商標異議申立
2022-900351
クレブス
- 審判番号
- 2022-900351
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-071402
- 登録番号
- 6568834
- 請求日
- 2022年08月15日
- 審決日
- 2023年06月30日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】寧波克莱伯貿易有限公司
- 【権利者代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【異議申立人】ポジテック ジャーマニー ゲーエムベーハー
- 【異議申立人代理人】柴田 雅仁
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.261-Y (W0708) / T1651.262-Y (W0708) / T1651.263-Y (W0708) / T1651.222-Y (W0708) / T1651.22 -Y (W0708)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項11号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6568834号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6568834号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6568834号商標(以下「本件商標」という。)は、「KREBS」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年6月9日に登録出願、第7類及び第8類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年5月10日に登録査定され、同年6月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1419908号商標(以下「引用商標」という。)は、「Kress」の欧文字を横書きしてなり、2016年12月12日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2017年(平成29年)6月12日に国際商標登録出願、第7類ないし第9類、第11類、第12類、第20類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、令和2年4月24日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が本件商標は商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に該当するとして引用する商標は、「Kress」の欧文字を横書きしてなり(小文字と大文字の異なるものを含む。以下「使用商標」という。)、外国において周知とするものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第19号及び同項第7号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標の指定商品の類似性
本件商標と引用商標の指定商品は、第7類「09A07、09A08、09A09、09A41、09A64、09A70、09C01、09E29、11A01、11A06」及び第8類「09A41、13A01、13B01、13B02、13B03」において類似群コードが共通しており、同一又は類似の商品である。
イ 本件商標と引用商標の類似性
(ア)外観について
本件商標は、「KREBS」の欧文字を横書きにしてなり、その外観は同書、同大、同間隔に表されている。一方、引用商標は、ゴシック体「Kress」の欧文字を横書きにしてなり、その外観は同書、同大、同間隔に表されている。
両商標共に、一文字目は大文字「K」で共通する。二文字目以降は大文字、小文字の相違はあるものの、アルファベット「R(r)」「E(e)」及び語尾の「S(s)」と5文字中4文字を同じくすることから、外観上、両者は近似した文字構成からなるものである。
(イ)観念について
「KREBS」の文字からなる本件商標は、ドイツ語で「ザリガニ,(病気)癌,(星座)かに座」を意味する言葉である(甲3)。しかしながら、ドイツ語を母国語としない我が国において、一般的な需要者、取引者は上記意味を認識するとは考えられないから、本件商標は特定の観念を有しない造語として認識され、特定の観念は生じない。
他方、「Kress」の文字からなる引用商標は、我が国において一般的に使用されている辞書等に掲載されていないものであり、既成の観念を有しない造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じない。
よって、観念においては比較することができない。
(ウ)称呼について
両商標の構成文字に相応したローマ字読みから、本件商標について「クレブス」、引用商標について「クレッス」の称呼が生じる。
ここで、両商標の称呼を比較すると、両称呼は共に4音よりなり、称呼上重要な要素を占める語頭音「クレ」と語尾音「ス」をその配列を含めて同じくし、異なるところは、その中間に位置する第3音における「ブ」と「ッ」の差異のみである。
そして、その差異部分が称呼上影響の少ない中間音であってみれば、両称呼を一連に称呼するときは、第3音の差異よりも、語尾音「ス」の摩擦音が耳に残るため、互いに聞き誤るおそれがあるものとなる。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上、互いに紛れるおそれのある類似の商標である。
ウ 小括
本件商標と引用商標とは、観念において比較できず、外観及び称呼において互いに紛らわしく、その指定商品も同一又は類似のものであるから、両商標はその出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標であるといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 「Kress」の周知性
「Kress」商標は、60年近く前の1964年より現在に至るまでの長きにわたり使用されているものであって(甲4)、1984年には日刊紙にその広告が掲載(甲5)され、フィリピンの新聞でも紹介される(甲6)など、古くからドイツを初めとする世界各地で親しまれている商標である。
また、近年、中国においては、2017年3月29日に商品発表会が行われ(甲7)、2017年3月30日ないし4月1日に上海で開催された「The 31st China International Hardware Fair」に(甲8)、2018年10月15日ないし11月4日に広州市で開催された「The 124th China Import and Export Fair 2018」に(甲9)それぞれ出品したほか、山東省、貴州省、四川省など各地でイベントが開催されており(甲9~甲11)、店頭等でのカタログ(甲13)の配布・ウェブサイトでの販売(甲14)の結果、順調に売上げを増やしている(甲15)。
