商標異議申立
2022-900341
コマイヌ
- 審判番号
- 2022-900341
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-126846
- 登録番号
- 6565860
- 請求日
- 2022年08月08日
- 審決日
- 2023年09月08日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ジャガーノート
- 【異議申立人】コマイヌ ユーケー リミテッド
- 【異議申立人代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 藤村 浩二
- 分類
- T1651.261-Y (W0942) / T1651.262-Y (W0942) / T1651.263-Y (W0942) / T1651.264-Y (W0942) / T1651.265-Y (W0942) / T1651.271-Y (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第2条第3項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6565860号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6565860号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6565860号商標(以下「本件商標」という。)は、「KOMAINU」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年10月12日に登録出願、第9類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年3月4日に登録査定され、同年6月3日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1472103号商標(以下「引用商標」という。)は、「KOMAINU」の欧文字を横書きしてなり、2018年(平成30年)9月3日に欧州連合知的財産庁においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2019年(平成31年)2月28日に国際商標登録出願、第36類に属する別掲3のとおりの役務など第36類及び第38類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、令和3年2月19日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであり、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類似
本件商標「KOMAINU」(標準文字)と、引用商標「KOMAINU」は、称呼が「コマイヌ」という点において、また観念が「狛犬(神社の社頭や社殿の前に置かれる一対の獅子に似た獣の像)」(甲3)である点で完全に共通し、更に外観も欧文字のつづりが完全同一で書体のみが若干異なるにすぎない、実質的に同一商標である。
イ 指定商品・指定役務の類似
本件商標の出願時に適用されていた類似商品・役務審査基準によれば、本件商標の指定商品及び指定役務と、引用商標における指定役務との間において、同一類似群コードが付されたものはないものの、その実質においては混同を生じ得る類似商品及び役務が、以下のとおり共通して含まれている。
すなわち、引用商標の指定役務中、第36類に属する別掲3のとおりの指定役務(以下「仮想通貨等取引関連役務」という。)は、いずれも「仮想通貨を始めとする電子的な金融・財務に関する取引」や、その「送金・保管・管理」等を行う役務であるところ、そのような電子的金融・財務サービスの提供においては、ブロックチェーンによる暗号化技術等のcrypto services(暗号化サービス)が不可欠であり、かかる技術は「電子計算機(ハードウェア)、電子計算機用プログラム、コンピュータソフトウェア用アプリケーション、コンピュータソフトウェア」等を用いて提供(オンラインによる提供を含む)され、いい換えれば、それら商品は、引用商標の仮想通貨等取引関連役務との関係においては、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」(商標法第2条第3項第3号、同項第4号)、「役務の提供の用に供する物」(同項第5号)等に該当するものである。
したがって、引用商標の仮想通貨等取引関連役務における商標の使用態様と、本件商標の指定商品及び指定役務中第9類及び第42類に属する別掲2のとおりの指定商品及び指定役務(以下「11号主張商品役務」という。)における商標の使用態様には共通する場合が生じるのであって、これに実質的に完全同一である「KOMAINU」商標が使用された場合、引用商標に係る事業との混同が生じる可能性が極めて大きいといえる。
ウ 小括
したがって、本件商標の指定商品・役務中「11号主張商品役務」と、引用商標の指定役務中「仮想通貨等取引関連役務」とは、密接に関連する実質的に類似する商品・役務といえ、本件商標は、引用商標との関係で、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、投資家向けの安全なデジタル資産保管ソリューションの大手プロバイダーであり(甲4)、暗号通貨用のハードウェアウォレット(財布)を提供する企業として著名なレジャー(Ledger)等の合弁企業として設立されたものである(甲5、甲6)。
申立人は、引用商標を用いた役務の提供に関する広告・宣伝に多くの時間、費用、努力を続けてきており、その結果、日本を含む世界中において、デジタル資産保管ソリューションを始めとする「電子的金融・財務サービス」の提供者としてよく知られたものとなっている。そして、申立人が提供する「電子的金融・財務サービス」事業が、ブロックチェーンによる暗号化技術等のcrypto services(暗号化サービス)が不可欠であり、かかる技術は、そのような電子的金融・財務サービスの提供においてはブロックチェーンによる暗号化技術等のcrypto services(暗号化サービス)が不可欠であり、かかる技術が本件商標の指定商品・役務と密接な関係があるのは上述のとおりである。
このような状況において、引用商標と実質的に完全同一の「KOMAINU」が本件商標の指定商品及び指定役務に関して使用された場合、取引者、需要者は、申立人の提供する商品及び役務であるとの出所の誤認又は混同が生じるおそれがあるほか、申立人と何らかの関係があるものとの誤解が生じるおそれが高いといわざると得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否
本件商標は、上記1のとおり、「KOMAINU」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、引用商標は、上記2のとおり、「KOMAINU」の欧文字を横書きしてなるものであるから、両者は、構成文字を共通にする同一又は類似の商標であることは明らかである。
イ 指定商品及び指定役務の類否
(ア)申立人は、本件商標の「11号主張商品役務」と引用商標の「仮想通貨等取引関連役務」は商標の使用態様に共通する場合が生じ、前者に本件商標が使用された場合、引用商標に係る事業との混同が生じる可能性が極めて大きいなどとして、両者は実質的に類似する商品・役務といえる旨主張しているので、以下、検討する。
(イ)商品と役務の類否は、a)商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、b)商品と役務の用途が一致するかどうか、c)商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか、d)需要者の範囲が一致するかどうかなどを総合的に考慮し、判断すべきである。
また、役務の類否は、a)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、b)提供に関連する物品が一致するかどうか、c)需要者の範囲が一致するかどうか、d)業種が同じかどうか、e)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、f)同一の事業者が提供するものであるかどうかなどを総合的に考慮し、判断すべきである。
(ウ)そこで、本件についてみると、本件商標の「11号主張商品役務」と引用商標の「仮想通貨等取引関連役務」の一般的、恒常的な取引の実情において、前者を製造・販売又は提供する事業者と後者を提供する事業者が一致する、両者の用途、販売・提供場所、需要者、業種などが一致するというべき事情は見いだせない。
そうすると、両者は、それらに同一又は類似の商標を使用しても、それら商品及び役務が同一営業主の製造、販売又は提供に係る商品又は役務と誤認混同するおそれのない非類似の商品及び役務といわざるを得ない。
また、他に、本件商標の「11号主張商品役務」と引用商標の「仮想通貨等取引関連役務」が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は同一又は類似のものであるが、本件商標の「11号主張商品役務」と引用商標の「仮想通貨等取引関連役務」は非類似の商品及び役務であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人が仮想通貨等取引関連役務に係る業務を行っていることがうかがえる(甲4~甲6)ものの、引用商標が使用され提供された役務の取引額など取引実績はもとより、我が国において引用商標が使用された事実も確認できないから、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 混同のおそれ
上記(1)アのとおり、本件商標と引用商標は、構成文字を共通にするものであるから、両者の類似性の程度は高いといえるものの、上記アのとおり引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(1)イ及びウのとおり、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人が提供する仮想通貨等取引関連役務との関連性の程度は低く、両者の需要者が一致するとは認められないことなどからすれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想又は想起させるおそれはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(3)むすび
以上のことから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
なお、申立人は、令和5年5月26日付け上申書において、申立人が、商標権者と和解協議を行っていることを理由に、この商標異議申立の審理の中止を求めていたが、令和5年7月13日付け審尋において商標権者の意見を確認したところ、商標権者から、中止する必要はない旨の連絡があったことから、本件の審理を遅延させるべき合理的な理由はないものと判断し、審理を進めることとした。
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