商標異議申立
2022-900352
フユージョンポッド、ヒュージョンポッド、フユージョン、ヒュージョン、ポッド、ピイオオデイ
- 審判番号
- 2022-900352
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-000867
- 登録番号
- 6577011
- 請求日
- 2022年08月15日
- 審決日
- 2023年06月16日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】エックスフュージョン デジタル テクノロジーズ カンパニー リミテッド
- 【権利者代理人】大上 寛
- 【異議申立人】アップル インコーポレイテッド
- 【異議申立人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 小松 里美
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.271-Y (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6577011号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6577011号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6577011号商標(以下「本件商標」という。)は、「FusionPod」の文字を横書きしてなり、令和4年1月6日に登録出願、第9類「イヤホン」を含む、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年6月15日に登録査定され、同月23日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5907574号商標
商標の構成:「AIRPODS」の欧文字を横書きしてなるもの
登録出願日:平成27年9月24日(2015年3月23日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日:平成28年12月22日
指定商品:第9類「イヤホン」
2 登録第5907578号商標
商標の構成:「AIRPODS」の欧文字を横書きしてなるもの
登録出願日:平成28年3月14日(2015年3月23日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成27年9月24日に登録出願された商願2015-92390号(上記1)の商標法第10条第1項の規定による商標登録出願)
設定登録日:平成28年12月22日
指定役務:第41類「娯楽の提供,通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),娯楽の提供に関する情報・批評及び個人的評価の提供,娯楽の提供に関する情報の提供・助言及び指導」
3 登録第6202769号商標
商標の構成:「AIRPODS」(標準文字)
登録出願日:平成30年11月2日(2018年5月4日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日:令和元年11月29日
指定商品:第10類、第14類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
4 登録第6217419号商標
商標の構成:「AIRPODS」(標準文字)
登録出願日:平成31年4月16日(2018年10月16日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張)
設定登録日:令和2年1月17日
指定商品:第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
以下、上記1ないし4の登録商標、及び申立人が商品「ワイヤレスイヤホン」について実際に使用していると主張する商標「AirPods」をまとめて「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
1 申立人について
(1)米国カリフォルニア州に本社を置く申立人は、GAFAと称されるデジタル市場における巨大企業の4つのうちの一社であり、「MacBook」、「iMac」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「Apple Watch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「Apple Music」、映画・動画配信サービス「Apple TV」、データ保管サービス「iCloud」等を提供する米国の法人である。
(2)申立人は、世界のブランド価値ランキング「Best Global Brands 2021」で第1位(9年連続)を獲得している(甲6)。
2 申立人の引用商標の周知著名性について
(1)申立人は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ等の商品を製造・販売しており、それらの機器で使用するオーディオ用の純正アクセサリーとして、2012年に有線方式のイヤホン「EarPods」、2016年にワイヤレスイヤホン「AirPods」を発売している。ワイヤレスイヤホン「AirPods」については、2019年に「AirPods2(第二世代)」及び「AirPods Pro」、2020年に「AirPods Max」、2021年に「AirPods3(第三世代)」の後継製品を発売している(甲7)。
(2)申立人の上記製品に係る商標「AirPods」が、本件商標の出願時及び査定時において周知であることは、新聞記事情報(甲8~甲14)、インターネット記事(甲15~甲19)、ヘッドホン・イヤホン売れ筋ランキング(甲20~甲25)、テレビ及びインターネットCM、国内におけるワイヤレスイヤホンのメーカー別販売台数シェア(甲26)、「AIRPODS」の引用各登録商標、全世界でのAirPods製品の売上げ(甲27)からも確認できる。
