商標異議申立
2022-900350
アンカケスパヤドンキカフェ、アンカケスパヤ、アンカケスパ、ドンキカフェ、ドンキ
- 審判番号
- 2022-900350
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-157695
- 登録番号
- 6567784
- 請求日
- 2022年08月12日
- 審決日
- 2023年06月22日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社 JBイレブン
- 【権利者代理人】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
- 【異議申立人】株式会社 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
- 【異議申立人代理人】中山 俊彦
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山田 啓之
- 分類
- T1651.271-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の3第2項商標法43条の21号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6567784号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6567784号商標の商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6567784号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和3年12月17日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同4年5月9日に登録査定、同年6月7日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」及び「MEGAドンキ」ほかの略称として、国内外の取引者・需要者の間で広く認識されていると主張する「ドンキ」又は「DONKI」の文字からなる商標である。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第40号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、縦長ののぼりを想起させる装飾の枠囲みの中に「あんかけスパ屋\ドンキカフェ」と縦書きにし、その上部に二重円の構成で、内側にフォークとスプーンを模したイラストを記し、その周囲に「DOnKI CAFE\あんかけスパ」の文字を記した図形を配してなる。
全体構成として「あんかけスパ屋」は「ドンキカフェ」の約3分の1程度の大きさで書され、また、上部図形と下部の文字部分の大きさ比率は概ね1:4で構成されている。この構成のため、また、「あんかけスパ屋」が指定役務との関係で提供するメニューを直接的に表しているため、看者の注意を強く惹くのは「ドンキカフェ」の文字部分であるといえる。そして看者の注意を強く惹く部分のうち「カフェ」の文字は「コーヒー店」や「喫茶店」を表すものとして取引者・需要者に極めて広く認識されているのに対し、「ドンキ」部分はその文字列自体からは本源的に特段の意味を生じないことから、本件商標の要部は「ドンキ」である。
2 「ドンキ」の著名性
(1)会社沿革及び店舗展開
申立人は、1980年9月に「株式会社ジャスト」の商号で日用雑貨品の卸売及び小売販売を目的として設立し、その後1989年3月に、消費者に良い品をより安く販売するため、東京都府中市にディスカウントショップ「ドン・キホーテ」1号店を開設した。1995年9月には、商号を「株式会社ドン・キホーテ」に変更し、翌1996年12月には株式店頭公開(現在のジャスダック証券取引所)をした。その後も成長著しく、1998年6月には東京証券取引所市場第2部に上場し、2000年7月には東京証券取引所市場第1部銘柄へ指定変更となった。その後も事業の拡張及び多角化はとどまることがなく、国内外において総合小売業における確固たる地位を確立している(甲1)。
申立人は32期連続の増収及び営業増益を達成している(甲2)。売上高は実に1兆7,086億円、経常利益は815億円、買上客数は6億4,689万人に至り(甲3)、その規模、利用者の数からも「ドン・キホーテ」は、申立人店舗名として、取引者・需要者の間で極めて広く認識されていることが明らかである。
(2)「ドンキ」使用店舗について
申立人が運営する小売店舗は、いつからか取引者・需要者から「ドンキ」の略称をもって親しまれるようになった。それだけでなく、多くの店舗において、「ドン・キホーテ」だけではなく「ドンキ」の表示を看板等で行っている。2022年6月25日現在、グループ店舗数は国内外合わせて700店舗(うち国内604店舗)に及ぶところ(甲4)、略称から転じて直接的に「ドンキ」ないし「DONKI」の標章を付している店舗が、国内外で少なくとも計125店舗存在する(うち国内94店舗、甲5)。
「MEGAドンキ」という、略称から転じた看板が初めて世に現れたのは2016年3月24日のことであるが、それ以降毎年10店舗以上を継続的に出店し、本件商標の出願日である令和3年(2021年)12月17日時点においては、「ドンキ」の表示自体もまた、申立人が運営する店舗を表すものとして取引者、需要者の間で広く認識されるに至っていた。
