ」は、需要者の間でも好評を得るに至り、例えば、妊娠・出産・育児情報サイト「ベビカム」内の「ベビカム調査隊!!」で2015年に実施された「育児用粉ミルク」のアンケートでは、「エコらくパックはゴミが少なくて使いやすい。環境にも良い。」、「森永ブランドに安心感がある。」等のコメントが寄せられて総合第3位に輝き(甲14)、また、育児経験者が使ってよかったと感じる商品やサービスを提供するアプリ「ママリ」においても、粉ミルク部門で2020年から2022年まで「ママリ口コミ大賞」を受賞し続けている(甲15)。
そして、申立人の業務に係る育児用ミルク「はぐくみ」は、現在では、缶に詰めたもの、スティックタイプ、専用ケースと計量スプーンとセットになったものといったバラエティーに富んだラインナップから製品群が構成されており、需要者のニーズにあわせて購入できるようになっている(甲16)。
(エ)このような「はぐくみ」ブランドは、1993年に市場投入された後、申立人の主力ブランドの一つとしての成長を遂げ、現在に至るまで長年にわたって申立人の事業戦略上、中核をなす最も重要なブランドの一つとして位置付けられている。
その結果、「はぐくみ」商標が付された商品を含む、申立人の業務に係る育児用ミルクの近5年間の小売額の合計は約322億円で、各年度としては、2017年度が約71億円、2018年が約69億円、2019年度が約64億円、2020年度が約61億円、2021年度が約55億円となり、育児用ミルクの分野でのマーケットシェアは、毎年おおよそ14~17%と堅調に推移しており、かくして、「はぐくみ」は、育児用ミルクのカテゴリーで上位ブランドとして認知され、定番的なロングセラーブランドとしての不動の地位を確立しているといい得るものである(甲17)。
したがって、「はぐくみ」は、申立人の業務に係る乳児用ミルクを表示するものとして既に計り知れないほどの名声を獲得しており、申立人の業務に係る商品を表示する商標として認識されるに至っているものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
本件商標のように他人の著名な商標と完全に一致する文字を構成中に含んでいることが明らかな商標については、出所の混同を生ずるおそれがあることを前提として、このような前提が覆されるべき例外的な事由が存在するか否かという観点から商標法第4条第1項第15号の該当性を判断するのが、通常の判断手法といえる。
そこで、申立人の「はぐくみ」商標との関係で、本件商標が、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものとして推認されないための例外的な事由があるか否かを検討すると、当該商標を構成する「はぐくみ」の文字が既成の語の一部となっているという事実が存在しないことは明らかである。
また、本件商標は、構成上、「hugkumi」の文字と「+」の記号に分離して認識されるものであり、さらに「hugkumi」の文字が語頭に配されているばかりか、後半部の「+」の記号は、上位版の製品であること、あるいは、従来の製品に新たな効能が追加されたことを意味するものとして広く一般に用いられており、自他商品の識別機能が弱く、付記的な要素にすぎないことも考慮すると(甲5、甲6)、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、本件商標にあっては、語頭の「hugkumi」の文字が需要者の目を惹くと容易に理解できるものである。
次に、本件商標の指定商品「サプリメント」と申立人の業務に係る商品との関係についてみると、申立人にあっては、幅広い飲食料品を扱っており(甲7)、その中には「サプリメント」も含まれている(甲18)。
そして、実際の商取引の実情においても、「サプリメント」と「育児用ミルク」とは、いずれもドラッグストア等で販売されていることは周知の事実といえ、両商品は、販売場所を共通にしている。
さらには、本件商標の権利者にあっては、自己のウェブサイト上で、本件商標と同一の「hugkumi+」を表示して妊活・妊娠・子育て用の商品についての宣伝広告活動をなすばかりか、「ハグクミの恵み」なるサプリメントを始め、「はぐくみオリゴ」、「はぐくみ葉酸」等の「はぐくみ/ハグクミ」の文字を含む商品を多数販売していることも勘案すると(甲19)、申立人の「はぐくみ」が乳児用ミルクとの関係で著名商標であるとしても、「ハグクミ」の称呼が把握され得る本件商標が、その指定商品「サプリメント」に使用された場合、これが申立人の業務に係るものであること、申立人の監修によるもの、又は申立人とのコラボによるもの、あるいは、申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その出所について誤認を生じさせるおそれがあることは明らかである。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「hugkumi+」の文字を標準文字で表してなるところ、「hugkumi」と「+」はアルファベットと記号という顕著な差異があり、視覚上、「hugkumi」と「+」とに分離され、前半部の「hugkumi」の文字が着目され易い。
また、後半部の「+」は、「加える」などを意味するありふれた記号であって、主たるものが存在し、それに何か他のものを加えるといった意味合いを看取させるにとどまり、特に、本件商標の指定商品「サプリメント」を含む飲食料品を取り扱う業界では、「+」の記号は、これに照応する「プラス、PLUS」の文字と共に、上位版の製品であること、あるいは、従来の製品に新たな効能が追加されたことを意味するものとして広く一般に用いられているといった実情がある(甲5)。