(3)小括
上記のとおり、引用商標は、申立人のイヤホンを表示する商標として、本件商標の出願時及び登録時にて日本において広く知られた標章である。
3 本件商標が取り消されるべき理由
(1)引用商標の周知性について
申立人の引用商標について周知性があることは前記のとおりである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度
申立人は、「AirPods」の商標をイヤホン・ヘッドホンについて使用しており、商標「AirPods」が、「Pods」の語の先頭に「Air」の語を結合した構成であることは、各単語の頭文字が大文字で表されていることから容易に認識される。
一方、本件商標についても、各単語の頭文字が大文字で表され、「Pod」の語の先頭に「Fusion」の語が結合されたものであることは明らかである。
本件商標の構成中「Pod」の語は、豆科植物の鞘や、蚕などの繭、家庭用調理器における着脱式の容器、航空機の着脱式の補助燃料タンクなどを指す言葉を単数形で表したものであるが(甲28)、単数形であることにより複数形の場合と明確に異なる観念が生じるとはいえない。現に、過去の審決(審判平9-18680号)においても、「シャワーズ/SHOWERS」と「シャワー」の両商標が、単語の複数形と単数形の差異にすぎないことを理由に、観念・称呼において類似すると判断されている(甲29)。
したがって、これら構成上の共通点は需要者にとっても明白に看取されるといえる。
また、本件商標の構成中「Fusion」の語は、「溶解、融解、溶解したもの、原子核の結合、(政党・党派などの)連合、合同、提携、連合体」などを指す英単語である(甲30)。
さらに、引用商標が周知であることは前記のとおりであるが、申立人は、引用商標の他にも、「EarPods」、「HomePod」、「iPod」のような「Pod」又は「Pods」を語尾に配した商標についても長年にわたり継続的に使用している。
このような、引用商標の周知性、申立人が「Pods」を語尾に配したブランド名で商品展開している実情を鑑みれば、「合同、提携、連合体」などの意味を持つ「Fusion」の語と「Pod」を結合させた本件商標に接した需要者は、申立人と合同の又は提携の商品と誤解する可能性が高いことは明らかである。
(3)引用商標の独創性について
引用商標は、申立人による独創的な商標である。「Pod」の語の意味は、上記(2)のとおり(甲28)であり、「Pods」はその複数形と理解されるが、イヤホン・ヘッドホン等の商品とは本来的な関連性のない言葉であって、当該「Pods」の語の先頭に「空気」を意味する「Air」を結合させた「AirPods」の語は辞書等に掲載のない、申立人によって創作された独創性のある完全な造語である。
(4)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性、需要者の共通性
本件商標の指定商品は、申立人の周知著名商標に係る商品「イヤホン」を含んでおり、需要者を共通にする。
(5)出所の混同のおそれについて
以上のことから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、申立人の商品ないし商標を想起させ、需要者はそれらの商品が申立人の業務に係る商品であるか、あるいは経済的又は組織的な関係がある者や公式の許可を受けた者に係る商品であると誤認するおそれがあるため、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の主張及び提出した証拠及び職権調査によれば、次の事実が認められる。
(1)申立人について
申立人は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ、腕時計型コンピュータ等を製造販売し、音楽・映像配信サービス、映画・動画配信サービス、データ保管サービス等を提供する米国の法人である。
(2)引用商標の周知性について
申立人は、2016年12月にワイヤレスイヤホン「AirPods」を発売して以来、2019年3月に「AirPods(第二世代)」及び同年10月に「AirPods Pro」、2020年12月に「AirPods Max」、2021年10月に「AirPods(第三世代)」、2022年9月に「AirPods Pro(第二世代)」(以下「AirPods製品」という。)を発売したことが認められる(甲7)。
また、申立人のAirPods製品は、2016年以降、新聞記事(甲8~甲14)、インターネット記事(甲15~甲19)において紹介等され、2022年5月及び同年11月に集計されたヘッドホン・イヤホン売れ筋ランキング(甲20~甲25)でいずれも上位であること、全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」で2020年及び2021年のワイヤレスイヤホンのメーカー別販売台数シェアにおいてAirPods製品を販売する申立人が1位であること(甲26)、全世界でのAirPods製品の売上げは2021年には約110億円であること(甲27)が認められる。
そうすると、申立人のAirPods製品に使用されている商標「AirPods」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「ワイヤレスイヤホン」を表示する商標として、我が国における「ヘッドホン・イヤホン」の需要者の間で相当程度知られていることが認められる。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標は、上記第1のとおり、「FusionPod」の文字を横書きしてなるところ、その構成は、同じ大きさ、同じ書体で、等間隔にまとまりよく表されており、視覚上一体的に看取されるものである。