2019年時点の「ドンキ」使用店舗だけに絞った数値としては、売上高合計は約1,443億円、2020年時点の「ドンキ」使用店舗売上高合計は約2,265億円、2021年時点の「ドンキ」使用店舗売上高合計は約2,739億円である。本件商標の出願日である令和3年(2021年)12月17日時点においても、また、それ以降も、取引者、需要者の間で広く認識されていることは明らかである。
なお、125店舗の内訳は、国内では、「MEGAドンキ」の看板を掲げた店舗が86店舗、「SORADONKI」の看板を掲げた店舗が2店舗、「ミチドンキ」の看板を掲げた店舗が1店舗、「キラキラドンキ」の看板を掲げた店舗が1店舗、「お菓子ドンキ」「お酒ドンキ」「コスメドンキ」「驚辛ドンキ」「コスメドンキ」の看板ないしのれんを掲げた店舗が4店舗、海外では、「DON DON DONKI」の店名の店舗が31店舗である。
(3)商標登録状況
申立人は、「ドン・キホーテ」及び「ドンキ」に関する商標登録を多数有し、登録している「ドンキ」ないし「ドン.キホーテ」関連の商標は37件あり(甲6)、そのうち、10件が「ドンキ」関連であり(甲7)、その他に、現在出願中のものが2件あり、申立人は、「ドンキ」の使用により生じている業務上の信用を法的に確実に保護すべく商標登録を行っている。
また、商標「ドン.キホーテ」について申立人は防護標章登録を受け(甲8)、「驚安の殿堂」の防護標章登録も受け(甲9)、「ドンキ」及び「DONKI」使用店舗のうち、「MEGAドンキ」全86店舗と「SORADONKI」2店舗の計88店舗の看板には、防護標章登録されている「驚安の殿堂」が併記されている。そうとすると、需要者が「驚安の殿堂」を目にするのとほぼ同等の頻度で「ドンキ」ないし「DONKI」を目にしているのであり、「ドンキ」ないし「DONKI」の標章も「驚安の殿堂」と同様に、他人が使用をした場合その役務と申立人の業務に係る指定役務とが混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(4)「ドンキ」使用商品及びSNS発信状況
申立人は、「ドンキ」ないし「DONKI」の店舗看板での使用のほか、店舗で販売する商品にも使用している。「DONKI」の標章の入ったエコバッグやショッピングバッグを最大226店舗で販売し、2021年7月販売開始以降、全商品合計で19,285個販売している(甲10)。
また、申立人が管理運営するソーシャルネットワーキングサービスのアカウント名及び投稿でも、「ドンキ」、「DONKI」ないし「donki」を使用している。申立人によるこれらのソーシャルネットワーキングサービスの運用実績から、本件商標の出願時及び査定時において、「ドンキ」、「DONKI」ないし「donki」は、取引者、需要者の間で広く認識されるに至っていることは明らかである。
(5)メディア等掲載実績
本件商標の出願時から前約3年間に絞った新聞その他の雑誌・ウェブニュース等においても、「ドンキ」との略称を用いた記事が多数掲載されている(甲16~甲29)。また、申立人店舗名等の「ドンキ」の略称と他の語とを結合した文言を記載した記事も多数存在する(甲30)。
以上より、日本国内で多種多様な取引者、需要者の大多数が上記の記事を読んでいたことが容易に推認される。
また、テレビで取り上げられた件数も多数ある(甲31~甲36)。
(6)需要者による使用状況
2021年12月29日から31日の3日間でツイッターやインスタグラム等のアカウントやブログ等で、「ドンキ」、「Donki」ないし「donki」の文字を含む投稿をした件数は、1万8千件以上に及び、そのほとんど全てが申立人の店舗に関する投稿であった(甲37)。概算で、1日当たり6千件の投稿がされており、それが仮に少なく見積もって平均50ユーザに閲覧されたとしても年間で延べ1億人が「ドン・キホーテ」の略称として「ドンキ」が当たり前に使われていることを目にすることになる。
(7)店舗におけるフードコート及び飲食テナント展開
申立人店舗には多くのカップルや家族連れも訪れることから、その利便性に鑑み、本件商標の出願日よりもはるか以前から、各種商品の小売のみならず、フードコートを設けた店舗や飲食テナントを入れて、飲食物の提供の分野にも注力している(甲39)。すなわち、申立人店舗を訪れる需要者にとっては、「ドンキ」は食事もできる場所という認識が強く刷り込まれている状況にある。
(8)小括
以上のとおり、本件商標の出願日以前より現在に至るまで、申立人ないし申立人店舗の略称「ドンキ」は、取引者・需要者の間で広く親しまれていており、本件商標の出願日及び査定時において、申立人の業務に係る役務を表示する出所識別標識として広く認識されていたことが明らかである。さらに、申立人が小売等役務のみならず、飲食物の提供の役務の分野でも「ドンキ」の略称で取引者、需要者の間で申立人の業務に係る役務を表示する出所識別標識として広く認識されていたものである。
3 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
本件商標は、その構成中、「DOnKI」の欧文字と「ドンキ」の片仮名を有し、当該文字部分は、辞書等に載録のない造語であって、本件商標の構成において、「DOnKI」の文字が「CAFE」の語を伴い、また、「ドンキ」の文字が「カフェ」の語を伴うものであっても、本件商標の指定役務「飲食物の提供」との関係において、「CAFE」ないし「カフェ」の語は識別力が弱く、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字部分が出所識別標識として強く取引者、需要者を印象付け、その記憶にとどまる部分といえる。