さらに、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催する2019年のRed Dot Awardにおいて、商標「Kress」を冠する2商品が「Red Dot賞」を受賞しており(甲16)、その知名度は更に高まっている。
また、商標「Kress」は、1996年7月23日に欧州(EUTM)にて出願された「KRESS」(出願番号第000318642号)を初めとして、アジアを含む世界中で多くの商標権を取得している(甲17~甲19)。
イ 不正の目的
本件商標は、外国で周知の商標「Kress」「KRESS」の中間部の一文字「s」を別のアルファベット「B」に置き替えたものであるから、特に、共通する商品との間においては、外国にて「Kress」商標が築き上げてきた信用と名声へのただ乗り又は希釈化を意識した、不正の目的をもって出願されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、先に述べたように、外国において長年使用され、多数の商標権も取得している周知商標「Kress」「KRESS」の人気や名声・顧客吸引力に便乗するものであることは明らかである。
特に、申立人の60年にも及ぶ企業努力にただ乗りするものであり、社会公共の利益に反し、公の秩序を乱すおそれがあり、ひいては国際信義に反するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「KREBS」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「クレブス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、上記2(1)のとおり、「Kress」の欧文字を横書きしてなり、該文字に相応し「クレス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
なお、申立人は、引用商標は「クレッス」の称呼を生じる旨主張しているが、例えば英語の「dress」「press」及び「stress」が「ドレス」「プレス」及び「ストレス」と称呼され、親しまれていることからすれば、引用商標はこれらに倣い「クレス」のみの称呼を生じるものと判断するのが相当である。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「KREBS」と引用商標の構成文字「Kress」の比較において、両者は4文字目に「B」と「s」の文字の差異を有し、この差異が共に5文字という比較的少ない文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さくなく、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に、本件商標から生じる「クレブス」の称呼と引用商標から生じる「クレス」の称呼を比較すると、両者は前者の第3音「ブ」の有無という差異を有し、この差異が4音又は3音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は小さくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 使用商標の周知性について
(ア)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、使用商標「Kress」は1964年から電動工具などに使用されていること(甲4、甲13)、使用商標を使用した商品(電動工具など。以下「使用商品」という。)は1984年及び2019年に外国の新聞で広告及び紹介されたこと(甲5、甲6)、使用商品は2017年及び2018年に中国各地で開催された展示会などに出品されたこと(甲7~甲12)、使用商品は2019年のRed Dot Awardにおいて、「Red Dot賞」を受賞したこと(甲16)、及び申立人は商標「Kress」について、ドイツ、中国などで商標権を保有していること(甲17~甲19)などがうかがえる。
また、使用商品は中国において、2021年1月にウェブサイトにおいて販売されていること(甲14)が認められるものの、その売上高、販売数量など販売実績に係る具体的な主張はなく、また、それを示す証左(甲15、甲13)の訳文の提出がないなどの理由により、その販売実績を確認することができない。
(イ)上記(ア)のとおり、使用商品は中国において販売されていることはうかがえるものの、使用商品の中国など外国における販売実績に係る具体的な主張はなく、その確認もできないから、使用商品に使用されている使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、中国など外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、使用商標は、我が国において使用されている事実が確認できないから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。
イ 本件商標と使用商標の類似性
本件商標は、上記1のとおり、「KREBS」の欧文字を標準文字で表してなり、使用商標は、上記2(2)のとおり、「Kress」の欧文字からなるものである。
そこで、本件商標と使用商標の類似性を検討すると、両商標は、上記(1)における本件商標と引用商標「Kress」の類否と同様の理由により、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標と判断するのが相当である。
ウ 不正の目的
使用商標は、上記アのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであり、上記イのとおり本件商標と使用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることのないものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、使用商標の信用や名声にただ乗りする又は希釈化するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記(2)ウのとおり、使用商標の信用や名声にただ乗りする又は希釈化するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
さらに、本件商標が、国際信義に反する又はその出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき具体的、客観的な事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上(1)ないし(3)のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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