また、本件商標の構成文字に相応して生じる「フュージョンポッド」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、本件商標は、その構成中「Fusion」の文字が「溶解」の意味を有する英語であり(甲30)、「Pod」の文字が「豆などの鞘や、蚕などの繭」等の意味を有する英語であるところ(甲28)、「Fusion」又は「Pod」のいずれかの文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものとみるべき事情はない。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体的に認識、把握されるものとみるのが相当である。
そして、「FusionPod」の文字は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、本件商標は、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。
そうすると、本件商標は、「フュージョンポッド」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 他方、引用商標は、上記第2のとおり、「AirPods(AIRPODS)」の欧文字を表してなるところ、その構成は、同じ大きさ、同じ書体で、等間隔にまとまりよく表されており、視覚上一体的に看取されるものである。
また、引用商標の構成文字に相応して生じる「エアーポッズ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、引用商標は、その構成中「Air(AIR)」の文字が「空気」の意味を有する英語であり、「Pods(PODS)」の文字が「豆などの鞘や、蚕などの繭」等の意味を有する英語「Pod」(甲28)の複数形であるところ、「Air(AIR)」又は「Pods(PODS)」のいずれかの文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものと見るべき事情はない。
してみれば、引用商標は、それぞれその構成文字全体をもって、一体的に認識、把握されるものとみるのが相当である。
そして、「AirPods(AIRPODS)」の文字は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、引用商標は、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。
そうすると、引用商標は、「エアーポッズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、構成中の「Pod」又は「POD」の文字を共通にするとしても、商標の識別上、看者の注意を最も強くひく語頭部における「Fusion」の文字と「Air」又は「AIR」の文字及び語尾における「s」又は「S」の有無に差異を有するものであるから、両商標は、外観上、明確に区別し得るものである。
次に、本件商標から生じる「フュージョンポッド」の称呼と、引用商標から生じる「エアーポッズ」の称呼を比較すると、両者は、前半部の「フュージョン」の音と「エアー」の音及び語尾の「ド」と「ズ」の音に差異を有することから、これらを一連に称呼したときは、聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別できるというべきである。
そして、本件商標と引用商標は、共に特定の観念が生じないから、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(2)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品「ワイヤレスイヤホン」を表示する商標として、我が国における「ヘッドホン・イヤホン」の需要者等の間で相当程度知られていることが認められるものの、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異のものであるから、類似性の程度は低いものである。
以上によれば、たとえ本件商標の指定商品中に「ワイヤレスイヤホン」と類似の商品が含まれ、その需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
(5)申立人の主張について
申立人は、自身が「EarPods」、「HomePod」、「iPod」のような「Pod」又は「Pods」を語尾に配した商標について長年にわたり継続的に使用しており、引用商標の周知性、申立人が「Pods」を語尾に配したブランド名で商品展開している実情から、本件商標に接した需要等は、申立人と合同の又は提携の商品と誤解する可能性が高いなどと主張している。
しかしながら、申立人が「Pod」又は「Pods」を語尾に配したブランド名で商品展開しているとしても、それらのブランド名において「Pod」又は「Pods」の部分のみが申立人の業務に係る商品を表す商標として周知となったものという事情は見いだせないから、かかる主張はその前提において理由がない。
さらに、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体的に認識、把握されるものとみるのが相当であることは、上記(3)アのとおりであり、他に本件商標の構成に「Pod」の文字を有することをもって、需要者が申立人の業務との関連を連想、想起させるような特段の事情はない。
よって、申立人のかかる主張は採用することはできない。
(6)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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