また、「DOnKICAFE」及び「ドンキカフェ」の文字構成は、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字と「CAFE」ないし「カフェ」の文字との間にスペースを設けずに表示したものであり、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字に他の文字を組合せて構成したものであることが容易に認識、理解されるから、構成中に「DONKI」ないし「ドンキ」の文字を包含することを特徴とする申立人の店舗名の構成態様と一致する。したがって、本件商標は、申立人の店舗と極めて似通った出所識別標識として需要者に認識、理解され、記憶されるものであることが明らかである。
本件商標の出願時には、「ドンキ」ないし「DONKI」の文字が申立人に係る出所識別標識として、日本国内及びシンガポールやタイを含む多数の外国において取引者、需要者の間で広く認識されていた。また、申立人は総合小売業としての確固たる地位を確立した上に、その小売店舗において飲食物の提供を行っている事実もある。
このような事情の下で、本件商標がその指定役務に使用された場合は、これに接した取引者、需要者は、本件商標の構成中、申立人に係る出所識別標識として広く認識されている「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字部分に注目し、申立人を直観することにより、本件商標を申立人に係る出所識別標識の一つであると誤認し、また、本件商標を使用した役務の提供が、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者、例えば、申立人のグループ企業に係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれが高い。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当する理由
本件商標は、その構成中、「DOnKI」の欧文字と「ドンキ」の片仮名を有し、当該文字部分は、辞書等に載録のない造語であって、本件商標の構成において、「DOnKI」の文字が「CAFE」の語を伴い、また、「ドンキ」の文字が「カフェ」の語を伴うものであっても、本件商標の指定役務「飲食物の提供」との関係において、「CAFE」ないし「カフェ」の語は識別力が弱く、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字部分が出所識別標識として強く取引者、需要者を印象付け、その記憶にとどまる部分といえる。
また、「DOnKICAFE」及び「ドンキカフェ」の文字構成は、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字と「CAFE」ないし「カフェ」の文字との間にスペースを設けずに表示したものであり、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字に他の文字を組合せて構成したものであることが容易に認識、理解されるから、構成中に「DONKI」ないし「ドンキ」の文字を包含することを特徴とする申立人の店舗名の構成態様と一致する。そのため、本件商標は、申立人の店舗と極めて似通った出所識別標識として需要者に認識、理解され、記憶されるものであることが明らかである。
したがって、本件商標は、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字部分を要部と認識され、申立人に係る出所識別標識として広く認識される「DONKI」ないし「ドンキ」と同一又は類似の商標である。
本件商標の出願時には、「ドンキ」ないし「DONKI」の文字が申立人に係る出所識別標識として、日本国内及びシンガポールやタイを含む多数の外国において取引者、需要者の間で広く認識されていた。
このような事情の下での本件商標の使用は、申立人の継続的使用と営業努力によって申立人に係る役務の出所識別標識として広く認識されるに至っている「ドンキ」ないし「DONKI」の文字を包含する申立人の一連の標章の出所表示力が希釈化することは明らかである。また、申立人が「DONKI」ないし「ドンキ」について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものである。
よって、仮に、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当しない場合には、商標法第4条第1項第19号に該当する。
5 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由
本件商標は、その構成中、「DOnKI」の欧文字と「ドンキ」の片仮名を有し、当該文字部分は、辞書等に載録のない造語であって、本件商標の構成において、「DOnKI」の文字が「CAFE」の語を伴い、また、「ドンキ」の文字が「カフェ」の語を伴うものであっても、本件商標の指定役務「飲食物の提供」との関係において、「CAFE」ないし「カフェ」の語は識別力が弱く、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字部分が出所識別標識として強く取引者、需要者を印象付け、その記憶にとどまる部分といえる。
また、「DOnKICAFE」及び「ドンキカフェ」の文字構成は、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字と「CAFE」ないし「カフェ」の文字との間にスペースを設けずに表示したものであり、「DOnKI」ないし「ドンキ」の文字に他の文字を組合せて構成したものであることが容易に認識、理解されるから、構成中に「DONKI」ないし「ドンキ」の文字を包含することを特徴とする申立人の店舗名の構成態様と一致する。したがって、本件商標は、申立人の店舗と極めて似通った出所識別標識として需要者に認識、理解され、記憶されるものであることが明らかである。