そうすると、本件商標の構成中の「+」の記号は、これが末尾に配されていることとも相侯って、自他商品の識別機能がきわめて弱いものということができる。
したがって、本件商標は、「hugkumi」のアルファベットのみが自他商品の識別機能を発揮する要部として需要者・取引者をして把握されるというべきであり、「hugkumi」の文字部分より「ハグクミ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に載録のある既製の語ではないから、特定の観念は生じない。
イ 引用商標
引用商標1及び3は、上記2のとおり、「はぐくみ」の平仮名を標準文字で表してなり、引用商標2は、別掲のとおり、「はぐくみ」の平仮名をややデザイン化し、各文字をそれぞれ着色した構成からなるところ、それらの構成文字に相応して、「ハグクミ」の称呼を生じ、「はぐくみ」の文字が「はぐくむこと。」を意味する「育み」(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)の読みを表したものであるから、「はぐくむこと」の観念を生じるといえる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標は上記アのとおり「hugkumi+」の文字及び記号よりなり、引用商標は上記イのとおり、「はぐくみ」の平仮名よりなるところ、両者は、「+」の記号の有無、文字部分の文字の種類が異なることから、外観上明らかに相違する、
そして、本件商標の要部をみても、当該要部は、アルファベットからなり、引用商標は、平仮名からなるものであって、両者は、文字の種類が異なるから、外観上明らかに相違する。
また、本件商標及び引用商標からは、「ハグクミ」の称呼が生じ、両者は、称呼上同一である。
さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念は生じないものである一方、引用商標からは、「はぐくむこと」の観念が生じるから、両者は、観念において相紛れるおそれはない。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、称呼において同一であるとしても、外観及び観念において相紛れるおそれのないことから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、両者は、非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務中、申立に係る商品と引用商標の指定商品又は指定役務とが同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、前身の日本煉乳株式会社が設立した直後の1920年より、育児用のドライミルクの製造を開始し、1993年に従来品よりもより母乳に近く、消化態たんぱく質の増強による乳児の消化負担の軽減を特長とする育児用ドライミルク「はぐくみ」の販売が開始され(甲8)、その販売開始以降、「限りなく母乳に近い育児用ミルク」を目指して幾度となく改良や商品タイプの追加を経て、現在に至るまで製造販売されている(甲9~甲11)。
(イ)申立人は、申立人の業務に係る育児用ミルクの販売額、育児用ミルクの分野での5年間(2017年4月~2022年3月)のマーケットシェアについての表(甲17)を提出しているが、引用商標に係る商品についてのものではなく、申立人の業務に係る全ての育児用ミルクについてのものである。
(ウ)妊娠・出産・育児情報サイト「ベビカム」内の「ベビカム調査隊!!」で2015年に実施された「育児用粉ミルク」のアンケートでは(甲14)、「ほほえみ、はいはい、はぐくみが人気」とされているが、株式会社デジタルブティックが6つのメーカーについて、ベビカム会員を対象にアンケートを実施したものであって、一部の会員の回答結果といえる。
また、育児経験者が使ってよかったと感じる商品やサービスを提供するアプリ「ママリ」では、おすすめ粉ミルクブランド部門2020において、「明治ほほえみ」、「和光堂レーベンスミルク はいはい」に次いで「森永はぐくみ」が「ママリ口コミ大賞」とされている(甲15の1)が、これは3,618件の口コミの中から後輩ママにおすすめしたい26部門94商品を厳選したものであって、かつ、2019年に出産したママの3人に1人が「ママリ」に会員登録するものとされているから、そのアンケート対象は一部の会員によるものといえる。
(エ)上記からすると、申立人の業務に係る育児用粉ミルク「はぐくみ」は、1993年の発売以来、現在においても製造、販売されており、一部の需要者の間には、ある程度知られているといえる。
しかしながら、引用商標を使用した商品に関する販売額、市場シェア、広告宣伝費等については、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標とは、上記(1)ウのとおり、称呼において同一であるとしても、外観及び観念において、相紛れるおそれのないことが明らかなものであり、非類似の商標である。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものであり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれを申立に係る商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、申立に係る商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-900362