本件商標の出願時には既に、「ドンキ」ないし「DONKI」の文字が申立人に係る出所識別標識として、日本国内及びシンガポールやタイを含む多数の外国において取引者、需要者の間で広く認識されていた。
このような事情の下で、本件商標が使用された場合、申立人の継続的使用と営業努力によって申立人に係る役務の出所識別標識として広く認識されるに至った「ドンキ」ないし「DONKI」の文字を包含する申立人の一連の標章の出所表示力が希釈化するおそれが高く、また、申立人がこれらの標章について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会の一般的道徳観念及び商標法の予定する秩序並びに国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号に該当する旨の取消理由を令和5年4月13日付けで通知した。
第5 商標権者の意見
前記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人商標の周知著名性の程度について
ア 申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(ア)申立人は、1989年(平成元年)3月に「ドン・キホーテ」と称する店舗(以下、「○○ドンキ(DONKI)」と称する店舗も含めて「申立人店舗」という。)の1号店を開設した(甲1)。その後、申立人店舗の数は増え、2022年(令和4年)6月25日現在で国内外合わせて700店舗となった(甲4)。
(イ)申立人店舗は「総合ディスカウントストア」であり(甲11の1)、その名称はほとんどが「ドン・キホーテ」であるが、その他に「MAGAドンキ」、「SORADONKI」、「ミチドンキ」、「お菓子ドンキ」、「お酒ドンキ」、「コスメドンキ」及び「キラキラドンキ」のように、「○○ドンキ(DONKI)」と称する店舗も94店舗ある(甲5)。
(ウ)申立人は、申立人店舗の1号店を開設以降、32期連続増収及び営業増益を達成した(甲2)。また、申立人の2021年(令和3年)6月期の売上高は1兆7,086億円、経常利益は815億円、買上客数は6億4,689万人に至った(甲3)。
また、「○○ドンキ(DONKI)」と称する店舗に限定した売上高は、2019年(令和元年)が1,443億円、2020年(令和2年)が2,265億円、2021年(令和3年)が2,740億円であった(甲5)。
(エ)申立人は、「DONKI」の文字が表示されたエコバッグ及びショッピングバッグを販売している(甲10)。
(オ)申立人は、「Facebook」、「Twitter」、「Instagram」、「YouTube」及び「TikTok」といったSNSに投稿を行い(甲11~甲15)、当該投稿において、「「ドンキ」の愛称でおなじみ、ドン・キホーテです。」(甲11の1)、「ドンキの売り場ができるまで」(甲11の2)、「ドンキ公式です!」(甲12の1)、「ドンキのメンズケア商品試してみた」(甲14)、「ドンキ公式(※本物)です!」(甲15)のように「ドンキ」の文字を使用しており、また、「#安っすドンキさん」、「#ドンキさん買っちまったよ」といったハッシュタグでの投稿や、「ドンキで見つけた安いものを」、「ドンキで安かったよ!」、「ドンキでパンの耳が税込み100円で売ってた!」といった投稿のように、フォロアーにおいても、申立人店舗を「ドンキ」と称している(甲12の2)。
(カ)多数の新聞(全国紙及び地方紙)、雑誌(経済誌及び業界紙)、ウェブニュースにおける記事において、申立人又は申立人店舗が「ドンキ」と称され記載されている(甲16~甲30)。
(キ)申立人店舗には、フードコートが設けられている店舗や飲食テナントを入れている店舗も多数ある(甲39)。
イ 前記アで認定した事実によれば、申立人は、平成元年3月に、総合ディスカウントストアである申立人店舗の1号店を開設後、その店舗数を増やし、令和4年6月25日現在で国内外合わせて700店舗となり、その名称は、ほとんどが「ドン・キホーテ」であるが、その他に「○○ドンキ(DONKI)」と称する店舗も94店舗あり、その売上高、経常利益及び買上客数は相当程度あることが認められる。
また、申立人は、「DONKI」の文字が表示されたエコバッグ及びショッピングバッグを販売しており、さらに、SNSへの投稿及びそのフォロワーによる投稿、加えて、多数の新聞(全国紙及び地方紙)、雑誌(経済誌及び業界紙)、ウェブニュースにおける記事において、申立人又は申立人店舗を「ドンキ」と称して記載されていることが認められる。
そうすると、「ドンキ」の文字からなる商標(以下「申立人商標」という。)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る総合ディスカウントストアを表示するものとして、需要者の間に広く認識されていると判断するのが相当であり、その周知著名性の程度は高いといえる。
(2)申立人商標の独創性の程度について
「ドンキ」の文字は既成の語を表わしたものとは認められないから、申立人商標の独創性の程度は高いといえる。
(3)本件商標と申立人商標との類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、縦長四角図形内に、上部に「DOnKI CAFE」及び「あんかけスパ」の文字を含む円形図形を、その下部に「あんかけスパ屋」の文字及びこれより大きく「ドンキカフェ」の文字を縦書きしたものをそれぞれ配した構成からなるものである。
そして、本件商標は、その構成中、縦長四角図形は、単なる輪郭、背景又は装飾と認識されるものといえるから、出所識別標識としての機能は果たし得ないものといえる。
また、本件商標の構成中、「DOnKI CAFE」及び「あんかけスパ」の文字を含む円形図形部分と、縦書きした「あんかけスパ屋」及び「ドンキカフェ」の文字部分とは、その構成態様からして視覚上分離して観察されるものである。
さらに、本件商標の構成中、「あんかけスパ屋」の文字部分は、指定役務との関係から、「あんかけスパゲッティの店」であること、すなわち役務の質を表したものと認識されるものであるから、出所識別標識としての称呼、観念は生じないものといえる。
これに対し、「ドンキカフェ」の文字部分は中央に大きく表されているため、取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
加えて、当該「ドンキカフェ」の文字部分中「カフェ」の文字部分は、「喫茶店」等を意味し、指定役務との関係から、役務の質を表したものと認識されるものであるから、出所識別標識としての称呼、観念は生じないものといえ、その結果として、「ドンキ」の文字部分が、取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると、本件商標は、その構成中「ドンキ」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
してみると、本件商標は、その構成中「ドンキ」の文字部分から「ドンキ」の称呼を生じ、また、前記(1)イのとおり、「ドンキ」の文字からなる申立人商標が申立人の業務に係る総合ディスカウントストアを表示するものとして需要者の間に広く認識されていることからすると、「申立人のブランド」としての観念を生じるものである。
イ 申立人商標について
申立人商標は、「ドンキ」の文字からなるものであり、前記(1)イのとおり、申立人の業務に係る総合ディスカウントストアを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるから、「ドンキ」の称呼を生じ、「申立人のブランド」としての観念を生じるものである。
ウ 本件商標と申立人商標との比較について
本件商標の構成中「ドンキ」の文字部分と申立人商標とを比較すると、縦書きか否かの違いはあるものの、両者はいずれも「ドンキ」の文字からなるものであるから、外観においては近似した印象を与えるものである。
そして、両者は、いずれも「ドンキ」の称呼及び「申立人のブランド」としての観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標と申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似の商標というべきであり、その類似性の程度は高いといわなければならない。
(4)本件商標の指定役務と申立人の業務に係る総合ディスカウントストアとの関連性の程度及び需要者の共通性について
本件商標の指定役務は「飲食物の提供」であるから、総合ディスカウントストアとは一義的には関連性が低いといえるが、前記(1)ア(キ)のとおり、申立人店舗には、フードコートが設けられている店舗や飲食テナントを入れている店舗も多数あることからすると、本件商標の指定役務と申立人の業務に係る総合ディスカウントストアとは一定程度関連性があるといえる。
また、本件商標の指定役務である「飲食物の提供」と総合ディスカウントストアとは、その需要者はいずれも一般の消費者であるから、需要者を共通にするといえる。
(5)混同を生ずるおそれについて
前記(1)から(4)によれば、申立人商標の周知著名性及び独創性の程度は高く、また、本件商標と申立人商標との類似性の程度も高く、さらに、本件商標の指定役務と申立人の業務に係る総合ディスカウントストアとは一定程度関連性があり、需要者を共通にするものである。
そうすると、商標権者が本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人商標を連想、想起し、当該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
前記1(1)イのとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る総合ディスカウントストアを表示するものとして、需要者の間に広く認識されている。
また、前記1(3)ウのとおり、本件商標と申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似の商標である。
しかしながら、本件商標が不正の目的をもって使用をするものであることを示す証拠の提出はなく、また、そのような事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標が使用された場合、申立人の継続的使用と営業努力によって申立人に係る役務の出所識別標識として広く認識されるに至った「ドンキ」ないし「DONKI」の文字を包含する申立人の一連の標章の出所表示力が希釈化するおそれが高く、また、申立人がこれらの標章について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的損害を与える旨主張しているが、これらを立証する証拠の提出はない。
他に、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号には該当しないものの、同項第15号に該当に該当するから、その登録は、同項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-900350